ガザとは何か~パレスチナを知るための緊急講義

著者 :
  • 大和書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784479394204

作品紹介・あらすじ

【緊急出版!ガザを知るための「まず、ここから」の一冊】2023年10月7日、ガザ地区のハマース主導のパレスチナ戦闘員による、イスラエルへの攻撃に端を発し、イスラエルによるガザ地区への攻撃が激化しました。長年パレスチナ問題に取り組んできた、パレスチナ問題と現代アラブ文学を専門とする著者が、平易な語り口、そして強靭な言葉の力によってさまざまな疑問、その本質を明らかにします。今起きていることは何か?パレスチナ問題の根本は何なのか?イスラエルはどのようにして作られた国?シオニズムとは?ガザは、どんな地域か?ハマースとは、どのような組織なのか?いま、私たちができることは何なのか?単なる解説にはとどまらない、「これから私たちが何を学び、何をすべきか」その足掛かりとなる、いま、まず手に取りたい一冊です。■目次■■第1部 ガザとは何か4つの要点/イスラエルによるジェノサイド/繰り返されるガザへの攻撃/イスラエルの情報戦/ガザとは何か/イスラエルはどう建国されたか/シオニズムの誕生/シオニズムは人気がなかった/なぜパレスチナだったのか/パレスチナの分割案/パレスチナを襲った民族浄化「ナクバ」/イスラエル国内での動き/ガザはどれほど人口過密か/ハマースの誕生/オスロ合意からの7年間/民主的選挙で勝利したハマース/抵抗権の行使としての攻撃/「封鎖」とはどういうことか/ガザで起きていること/生きながらの死/帰還の大行進/ガザで増加する自殺/「国際法を適用してくれるだけでいい」■第2部 ガザ、人間の恥としての今、目の前で起きている/何度も繰り返されてきた/忘却の集積の果てに/不均衡な攻撃/平和的デモへの攻撃/恥知らずの忘却/巨大な実験場/ガザの動物園/世界は何もしない/言葉とヒューマニティ/「憎しみの連鎖」で語ってはいけない/西岸で起きていること/10月7日の攻撃が意味するもの/明らかになってきた事実/問うべきは「イスラエルとは何か」/シオニズムとパレスチナ分割案/イスラエルのアパルトヘイト/人道問題ではなく、政治的問題■質疑応答ガザに対して、今私たちができることは?/無関心な人にはどう働きかければいい?/パレスチナ問題をどう学んでいけばいい?/アメリカはなぜイスラエルを支援し続けるのか?/BDS運動とは何?■付録もっと知るためのガイド(書籍、映画・ドキュメンタリー、ニュース・情報サイト)パレスチナ問題 関連年表本書は、10月20日京都大学、10月23日早稲田大学で開催された緊急セミナーに加筆修正を加えたものです。

感想・レビュー・書評

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  • 緊急出版!『ガザとは何か パレスチナを知るための緊急講義』発売(12/24) | 株式会社 大和書房のプレスリリース
    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000565.000033602.html

    絶望のガザ:インタビュー「イスラエルはアパルトヘイト国家」岡真理・早稲田大学文学学術院教授、京都大学名誉教授 | 週刊エコノミスト Online(有料記事2023年11月13日)
    https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20231128/se1/00m/020/039000c

    「沈黙は虐殺の共犯」岡真理さん ガザ爆撃、京都市内ではデモも [京都府]:朝日新聞デジタル(2023年11月14日)
    https://www.asahi.com/articles/ASRCC5W42RBWPLZB00R.html

    ガザとは何か パレスチナを知るための緊急講義 - 株式会社 大和書房 生活実用書を中心に発行。
    https://www.daiwashobo.co.jp/book/b10040675.html

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      何を考えているのか?

      日本人牧師ら15人、駐日イスラエル大使公邸を訪問 大使は感謝表明 : 教会 : クリスチャントゥデイ(2023年1...
      何を考えているのか?

