私が先ず想起したのはマリー・アントワネットだ。
既に角栄氏の時代は終わった。懐古でしかない。
懐古だから哀しい。
その哀しみが世間知らずなお嬢様の、時に天衣無縫な、時に凛とした教養と見識を感じさせつつ、時に深い深い父への敬慕の念を伴って本音で語られている。
哀しい話として、さめざめと泣くような気持ちで私は読んだ。
クライマックスは1992年の訪中であろうか。
たまたま仕事で北京に出張した帰路の機内で読んだので思わず涙が込み上げた。
我々庶民の日中を跨いだ経済活動も角栄氏の命懸けの訪中あってのことなのだ、と。
石原慎太郎の「天才」でもクライマックスは1972年の訪中だった。やはり最大の功績なのだろう。
眞紀子氏は首相になる気はなかったと書いている。恐らく負け惜しみではなく本当だろう。
外相在職時に正論を引っ提げて官僚に喧嘩を売った行動は、首相が視野にある人間とは思えない。
角栄氏なら官僚を上手に使ったであろう。
本書は角栄本のこれ以上ない決定版であり著者の意図は果たせているとは思う。
彼女にしか書けないことが書かれている。
その上で敢えて指摘する。
日本列島改造計画への反省が甘い。
確かに角栄氏は地方と東京を道路や鉄道で繋げた。その結果、地方は栄えただろうか。答えは否、だ。上手く行かなかったのは何故か、眞紀子氏なりの分析が欲しい。
巻末は安倍内閣を中心とした昨今の政界への批判である。これもとってつけた感がありもう少し深掘りが欲しい。代案もない。
眞紀子氏自身、民主党政権の文科相時代はパッとしなかった。この人は外相を追われた時点で何かパッションを失ってしまったのではないか。
私にはそう映る。角栄氏とは無関係だがその辺の心境の変化があったのならそこも書いて欲しかった。
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父と私 (B&Tブックス) 単行本 – 2017/3/7
田中 眞紀子
(著)
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幼少期から父の死に至るまでの四十七年間もの間、深い絆で結ばれてきた父と娘。昭和から平成という激動の時代をともに歩んできた著者が、研ぎ澄まされた感性とクリアな視点を通し、時にユーモアを交えながら活写する田中角栄氏の実像。次の世代に向けた究極の“田中角栄"本である。
娘は父から何を学び、父をどう支えてきたのか。そして今、何を次代に伝えようとしているのか。名宰相・田中角栄を傍らで見つめてきた真実が著者自身の筆で記されている。
娘は父から何を学び、父をどう支えてきたのか。そして今、何を次代に伝えようとしているのか。名宰相・田中角栄を傍らで見つめてきた真実が著者自身の筆で記されている。
- 本の長さ308ページ
- 言語日本語
- 出版社日刊工業新聞社
- 発売日2017/3/7
- 寸法13.7 x 2 x 19.5 cm
- ISBN-104526076767
- ISBN-13978-4526076763
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商品の説明
出版社からのコメント
娘から見た、政治家・田中角栄氏とは? 真紀子氏の足跡をたどりつつ、今、初めて明らかにされる実像!
著者が父とともに歩んだ四十七年間の濃密な日々を研ぎ澄まされた感性とクリアな視点で
ユーモアを交えて活写した究極の"田中角栄像"
著者が父とともに歩んだ四十七年間の濃密な日々を研ぎ澄まされた感性とクリアな視点で
ユーモアを交えて活写した究極の"田中角栄像"
登録情報
- 出版社 : 日刊工業新聞社 (2017/3/7)
- 発売日 : 2017/3/7
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 308ページ
- ISBN-10 : 4526076767
- ISBN-13 : 978-4526076763
- 寸法 : 13.7 x 2 x 19.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 321,139位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 153位政治家
- - 22,060位投資・金融・会社経営 (本)
- - 60,568位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
-
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上位レビュー、対象国: 日本
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2017年5月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
田中角栄と言う人物に興味があって、角栄と生活を共にした人々の著作を何冊か読んだ。
