本書(原題 “ARMORED”)の副題に使われている「パワードスーツ」という言葉は、すぐれてジャパニーズ・イングリッシュであるようだ。Wikipediaでこの言葉をひもとき、英語のページに移動すれば、そこには Powered exoskeleton というタイトルがあった。Power armor や Powered armor という言葉もポピュラーなようである。
Exoskeleton は日本語では「外骨格」と呼ばれる。この「外側のもの」とこれに対する「内側」つまり生身の人間との関わりが、本書に収められた短編の多くにおいて主題となっている。この関わり方の多様さが、本アンソロジーの最大の妙味であろう。あるものは重武装兵器、あるものは生命維持装置(しばしば両方)、あるものは医者!中には結局なんだかよくわからないものもある。
本書を読みながら、「外」にまとうものと「内」つまり生身の人間それぞれがいったいなんなんだろう、ということをたくさん考えたが、思い出せばこれは「カエアンの聖衣」で考えたこととよく似ているではないか。私は衣服を着ているのかもしれないが、衣服が私のことをどう位置付けているのかは聞いても答えてくれないのでわからない。そんなことを思うとだんだん怖くなってくるが、トポロジカルに「外」「内」の区別が容易につく(ように思える)うちは、まだ怖さとしては安心できるほうなのだろう。が、本書収録の作品の中には、この安心感を侵襲してくる怖いものもあって、なるほどいいテーマを見つけたものだと編者に感心した。
ネタバレにならないうちに切り上げるが、本書の最後に清涼なハードSF「猫のパジャマ」を持ってきてくれた訳者には大いに感謝したい。ここまでの11作を一気に読んでぐるぐるになった頭(そう感じる部分だと思っているもの)が癒されました。作者も訳者も猫好きですね?
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この地獄の片隅に (パワードスーツSF傑作選) (創元SF文庫) 文庫 – 2021/3/11
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パワードスーツ、強化アーマー、二足歩行メカ
夢の競演アンソロジー!
加藤直之入魂の扉絵12点も必見
パワードスーツ、パワードアーマー、人型歩行メカ――《彷徨える艦隊》のジャック・キャンベル、《啓示空間》のアレステア・レナルズら豪華執筆陣が、古今のSFを華やかに彩ってきたコンセプトをテーマに描く、書き下ろし全12編の傑作SFアンソロジー。加藤直之入魂のカバーイラストと扉絵12点も必見。解説=岡部いさく
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加藤直之入魂の扉絵12点も必見
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- 本の長さ400ページ
- 言語日本語
- 出版社東京創元社
- 発売日2021/3/11
- ISBN-104488772021
- ISBN-13978-4488772024
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登録情報
- 出版社 : 東京創元社 (2021/3/11)
- 発売日 : 2021/3/11
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 400ページ
- ISBN-10 : 4488772021
- ISBN-13 : 978-4488772024
- Amazon 売れ筋ランキング: - 321,898位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 162位創元SF文庫
- - 1,686位SF・ホラー・ファンタジー (本)
- カスタマーレビュー:
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上位レビュー、対象国: 日本
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2021年3月14日に日本でレビュー済み
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2022年6月7日に日本でレビュー済み
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キャンベル・兵士はつらいよ!ヴァレンタイン・物語の断片…。ロワチー・A“愛”アーマーノワール?カートリー・愛は盲目。レヴァイン・技術者は己れの責を負い、無法者は体制のせいにする。レナルズ・アイデンティティーの混同?ワグナー&ワグナー・哀しくも理念と現実は違う。ヴォーン・スペイン内乱は国際的な新兵器試験場と呼ばれ、そのファシズム対民主主義の戦いの様相は第2次大戦の予行演習と呼ばれた。現在進行形の侵略戦争は如何なる結末を迎えるか❗グリーン・違和感、表現したい内容とそぐわない描写…安易な結末。ヤント・自立への一歩。ウィリアムズ・気取り屋とツンデレアーマー。マクデヴィット・にゃんこ救出大作戦!解説は実録パワードスーツ進捗情報。
