分からないところは雰囲気で感じ、難しく考えずに詩と思ってフィーリングで読みました。
自分も妻を大切にしようと改めて考えさせられる1冊です。
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たとへば君 四十年の恋歌 (文春文庫 か 64-1) 文庫 – 2014/1/4
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『河野裕子・永田和宏「恋歌」全3冊セット』 こちらをチェック
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この世はこんなにも美しく、残酷だ。感動の相聞歌
2010年夏、乳がんで亡くなった歌人の河野裕子さん。出会い、結婚、子育て、発病、再発、そして死。先立つ妻と交わした愛の歌。
2010年夏、乳がんで亡くなった歌人の河野裕子さん。出会い、結婚、子育て、発病、再発、そして死。先立つ妻と交わした愛の歌。
- 本の長さ297ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2014/1/4
- 寸法10.7 x 1.4 x 15.3 cm
- ISBN-104167900173
- ISBN-13978-4167900175
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対象商品: たとへば君 四十年の恋歌 (文春文庫 か 64-1)
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2014/1/4)
- 発売日 : 2014/1/4
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 297ページ
- ISBN-10 : 4167900173
- ISBN-13 : 978-4167900175
- 寸法 : 10.7 x 1.4 x 15.3 cm
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- - 54位文春文庫
- - 436位文学・評論 (本)
- - 674位ノンフィクション (本)
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2020年6月16日に日本でレビュー済み
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河野裕子は生まれながらの歌人だと思う。
「誰かの為に、何かの為にという大義名分では決して短歌は作れるものではない。短歌はもっとつきつめたひとりぼっちのものだと思う。」
序文で引用される河野裕子の言葉である。
「無」から「有」を生み出すとき、人によって、時によって、それは自分の奥の別の何者かからのシグナルを感じ、読み取ろうとする作業となる。いつ始まるのかもわからず、いったん始まったが最後、それが消えてなくならないうちにと、ただただ心を澄まして受け止め続けるほかない。その中では、虚栄心や羞恥心、思いやりすら、邪魔にしかならない。
そのとおり、彼女は、歌やその解説たるエッセイの中で、自分や愛する家族のどんな姿も隠し立てせず、詳らかにしてしまう。そうすることへの覚悟すらあからさまには感じさせず、ただ、呼吸をするように自然に。
そのように歌の才に恵まれた彼女は、しかし、若いころ、生きるのが「しんどくてしんどくてしようがなかった」という。繊細さ故に周囲の人間との交流がうまくいかなったのではないかと推測する。そんな時に永田和宏と出会い、「あなたはそのままでいいよ」と言ってもらったことで、「それまで自意識が裸になって歩いていたけれど、永田和宏という存在が、私に薄膜を張って生きやすくなりました」と言っている(第2章「たったこれだけの家族」)。
要は、夫について、自分が人間として生きていくためにどうしても必要な自信をくれた、唯一無二の人だと言っているわけです。
また、河野は歌人としても、夫が一番の理解者であり、短歌の力というものを実感させてくれた人だったというエピソードを、「家」という歌集を出した際の夫婦の会話の形でエッセイ(「合歓」21号 平成14年6月からの引用)に残している。そして、出した答えは「わかってくれる読者がひとりいればいいんです」。
人として歌人としても、この人ひとりがいたから生きてこれたし、生きていけると。
いゃ、さすが、相聞歌集です。怒涛の告白。半端ないっす。
対する永田和宏は、細胞学の研究者(京都大学名誉教授)であり、感覚的な気付きの歌や感情そのものを詠んだ歌ではなく、「君のおかげでおもしろい人生だったとたぶん言うだろう わたしがもし先に死ぬことになれば」のように、思考・思索による気付きや、そのあとにくる感情とでもいうものを詠んだ歌が多いように思う。
河野が病気になったあとの、次の歌などは、感情の動きやその奥にあるなにものかをただひたすら尊んできた生来の歌人としての妻と、歌人ではありつつ知性や理性を無意識のうちに介在させる研究者としての夫とのすれ違いが描かれているようで興味深かった。
「われのひと世にもっとも聡明にありたしと願いし日々を君は責めるも」。
愛する人を大切にするために、大きな感情の揺れを必死に理性でコントロールして、もてる理性と知性(相当優秀なやつ)を総動員して考えに考え抜き、「穏やかでいよう」、「動揺する彼女をどーんと受け止める頼りがいのある夫でいよう」と(たぶん)決心し、いささかの遺漏もなく、この時に最善を尽くそう、そのために、自分の人生の中で今この時にこそ最も聡明でありたいとまで願っていたわけです(たぶん)。もう、全然、わかりますよ?共感します。
それなのに、妻からは、あなたは私が死ぬのに少しも動揺してくれないと、逆に責められたという驚きと哀しみをうたっているわけです(たぶん)。
