- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784105901844
作品紹介・あらすじ
悲しみとは、生の躍動――。人の尊厳に迫る、このうえなく静かな長篇小説。ミリオンセラー『ある一生』で国際ブッカー賞候補となったオーストリアの作家が、小さな町の墓所に眠る死者たちが語る悲喜交々の人生に耳を傾ける。たゆまぬ愛、癒えない傷、夫婦の確執、労働の悦び、戦争、汚職、ならず者の悲哀……。失意に終わる人生のなかにも、損なわれることのない人間の尊厳がある。胸を打つ物語。
感想・レビュー・書評
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オーストリアの小さな町の「野原」と呼ばれる墓地。
白樺の木の下にあるベンチで、ひとりの老人が静かに死者たちの声に耳を傾ける。
ここに描かれていているのは、29人の死者たちの声。
なんとも変わった物語。
それぞれが自分の人生の断片を語っていく。
長い物語として語る者もいれば、ほんの一言の者もいる。
そしてそれは、特別に面白みのある話でもなく、素晴らしい人生と言うわけでもない。
なのになぜか読むのをやめられない。
それぞれの話は全く違う人生なのだが、みんなの話に共通する店が登場したり、時々人生が交差したり。
読んでいると、町の輪郭が見えてくるのが面白い。
生きるということは、みんなそれぞれ自分が主役なんだなあ、と改めて気付く。
他人にとって、それはつまらない人生に見えるかもしれないけれど、つまらない人生など存在しないのだ。 -
オーストリアの小さな町の「野原」と呼ばれる墓所。その白樺の木の下のベンチに、今日も一人の老人がやってきて、死者たちの声を聞いている。
小さな町に生きて死んだ市井の人々の語りは、さまざまで、愛情やよろこびの記憶もあれば、悪態や狂気もある。それらをジャッジしないということが、全ての人の生にたいしての尊厳につながっているように感じられて、しみじみとした気持ちになった。静謐な物語。
無骨さ(飾らないという意味で)を感じる文章。「ある一生」をもう一度読みたくなった。 -
発想は興味深くて良書な雰囲気を醸し出していたのですが、読んでいる途中、普段ないことなんですが、何度も寝かけてしまいました…。
途中で読み方を間違えたと感じました。普通の小説のようにではなく、散文詩を読むようにゆっくりと、そして、ストーリーを追ってはダメだと気づきました。読み方を間違えると、恐ろしくつまらない。時間を置いてゼロから読み直せばいいのだろうけど、そこまでしたい一冊ではなかった。もったいないことをしました。これから読む方は是非気をつけて欲しい。
クレストブックの本は興味を惹かれてたまに手に取ると、ほぼ毎回、何だか合わずに苦痛なまま何とか読み終わるということになってしまう…
今回のように、読み方を間違っているのかもしれない。
時々、登場人物を振り返りたくなるので、目次はつけて欲しかったなと思いました。 -
文学ラジオ空飛び猫たち第104回紹介本 https://spotifyanchor-web.app.link/e/UK0sDCV3hwb 読み始めてすぐに名作だと思った。時間をかけてゆっくりと、是非とも読んでもらいたい一冊。構成、表現含めて最高の一冊だった。 読むといろんな感情が巻き起こる。きっと自分の人生を振りかえることにもなると思う。
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盛り上がりも何もない。ただ粛々と死への描写が繰り広げられるだけ。だから余計にそれぞれの生き方が心に残る。
「野原」と呼ばれる墓地をメインに、オーストリアの小さな町に生きた人々29編描いてる。好きな章は沢山あったが、スーザン・テスラーは好きな章の1つだった。心、生き返るよ!と言われた様な本。 -
いい本に出合えた。元俳優という異色の経歴、が数々の賞候補にノミネートされた熟達な文を綴る才能が光る。
感動という内容ではないが、ひたひたと寄せる波打ち際を見つめる想いが続いた。
決して一気読みするのではなく、数頁ずつ合間合間に読み、文を咀嚼する読み方がいいと感じた。
生きていればこそ続く、悲喜こもごも、恨み、嫉妬、狂気、争い、悲哀、落胆等々ひっくるめ、死は全てのモノを払拭し払い去る。
29人の死者と生者がかたりあうという不可思議な世界だが超常とは思えない当たり前の感覚すら受けるシーン。
どれも捨てがたいが・・105歳で死去したアニーの賞で語られる言葉が身に染みた~
「彼に君の美しさは僕だけのモノといわれたが⇒そんなのいや、出て行ってと⇒悲嘆し銃で自らの頭を打った彼は視神経だけの損傷で助かる⇒盲目になった彼は病院の看護師は夢中に⇒4人の子を授かり、その一人に手を引かれ街を散歩⇒いつも顔は空を見上げ、微笑んでいた⇒アニー曰く、彼こそ幸せ。最初私は人間だった、今世界だ✨ -
オーストリアのパウルシュタットにある小さな墓地は「野原」と呼ばれていた。そこに1人の男が毎日のようにやってきて、死者たちの声に耳を傾ける……。
本書は、そんな29人の死者の声を綴った作品だ。彼らは同じ町に暮らし、同じ墓地に葬られた。中には友人同士だった者もいる。そんな彼らの言葉が集まり、繋がり、やがて町の姿が浮かび上がる。
なんとも不思議な雰囲気のある小説(?)で、かなり独特である。メモを取りながら読めば、もっといろいろなことがわかるかもしれない。 -
わたしの話に誰か耳を傾けてはくれるだろうか
恨みや悲しみもあれば、うれしかったことや愛したこと
決して伝えられない言葉たちは悠久の流れにどこまでも漂う
いろんな形で語られる人生に、思いを寄せる
とても心穏やかな時間 -
死者の視線や思考、人生を振り返る時の切り取り方…個々人それぞれの物語がまざまざと鮮やかにみえてくる。その時の空気感や色彩豊かな風景も、描写が繊細。始めのハナの語りは特に、セピアの情景に一気に引き込まれた。ぽつぽつと語られるのを聴き、まどろみながら読了。
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個人のとるに足らない出来事でも、うねりとなって歴史ができる、社会を作り上げてる一員。
最後も設定を思い出しておお!と余韻に浸った。
この本、全然怖くないですよ
不気味でもありません
むしろ静かな物語でした。
「20歳のソウル」
M...
この本、全然怖くないですよ
不気味でもありません
むしろ静かな物語でした。
「20歳のソウル」
Manideさんのレビューみて本棚登録しちゃいました( ◜‿◝ )♡
悲しい話は読みたくない。と思いつつ……惹かれてしまいます
20歳のソウル、悲しいですよ…
泣かないでくださいね。
怖い話は苦手なので、怖くないなら読んで...
20歳のソウル、悲しいですよ…
泣かないでくださいね。
怖い話は苦手なので、怖くないなら読んでみます(^ ^)
平凡なストーリーは大好きです.。
だって、チラッとあらすじ読んだだけで泣きそうだもん
野原、機会があれば是非♪
だって、チラッとあらすじ読んだだけで泣きそうだもん
野原、機会があれば是非♪