2021年5月16日に日本でレビュー済み
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「パワードスーツSF傑作選 この地獄の片隅に 」(ジョン・ジョゼフ・アダムズ 編 : 中原尚哉 訳)を読んだ。
パワードスーツとかそういったSFガジェットが昔から好きなので、これを見つけた時には即購入したよ。
どの作品も個性的でかつ一捻りあって見事です。
加藤直之さんのイラストが素晴らしい。
パワードスーツとかそういったSFガジェットが昔から好きなので、これを見つけた時には即購入したよ。
どの作品も個性的でかつ一捻りあって見事です。
加藤直之さんのイラストが素晴らしい。
2022年5月2日に日本でレビュー済み
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J・J・アダムズが編纂したパワードスーツSF短編のアンソロジー。
全12編のパワードスーツが出てくる短編集で、表紙だけでなく全編の扉絵にあのSFイラストレーターの大御所
である加藤直之氏がイラストを描いているという豪華な本である。
正直、加藤直之氏の様々なパワードスーツのイラストが目当てだったので、小説の内容はさほど期待していなかったが、全12編のうち面白いと思ったのが幾つかあった。
「アーマーの恋の物語」
天才科学者であり富豪である男性とその命を狙う暗殺者の女性が繰りひろげる異色のラブストーリー。
「天国と地獄の星」
異星の敵対的なジャングルで基地建設作業に従事するパワードスーツを着用した主人公たちの体験する想像を絶する事件。
終わり方が、映画アバターを思い出させる。
「N体問題」
ワープゲート網の行き止まりの星で繰り広げられる物語。
装甲服のヒロインが出てくるが、それはあまり話の筋には関係ない。
ただ話のアイディアと落ちが面白かった。
加藤直之氏のイラストが好きな人ならば買いの一冊である。
全12編のパワードスーツが出てくる短編集で、表紙だけでなく全編の扉絵にあのSFイラストレーターの大御所
である加藤直之氏がイラストを描いているという豪華な本である。
正直、加藤直之氏の様々なパワードスーツのイラストが目当てだったので、小説の内容はさほど期待していなかったが、全12編のうち面白いと思ったのが幾つかあった。
「アーマーの恋の物語」
天才科学者であり富豪である男性とその命を狙う暗殺者の女性が繰りひろげる異色のラブストーリー。
「天国と地獄の星」
異星の敵対的なジャングルで基地建設作業に従事するパワードスーツを着用した主人公たちの体験する想像を絶する事件。
終わり方が、映画アバターを思い出させる。
「N体問題」
ワープゲート網の行き止まりの星で繰り広げられる物語。
装甲服のヒロインが出てくるが、それはあまり話の筋には関係ない。
ただ話のアイディアと落ちが面白かった。
加藤直之氏のイラストが好きな人ならば買いの一冊である。
2021年4月18日に日本でレビュー済み
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バラエティがあってどれも面白かったが、
ジュヌヴィエーヴ・ヴァレンタイン「深海採集船コッペリア号」は藤井慎吾「深海大戦」で、
カリン・ロワチー「ノマド」は川又千秋「火星甲殻団」(人型ではないけどね)と日本にもパワードスーツSFあるじゃないか。
ジャック・マクデヴィット「猫のパジャマ」はトイレ問題は大きいよね。
掲載されなかった物も読んでみたくなるな。
ジュヌヴィエーヴ・ヴァレンタイン「深海採集船コッペリア号」は藤井慎吾「深海大戦」で、
カリン・ロワチー「ノマド」は川又千秋「火星甲殻団」(人型ではないけどね)と日本にもパワードスーツSFあるじゃないか。
ジャック・マクデヴィット「猫のパジャマ」はトイレ問題は大きいよね。
掲載されなかった物も読んでみたくなるな。
2021年11月15日に日本でレビュー済み
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12ページ加藤先生の絵があると期待していたけれど、もう少し丁寧に描き込んでほしかったです。全12の短編は平々凡々。イマジネーションで補いましょう。
2021年4月18日に日本でレビュー済み
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wiki「人体に装着される電動アクチュエーターや人工筋肉などの動力を用いた、外骨格型、あるいは衣服型の装置である。~英語では一般的に~powered exoskeleton(強化外骨格)と総称」。ちなみに、原題は「ARMORED」
大御所ハインライン氏のSF『宇宙の戦士』に登場する歩兵装備の名称で、これまた大御所加藤直之氏が早川文庫に描いたイラストがとてつもなくカッコよくて、日本に広まった(のだと思う)。
で、本作。加藤直之氏のイラストなのです。必見!
