日本人はSDGsといえば専ら「環境」に関心があり、「人権」への関心は相対的に薄いとのことだ。日本企業の人権への配慮の世界ランキングも低い。「人権リスク」の捉え方も狭い。危機的状況だ。
「物価は上がらないもの」という日本人の根強いノルムも、実は人権意識の低さからきているのではないか。自分が買う商品を作っている人達の賃金が上がらなくても平気なのだ。そこまでいかなくても、商品価格に賃金が反映されているという意識がないのではないか。
本書は「人権リスク」への向き合い方が企業の将来を左右する旨を説いているが、デフレ脱却のためにも、まずは日本人全体の人権意識を高める必要があると思う。
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すべての企業人のためのビジネスと人権入門 単行本 – 2022/8/4
羽生田 慶介
(著)
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全企業にとって「ビジネスと人権」は喫緊の重大アジェンダだ
■皆さんは「人権」と聞いて、何を思い浮かべるだろうか?実のところ、2020年ごろまで「ビジネスと人権」のテーマで日本企業の経営者と対話すると、会話がかみ合わないことがほとんどだった。著者は経営コンサルティング会社の代表として日々、企業からサステナビリティ(持続可能性)についての相談を受けている。その際、気候変動対策としての脱炭素の取り組みだけがサステナビリティの論点なのではなく、人権についてもしっかり経営会議で議論しましょう、と伝えている。
そのとき、「人権って同和問題の話だよね。なんでウチに言ってくるんだ」という狭い解釈をしている経営者も少なくない。このタイプの経営者は単に「認識不足」なので、今日の「ビジネスと人権」の全体像を学ぶことで意識や行動が変わる期待もある。
だが、次のような反応を示す経営者の場合は要注意だ。原因はより根深く、建設的な対話になるまでに苦心する。
「俺が若いころは、ハラスメントなんて全然問題にならなかった。長時間労働は当たり前。だから会社は成長したんだ」
「日本だって戦後の復興期には子どもが働いていた。経済が大きく成長するときというのは、どこの国でもそう。途上国は今その時期だから、子どもが働くのは当たり前でしょう」
■世界では、企業の「人権リスク」に対して厳格に対処するためのルールづくりが着々と進んでいる。しかしつい最近まで、日本企業の「人権」対応の取り組みは、とても遅れていた。国際NGOが発表している人権対応スコアでは、名だたる日本を代表する企業が軒並み「ほぼ0点」の扱いを受けている。国連の持続可能な開発目標(SDGs =サステナブル・ディベロップメント・ゴール)の各項目に対する意識調査によると、日本は「人権」に対する意識が希薄だ。
■本書を手に取った皆さんの中には「そうは言っても、人権がどう自社のビジネスに関係するのかイメージが湧かない」という人がいるかもしれない。「人権リスク」はビジネスの特別な場面ではなく、ごく日常に潜んでいる。
本書は、企業が「ビジネスと人権」に取り組むための基礎知識と、具体的な実践方法、さらには「人権リスク対策」を通じてビジネスを拡大するためのヒントをまとめた。
(本書『まえがき』より)
■『すべての企業人のためのビジネスと人権入門』の目次
・図表で見るビジネスと人権
【第1章】なぜ今「ビジネスと人権」なのか
【第2章】失敗事例に学ぶ「ビジネスと人権」
【第3章】この10年で急整備された「ビジネスと人権」のルール
【第4章】 ゼロから始める人権対応アクションプラン
【第5章】未曾有のフロンティア「人権ビジネス」を開拓せよ
・付録1-企業が留意すべき主な人権リスク
・付録2-自社のリスクはどこに潜む? 業種別の要注意リスク例
・付録3-人権対応に役立つ情報ソース一覧
■皆さんは「人権」と聞いて、何を思い浮かべるだろうか?実のところ、2020年ごろまで「ビジネスと人権」のテーマで日本企業の経営者と対話すると、会話がかみ合わないことがほとんどだった。著者は経営コンサルティング会社の代表として日々、企業からサステナビリティ(持続可能性)についての相談を受けている。その際、気候変動対策としての脱炭素の取り組みだけがサステナビリティの論点なのではなく、人権についてもしっかり経営会議で議論しましょう、と伝えている。
