- Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
- / ISBN・EAN: 9784042982180
作品紹介・あらすじ
小人たちの国、巨人たちの国、空飛ぶ島の国、馬たちの国…イギリスに妻子を残し、懲りずに旅を続けたガリバー。彼が出会ったおとぎの国々を、誰もが一度は夢見たことがあるだろう。子供の心と想像力で、スウィフトが描いたこの奇想天外、ユーモアあふれる冒険譚は、けれどとびきり鋭く辛辣に、人間と現実社会をみつめている。読むたび発見を新たにする、冒険旅行小説の歴史的名著。抜群に読みやすい新訳版。
感想・レビュー・書評
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児童文学の皮を被った強烈な社会風刺小説。
ラピュタの元ネタはたぶんこの小説かな? -
小さい頃に、小人の国に漂着した件の童話版は読んだことがありましたが、小説としては初めて全部読みました。
巨人の国、天空の国、研究の国、魔術師の国、馬の国、等、筆者の奇想天外の冒険談には、様々な風刺が利いています。
後年に精神障害を患い、77歳で逝去した筆者が、59歳の時で発表した作品。 -
何故今になってガリバー旅行記を改めて読んでみようと思ったのか全く覚えていないのだが、絵本しか知らなかった私がそのイメージで気軽に挑んでいい本ではなかった。絵本の筋書きは本当になぞっただけで、全く子供向けではない。読み終えた今ではむしろ、なんでここだけ抜粋して絵本にした?という感じ。
旅行記と名のつくように、主人公があらゆる国(もちろん架空の国)を渡航した記録なのだが、国を巡っていくにつれて文章全体が厭世的になっていく。最初は旅行記らしく、その国の政治や風土、慣習など詳細に記しているものの、ページを捲るにつれて政治や科学への言及が多くなり、遂には人間の愚かさや醜さについての記述が対話文のまとめとして半数を占めるようになる。著者の人間嫌いや、当時の社会への批判・失望を諸々ぶちまけました!感がすごい。けれどただ闇雲に感情に任せて書き連ねたものでは勿論なく、ちゃんと物語として成立しているところが面白い。主人公の思想が段々と変化して、遂には自分の家族と触れ合えなくなるほど人間嫌いになってしまう過程は興味深いし、フウイヌムのヤフー(人間)に対する見解はこちらがハッとするほど鋭く容赦がない。読み終えてから改めて巻頭の手紙を読むと、なるほどこういうことかと納得できるようになっている仕掛けも面白かった。
ところでラピュタがガリバー旅行記に出てくるとは思わなかったので驚いたのだが、ここがきっと初出なんだろうな。日本もフレーバー程度に出てくる、ということは当時のヨーロッパ世界から見た日本はラピュタ並に得体が知れなくて空想的な国だったのかもしれない。 -
子供の頃に絵本で読んだ「小人の国」と「巨人の国」。
その感覚でワクワクして読むと、痛い目に遭いますf^_^;
これは
オブラート1枚にしか包んでいない風刺物語です。
第4章に出てくるフウイヌム国は
「理想郷」として書かれていたワケですけれども
「理性のみが存在する世界」=「真の理想の世界」となり得るのか、
というのは、甚だ疑問。
このあたり、後世のディストピア小説に繋がる気配アリ。
ちなみに
同じく第4章では
引きこもりヤフーが出てきます。
そういう点も含めて
現代に通ずる問題提起が全編にわたって散りばめられており、
やはり、名作と言われる何かを持っているな、という印象を受ける1冊です。 -
知っているようで知らなかった原作。目次に「ラピュタ」や「日本」が出てきていて俄然興味が沸きつつ、文章量に圧倒されつつ、読みました!小人と巨人の国の話しか知りませんでしたが、こんなにも風刺が効いている作品だったとは・・・・・・!!面白かったです!
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面白い本でした。先日のビブリオバトルでご紹介頂いた本。紹介されなかったら読まなかったと思います。ありがとうございました。
ガリバー旅行記は「小人の国」を描いた童話として知られていますが、実際は大人向けの4編からなる連作小説です。
小人の国のリリパット渡航記、巨人の国のブロブディンナグ渡航記、空中に浮かぶ島を持つラピュタ等の渡航記、馬が人間を支配するフウイヌム渡航記の4本。どれも「おとぎの国」とは程遠い国であり、それぞれの国でガリバーはひどい目に遭います。
作家のスウィフトが生きたイギリスは名誉革命(1688年)の直後。国王の権限が制限されて、新たな勢力争いと権謀術数が渦巻く時代です。スウィフトが書きたかったのは、そんなイギリスと空想の中で生まれた不思議な国々の比較であり、比較の中で浮かび上がったイギリスの矛盾点をガリバーを通して論じています。
例えば、
ーリリパットの政治では信賞必罰が徹底している。法律を遵守すれば褒美が貰える。一方、イギリスでは法律の違反者には刑罰が待っているのに、遵守しても褒美はない。
ーイギリスの政治制度を聞いたブロブディンナグの国王が理解したのは「ときとして無知、怠情、悪徳のみが立法府の議員たる資格」となること
18世紀初頭政治への批判者が何を考えていたのかは、もちろん興味あることですが、やはり本書は純粋に冒険譚として楽しむべき本と思います。
ーリリパットの王宮が火事になったとき巨人であるガリバーはどういう消化活動を行ったのか?
ー巨人のガリバーは何を食べたのか?
ーブロブディンナグでガリバーは授乳をどう見たのか?
小人や巨人の国での冒険譚はある程度は子ども向けに翻案できるし、実際、絵本にもあります。強い印象を受けたのは「フウイヌム渡航記」。これを視覚化するのは、かなり難しく、人間の醜さが強調される一編です。この国に滞在することにより、ガリバーは大きく変化します。
正直、ビブリオバトルの前は「ガリバー旅行記」を甘く見てました。カバー裏にある「読むたびに発見を新たにする、冒険小説の歴史的名著」は大袈裟でないと思います。
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1.目的
これまで知っていた小人の世界だけじゃない旅行があることを知り、読んでみたくなった。
2.得られたこと
表紙の真ん中にLaputaって島がある。
島の中心に回転する磁石が内蔵されている飛行島だ。
なんと限られた範囲なら自由に移動ができるのだ。
ジブリの「天空の城ラピュタ」の原案だ。
ガリバー旅行記がこども向けじゃない理由がよくわかった。
小人の島、巨人の島、空飛ぶ島、馬の島などの生活を通じて、人間の愚かさにフォーカスしていく。
多様性を考える上で大切なことが描かれていた。
日本も若干登場するのが興味深い。
3.アイデア
ダイバシティをテーマにするときに引用したい。 -
小人、巨人、ラピュタでギブアップ。自分はどうにも熱中できずここで止めます。
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初めて原書の翻訳を読んだ。
巨人と小人の国、ラピュタしか知らなかったが、最終章が本書を名著たらしめていると感じた。
おっしゃる通り、ラピュタの元ネタだと思います。
おっしゃる通り、ラピュタの元ネタだと思います。