この本を読むまでフーバー大統領のことは、ほぼ知らなかった。しかし読み進めるうちに、フーバーがトルーマンやマッカーサーに日本の天皇の重要性を訴えたことで、米国は精神の支柱である天皇を守ったことがわかった。
そして日米戦争は日本が追い詰められてやむなく起こしたことは40 代になって初めて知ったが、フーバーが大統領だったら戦争自身無かったのではないかと思った。それを重厚な研究の成果として本書で教えてくれた著者、井口治夫氏に感謝したい。
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誤解された大統領―フーヴァーと総合安全保障構想― 単行本 – 2018/3/9
井口 治夫
(著)
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大恐慌への対応を批判され、無能とされた大統領。しかし人道支援・環境保護などの先駆的政策は、今日狭く理解されがちな「人間の安全保障」の源流でもある。共和党右派、マッカーサー、アイゼンハワーなどの米国政治の群像を鮮やかに捉え、日本の占領政策にも新たな光を投げかける。
【書 評】
・『アメリカ学会会報』(第198号、2018年11月、評者:山澄亨氏)
・『史学雑誌』(第127編第9号、2018年9月、評者:アン・ジェイク氏)
・読売新聞(2018年6月17日付、評者:三浦瑠麗氏)
・産経新聞(2018年6月3日付)
・朝日新聞(2018年5月12日付、評者:保阪正康氏)
“…………フーヴァーの評伝と彼の周辺を描くことで20世紀のアメリカ政治史が語られていく。日本との外交関係、そして資源獲得に焦る日本の秩序破壊にアメリカがいかに対応したかも副次的に語られる。
著者の分析が従来の研究を押さえた内容なので説得力を持つ。…………フーヴァーの政権後半は復興金融公社の設立など積極財政を進めたとして、ニューディール政策の先鞭をつけたと評価する。そこが誤解されていると結論づけている。”
・日本経済新聞(2018年4月21日付)
“…………フーバー氏の足跡を通じ、第1次世界大戦から第2次世界大戦後までの米政治・外交の内幕が描かれており、歴史書としても参考になる。日米開戦に至る過程についても1章分を割き、克明に分析している。”
【目 次】
序 章 フーヴァーによる総合安全保障政策の構想とその展開
1 米国における総合安全保障政策の起源と系譜
2 フーヴァーの活動の背景
第1章 立身出世と人道支援活動
1 鉱山技師としての成功
2 第一次世界大戦下のベルギー支援
第2章 人道支援から総合安全保障の模索へ
1 食糧局時代のフーヴァーとその側近たち —— タフトとストロース
2 救済局時代のフーヴァーとその側近たち —— ハーターとペイト
3 米国救済局と欧州・ロシア
4 テイラー主義
5 ボルシェビキ政権への食糧支援
おわりに
第3章 政治家フーヴァー
—— 第一次世界大戦後の対応から大統領へ
1 フーヴァーとローズヴェルト
2 フーヴァーと1920年代の国内経済政策
3 戦間期の米国と東アジア —— 軍縮と地域紛争
4 フーヴァー政権と極東における紛争 —— 中ソ紛争、満洲事変
5 誤解された大統領 —— フーヴァーと大恐慌
おわりに
第4章 米国のフィリピン防衛
—— マッカーサー、アイゼンハワー、フェラーズ
1 マッカーサーの政治的源流
2 マッカーサーのフィリピン防衛計画
3 フィリピン国防計画をめぐる対立 —— マッカーサー、フェラーズとアイゼンハワー
4 アイゼンハワーの帰国とフィリピン国防計画の軌道修正
5 帰国後のフェラーズ
6 1940~41年のフィリピン防衛政策
おわりに —— フェラーズとフーヴァー
第5章 ジョン・フォスター・ダレス
—— 共和党右派と穏健派の間
1 ダレスの外交思想
2 戦前からの連続性
第6章 米国参戦に至るローズヴェルト外交とフーヴァー