そのとき、「人権って同和問題の話だよね。なんでウチに言ってくるんだ」という狭い解釈をしている経営者も少なくない。このタイプの経営者は単に「認識不足」なので、今日の「ビジネスと人権」の全体像を学ぶことで意識や行動が変わる期待もある。
だが、次のような反応を示す経営者の場合は要注意だ。原因はより根深く、建設的な対話になるまでに苦心する。
「俺が若いころは、ハラスメントなんて全然問題にならなかった。長時間労働は当たり前。だから会社は成長したんだ」
「日本だって戦後の復興期には子どもが働いていた。経済が大きく成長するときというのは、どこの国でもそう。途上国は今その時期だから、子どもが働くのは当たり前でしょう」
■世界では、企業の「人権リスク」に対して厳格に対処するためのルールづくりが着々と進んでいる。しかしつい最近まで、日本企業の「人権」対応の取り組みは、とても遅れていた。国際NGOが発表している人権対応スコアでは、名だたる日本を代表する企業が軒並み「ほぼ0点」の扱いを受けている。国連の持続可能な開発目標(SDGs =サステナブル・ディベロップメント・ゴール)の各項目に対する意識調査によると、日本は「人権」に対する意識が希薄だ。
■本書を手に取った皆さんの中には「そうは言っても、人権がどう自社のビジネスに関係するのかイメージが湧かない」という人がいるかもしれない。「人権リスク」はビジネスの特別な場面ではなく、ごく日常に潜んでいる。
本書は、企業が「ビジネスと人権」に取り組むための基礎知識と、具体的な実践方法、さらには「人権リスク対策」を通じてビジネスを拡大するためのヒントをまとめた。
(本書『まえがき』より)
■『すべての企業人のためのビジネスと人権入門』の目次
・図表で見るビジネスと人権
【第1章】なぜ今「ビジネスと人権」なのか
【第2章】失敗事例に学ぶ「ビジネスと人権」
【第3章】この10年で急整備された「ビジネスと人権」のルール
【第4章】 ゼロから始める人権対応アクションプラン
【第5章】未曾有のフロンティア「人権ビジネス」を開拓せよ
・付録1-企業が留意すべき主な人権リスク
・付録2-自社のリスクはどこに潜む? 業種別の要注意リスク例
・付録3-人権対応に役立つ情報ソース一覧
- 本の長さ304ページ
- 言語日本語
- 出版社日経BP
- 発売日2022/8/4
- 寸法188 x 128 x 16 cm
- ISBN-104296001043
- ISBN-13978-4296001040
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商品の説明
著者について
羽生田 慶介(はにゅうだ・けいすけ)
オウルズコンサルティンググループ代表取締役CEO経済産業省大臣官房臨時専門アドバイザー、一般社団法人エシカル協会理事、認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン理事、認定NPO法人ACE理事、一般社団法人グラミン日本顧問、多摩大学大学院ルール形成戦略研究所副所長/客員教授、民間臨時行政調査会「モデルチェンジ日本」メンバー。国際基督教大学(ICU)教養学部卒。経済産業省(通商政策局にてFTA交渉/ASEAN地域担当)、キヤノン(経営企画/M&A担当)、A.T. カーニー(戦略コンサルティング)、デロイト トーマツ コンサルティング執行役員/パートナーを経て、2020年にオウルズコンサルティンググループを設立。政府・ビジネス・NPO/NGOの全セクターにて社会課題解決を推進。Forbes JAPAN「日本のルールメーカー30人」(2022年)選出。経済産業省のSociety5.0標準化推進委員会、自律移動ロボット将来ビジョン検討会、海洋生分解性プラスチックのルール形成戦略検討会などで委員を務めるほか、経済産業省の国際ルール形成と標準化・認証研修、自由民主党の政務調査会知的財産戦略調査会国際競争力強化小委員会、政策研究院大学院大学の外交アカデミー・プログラムなどで講師を務める。著書に『稼げるFTA大全』(日経BP)、『最強のシナリオプランニング』(共著、東洋経済新報社)、『世界市場で勝つルールメイキング戦略』(共著、朝日新聞出版)などがある