      日本人牧師ら15人、駐日イスラエル大使公邸を訪問 大使は感謝表明 : 教会 : クリスチャントゥデイ(2023年12月4日)
      https://www.christiantoday.co.jp/articles/33020/20231204/15-japanese-pasters-and-leaders-visit-israel-embassy.htm
      2023/12/05
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      ◆政治思想による執拗な暴力[評]いとうせいこう(作家)
      <書評>『ガザとは何か パレスチナを知るための緊急講義』岡真理 著:東京新聞 TOK...
      ◆政治思想による執拗な暴力[評]いとうせいこう(作家)
      <書評>『ガザとは何か パレスチナを知るための緊急講義』岡真理 著:東京新聞 TOKYO Web
      https://www.tokyo-np.co.jp/article/311175?rct=shohyo
      2024/02/26
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      『ガザとは何か~パレスチナを知るための緊急講義』(岡真理著/大和書房) | マガジン9
      https://maga9.jp/240417-2/
      『ガザとは何か~パレスチナを知るための緊急講義』(岡真理著/大和書房) | マガジン9
      https://maga9.jp/240417-2/
      2024/04/17
  • 昨年からイスラエルが行っているガザ地域への攻撃に端を発して、昨年行われたガザ地域とはどういう経緯で生まれたものなのか?そもそもイスラエル国ができてたから、イスラエルとパレスチナの間で起きている紛争とはどういうものなのか?について行われた緊急講義をまとめたもの。

    日本においては、イスラエルが第二次大戦においてホロコーストの犠牲となったユダヤ人のために建国された国である事、断片的にしか報道されない事、イスラエルの巧みなプロパガンダによって、さもイスラエル国が正当性があったり、他の国同士の対立において使われる「憎しみの連鎖」の様に、きっかけはあるものの双方の度重なる報復合戦のために今となってはどちらに非があると言い切れないものという印象を受けがちだが、それとは根本的に異なるという事を示している。
    パレスチナという地をイスラエル国とするのは国連によって決められた事であるが、それ以来イスラエルは国際法を無視して不当に国土を拡張するだけでなく、ユダヤ人至上主義を貫いて、パレスチナの人々を迫害し、民族浄化遠目指したジェノサイドを、行っているとしている。
    パレスチナ側が国際法に違反して一般人を犠牲にしたケースもあるものの、そもそも不当な占領、人種迫害に対して抵抗する権利は認められており、日本においてはその観点を欠いたまま報道される事が多いために、真実が伝わっていない。


    この本自体は講演をまとめているので、非常にわかりやすく説明されていて、読みやすい。一方で自分の無知を思い知らされるので、読んでいて辛い。
    しかし、末尾の講演で行われたQAの中で、岡真理氏も自分も最初はここで語っているパレスチナの事を何も知らなかった、しかしこれを知って、それが植民地主義と深く関連していて、色々わかってくる様になった。少しずつ学んで知っていけばいいのだと、答えている。
    まさにそんな一歩となる本だった。

  • 今まで、パレスチナのこと、イスラエル建国のこと、イスラエルが何をしてきたか、ガザの現状、それを世界がどう報道してきたか、何も知らなかった。
    ニュースで言っていることを何となく聞いて、ハマス悪い、何でそんなことするかね、止めればいいのに、とぼんやり思っていた。
    全部間違い。恥ずかしい。
    この本に書かれていることを鵜呑みにするのもまた間違いかもしれない。
    ただ、このように考え、大きく強く、ガザのために声を上げる人がいることに間違いはない。心を揺さぶられた。
    この本のことを誰かに伝えなくては。
    知り、考える人を増やすために。

  • 著者の岡真理さんは、早稲田大学文学学術院教授、京都大学名誉教授で、学生時代からパレスチナ問題を専門的に取り上げ、調査・研究しているだけあって、発言には重みがあると感じた。
    また、私たちは歴史とプロパガンダではなく、実際に起こっていることを正しく見る必用があるだろう。

    現在パレスチナ人の死者数は、分かっているだけでも31,000人を超えると言う。しかも半数近くは子どもだ。
    ニュースでは、昨年10月7日のハマース主導のパレスチナ人戦闘員による攻撃が発端で、イスラエルによる反撃があったように報道しているが、むしろ発端はイスラエルだ。