1 欧州情勢介入をめぐる論争
2 対東アジア外交の分岐点
3 モーゲンソーと対枢軸国経済戦争
4 ローズヴェルトと昭和天皇
5 フーヴァーと天皇宛親電に至る経緯への関与
6 日米妥協の可能性 —— 12月上旬の野村・来栖
おわりに
第7章 共和党右派とマッカーサー大統領候補擁立運動
—— 1941~44年
1 日米開戦とマッカーサー ——「英雄」への道
2 戦時中のマッカーサー大統領候補擁立運動
第8章 第二次世界大戦の終結とフーヴァーの政治的復活
1 ドイツ降伏と日本の無条件降伏をめぐる米国内論争
2 フェラーズの日本に対する認識
3 フーヴァーと米国政府内の政策論争
4 日本の国内動向
5 米軍の動向とフェラーズ
6 天皇の「聖断」の影響
7 マッカーサーと対日占領
おわりに —— 東京裁判開廷前後と天皇宛親電人脈
第9章 戦後のマッカーサー大統領候補擁立運動
1 水面下で続いたマッカーサー大統領候補擁立運動
2 マッカーサー大統領候補擁立運動の展開
3 マッカーサーの静観姿勢
4 革新主義とマッカーサー
おわりに
第10章 共和党右派と共和党穏健派・リベラリズム支持派との攻防
1 一般軍事教練問題
2 タフトとパレスチナ問題
3 共和党右派 —— 1945~50年代
4 ウィリアム・バックレー —— 赤狩りの時代
5 共和党右派の衰退
おわりに
第11章 米国政治の長老フーヴァー
—— 対ソ政策、世界食糧調査団、行政改革
1 対ソ政策と世界食糧調査団 —— 日本とドイツの経済的立て直し
2 国防をめぐる行政改革
3 大統領府と各省庁をめぐる行政改革
終 章 フーヴァーの生涯とその遺産
あとがき / 注 / 索 引
【書 評】
・『アメリカ学会会報』(第198号、2018年11月、評者:山澄亨氏)
・『史学雑誌』(第127編第9号、2018年9月、評者:アン・ジェイク氏)
・読売新聞(2018年6月17日付、評者:三浦瑠麗氏)
・産経新聞(2018年6月3日付)
・朝日新聞(2018年5月12日付、評者:保阪正康氏)
“…………フーヴァーの評伝と彼の周辺を描くことで20世紀のアメリカ政治史が語られていく。日本との外交関係、そして資源獲得に焦る日本の秩序破壊にアメリカがいかに対応したかも副次的に語られる。
著者の分析が従来の研究を押さえた内容なので説得力を持つ。…………フーヴァーの政権後半は復興金融公社の設立など積極財政を進めたとして、ニューディール政策の先鞭をつけたと評価する。そこが誤解されていると結論づけている。”
・日本経済新聞(2018年4月21日付)
“…………フーバー氏の足跡を通じ、第1次世界大戦から第2次世界大戦後までの米政治・外交の内幕が描かれており、歴史書としても参考になる。日米開戦に至る過程についても1章分を割き、克明に分析している。”
【目 次】
序 章 フーヴァーによる総合安全保障政策の構想とその展開
1 米国における総合安全保障政策の起源と系譜
2 フーヴァーの活動の背景
第1章 立身出世と人道支援活動
1 鉱山技師としての成功
2 第一次世界大戦下のベルギー支援
第2章 人道支援から総合安全保障の模索へ
1 食糧局時代のフーヴァーとその側近たち —— タフトとストロース
2 救済局時代のフーヴァーとその側近たち —— ハーターとペイト
3 米国救済局と欧州・ロシア
4 テイラー主義
5 ボルシェビキ政権への食糧支援
おわりに
第3章 政治家フーヴァー
—— 第一次世界大戦後の対応から大統領へ
1 フーヴァーとローズヴェルト
2 フーヴァーと1920年代の国内経済政策
3 戦間期の米国と東アジア —— 軍縮と地域紛争
4 フーヴァー政権と極東における紛争 —— 中ソ紛争、満洲事変
5 誤解された大統領 —— フーヴァーと大恐慌
おわりに
第4章 米国のフィリピン防衛
—— マッカーサー、アイゼンハワー、フェラーズ
1 マッカーサーの政治的源流
2 マッカーサーのフィリピン防衛計画