<執筆協力>
矢守 亜夕美(オウルズコンサルティンググループ プリンシパル)
石井 麻梨(オウルズコンサルティンググループ マネジャー)
大久保 明日奈(オウルズコンサルティンググループ プリンシパル)
潮崎 真惟子(オウルズコンサルティンググループ マネジャー)
<法律監修>
AsiaWise法律事務所
オウルズコンサルティンググループ代表取締役CEO経済産業省大臣官房臨時専門アドバイザー、一般社団法人エシカル協会理事、認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン理事、認定NPO法人ACE理事、一般社団法人グラミン日本顧問、多摩大学大学院ルール形成戦略研究所副所長/客員教授、民間臨時行政調査会「モデルチェンジ日本」メンバー。国際基督教大学(ICU)教養学部卒。経済産業省(通商政策局にてFTA交渉/ASEAN地域担当)、キヤノン(経営企画/M&A担当)、A.T. カーニー(戦略コンサルティング)、デロイト トーマツ コンサルティング執行役員/パートナーを経て、2020年にオウルズコンサルティンググループを設立。政府・ビジネス・NPO/NGOの全セクターにて社会課題解決を推進。Forbes JAPAN「日本のルールメーカー30人」(2022年)選出。経済産業省のSociety5.0標準化推進委員会、自律移動ロボット将来ビジョン検討会、海洋生分解性プラスチックのルール形成戦略検討会などで委員を務めるほか、経済産業省の国際ルール形成と標準化・認証研修、自由民主党の政務調査会知的財産戦略調査会国際競争力強化小委員会、政策研究院大学院大学の外交アカデミー・プログラムなどで講師を務める。著書に『稼げるFTA大全』(日経BP)、『最強のシナリオプランニング』(共著、東洋経済新報社)、『世界市場で勝つルールメイキング戦略』(共著、朝日新聞出版)などがある
<執筆協力>
矢守 亜夕美(オウルズコンサルティンググループ プリンシパル)
石井 麻梨(オウルズコンサルティンググループ マネジャー)
大久保 明日奈(オウルズコンサルティンググループ プリンシパル)
潮崎 真惟子(オウルズコンサルティンググループ マネジャー)
<法律監修>
AsiaWise法律事務所
登録情報
- 出版社 : 日経BP (2022/8/4)
- 発売日 : 2022/8/4
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 304ページ
- ISBN-10 : 4296001043
- ISBN-13 : 978-4296001040
- 寸法 : 188 x 128 x 16 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 116,734位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2023年5月1日に日本でレビュー済み
2022年8月24日に日本でレビュー済み
「ビジネスと人権」というキーワードを新聞で見る機会が増えているものの、実際には何を指すのか、何をすべきか分かっていなかったが、本書を読んで今まさに企業が取り組むべき重要なテーマであるとの理解が深まった。「ビジネスと人権」に関する書籍としては、まずはこの一冊を読めば良いと断言できるほど、非常に濃い内容で勉強になる。
まず、なぜ「ビジネスと人権」に取り組むべきなのか?という疑問に様々な観点で答えている1章は、目から鱗であった。日本の「現代奴隷」商品の輸入量は実は世界で2位という非常にショッキングな統計や、「売り上げは伸びず利益5倍」が人権リスクの温床を生むという示唆も印象に残る。
2章では、実際の事例から、人権リスクがもたらす事業へのインパクトを多角的に扱っており、新しい気付きが多かった。ウイグルの強制労働や電通の過労死事件については良く新聞でも取り上げられていたので知っていたが、「まさかこれも人権リスクの事例か」と思うもの多数であった。
