著者は物理の出身で企業、高校教師を経てカラスの研究者となった在野の研究者。大学や研究機関に所属せず、独学で鳥類学を学んだ方です。かと言って堅い文章ではなく、時にはユーモアも交えてサハリンやロシアをカラスを求める冒険談を語っていきます。肝心の、なんでカラスにそんなに思い入れるのはが読み取れないのですが、とにかくカラスへの探究心が伝わってきます。といってかわいがっているわけではなく、多数のカラスを採集しているのですが。
残念ながら、著者の仮説を証明することにはなりませんでしたが、10年ほど前の本ですので、ミトコンドリア遺伝子の解析しかしていません。現在の技術を用いて、核ゲノムを調べ直せばまた面白い知見が出てくるのではないかと思いました。
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謎のカラスを追う―頭骨とDNAが語るカラス10万年史 単行本(ソフトカバー) – 2018/11/22
中村 純夫
(著)
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澄んだ声でカァ―と鳴くハシブトガラス。
ハシブトガラスには2つのタイプ、日本列島と樺太にいつジャポネンシスと大陸に生息するマンジュリカスがいる。
ある時、著者は不思議な標本を目にする。
ジャポネンシスでもマンジュリカスでもない、第3のカラスがいるのではないか……。
ロシアの研究者が、マンジュリカスが樺太に渡ってジャポネンシスと繁殖している可能性を指摘したのを受けて、
この2種が出会う「交雑帯」を突き止めるべく、在野の研究者が単身、樺太に乗り込む。
年季の入った車で悪路を疾走し、戦車を改良したホテルに泊まり、
アムールトラとのニアミスを経ながら、ひたすらカラスの採集を続ける。
果たして、第3のカラスは発見できるのか。
●読売新聞1/20(日)に書評が載りました。(評者:三中信宏氏)
●朝日新聞2/16(土)に書評が載りました。(評者:保阪正康氏)
――――――――――
*築地書館のwebページで更に詳しい内容(プロローグ抜粋)をお読みいただけます*
プロローグ North to Sakhalin
第1章 初めての樺太
第2章 南北1000キロの島を一往復したカラス採集行
第3章 ご破算
第4章 コンコルドの失敗か?
第5章 頭骨小変異と係数倍で謎が解けた
第6章 学際協力
エピローグ ハシボソガラスのサクセス・ストーリー
ハシブトガラスには2つのタイプ、日本列島と樺太にいつジャポネンシスと大陸に生息するマンジュリカスがいる。
ある時、著者は不思議な標本を目にする。
ジャポネンシスでもマンジュリカスでもない、第3のカラスがいるのではないか……。
ロシアの研究者が、マンジュリカスが樺太に渡ってジャポネンシスと繁殖している可能性を指摘したのを受けて、
この2種が出会う「交雑帯」を突き止めるべく、在野の研究者が単身、樺太に乗り込む。
年季の入った車で悪路を疾走し、戦車を改良したホテルに泊まり、
アムールトラとのニアミスを経ながら、ひたすらカラスの採集を続ける。
果たして、第3のカラスは発見できるのか。
●読売新聞1/20(日)に書評が載りました。(評者:三中信宏氏)
●朝日新聞2/16(土)に書評が載りました。(評者:保阪正康氏)
――――――――――
*築地書館のwebページで更に詳しい内容(プロローグ抜粋)をお読みいただけます*
プロローグ North to Sakhalin
第1章 初めての樺太
第2章 南北1000キロの島を一往復したカラス採集行
第3章 ご破算
第4章 コンコルドの失敗か?