越山会の女王と呼ばれた佐藤昭さんの「私の田中角栄日記」
佐藤あつ子さん(佐藤昭さんと角栄との間に生まれた婚外子)による「昭 田中角栄と生きた女」
辻和子さんによる「熱情 田中角栄をとりこにした芸者」
田中 京(辻和子さんと角栄との間に生まれた男性)による「わが父 田中角栄」などである。
今の世の中だったら、これだけ派手な女性関係は政治家として許されることではないが、当時は時代が違ったのだろう。
今回、角栄の嫡出子、真紀子さんによる本が出たので飛びついて買ったが
内容は至って凡庸でがっかりしたと言わざるを得ない。
父の田中角栄の偉大さに圧倒されて角栄礼賛の一辺倒である。
真紀子さんが、父角栄の女性関係をどの程度知っていたのかははっきりとした記述がないが
本文中「秘書とスタッフ」と題するところに
「離婚を繰り返し、水商売に就いたり辞めたりして、その都度、違った子供を連れてきて平然とお金をせびりに来た女性もいた」との記述があるが、これは辻さんのことを書いたものなのか。
また「・・・・事務所に押し掛けて、勝手にお茶出しや電話番をするようになった」女性とは佐藤昭さんのことなのか。
著者は名前を出してないので判然としないが推測がつく。
しかしながら田中京氏は角栄が正式に認知した婚外子であるし、佐藤あつ子さんは認知こそされていないが、角栄がわが子として可愛がっていた実子であることに目をつぶることはできない。
角栄の愛娘としては父親の女性関係を認めるわけにはいかないのは分かるが、母親こそ違え、父親を同じくするきょうだいに対するもう少しの思いやりがあっても良いのではないかとの気がする。
中国関連の記事に見るべきものが多いが、1972年田中角栄が日中国交正常化をなしとげた気概は鬼気迫るものがある。それから20年後、脳こうそくに倒れた父親に付き添っての中国訪問、夫直樹氏との中国訪問など時系列がわけが分からなくなることがあるが、娘も日中関係にはそれなりに強い思いがあることが分かる。
ただ、筆が滑って、アメリカ一辺倒の安倍内閣を罵倒せんばかりに批判しているのはいただけない。
日中関係以外の記事は凡庸の一語につきる。
越山会の女王と呼ばれた佐藤昭さんの「私の田中角栄日記」
佐藤あつ子さん(佐藤昭さんと角栄との間に生まれた婚外子)による「昭 田中角栄と生きた女」
辻和子さんによる「熱情 田中角栄をとりこにした芸者」
田中 京(辻和子さんと角栄との間に生まれた男性)による「わが父 田中角栄」などである。
今の世の中だったら、これだけ派手な女性関係は政治家として許されることではないが、当時は時代が違ったのだろう。
今回、角栄の嫡出子、真紀子さんによる本が出たので飛びついて買ったが
内容は至って凡庸でがっかりしたと言わざるを得ない。
父の田中角栄の偉大さに圧倒されて角栄礼賛の一辺倒である。
真紀子さんが、父角栄の女性関係をどの程度知っていたのかははっきりとした記述がないが
本文中「秘書とスタッフ」と題するところに
「離婚を繰り返し、水商売に就いたり辞めたりして、その都度、違った子供を連れてきて平然とお金をせびりに来た女性もいた」との記述があるが、これは辻さんのことを書いたものなのか。
また「・・・・事務所に押し掛けて、勝手にお茶出しや電話番をするようになった」女性とは佐藤昭さんのことなのか。
著者は名前を出してないので判然としないが推測がつく。
しかしながら田中京氏は角栄が正式に認知した婚外子であるし、佐藤あつ子さんは認知こそされていないが、角栄がわが子として可愛がっていた実子であることに目をつぶることはできない。
角栄の愛娘としては父親の女性関係を認めるわけにはいかないのは分かるが、母親こそ違え、父親を同じくするきょうだいに対するもう少しの思いやりがあっても良いのではないかとの気がする。
中国関連の記事に見るべきものが多いが、1972年田中角栄が日中国交正常化をなしとげた気概は鬼気迫るものがある。それから20年後、脳こうそくに倒れた父親に付き添っての中国訪問、夫直樹氏との中国訪問など時系列がわけが分からなくなることがあるが、娘も日中関係にはそれなりに強い思いがあることが分かる。
ただ、筆が滑って、アメリカ一辺倒の安倍内閣を罵倒せんばかりに批判しているのはいただけない。
日中関係以外の記事は凡庸の一語につきる。
2017年4月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
田中角栄とゆう人に関心があって(好きで)一気に読みました
角栄本は今まで何冊も読んでいますが、家庭での事柄も書いてあり興味深く読みました
残念なのは訂正が何か所もあったことです
角栄本は今まで何冊も読んでいますが、家庭での事柄も書いてあり興味深く読みました
残念なのは訂正が何か所もあったことです
2017年5月11日に日本でレビュー済み
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私個人は面白く読んだ。昨今の角栄ブームの本と違って、
政治家・田中真紀子ではなく、娘としての視点から描かれている。
そのため、ある面で肉親の「角栄礼賛」のべたっとした感触も残るかもしれないが……。
