この本は巻末の「ブックガイド」を見ると、南方熊楠をこれから読もうという人のためのものであるようだが、その中に『南方熊楠百話』を入れてほしかった。多くの人がいかに熊楠に驚嘆し、愛されていたかがわかるからで、そこから熊楠への興味がいっそう増すと思われるからです。
この本は熊楠の著書のなかでは活字が一番見やすい。ただし注が簡略にすぎるし、『淵鑑類函』の編纂は「漢代」ではなく「清代」のまちがい。それに編纂者や注の作成者が明記されていない。生誕１５０年をあてにしたやっつけ仕事という感がいなめない。熊楠の著書は概ね活字が小さくて、つまってよみにくく、あるいは高価な本が多い。良心的な出版を期待したい。
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