筆者はフェミニズム研究者である。
女性兵士の実態が知りたいと思い購入したが、それは満たされなかった。
筆者の調査対象を構造化し、述べられる。
引用がしっかり記載されているので、学習や研究として読むのには向いている。
人文社会学における引用の意義とは?初めにその表現を使った人が偉いという価値観があるのだろうか?
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女性兵士という難問:ジェンダーから問う戦争・軍隊の社会学 単行本 – 2022/7/12
佐藤 文香
(著)
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女性兵士は男女平等の象徴か?
戦争や軍隊は、どのような男性や女性によって担われ、
いかなる加害/被害関係を生起させているのか。
既存のジェンダー秩序を自明のものとすることなく、批判的に検証する。
21世紀に入り、世界中の軍隊で、女性兵士は数を増し、
その役割を拡大させつづけている。
しかし、この現象を単純な男女平等の進展と解するべきではないこと、
フェミニズムにとって女性兵士は難問として存在するのであり、
さまざまな立場がありうることは言うまでもない。
本書では、この20余年のあいだに起こったさまざまな変化を踏まえつつ、
女性兵士が果たすことを求められてきた役割とその効果に着目し、検証していく。
本書を貫く主張の一つは、戦争・軍隊を批判的に解剖するにあたって、
「ジェンダーから問う」という視角が不可欠である、ということである。
男らしさや女らしさといった観念の操作は、軍事化を推し進め、戦争を首尾よく遂行する際の要である。
一方で、軍隊も戦争も、女性たちに依拠することを必ず必要としており、
彼女たちの経験から現象を見つめることは、その男性中心性を明らかにするうえで
欠かすことのできない作業である。 本書は、「ジェンダーから問う」ことが、戦争・軍隊を批判的に考察するうえでいかに重要なのか、
この視点を有することで見えてくる風景を描くことにより示していく。
【目次】
はじめに
第I部 ジェンダーから問う戦争・軍隊の社会学
第1章 ジェンダーから問う戦争・軍隊の社会学
1 はじめに――軍事社会学と国際関係論
2 戦争・軍隊とジェンダー
3 ジェンダー化された制度としての軍隊
4 「新しい」軍隊とジェンダー
5 女性兵士という難問
6 おわりに
第2章 戦争・軍隊の男性(性)研究
1 はじめに
2 出発点としてのシンシア・エンローとR・コンネル
3 構築される軍事的男性性(ミリタリー・マスキュリニティーズ)
4 「新しい軍隊」の男性性?
5 おわりに――残された課題
第3章 軍事主義・軍事化・家父長制
1 はじめに
2 軍国主義か軍事主義か
3 軍事主義から軍事化へ
4 軍事化とジェンダー
5 おわりに――家父長制という亡霊、あるいは闘争の賭金
第II部 女性兵士という難問
第4章 女性兵士を取りまく困難
1 はじめに
2 性暴力/セクシュアル・ハラスメント
3 ジェンダー化された職務の割りあて
4 おわりに
第5章 女性兵士は男女平等の象徴か?
1 はじめに
2 軍隊が女性を入れる時
3 おわりに
第6章 戦争・軍隊とフェミニズム
1 はじめに
2 ジェンダー化された「国民」
3 フェミニズムと軍隊
4 おわりに
第III部 自衛隊におけるジェンダー
第7章 カモフラージュされた軍隊――自衛隊とグローバルなジェンダー主流化
1 はじめに
2 旧軍とは違います――再出発の時代(一九五〇-六〇年代前半)
3 あなたたちとともに――絆固めの時代(一九六〇年代後半-七〇年代)
4 先進的組織――拡張の時代(一九八〇年代-九〇年代)
5 われら平和維持者――「国際貢献」の時代(二〇〇〇年代~)
6 おわりに――自衛隊のカモフラージュからの教訓
第8章 ジェンダー化される「ポストモダンの軍隊」
――「新しさ」をめぐり動員される女性性/男性性
1 はじめに
2 「ポストモダンの軍隊」
3 NATO諸国との比較
4 「ポストモダンの軍隊」をめぐるジェンダー化された言説
5 おわりに
第9章 「利他的」な日本の自衛隊と女性活用
1 はじめに
2 自衛隊の女性の歴史
3 自衛隊の広報における女性の役割
4 女性活躍推進政策
5 「平和の戦士姫」のグローバルな登場
6 おわりに
第IV部 米軍におけるジェンダー
第10章 アメリカにおける軍隊の女性の今
1 はじめに
2 「軍隊の女性」会議
3 「女性・平和・安全保障」会議
4 おわりに
第11章 軍事化される「平等」と「多様性」――米軍を手がかりとして
1 はじめに
2 米軍への包摂をめぐる闘争――黒人・女性・LGBT
3 米軍における「平等」と「多様性」の内実
4 おわりに
第V部 戦争・軍隊と性
第12章 戦争・軍隊と性――『兵士とセックス』を読む
1 はじめに――『兵士とセックス』を読む
2 『兵士とセックス』に対する反響