例えば、「外国人技能実習生を巡る今治タオルの騒動」という事例では、技能実習生制度が抱える課題やSNS炎上の怖さがつまびらかにされている。アフリカのマリの取引先農園での児童労働を巡り、ネスレが15年も訴訟対応していたことも知らなかった。人権リスクと無縁な企業など無いということが腹落ちした。
3章では「ビジネスと人権」のルールについてクリアに網羅的にまとめられている。人権尊重の責任は「全ての企業が」「どこで事業を行っても」負うというルールがあるからこそ、企業にも人権対応が求められつつあるという昨今の潮流が理解できる。
欧米を中心とする他国の人権DD関連法は「説明重視型」と「実行重視型」に類型化されており、何が求められるのかが分かりやすい。日本でも、経産省が主導でガイドラインが出されるとの報道もあり、今後のルール化を見越して、企業は今から対応を進めなければいけないはずだ。
4章は、「では実際何をすれば良いのか?」という疑問に直球で回答している。ここまで体系立って人権対応のアクションを整理しているものはないので、非常に役立つ情報だ。
アクションは大きく人権方針の策定、人権DDの実施、是正措置の構築に分かれるが、中でも人権リスクの評価が難しいのではないだろうか。実際に自社でゼロから対応することはハードルが高いが、外部データの活用、アンケート・ヒアリング実施、内部データ分析という大きな方策が示されていることで、何を行うべきかのイメージは湧く。サプライチェーンのどこまでをどの順番で見るべきかというところが大きな論点になるのかと感じた。
5章の人権対応はただのコストではなく、新しいビジネスチャンスに広がるというメッセージは非常に面白い。曲がるスプーンなど、視点を変えることで人権対応商品を生み出せるという発想の転換は、日本企業にとって参考になるアプローチではないだろうか。
調達ガイドラインの重要性も良く分かった。最近、取引先企業からCSR調達に関する依頼も増えており、この流れは加速するだろうという肌感覚とも合う。
「人権ビジネスを発想するための10の質問」もユニークだ。新規事業や商材の立ち上げにおいて、他社やステークホルダーとの連携の重要性は増している。自社だけで考えた商品は、プロダクトアウトになるこもしばしばだ。著者がNGO・NPO連携の重要性を説く理由もここにあるのだろう。
この本を読んで感じたのは、これからは社会課題へ取り組む姿勢自体が企業の評価に直結するということだ。脱炭素はその最たる例で、実際にCO2排出量の多寡により、市場から締め出される事態が起こりつつある。プライム市場のTCFD義務化など以前は考えられなかったが、導入が決まってからどこの企業も脱炭素対応への本気度が変わった。それと同様に、今後ルール化が進むと企業の人権対応は一層加速していくのだろう。ただ、それを「やらなければいけないから」というスタンスでは、守りの対応でしかない。人権対応を契機に企業の在り方自体が変わるはずで、変われた企業と変われなかった企業の差は開いていくのであろう。
企業は真剣にサステナビリティとビジネスのあり方を考えるべき。そして、我々ビジネスパーソン一人ひとりも考えをアップデートしていかなければならない。チャレンジングだが、新しい未来に希望を持つこともできる一冊であった。
まず、なぜ「ビジネスと人権」に取り組むべきなのか?という疑問に様々な観点で答えている1章は、目から鱗であった。日本の「現代奴隷」商品の輸入量は実は世界で2位という非常にショッキングな統計や、「売り上げは伸びず利益5倍」が人権リスクの温床を生むという示唆も印象に残る。
2章では、実際の事例から、人権リスクがもたらす事業へのインパクトを多角的に扱っており、新しい気付きが多かった。ウイグルの強制労働や電通の過労死事件については良く新聞でも取り上げられていたので知っていたが、「まさかこれも人権リスクの事例か」と思うもの多数であった。
例えば、「外国人技能実習生を巡る今治タオルの騒動」という事例では、技能実習生制度が抱える課題やSNS炎上の怖さがつまびらかにされている。アフリカのマリの取引先農園での児童労働を巡り、ネスレが15年も訴訟対応していたことも知らなかった。人権リスクと無縁な企業など無いということが腹落ちした。