大御所ハインライン氏のSF『宇宙の戦士』に登場する歩兵装備の名称で、これまた大御所加藤直之氏が早川文庫に描いたイラストがとてつもなくカッコよくて、日本に広まった(のだと思う)。
で、本作。加藤直之氏のイラストなのです。必見!
2021年4月1日に日本でレビュー済み
本書には、パワードスーツが登場するSF短編が12編収録されている。解説によると、原書には23編が収録されているが、訳者がその中から12編を選んだという。
本書に選ばれなかった11篇も読んでみたいと思う。本書が売れに売れたら、パート2として翻訳・出版されるかもしれないが、なかなか難しいかな。
一般的に、傑作選というと、過去に出版された作品の中から編者が傑作と思うものを集めた作品集だと考えるが、本書はすべて新作のようだ。それにも関わらず傑作選と名付けられているのは、23編の中から12編を選んでいることから名付けられたのではないか。
作家の名前を見ていくと、ハヤカワ文庫SFで見た名前が結構登場する。みんなパワードスーツが好きなんだなあ。
作品の時代設定や基本アイデアが異なっているにもかかわらず、AIについての言及が似ているのは執筆時期が同時期だったことを示しているのかも。
巻末の解説にはパワードスーツの登場する作品が多数紹介されているが、本書収録の作品に登場するパワードスーツは、それらの長編に登場するものとは一味違うイメージのものが多い。
おそらくそれは、パワードスーツ自体を主役として語ることができる短編という形式によるものだと思うが、長編やシリーズものに登場するガジェットとしてのそれとは異なるイメージで語られるパワードスーツは発想の豊かさが感じられて面白い。
ところで、本書は「パワードスーツSF傑作選」と名打たれているが、収録されている作品ではパワードスーツという用語は使われていない。
日本ではハインラインの『宇宙の戦士』をパワードスーツのイメージの原点としているが、編者のアダムズは自分の読書体験からパワードアーマーという用語を使っており、収録されている作品でも〇〇アーマーと呼ばれている例が多い。
評者は、最初、モビルスーツとモビルアーマーの違いが念頭にあったので用語の違いが気になっていたが、作品によって呼称は様々で、こだわりはあまり感じられない。戦闘用かそれ以外かも関係ないようだ。
なお、狭義の意味で戦場が舞台となっている作品は3篇のみで、他の作品の舞台は海洋や未開惑星など様々。パワードスーツというアイデアの適用範囲の広さを示している。
収録作品はそれぞれ趣向が凝らされており、娯楽作として楽しめるものが多いが、いくらなんでもその設定は無理が有り過ぎ、と思ったものも多かった。
おもしろいと思ったものを中心に数作品を紹介する。
ケリー盗賊団の最期 19世紀末、開拓時代のオーストラリアの僻地に隠遁している老発明家が蒸気エンジンのパワードアーマーを作る話。西部劇の雰囲気。何よりもまず技術者SFであり、好感が持てる。
外傷ポッド クライマックスのイメージは不気味。一種のテクノ・ホラーか?何を書いてもネタバレになるような気がする。攻殻機動隊の影響を受けているのだろうか? それとも独自発想なのか?