第5章 頭骨小変異と係数倍で謎が解けた
第6章 学際協力
エピローグ ハシボソガラスのサクセス・ストーリー
- 本の長さ284ページ
- 言語日本語
- 出版社築地書館
- 発売日2018/11/22
- 寸法18.8 x 12.8 x 2.5 cm
- ISBN-104806715727
- ISBN-13978-4806715726
商品の説明
著者について
1947 年生まれ。埼玉県比企郡武州松山町(東松山市)出身。
静岡大学理学部物理学科卒業。
オリンパス光学工業の研究開発部で3年間、光学系のデザインに従事した後、大阪府立高校教員に転職。
38歳の時に生物学を志し、42歳でカラスの生態・行動の研究を開始。
ハシボソガラスのなわばりを検証した論文で、日本鳥学会奨学賞を受賞。
59歳で早期退職し、北方のハシブトガラスの進化・分布の研究にとりかかる。
極東ロシアへ3度の遠征をし、カラスの頭骨標本とDNA解析試料を得て、
ロシア科学アカデミーのA・クリュコフと共同研究を進め、ハシブトガラスの10万年史を明らかにした。
静岡大学理学部物理学科卒業。
オリンパス光学工業の研究開発部で3年間、光学系のデザインに従事した後、大阪府立高校教員に転職。
38歳の時に生物学を志し、42歳でカラスの生態・行動の研究を開始。
ハシボソガラスのなわばりを検証した論文で、日本鳥学会奨学賞を受賞。
59歳で早期退職し、北方のハシブトガラスの進化・分布の研究にとりかかる。
極東ロシアへ3度の遠征をし、カラスの頭骨標本とDNA解析試料を得て、
ロシア科学アカデミーのA・クリュコフと共同研究を進め、ハシブトガラスの10万年史を明らかにした。
登録情報
- 出版社 : 築地書館 (2018/11/22)
- 発売日 : 2018/11/22
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 284ページ
- ISBN-10 : 4806715727
- ISBN-13 : 978-4806715726
- 寸法 : 18.8 x 12.8 x 2.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,133,473位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,546位生物学 (本)
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2018年11月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
カラスをめぐる冒険の著書は。植物、食物、芸術、音楽、宇宙…と様々な話を織り交ぜてあり、あっという間にその冒険の世界に引き込まれ時間を忘れて読みました。笑ったり、ドキドキしたり、そして旅の終わりには、さびしくなってしまいました。珠玉のエッセイ、紀行本…なんて言ったらいいのかな…小さな宝物がぎっしり入った宝箱のような本でした。
2019年1月30日に日本でレビュー済み
『謎のカラスを追う――頭骨とDNAが語るカラス10万年史』(中村純夫著、築地書館)は、鳥類学者が第3のハシブトガラスを見つけるべく、樺太島(サハリン)と大陸の沿海州を調査した記録です。
ハシブトガラスには、ジャポネンシスとマンジュリカスの2亜種がいるが、この2亜種が交雑した第3のハシブトガラスが存在するのではないかというのが、著者の調査目的です。
「氷期には満州、沿海州、北海道は氷雪に覆われて、カラスは生息できなかったので南方に避難した。氷期が終わって温暖化すると北方への再定住が始まる。列島沿いに北上したのがジャポネンシスで樺太まで分布を広げた。朝鮮半島から沿海州沿いに北上したのがマンジュリカスで、間宮海峡沿岸部まで再定住していった。2亜種の境界線は間宮海峡で、日本列島と樺太にはジャポネンシスが生息し、大陸側にはマンジュリカスが生息している。このような構図を描き出したのが、ヴォーリェという偉大な鳥類学者である。・・・ジャポネンシスはマンジュリカスに比べ、圧倒的に大きいということである。前世紀の後半に樺太で鳥類の調査をしたロシア科学アカデミーのネチャエフは、マンジュリカスが海峡を渡って樺太北部に侵入している証拠を得た。彼は先住のジャポネンシスと一緒に繁殖している可能性があると考察した。事実とすれば、交雑帯があるということだ。樺太北部に本当に2亜種が出会って交雑帯がつくられているとしたら、樺太は進化の研究者にとってエル・ドラド(黄金郷)である。交雑帯を確認するだけでも金鉱(優良な研究フィールド)を掘り当てたことになるし、その後で交雑帯の繁殖生態を研究したら良質の金(論文)が沢山彫り出せるだろう」。著者の研究者としての野心に火が付いたのです。