3 フィリピン国防計画をめぐる対立 —— マッカーサー、フェラーズとアイゼンハワー
4 アイゼンハワーの帰国とフィリピン国防計画の軌道修正
5 帰国後のフェラーズ
6 1940~41年のフィリピン防衛政策
おわりに —— フェラーズとフーヴァー
第5章 ジョン・フォスター・ダレス
—— 共和党右派と穏健派の間
1 ダレスの外交思想
2 戦前からの連続性
第6章 米国参戦に至るローズヴェルト外交とフーヴァー
1 欧州情勢介入をめぐる論争
2 対東アジア外交の分岐点
3 モーゲンソーと対枢軸国経済戦争
4 ローズヴェルトと昭和天皇
5 フーヴァーと天皇宛親電に至る経緯への関与
6 日米妥協の可能性 —— 12月上旬の野村・来栖
おわりに
第7章 共和党右派とマッカーサー大統領候補擁立運動
—— 1941~44年
1 日米開戦とマッカーサー ——「英雄」への道
2 戦時中のマッカーサー大統領候補擁立運動
第8章 第二次世界大戦の終結とフーヴァーの政治的復活
1 ドイツ降伏と日本の無条件降伏をめぐる米国内論争
2 フェラーズの日本に対する認識
3 フーヴァーと米国政府内の政策論争
4 日本の国内動向
5 米軍の動向とフェラーズ
6 天皇の「聖断」の影響
7 マッカーサーと対日占領
おわりに —— 東京裁判開廷前後と天皇宛親電人脈
第9章 戦後のマッカーサー大統領候補擁立運動
1 水面下で続いたマッカーサー大統領候補擁立運動
2 マッカーサー大統領候補擁立運動の展開
3 マッカーサーの静観姿勢
4 革新主義とマッカーサー
おわりに
第10章 共和党右派と共和党穏健派・リベラリズム支持派との攻防
1 一般軍事教練問題
2 タフトとパレスチナ問題
3 共和党右派 —— 1945~50年代
4 ウィリアム・バックレー —— 赤狩りの時代
5 共和党右派の衰退
おわりに
第11章 米国政治の長老フーヴァー
—— 対ソ政策、世界食糧調査団、行政改革
1 対ソ政策と世界食糧調査団 —— 日本とドイツの経済的立て直し
2 国防をめぐる行政改革
3 大統領府と各省庁をめぐる行政改革
終 章 フーヴァーの生涯とその遺産
あとがき / 注 / 索 引
- 本の長さ422ページ
- 言語日本語
- 出版社名古屋大学出版会
- 発売日2018/3/9
- 寸法15.7 x 2.7 x 21.7 cm
- ISBN-104815809046
- ISBN-13978-4815809041
商品の説明
著者について
井口 治夫(いぐち はるお)
フィリピン・マニラ市に生まれる(1964年)。シカゴ大学大学院歴史学科修了(Ph.D. History, 1995年)。名古屋大学大学院環境学研究科教授などを経て、現在は関西学院大学国際学部教授。
主 著:
『鮎川義介と経済的国際主義』(名古屋大学出版会、2012年、サントリー学芸賞、企業家研究フォーラム賞)
(所属等は初版第1刷発行時のものです)
フィリピン・マニラ市に生まれる(1964年)。シカゴ大学大学院歴史学科修了(Ph.D. History, 1995年)。名古屋大学大学院環境学研究科教授などを経て、現在は関西学院大学国際学部教授。
主 著:
『鮎川義介と経済的国際主義』(名古屋大学出版会、2012年、サントリー学芸賞、企業家研究フォーラム賞)
(所属等は初版第1刷発行時のものです)
登録情報
- 出版社 : 名古屋大学出版会 (2018/3/9)
- 発売日 : 2018/3/9
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 422ページ
- ISBN-10 : 4815809046
- ISBN-13 : 978-4815809041
- 寸法 : 15.7 x 2.7 x 21.7 cm
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