3 兵士とセックス――普遍性と特殊性
4 恋愛(ロマンス)・売買春・レイプ――連続と断絶
5 おわりに
第13章 戦争と性暴力――語りの正統性をめぐって
1 はじめに
2 構築される性暴力の語り
3 戦時の性的関係の連続性
4 おわりに
終 章 戦争・軍隊の批判的ジェンダー研究のために
提言1 エンパワーメントの空間づくり
提言2 ケアの倫理を超えて
提言3 「取りこまれ」批判を超えて
註
あとがき
初出一覧
参考文献
索引
戦争や軍隊は、どのような男性や女性によって担われ、
いかなる加害/被害関係を生起させているのか。
既存のジェンダー秩序を自明のものとすることなく、批判的に検証する。
21世紀に入り、世界中の軍隊で、女性兵士は数を増し、
その役割を拡大させつづけている。
しかし、この現象を単純な男女平等の進展と解するべきではないこと、
フェミニズムにとって女性兵士は難問として存在するのであり、
さまざまな立場がありうることは言うまでもない。
本書では、この20余年のあいだに起こったさまざまな変化を踏まえつつ、
女性兵士が果たすことを求められてきた役割とその効果に着目し、検証していく。
本書を貫く主張の一つは、戦争・軍隊を批判的に解剖するにあたって、
「ジェンダーから問う」という視角が不可欠である、ということである。
男らしさや女らしさといった観念の操作は、軍事化を推し進め、戦争を首尾よく遂行する際の要である。
一方で、軍隊も戦争も、女性たちに依拠することを必ず必要としており、
彼女たちの経験から現象を見つめることは、その男性中心性を明らかにするうえで
欠かすことのできない作業である。 本書は、「ジェンダーから問う」ことが、戦争・軍隊を批判的に考察するうえでいかに重要なのか、
この視点を有することで見えてくる風景を描くことにより示していく。
【目次】
はじめに
第I部 ジェンダーから問う戦争・軍隊の社会学
第1章 ジェンダーから問う戦争・軍隊の社会学
1 はじめに――軍事社会学と国際関係論
2 戦争・軍隊とジェンダー
3 ジェンダー化された制度としての軍隊
4 「新しい」軍隊とジェンダー
5 女性兵士という難問
6 おわりに
第2章 戦争・軍隊の男性(性)研究
1 はじめに
2 出発点としてのシンシア・エンローとR・コンネル
3 構築される軍事的男性性(ミリタリー・マスキュリニティーズ)
4 「新しい軍隊」の男性性?
5 おわりに――残された課題
第3章 軍事主義・軍事化・家父長制
1 はじめに
2 軍国主義か軍事主義か
3 軍事主義から軍事化へ
4 軍事化とジェンダー
5 おわりに――家父長制という亡霊、あるいは闘争の賭金
第II部 女性兵士という難問
第4章 女性兵士を取りまく困難
1 はじめに
2 性暴力/セクシュアル・ハラスメント
3 ジェンダー化された職務の割りあて
4 おわりに
第5章 女性兵士は男女平等の象徴か?
1 はじめに
2 軍隊が女性を入れる時
3 おわりに
第6章 戦争・軍隊とフェミニズム
1 はじめに
2 ジェンダー化された「国民」
3 フェミニズムと軍隊
4 おわりに
第III部 自衛隊におけるジェンダー
第7章 カモフラージュされた軍隊――自衛隊とグローバルなジェンダー主流化
1 はじめに
2 旧軍とは違います――再出発の時代(一九五〇-六〇年代前半)
3 あなたたちとともに――絆固めの時代(一九六〇年代後半-七〇年代)
4 先進的組織――拡張の時代(一九八〇年代-九〇年代)
5 われら平和維持者――「国際貢献」の時代(二〇〇〇年代~)
6 おわりに――自衛隊のカモフラージュからの教訓
第8章 ジェンダー化される「ポストモダンの軍隊」
――「新しさ」をめぐり動員される女性性/男性性
1 はじめに
2 「ポストモダンの軍隊」
3 NATO諸国との比較
4 「ポストモダンの軍隊」をめぐるジェンダー化された言説
5 おわりに
第9章 「利他的」な日本の自衛隊と女性活用
1 はじめに
2 自衛隊の女性の歴史
3 自衛隊の広報における女性の役割
4 女性活躍推進政策
5 「平和の戦士姫」のグローバルな登場
6 おわりに
第IV部 米軍におけるジェンダー
第10章 アメリカにおける軍隊の女性の今
1 はじめに
2 「軍隊の女性」会議
3 「女性・平和・安全保障」会議
4 おわりに
第11章 軍事化される「平等」と「多様性」――米軍を手がかりとして
1 はじめに
2 米軍への包摂をめぐる闘争――黒人・女性・LGBT
3 米軍における「平等」と「多様性」の内実
4 おわりに
第V部 戦争・軍隊と性
第12章 戦争・軍隊と性――『兵士とセックス』を読む
1 はじめに――『兵士とセックス』を読む
2 『兵士とセックス』に対する反響
3 兵士とセックス――普遍性と特殊性
4 恋愛(ロマンス)・売買春・レイプ――連続と断絶
5 おわりに
第13章 戦争と性暴力――語りの正統性をめぐって
1 はじめに
2 構築される性暴力の語り
3 戦時の性的関係の連続性
4 おわりに