ドン・キホーテ スペイン戦争末期の1939年。アメリカ人の従軍記者が共和国軍の秘密兵器を発見する。「ケリー盗賊団の最期」とは正反対の見解が主張されている。上から目線が気になる。
N体問題 魅力的な設定の世界を舞台に、ぜいたくにアイデアを盛り込んだ登場人物を配置し、人間味あふれる物語を語っている。言葉で説明すると陳腐だが、複数の謎を引きとしてハードボイルド・ミステリー風に語られるその物語が一気に解決に向かうクライマックスの構成の見事さに感心する。本書の中では一番読みごたえがあった。傑作と言ってよいと思う。地球法執行局の執行官という表現は堅苦しいが、警察官かな。
「N体問題」というタイトルが良くわからない。登場人物は何人なのかという謎かけなのか?
猫のパジャマ タイトルのとおりの猫SF。巻末にふさわしい一篇だけど、本書の12篇の中では最もパワードスーツSFらしくない。
本書に選ばれなかった11篇も読んでみたいと思う。本書が売れに売れたら、パート2として翻訳・出版されるかもしれないが、なかなか難しいかな。
一般的に、傑作選というと、過去に出版された作品の中から編者が傑作と思うものを集めた作品集だと考えるが、本書はすべて新作のようだ。それにも関わらず傑作選と名付けられているのは、23編の中から12編を選んでいることから名付けられたのではないか。
作家の名前を見ていくと、ハヤカワ文庫SFで見た名前が結構登場する。みんなパワードスーツが好きなんだなあ。
作品の時代設定や基本アイデアが異なっているにもかかわらず、AIについての言及が似ているのは執筆時期が同時期だったことを示しているのかも。
巻末の解説にはパワードスーツの登場する作品が多数紹介されているが、本書収録の作品に登場するパワードスーツは、それらの長編に登場するものとは一味違うイメージのものが多い。
おそらくそれは、パワードスーツ自体を主役として語ることができる短編という形式によるものだと思うが、長編やシリーズものに登場するガジェットとしてのそれとは異なるイメージで語られるパワードスーツは発想の豊かさが感じられて面白い。
ところで、本書は「パワードスーツSF傑作選」と名打たれているが、収録されている作品ではパワードスーツという用語は使われていない。
日本ではハインラインの『宇宙の戦士』をパワードスーツのイメージの原点としているが、編者のアダムズは自分の読書体験からパワードアーマーという用語を使っており、収録されている作品でも〇〇アーマーと呼ばれている例が多い。
評者は、最初、モビルスーツとモビルアーマーの違いが念頭にあったので用語の違いが気になっていたが、作品によって呼称は様々で、こだわりはあまり感じられない。戦闘用かそれ以外かも関係ないようだ。
なお、狭義の意味で戦場が舞台となっている作品は3篇のみで、他の作品の舞台は海洋や未開惑星など様々。パワードスーツというアイデアの適用範囲の広さを示している。
収録作品はそれぞれ趣向が凝らされており、娯楽作として楽しめるものが多いが、いくらなんでもその設定は無理が有り過ぎ、と思ったものも多かった。
おもしろいと思ったものを中心に数作品を紹介する。
ケリー盗賊団の最期 19世紀末、開拓時代のオーストラリアの僻地に隠遁している老発明家が蒸気エンジンのパワードアーマーを作る話。西部劇の雰囲気。何よりもまず技術者SFであり、好感が持てる。
外傷ポッド クライマックスのイメージは不気味。一種のテクノ・ホラーか?何を書いてもネタバレになるような気がする。攻殻機動隊の影響を受けているのだろうか? それとも独自発想なのか?
ドン・キホーテ スペイン戦争末期の1939年。アメリカ人の従軍記者が共和国軍の秘密兵器を発見する。「ケリー盗賊団の最期」とは正反対の見解が主張されている。上から目線が気になる。
N体問題 魅力的な設定の世界を舞台に、ぜいたくにアイデアを盛り込んだ登場人物を配置し、人間味あふれる物語を語っている。言葉で説明すると陳腐だが、複数の謎を引きとしてハードボイルド・ミステリー風に語られるその物語が一気に解決に向かうクライマックスの構成の見事さに感心する。本書の中では一番読みごたえがあった。傑作と言ってよいと思う。地球法執行局の執行官という表現は堅苦しいが、警察官かな。
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