「双眼鏡で見たくらいでは区別のできない、ハシブトガラスの2亜種、ジャポネンシスとマンジュリカス。交雑帯を確定するには(南北1000kmの樺太)島の北端から南端まで切れ目なしにカラスを採集して、頭部とDNA試料を集めるしかない」。
「十分な数の頭骨標本を使って交雑帯の位置を探したが、それらしきものは認められなかった。多くのDNA試料を使って2系統の存在を探ったが、結果は曖昧なものだった。大山鳴動して鼠1匹、交雑帯は無く、残ったのは初歩的な質問が1つ、樺太で採集してきた頭骨はジャポネンシスなのか、マンジュリカスなのか、それとも第3の亜種か?」。著者の無念さが伝わってきます。
「遂に大陸側のマンジュリカス標本が入手できた。全貌解明は簡単だと思って分析を始める。しかし、樺太標本の曖昧さは決着がつかない。ぬかるみ脱出のきっかけは異分野の人類学で開発された頭骨小変異という手法の導入だった。これで樺太・北海道間の曖昧さは片付いたが、(樺太、間宮海峡沿岸部、大陸の内陸部の3)地域間の形態の違いをスッキリ説明できない。パズルが解けたのは夜半の半覚醒状態下での閃き、係数倍というコンセプトに遭遇した時である」。
「待ち望んでいた北海道と樺太の結果は眼をみはるものだった。鮮明な差があった。頭骨小変異から見る限り、北海道と樺太は別物なのだ。北海道はジャポネンシス、樺太はマンジュリカスとう判定を下したのは2011年3月、桃の節句の頃だった。この結果と前年の結果を組み合わせると、樺太も、間宮海峡沿岸部も、内陸側2地域もすべてマンジュリカスとなる。ヴォーリェも、ネチャエフも間違っていた。2亜種の境界は(樺太と沿岸州の間の)間宮海峡ではなく、(北海道と樺太島との間の)宗谷海峡であった」。著者の苦難に満ちた調査行は、金鉱とまでは言えなくとも、大きな成果を収めたと評価してよいのではないでしょうか。
生物好きには、読み応えのある一冊です。
ハシブトガラスには、ジャポネンシスとマンジュリカスの2亜種がいるが、この2亜種が交雑した第3のハシブトガラスが存在するのではないかというのが、著者の調査目的です。
「氷期には満州、沿海州、北海道は氷雪に覆われて、カラスは生息できなかったので南方に避難した。氷期が終わって温暖化すると北方への再定住が始まる。列島沿いに北上したのがジャポネンシスで樺太まで分布を広げた。朝鮮半島から沿海州沿いに北上したのがマンジュリカスで、間宮海峡沿岸部まで再定住していった。2亜種の境界線は間宮海峡で、日本列島と樺太にはジャポネンシスが生息し、大陸側にはマンジュリカスが生息している。このような構図を描き出したのが、ヴォーリェという偉大な鳥類学者である。・・・ジャポネンシスはマンジュリカスに比べ、圧倒的に大きいということである。前世紀の後半に樺太で鳥類の調査をしたロシア科学アカデミーのネチャエフは、マンジュリカスが海峡を渡って樺太北部に侵入している証拠を得た。彼は先住のジャポネンシスと一緒に繁殖している可能性があると考察した。事実とすれば、交雑帯があるということだ。樺太北部に本当に2亜種が出会って交雑帯がつくられているとしたら、樺太は進化の研究者にとってエル・ドラド(黄金郷)である。交雑帯を確認するだけでも金鉱(優良な研究フィールド)を掘り当てたことになるし、その後で交雑帯の繁殖生態を研究したら良質の金(論文)が沢山彫り出せるだろう」。著者の研究者としての野心に火が付いたのです。
「双眼鏡で見たくらいでは区別のできない、ハシブトガラスの2亜種、ジャポネンシスとマンジュリカス。交雑帯を確定するには(南北1000kmの樺太)島の北端から南端まで切れ目なしにカラスを採集して、頭部とDNA試料を集めるしかない」。
「十分な数の頭骨標本を使って交雑帯の位置を探したが、それらしきものは認められなかった。多くのDNA試料を使って2系統の存在を探ったが、結果は曖昧なものだった。大山鳴動して鼠1匹、交雑帯は無く、残ったのは初歩的な質問が1つ、樺太で採集してきた頭骨はジャポネンシスなのか、マンジュリカスなのか、それとも第3の亜種か?」。著者の無念さが伝わってきます。
「遂に大陸側のマンジュリカス標本が入手できた。全貌解明は簡単だと思って分析を始める。しかし、樺太標本の曖昧さは決着がつかない。ぬかるみ脱出のきっかけは異分野の人類学で開発された頭骨小変異という手法の導入だった。これで樺太・北海道間の曖昧さは片付いたが、(樺太、間宮海峡沿岸部、大陸の内陸部の3)地域間の形態の違いをスッキリ説明できない。パズルが解けたのは夜半の半覚醒状態下での閃き、係数倍というコンセプトに遭遇した時である」。