終 章 戦争・軍隊の批判的ジェンダー研究のために
提言1 エンパワーメントの空間づくり
提言2 ケアの倫理を超えて
提言3 「取りこまれ」批判を超えて
註
あとがき
初出一覧
参考文献
索引
- 本の長さ330ページ
- 言語日本語
- 出版社慶應義塾大学出版会
- 発売日2022/7/12
- 寸法13.6 x 2.2 x 19.5 cm
- ISBN-104766428358
- ISBN-13978-4766428353
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内容紹介 | 女性兵士は男女平等の象徴か? 戦争や軍隊は、どのような男性や女性によって担われ、 いかなる加害/被害関係を生起させているのか。 既存のジェンダー秩序を自明のものとすることなく、批判的に検証する。 | 「死にたい」とつぶやいた者たちは、本当に死を望んでいたのか。 なぜ、家族ではなく、その外部に救いを求めたのか。 SNSに溢れかえる「死にたい」の声に、私たちはどう向き合うべきか。 『失踪の社会学』で颯爽とデビューした俊英による快著。 | 失踪とは何か。その不条理さ、不可解さ、やりきれなさは、何に由来するのか。現在でも日本国内で年間に数千件規模のペースで生じている隠れた社会問題、失踪―。失踪が惹起する実存的な問いを突きつめ、あなたや私がそこにいる、という一見自明の事態を根底から見つめなおす、気鋭の力作。 | 痛みや苦しみを患いながらも、医療者によって「疾患」を診断されず、 あるいは診断を受けても、他者から「病い」を認められない。 そんな「病い」を生きる人びとの生の困難と希望を描く。 |
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商品の説明
著者について
佐藤文香(さとう ふみか)
一橋大学大学院社会学研究科教授
1995年慶應義塾大学環境情報学部卒、1997年慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了、2000年同博士課程単位取得退学。2002年博士(学術)(慶應義塾大学)。中部大学人文学部専任講師、一橋大学大学院社会学研究科助教授・准教授を経て、2015年同研究科教授、現在に至る。専門分野はジェンダーの社会理論・社会学、戦争・軍隊の社会学。
著書に『軍事組織とジェンダー――自衛隊の女性たち』(慶應義塾大学出版会、2004年)、『ジェンダー研究を継承する』(共編、人文書院、2017年)、『ジェンダーについて大学生が真剣に考えてみた――あなたがあなたらしくいられるための29問』(監修、明石書店、2019年)、『シリーズ 戦争と社会 全5巻』(共編、岩波書店、2021-22年)、訳書にシンシア・エンロー『策略――女性を軍事化する国際政治』(上野千鶴子監訳、岩波書店、2006年)、メアリー・ルイーズ・ロバーツ『兵士とセックス――第二次世界大戦下のフランスで米兵は何をしたのか?』(監訳、明石書店、2015年)、シンシア・エンロー『〈家父長制〉は無敵じゃない――日常からさぐるフェミニストの国際政治』(監訳、岩波書店、2020年)などがある。
一橋大学大学院社会学研究科教授
1995年慶應義塾大学環境情報学部卒、1997年慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了、2000年同博士課程単位取得退学。2002年博士(学術)(慶應義塾大学)。中部大学人文学部専任講師、一橋大学大学院社会学研究科助教授・准教授を経て、2015年同研究科教授、現在に至る。専門分野はジェンダーの社会理論・社会学、戦争・軍隊の社会学。
著書に『軍事組織とジェンダー――自衛隊の女性たち』(慶應義塾大学出版会、2004年)、『ジェンダー研究を継承する』(共編、人文書院、2017年)、『ジェンダーについて大学生が真剣に考えてみた――あなたがあなたらしくいられるための29問』(監修、明石書店、2019年)、『シリーズ 戦争と社会 全5巻』(共編、岩波書店、2021-22年)、訳書にシンシア・エンロー『策略――女性を軍事化する国際政治』(上野千鶴子監訳、岩波書店、2006年)、メアリー・ルイーズ・ロバーツ『兵士とセックス――第二次世界大戦下のフランスで米兵は何をしたのか?』(監訳、明石書店、2015年)、シンシア・エンロー『〈家父長制〉は無敵じゃない――日常からさぐるフェミニストの国際政治』(監訳、岩波書店、2020年)などがある。
登録情報
- 出版社 : 慶應義塾大学出版会 (2022/7/12)
- 発売日 : 2022/7/12
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- 単行本 : 330ページ
- ISBN-10 : 4766428358
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