小説作法の奥義

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 85
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103343325

作品紹介・あらすじ

文筆生活60年。生み出した小説は900篇超。それを可能にした手の内、明かします。小説が躍動する登場人物命名法、読者を満足させる〈九合目の理論〉、書き出しとタイトルのパターンとコツ、本を持たない蔵書術――短篇の名手にして古典名作案内「知っていますか」シリーズの著者が、来し方を振り返りつつ、培ってきた実践的テクニックとアイデアを大公開。創作を志す人々必読の知的興奮に満ちた全10章!

感想・レビュー・書評

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  • これは羊頭狗肉だなァ。「小説作法の奥義」でも何でもない。「物書きとしてこんなふうに歩んできました」という、単なる回顧エッセイだ。

    ぬる~いエッセイの合間に、「少しは小説の参考になるかも」という部分がある程度。

    阿刀田高には『アイデアを捜せ』という旧著がある。
    自作の短編小説の舞台裏、とくにそのアイデアの「孵化」のプロセスを明かしたもので、こちらのほうがよっぽど『小説作法の奥義』というタイトルにふさわしい内容だ(登場エピソードの重複も目立つ)。

    したがって、『アイデアを捜せ』をすでに読んでいる人なら、この『小説作法の奥義』は読む必要がない。

  • 文筆生活60年の阿刀田高が、小説の書き方の奥義を伝える。エッセイとしても興味深い。

  • ご友人は作品の最初の読者であるご自身では? 
    ふと、そう問いかけたくなりました。誰かが最初の読者のはなしを書いていたのを思いだしたからです。それと同時にたくさん読んだと思った作品の他にも、もっと作品があることがわかりました。「ナポレオン狂」や短編集は何冊か読んで、きっと面白い作品を書く人は寡作に違いない、と思い込んでました。
    これだけたくさんの作品を全部読み込んでちゃかせるなんて、作者しかあり得ないじゃないですか?
    おかげで、まだ読んでない作品をもっと読めるな、という楽しみとこの本に書かれている奥義に照らして読めるかもという少しいじわるな気持ちも湧いたりします。
    昔、どこかのTV番組でアイデアを書き留めてあるというノートを見て、それがほとんど一行ぐらいだったので驚いたのですが、この本にかえってきて読むと本当に頭をぐるぐる回して書くんだよ、といわれている気がしてなりません。アイデアはピカッときそうなものなのだけど形にしようとすると逃げるんだよね。
    この本はだからアイデアハンターになるための本といえるでしょうね。だいたいにおいて、思いついてからどう書いたか、頭を回したまわし方からどういう文になったかできあがった作品の引用までしてあるので、これから先は本を読んでどうかというより、書く人によりけりだろう。
    中島敦の「文字禍」を随分昔に読んだことがあります。本のなかの「中島敦を知っていますか」という章を読んで急に生々しくその作品を思い出して、意外な気持ちもしました。たくさん読んで面白いと思ったが、忘れてしまう作品と何が違うのだろう。それとも、別の誰かが、○○を知っていますか、という
    文を書いて、それを読んだらその○○氏の作品を思い出すだろうか? 

  • 実作者から見た小説作法。

  • 阿刀田高のエッセイ。 短編小説の名手による小説の書き方やモチーフの決め方などと、これまでの作品と自分の人生を紹介する。「知っていますか」シリーズが好きで彼の小説を読んでいるが、様々なテーマを独自の手法で料理したような感じの作品が多いように思う。 この本では、ブラックユーモア的なものや艶っぽいものなど、事例も面白くてまた読んでみたくなった。
    歳を取ると長編が難しくなるので、老眼で目が疲れるという人が気晴らしに読むのに、彼の短編は丁度良いと思う。

  • 文筆生活60年という著者が作家として、読書家としての人生を振り返るエッセイ。タイトルから想像するような小説作法の要素は薄いが、自分は氏の「知っていますか」シリーズをきっかけに手に取った作品も多いので、神話や聖書といった原典のダイジェストにいかにオリジナリティを盛り込むかという部分など特に楽しく読んだ。

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著者プロフィール

作家
1935年、東京生れ。早稲田大学文学部卒。国立国会図書館に勤務しながら執筆活動を続け、78年『冷蔵庫より愛をこめて』でデビュー。79年「来訪者」で日本推理作家協会賞、短編集『ナポレオン狂』で直木賞。95年『新トロイア物語』で吉川英治文学賞。日本ペンクラブ会長や文化庁文化審議会会長、山梨県立図書館長などを歴任。2018年、文化功労者。

「2019年 『私が作家になった理由』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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