    例えば、
    ある地域(家族でもいい)の人々が、完全に隔離しされ、自由が与えられず徹底的にいじめられるとしよう。しかも、その周りの土地や建物は、元々自分たちの所有するものだった。周りには助けを求めるが、誰も助けてくれない。しかも法律的には、(当然だが)後から来て土地や建物を奪い、いじめを行うことは違法だ。
    このままだと、自分たちもどこかへ追いやられるかも知れないし、殺されてしまうかも知れない。(周囲の住民は自分の土地・建物を守ろうとして殺されている)
    どうせ殺されたり、死んだも同然の扱いをされるのなら闘おう。
    と言うのが、イスラエルとパレスチナの歴史だ。

    ハマースに対するイスラエルの攻撃はジェノサイド以外何ものでもないだろう。
    ガザ地区の北を攻撃するとして、南に移動させ(もちろん移動している最中にも大量殺戮を行っている)、南に移動した人たちが暮らすキャンプまでも、攻撃の対象とする。
    ハマースでも一般民間人を殺すことは許されることではないが、そのハマースが潜んでいるかもしれないだけで、イスラエルが何万人ものパレスチナ民間人を殺して良い訳がない。
    イスラエルの攻撃開始からわずか2週間で、ガザのパレスチナ人の死者は4000人を超え、うち半分近くが子供だと言う。

    いやその前に、ハマースがテロを行ったと言うことも、半分割り引いて考える必要があるようだ。
    ハマースがイスラエルに侵入し人質を確保しようとした際、イスラエルの警備兵との銃撃戦となったようだが、イスラエル兵は人質含めハマースを殺害したと、生き残った人質は証言している。しかも、その人質は、ハマースからは優しく扱われていたと言う。但しこの情報は、後に消去され、ハマースが人質を殺害していたと報道している。

    情報戦に関しては、イスラエルに完全に分がある。我々は報道内容を鵜呑みにしてはいけないだろう。

    また、こんなことも。
    ガザ、それは巨大な実験場。
    イスラエルの最新式兵器の性能を、実践で実験するところ。大規模攻撃を仕掛ければ、世界のニュースがそれを放映してくれる。ガザは、その兵器の性能を実演して見せるショーケース。新兵器の開発で用済みになってしまう古い兵器の在庫も一掃できる、ガザはそういう便利な場所なのだ。
    ガザは実験場だ。
    2007年当時で150万人以上の人間を狭い場所に閉じ込め、経済基盤を破壊して、ライフラインは最低限しか供給せず、命を繋ぐのがやっとという状況にとどめ、何年かに一度大規模に殺戮し、社会インフラを破壊し、そういうことを16年間続けた時、世界はこれに対してどうするのかという実験。
    そして、世界は何もしないことが分かった。

    NHKエルサレム特派員をしていた鴨志田郷解説委員の、こんな言葉も載っていた。
    「攻撃がない時、いったい自分はどれだけガザのことを世界に伝えようとしてきただろうか。
    恥知らずなのは、私自身です。だから今、話していて、とても苦しいです。教えてください。
    非暴力で訴えても世界が耳を貸さないのだとしたら、銃を取る以外に、ガザの人たちに他にどのような方法があったでしょうか。反語疑問ではありません。純粋な疑間です。教えてください」
    現実に直面する人の、疑わざる心からの言葉だと感じる。

    1982年、内戦中のレバノンに侵攻したイスラエル軍はベイルートを占領し、西ベイルート郊外にあったパレスチナ難民キャンプ、サブラーとシャティーラーを封鎖する。
    国際法に従えば、占領軍としてイスラエル軍には占領下の住民を保護する義務があるにもかかわらず、PLOの戦士たちがベイルートを追放されて、非戦闘員だけが残された両キャンプに、イスラエル軍は同盟していたレバノンの右派民兵組織を入れた。彼らは9月16日から28日の3日間、斧や鉈でキャンプ住民を虐殺した。
    イスラエル軍は夜になると照明弾を打ち上げて、この虐殺を幇助した。この集団虐殺で2000人以上が殺された。
    国連によって、この虐殺はジェノサイド的行為と認定され、当時の国防大臣アリエル・シャロンは大臣を罷免されるが、のちに首相に返り咲く。
    その後、このジェノサイド的行為の責任を、誰も問われることはなかった。