著者自身「他人から父について聞かれることが煩わしい」と冒頭で書かれる。
なのになぜ活字にしたか……
それは昨今の「角栄本のなかに、伝聞や自己宣伝の匂いを感じた」からだと言う。
娘の目から見た「父親論」として読むには面白いが、
「びっくりするようなことが書かれているのでは……」という期待は少しはぐらかされるかもしれない。
それでも、有力議員の裏切りや親交など、著者にしか書けない逸話もかなり多い。
金大中事件のときの話も興味深い。
ロッキード事件がテレビで報じられたとき、角栄は、
「これは何だ!!」と音量を大きくさせた……この生々しさは
本書の白眉かもしれない。あのころの政治の断面の断面図だろう。
また、角栄譲りの田中真紀子の弁舌なども、
単に「親子」というだけでなく、角栄自身が「そう育てた」ことも垣間見える。
政治家・田中真紀子ではなく、娘としての視点から描かれている。
そのため、ある面で肉親の「角栄礼賛」のべたっとした感触も残るかもしれないが……。
著者自身「他人から父について聞かれることが煩わしい」と冒頭で書かれる。
なのになぜ活字にしたか……
それは昨今の「角栄本のなかに、伝聞や自己宣伝の匂いを感じた」からだと言う。
娘の目から見た「父親論」として読むには面白いが、
「びっくりするようなことが書かれているのでは……」という期待は少しはぐらかされるかもしれない。
それでも、有力議員の裏切りや親交など、著者にしか書けない逸話もかなり多い。
金大中事件のときの話も興味深い。
ロッキード事件がテレビで報じられたとき、角栄は、
「これは何だ!!」と音量を大きくさせた……この生々しさは
本書の白眉かもしれない。あのころの政治の断面の断面図だろう。
また、角栄譲りの田中真紀子の弁舌なども、
単に「親子」というだけでなく、角栄自身が「そう育てた」ことも垣間見える。
2018年1月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
早坂茂三氏の「田中」本は全部読んでいますが長女真紀子氏の目に映り心に思ったことが真実のような気がします。
同様に佐藤昭氏親子の著作も熱いものがあります。
同様に佐藤昭氏親子の著作も熱いものがあります。
2017年8月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
田中角栄に関する本は多々あるが、以前読んだ、息子、田中京氏の本も、この本も大変興味深かった。両者とも、父 角栄を客観的に、また親子の視線からも捉えている。異母兄妹の関係から、真紀子氏側に色々とわだかまりがあるようだが、お父さんはきっと仲直りを願っている。
この本にはロッキード事件などには触れていないが、角栄の人間性は伝わってくる。
この本にはロッキード事件などには触れていないが、角栄の人間性は伝わってくる。
2017年3月18日に日本でレビュー済み
元大臣の著者が、元首相の父を政治家としてどう評価するのか興味があって読んだがその点は期待ハズレ。政治家としての田中角栄もベタ褒めである。一人娘だししかたがないことなのだろうが。
ちょっと感動したのは、角栄が脳梗塞発症後、
「登院に備えて、衆議院議場の自席の位置関係や椅子のサイズ、廊下から自席へのアクセスなどを調べ、自宅内に実物大の模型をつくり、幾度も幾度も練習を重ねた(p.119)」
という箇所。
なるほどと思ったのは、秘書やスタッフについてかなり批判的に述べた「秘書とスタッフ」の章(pp.192-202)。
著者の安倍政権批判は
「まるで日本がアメリカの五十一番目の州であるかの如き対米追従外交に安住している現安倍晋三政権(p.284)」
「安倍政権には、正確で建設的な議論を責任を持って行おうとする真面目な姿勢が感じられない(pp.294-295)」 と強烈。
著者は「父そのものを……お金儲けの種にする人種が出現したのである。現在出回っている、いわゆる“田中角榮本”もそのたぐいであろう(p.199)」と言うが、本書も、「角栄ブーム」の最中に刊行したという点で便乗本の感は否めないのではないか。
ちょっと感動したのは、角栄が脳梗塞発症後、
「登院に備えて、衆議院議場の自席の位置関係や椅子のサイズ、廊下から自席へのアクセスなどを調べ、自宅内に実物大の模型をつくり、幾度も幾度も練習を重ねた(p.119)」
という箇所。
なるほどと思ったのは、秘書やスタッフについてかなり批判的に述べた「秘書とスタッフ」の章(pp.192-202)。
著者の安倍政権批判は
「まるで日本がアメリカの五十一番目の州であるかの如き対米追従外交に安住している現安倍晋三政権(p.284)」
「安倍政権には、正確で建設的な議論を責任を持って行おうとする真面目な姿勢が感じられない(pp.294-295)」 と強烈。
著者は「父そのものを……お金儲けの種にする人種が出現したのである。現在出回っている、いわゆる“田中角榮本”もそのたぐいであろう(p.199)」と言うが、本書も、「角栄ブーム」の最中に刊行したという点で便乗本の感は否めないのではないか。