「待ち望んでいた北海道と樺太の結果は眼をみはるものだった。鮮明な差があった。頭骨小変異から見る限り、北海道と樺太は別物なのだ。北海道はジャポネンシス、樺太はマンジュリカスとう判定を下したのは2011年3月、桃の節句の頃だった。この結果と前年の結果を組み合わせると、樺太も、間宮海峡沿岸部も、内陸側2地域もすべてマンジュリカスとなる。ヴォーリェも、ネチャエフも間違っていた。2亜種の境界は(樺太と沿岸州の間の)間宮海峡ではなく、(北海道と樺太島との間の)宗谷海峡であった」。著者の苦難に満ちた調査行は、金鉱とまでは言えなくとも、大きな成果を収めたと評価してよいのではないでしょうか。
生物好きには、読み応えのある一冊です。
2019年4月1日に日本でレビュー済み
2種のカラスの交雑するエリアを見つける、という好奇心からすべては始まった。
(これは研究者でないとよく分からない動機である)
著者は日露の人脈づくり、悪路を走破できる車の手配などに奔走、思ったように結果が出ない時期の研究者としての苦しみも書かれている。
好奇心、フィールドワーカーの自負、苦労の後に結果が出たときの喜びが研究者の原動力なのであろう。
(これは研究者でないとよく分からない動機である)
著者は日露の人脈づくり、悪路を走破できる車の手配などに奔走、思ったように結果が出ない時期の研究者としての苦しみも書かれている。
好奇心、フィールドワーカーの自負、苦労の後に結果が出たときの喜びが研究者の原動力なのであろう。
2019年2月9日に日本でレビュー済み
カラスというと、賢くて、いろいろといたずらをしたり、ゴミあさりをする、人間に最も身近な野鳥というイメージが浮かびます。この本の題名を見て、そんなカラスのあれこれか、と思って手に取ると、ちょっと戸惑うかも知れません。題名は、カラスの謎、ではなくて、謎のカラス…なのです。
サハリンにハシブトガラスの交雑帯(マンジュリカとジャポニカ)があるのではないか、と研究者魂を刺激された著者が、大学や研究所などの後ろ盾のない、まったく独立した立場で、標本を採集するために、サハリン1000㎞を往復した、まさに冒険譚。そのためにロシア語を習得し、現地の人々と交渉し、サハリンの自然、日本の植民地時代の歴史的遺産に想いを寄せ、さまざまな困難に遭遇しながら、カラスの標本(骨)を収集していく。まさに、息を継がせぬ面白さ。
後半は、かなり学術的な内容で、非理科系人間(私を含む)には、ちょっとキツイかもしれない。しかし、論文の査読とか、共同研究者との対立と和解など、独立した研究者の遭遇する様々な困難の内幕が克明に綴られていて、それはそれで、実に興味深い。お勧めの一冊である。
サハリンにハシブトガラスの交雑帯(マンジュリカとジャポニカ)があるのではないか、と研究者魂を刺激された著者が、大学や研究所などの後ろ盾のない、まったく独立した立場で、標本を採集するために、サハリン1000㎞を往復した、まさに冒険譚。そのためにロシア語を習得し、現地の人々と交渉し、サハリンの自然、日本の植民地時代の歴史的遺産に想いを寄せ、さまざまな困難に遭遇しながら、カラスの標本(骨)を収集していく。まさに、息を継がせぬ面白さ。
後半は、かなり学術的な内容で、非理科系人間(私を含む)には、ちょっとキツイかもしれない。しかし、論文の査読とか、共同研究者との対立と和解など、独立した研究者の遭遇する様々な困難の内幕が克明に綴られていて、それはそれで、実に興味深い。お勧めの一冊である。
2019年4月3日に日本でレビュー済み
堅苦しい研究論文かと思いきや、いい意味で裏切られる内容と展開で、大変興味深い『作品』でした。
もちろんこの研究自体が一流国際誌に掲載される程の優れたもの。そこを主軸に、時にノンフィクションの冒険記のように、時に人生の指南本のように、そしてあっと驚くどんでん返しが起こる物語のように、読むものを惹きつける展開でした。面白かったです。
もちろんこの研究自体が一流国際誌に掲載される程の優れたもの。そこを主軸に、時にノンフィクションの冒険記のように、時に人生の指南本のように、そしてあっと驚くどんでん返しが起こる物語のように、読むものを惹きつける展開でした。面白かったです。
2019年6月25日に日本でレビュー済み
著者が交雑帯をもとめて求めてサハリンへ飛び、はたまた大陸にまで行く情熱と気力には感心させられた。カラスへの研究心がそうさせたのだろうが、今は遠いサハリンやシベリアの紀行文として読んでも大変面白かった。スターリンが建設したユダヤ人ゲットー「ユダヤ自治州」のことは全く知らなかったので、そこのカラスが一番小さく沿海州そしてサハリンに行くに従って体が大きくなるという著者の指摘は「ユダヤ自治州」はとりわけ自然条件が厳しいということであり筆者にはショックだった。係数倍で謎が解けたというくだりは今後の研究に期待したい。