    イスラエル政府は、パレスチナある6つの人権団体をテロ組織と認定している。イスラエルの人権侵害を告発する者たちは、イスラエルにとってテロリストだということだ。

  • 『問題の根源は、入植者による植民地主義です。ここで問われているのは、植民地主義的侵略の歴史にどう向き合うか、ということです。』

    二つの講演を基にしており、短期間での講演も出版も大変な労力だっただろうと思う。
    講演者・著者の岡真理さん、講演の主催の方々、出版社の方々の今せねば、出さねば、という懸命な思いがこもっている。
    非常にわかりやすく、整理して理解できた。
    ぼんやりとしかわかっていなかったし、わかろうともしていなかったことが恥ずかしい。
    かつてまさに植民地主義的侵略を行った国の市民として、私はそれを繰り返すことを止める責任がある。
    そうでなくても、こんな非人道的な行いが同じ世界でなされているのに無視して良いはずがない。

  • パレスチナとイスラエルの問題を知りたいと思い、まずは読みやすそうなこの本から手に取りました。
    まだ一冊目なので、自分なりの結論は出せませんが、思ったのは「国際法って何のためにあるの??」という事。国際法で決められた事を適用しないのなら、意味ってあるのだろうか…。この本だと「戦争」ではなく完全な「ジェノサイド」。人間として生まれたのに、あらゆる権利を奪われて本当に悲しい。読んでいるととてもネットで検索出来ないくらい恐ろしい。どうしたら解決できるのだろうか…考えさせられる。あと数冊、このパレスチナとイスラエルの問題の本を読んで多面的に知りたいと思った。

  • 今まさに起きているジェノサイド。
    決して対岸の火事ではない。
    知らずに済まそうとすることもまた次のジェノサイドを招き寄せる。
    何が起きているのか、何故起きているのか、学ぶ姿勢を大事にしたい。
    とても読みやすく、勉強になった。

  • 読みました。いま読んでよかったし、読むべき本だと思った
    私は本には読まれるべき時期があるというような説は支持してないんだけれど、この本はいますぐにでも読むべきだと思う
    ガザで行われていること、その原因や歴史。イスラエルとはパレスチナとは。ガザで行われていることは人道問題ではなく政治的問題であることやそれらを見過ごして放置して加担してきた国際社会などがまとめられている
    具体的にガザでどんな虐殺が行われているかや数字でもってどれほど犠牲者が出ているのかが書かれているけれど、あまりのひどさに何回か読む手が止まった。しんどかった
    同時に日本が行ってきたことも突きつけられ、いかに自分が今まで知らなかったか(まあ教育やメディアの問題もあるけれど)無関心でいられたかを思い知るので自己嫌悪もすごく催した
    いますぐ、この瞬間にでも永久に虐殺が止まりこの問題が解決することしか願えない

  • 2023年10月7日から始まり現在(2024年1月25日)に至るまで続く、イスラエルによるパレスチナに対する非人道的戦闘行為を受け、著者が10月20日と23日2箇所で行った講演会をまとめ12月に緊急出版されたもの。ここで著者が一番に訴えていることは、15,000人のパレスチナ人(前書きが書かれた11月29日時点の数字。1月25日時点では25,000人)が殺されている現在のイスラエルの戦闘行為はジェノサイド(大量殺りく)に他ならずこれをまずは止めること、そして今回のような戦闘行為がいったん起きてしまえば人命救済が優先されるあまり、つい人道問題に置き換えられてしまうイスラエルとパレスチナの問題を、正しく歴史的文脈の中できちんと「政治問題として知ること」なしには解決しないことだということだと思う。そしてこの2つの講演で、シオニズムの誕生から始まり第2次世界大戦後の1947年国連で決まった「パレスチナ分割案」から始まった「イスラエル建国」というものが、国際法を無視した暴力(殺戮、占領、アパルトヘイト)によって行われていること、国際社会はこの問題の本質からずっと目を背け、そればかりかハマスをテロリスト集団とするイスラエル側の見解に沿った偏向報道を通じてこのイスラエルによる暴力を支援し続けていることを、簡潔に平易な言葉で解説しているので、巷間で言われている「パレスチナ問題」を知る手引書として良いと思う。ホロコーストでユダヤ民族を大量に殺害したことに対する罪の意識から逃れるため、それを聖地エルサレムがあるという一点以外何の関係もないパレスチナ人の死で贖おうとするヨーロッパ諸国を初め、ユダヤ資本が政治の中枢にまで入り込みイスラエルを支援しなければ大統領にも議員にもなれないというアメリカ、対米追従の我が国日本のスタンダードはパレスチナ問題そのものなのだと思う。