3章では「ビジネスと人権」のルールについてクリアに網羅的にまとめられている。人権尊重の責任は「全ての企業が」「どこで事業を行っても」負うというルールがあるからこそ、企業にも人権対応が求められつつあるという昨今の潮流が理解できる。
欧米を中心とする他国の人権DD関連法は「説明重視型」と「実行重視型」に類型化されており、何が求められるのかが分かりやすい。日本でも、経産省が主導でガイドラインが出されるとの報道もあり、今後のルール化を見越して、企業は今から対応を進めなければいけないはずだ。
4章は、「では実際何をすれば良いのか?」という疑問に直球で回答している。ここまで体系立って人権対応のアクションを整理しているものはないので、非常に役立つ情報だ。
アクションは大きく人権方針の策定、人権DDの実施、是正措置の構築に分かれるが、中でも人権リスクの評価が難しいのではないだろうか。実際に自社でゼロから対応することはハードルが高いが、外部データの活用、アンケート・ヒアリング実施、内部データ分析という大きな方策が示されていることで、何を行うべきかのイメージは湧く。サプライチェーンのどこまでをどの順番で見るべきかというところが大きな論点になるのかと感じた。
5章の人権対応はただのコストではなく、新しいビジネスチャンスに広がるというメッセージは非常に面白い。曲がるスプーンなど、視点を変えることで人権対応商品を生み出せるという発想の転換は、日本企業にとって参考になるアプローチではないだろうか。
調達ガイドラインの重要性も良く分かった。最近、取引先企業からCSR調達に関する依頼も増えており、この流れは加速するだろうという肌感覚とも合う。
「人権ビジネスを発想するための10の質問」もユニークだ。新規事業や商材の立ち上げにおいて、他社やステークホルダーとの連携の重要性は増している。自社だけで考えた商品は、プロダクトアウトになるこもしばしばだ。著者がNGO・NPO連携の重要性を説く理由もここにあるのだろう。
この本を読んで感じたのは、これからは社会課題へ取り組む姿勢自体が企業の評価に直結するということだ。脱炭素はその最たる例で、実際にCO2排出量の多寡により、市場から締め出される事態が起こりつつある。プライム市場のTCFD義務化など以前は考えられなかったが、導入が決まってからどこの企業も脱炭素対応への本気度が変わった。それと同様に、今後ルール化が進むと企業の人権対応は一層加速していくのだろう。ただ、それを「やらなければいけないから」というスタンスでは、守りの対応でしかない。人権対応を契機に企業の在り方自体が変わるはずで、変われた企業と変われなかった企業の差は開いていくのであろう。
企業は真剣にサステナビリティとビジネスのあり方を考えるべき。そして、我々ビジネスパーソン一人ひとりも考えをアップデートしていかなければならない。チャレンジングだが、新しい未来に希望を持つこともできる一冊であった。
2022年8月8日に日本でレビュー済み
文章構成、展開などとても丁寧でわかりやすい内容と思いました。ビジネス、企業と言う括りだけでは無い「人権」の手解きになります。素晴らしい。
2022年8月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
日系企業における人権という切り口でのマネジメント現在地、取り組み、これまでの事例などは知らないことが多くて大変勉強になった。
本書は経営者だけではなく働く人全てに向けて書かれている。というのも人権に関わる様々な課題について、よいことをする、悪いことをしない、ではなくてその活動ををきちんとビジネス(利益を出す組織として)の文脈にのせられるか、それをきちんと外に向かって仕組みとして説明できるか必須で、それには社員全員のマインドセットが必要な経営戦略だからだ。
本書は以下3点を念頭に、チェックリストや、これまでの経営者との対話を踏まえて企業の人権への取り組み方を体系的にまとめられている。
①ビジネスの論理をごまかしで終わらせない
②当事者意識を持てるよう事例と実務の具体論を持たせる