  • ナージー・アル・アリーの「パレスチナに生まれて」に続き、パレスチナについての本。

    2023年10月23日と20日に行われた、岡真里先生の講義から40日間というスピード感をもって刊行された意味とはつまり、今、すぐに読むべき内容だということ。
    言うまでもなくこれは、「2023年10月7日、ハマース主導のガザのパレスチナ人戦闘員による越境奇襲攻撃に対して始まった、イスラエルによる未曾有のジェノサイド攻撃」を発端に刊行されているのだが、読み進めると、ナージーの本にも書いてあったが、長い歴史のなかの、政治的問題であることがよくわかる。

    自分自身に絶望する時間が、様々な事実を知るにつれ増えた。知らなかった自分に。

    ナチドイツによるホロコースト。1945年の終戦後、生き延びたユダヤ人達は難民化。二十五万人のユダヤ人難民をどうするか。
    1947年国際連合の総会で、
    「パレスチナを分割し、そこにヨーロッパのユダヤ人の国を創る」ことが可決される。
    なぜ、パレスチナなのか。

    十九世紀終わりにヨーロッパのユダヤ人に「シオニズム」という政治的プロジェクトが誕生している。ヨーロッパでのユダヤ人差別からの真の解放の為、ユダヤ人によるユダヤ人のための国家を建設するというもの。
    ここら辺も、このくらいまでの知識しかなかったのだが、当時の正統派ユダヤ教徒や、社会主義者、コミュニストのユダヤ人、またアメリカのユダヤ人も、シオニズムとは距離を置いていて、
    シオニズムを主導していたのは、同化ユダヤ人で、非宗教的な人達だったそう。
    当時のヨーロッパ人の「植民地主義」の精神を当然のこととして共有していた彼らの推進する運動。
    その政治的プロジェクトを利用する形での、パレスチナ分割案だった。
    自分もそういうものだと思っていた、宗教的な聖地を巡る云々、という聖書的な話も、ユダヤ人の支持を集めるためのもの。
    全て政治。
    ヨーロッパで起きた問題の後始末を、関係のないパレスチナ人が請け負っている構図が見える。

    停戦に、ガザの解放に、アメリカがイエスを出さず、イスラエルを今も支援しているのはなぜか。これも疑問だった。

    アメリカにいるイスラエル・ロビーが、アメリカの国内政治に非常に大きな力を持ってきていること、彼らを敵に回す=当選できない状況が作られていったこと。

    戦闘が、爆撃が止むと、また関係のない人達は忘れて、忘れてまた、始まって、一時的に支援して、また終わって忘れる。
    その繰り返しでガザは、著者曰く、「巨大な実験場」になっていると。最新兵器の性能、かろうじて生きるのに精一杯という状況下の人間は、社会はどうなるか、という実験だと。

    今回、始まりのとき、無知な私はハマスって怖い、くらいの気持ちでいて、でもそれに対する反撃ではもはやない、ジェノサイドが行われているのを目の当たりにした、TVで。でも、ハマス対イスラエル、テロへの報復、みたいな構図しか見えなかった。

    withhandala運動をきっかけに(ナージーの本です)、メディアでは深く掘り下げられないまま繰り返されている難民に対する虐殺、占領を知り、繰り返しになるが自分事実に絶望しながら、何が出来るか考えている。

    南アフリカによるイスラエルに対するジェノサイド裁判を視聴したり、色々な窓口に意見したり、署名したりしている。

    そのくらいしかできていないことが恥ずかしいけど。

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著者プロフィール

京都大学大学院人間・環境学研究科教授
専攻:現代アラブ文学、パレスチナ問題研究
主な著作:『彼女の「正しい」名前とは何か――第三世界フェミニズムの思想』(新装版、青土社、2019年)、『ガザに地下鉄が走る日』(みすず書房、2018年)、『アラブ、祈りとしての文学』(みすず書房、2008年)、『棗椰子の木陰で――第三世界フェミニズムと文学の力』(青土社、2006年)、『記憶/物語』(岩波書店、2000年)。

「2023年 『記憶と記録にみる女性たちと百年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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