③ビジネスリスクだけではなく、ビジネスチャンスとしてとらえる
入門書ほど書くのが難しいが、勉強を始めたばかりの私にも非常にわかりやすかった。
本書を読み感じた事は、人権とビジネスのテーマを考えるにあたってカギは、ステークホルダー全体さらに社会に対する経営の透明化にあるという点。
つまり何か問題があった場合もその通報システムが存在し、問題解決する過程がシステムとして存在する仕組みの構築が大切で、それが機能していると外部に客観的に示せることが重要。
仕組みとしてとらえないと、人権にまつわる規則、基準は世界的に変わっていくし、求められるレベルも違うから人権への取り組みを経営に仕組みとして組み入れないと組織としてアップデートできないからだ。
持続可能な社会、持続可能な事業を展開し、持続する企業であるためにはという点から、人権問題をとらえ経営に活かすことが肝心。その指標としてたとえば統合書があるのであって出したら終わりでもない。その意味で長い長い道のり。
だからこそその道標としてまずはこの本をお勧めしたい。私自身も本書をきっかけにこの分野についてもっと学んでいこと決意を新たにした。
本書は経営者だけではなく働く人全てに向けて書かれている。というのも人権に関わる様々な課題について、よいことをする、悪いことをしない、ではなくてその活動ををきちんとビジネス(利益を出す組織として)の文脈にのせられるか、それをきちんと外に向かって仕組みとして説明できるか必須で、それには社員全員のマインドセットが必要な経営戦略だからだ。
本書は以下3点を念頭に、チェックリストや、これまでの経営者との対話を踏まえて企業の人権への取り組み方を体系的にまとめられている。
①ビジネスの論理をごまかしで終わらせない
②当事者意識を持てるよう事例と実務の具体論を持たせる
③ビジネスリスクだけではなく、ビジネスチャンスとしてとらえる
入門書ほど書くのが難しいが、勉強を始めたばかりの私にも非常にわかりやすかった。
本書を読み感じた事は、人権とビジネスのテーマを考えるにあたってカギは、ステークホルダー全体さらに社会に対する経営の透明化にあるという点。
つまり何か問題があった場合もその通報システムが存在し、問題解決する過程がシステムとして存在する仕組みの構築が大切で、それが機能していると外部に客観的に示せることが重要。
仕組みとしてとらえないと、人権にまつわる規則、基準は世界的に変わっていくし、求められるレベルも違うから人権への取り組みを経営に仕組みとして組み入れないと組織としてアップデートできないからだ。
持続可能な社会、持続可能な事業を展開し、持続する企業であるためにはという点から、人権問題をとらえ経営に活かすことが肝心。その指標としてたとえば統合書があるのであって出したら終わりでもない。その意味で長い長い道のり。
だからこそその道標としてまずはこの本をお勧めしたい。私自身も本書をきっかけにこの分野についてもっと学んでいこと決意を新たにした。
2022年8月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
最近、話題になっている人権リスクへの向き合い方について解説した書籍。経営コンサルタントという立場からの提言となっており、企業が現実的にどのように取り組むべきかがわかりやすい。と同時に、危機感を覚える内容。
国連から、間接的な人権侵害への対応も求められているという記述もあり、驚く。「子供をターゲットに、糖分の多い飲食物を販売し、子どもの肥満を誘発する」ことも、論点となっているとのこと。このような内容にまで及ぶとなると、様々な企業で本業や主力サービスが成立しないという事態が生まれてもおかしくはない。人権対応は、多くの企業にとって、喫緊の重要課題となっていることがわかる。
国連から、間接的な人権侵害への対応も求められているという記述もあり、驚く。「子供をターゲットに、糖分の多い飲食物を販売し、子どもの肥満を誘発する」ことも、論点となっているとのこと。このような内容にまで及ぶとなると、様々な企業で本業や主力サービスが成立しないという事態が生まれてもおかしくはない。人権対応は、多くの企業にとって、喫緊の重要課題となっていることがわかる。