しかし、さすがオシドリ夫婦。その後の河野裕子は、「兄のような父のような夫がゐて時どき頭を撫でてくれるよ」、「一日に何度も笑う笑い声と笑い顔を君に残すため」、「さみしくてあたたかかりきこの世にて会ひ得しことの幸せと思ふ」、「手をのべてあなたとあなたに触れたきに息がたりないこの世の息が」と淡いようでいて濃厚な愛しさを詠いつつ、この世を去ります。
この河野が亡くなったあと、抑制された言葉使いで激しい哀しみと亡き妻への追慕を詠みこんだ永田の次の歌は、河野の最後の歌「手をのべて」に対するこの世からあの世へ向けた返歌ともいうべき、読むものの涙を誘わずにはいられない秀歌です。
「亡き妻などとどうして言へようかてのひらが覚えてゐるよ君のてのひら」
「誰かの為に、何かの為にという大義名分では決して短歌は作れるものではない。短歌はもっとつきつめたひとりぼっちのものだと思う。」
序文で引用される河野裕子の言葉である。
「無」から「有」を生み出すとき、人によって、時によって、それは自分の奥の別の何者かからのシグナルを感じ、読み取ろうとする作業となる。いつ始まるのかもわからず、いったん始まったが最後、それが消えてなくならないうちにと、ただただ心を澄まして受け止め続けるほかない。その中では、虚栄心や羞恥心、思いやりすら、邪魔にしかならない。
そのとおり、彼女は、歌やその解説たるエッセイの中で、自分や愛する家族のどんな姿も隠し立てせず、詳らかにしてしまう。そうすることへの覚悟すらあからさまには感じさせず、ただ、呼吸をするように自然に。
そのように歌の才に恵まれた彼女は、しかし、若いころ、生きるのが「しんどくてしんどくてしようがなかった」という。繊細さ故に周囲の人間との交流がうまくいかなったのではないかと推測する。そんな時に永田和宏と出会い、「あなたはそのままでいいよ」と言ってもらったことで、「それまで自意識が裸になって歩いていたけれど、永田和宏という存在が、私に薄膜を張って生きやすくなりました」と言っている(第2章「たったこれだけの家族」)。
要は、夫について、自分が人間として生きていくためにどうしても必要な自信をくれた、唯一無二の人だと言っているわけです。
また、河野は歌人としても、夫が一番の理解者であり、短歌の力というものを実感させてくれた人だったというエピソードを、「家」という歌集を出した際の夫婦の会話の形でエッセイ(「合歓」21号 平成14年6月からの引用)に残している。そして、出した答えは「わかってくれる読者がひとりいればいいんです」。
人として歌人としても、この人ひとりがいたから生きてこれたし、生きていけると。
いゃ、さすが、相聞歌集です。怒涛の告白。半端ないっす。
対する永田和宏は、細胞学の研究者(京都大学名誉教授)であり、感覚的な気付きの歌や感情そのものを詠んだ歌ではなく、「君のおかげでおもしろい人生だったとたぶん言うだろう わたしがもし先に死ぬことになれば」のように、思考・思索による気付きや、そのあとにくる感情とでもいうものを詠んだ歌が多いように思う。
河野が病気になったあとの、次の歌などは、感情の動きやその奥にあるなにものかをただひたすら尊んできた生来の歌人としての妻と、歌人ではありつつ知性や理性を無意識のうちに介在させる研究者としての夫とのすれ違いが描かれているようで興味深かった。
「われのひと世にもっとも聡明にありたしと願いし日々を君は責めるも」。
愛する人を大切にするために、大きな感情の揺れを必死に理性でコントロールして、もてる理性と知性(相当優秀なやつ)を総動員して考えに考え抜き、「穏やかでいよう」、「動揺する彼女をどーんと受け止める頼りがいのある夫でいよう」と(たぶん)決心し、いささかの遺漏もなく、この時に最善を尽くそう、そのために、自分の人生の中で今この時にこそ最も聡明でありたいとまで願っていたわけです(たぶん)。もう、全然、わかりますよ?共感します。
それなのに、妻からは、あなたは私が死ぬのに少しも動揺してくれないと、逆に責められたという驚きと哀しみをうたっているわけです(たぶん)。
しかし、さすがオシドリ夫婦。その後の河野裕子は、「兄のような父のような夫がゐて時どき頭を撫でてくれるよ」、「一日に何度も笑う笑い声と笑い顔を君に残すため」、「さみしくてあたたかかりきこの世にて会ひ得しことの幸せと思ふ」、「手をのべてあなたとあなたに触れたきに息がたりないこの世の息が」と淡いようでいて濃厚な愛しさを詠いつつ、この世を去ります。
この河野が亡くなったあと、抑制された言葉使いで激しい哀しみと亡き妻への追慕を詠みこんだ永田の次の歌は、河野の最後の歌「手をのべて」に対するこの世からあの世へ向けた返歌ともいうべき、読むものの涙を誘わずにはいられない秀歌です。
「亡き妻などとどうして言へようかてのひらが覚えてゐるよ君のてのひら」
2023年3月4日に日本でレビュー済み
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人はなかなか心の奥の思いは会話にできないが短歌で紡ぎ出された言葉、日本語は素晴らしい。ご夫婦の様々な場面の隠しきれない素直な思いは胸に響きました。とても豊かさを感じました。
2022年7月22日に日本でレビュー済み
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夫婦で全力で歩んだ、幸せな人生と言って良いと思う。
2019年12月17日に日本でレビュー済み
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子供に対する愛情表現が実にうまい。
2021年7月3日に日本でレビュー済み
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「短歌」については、学校(中・高)で習っただけの知識だけしかありませんが、
それでもおふたりのこころのつながり方の濃さは(息苦しい程に)伝わってきます。
私も、夫を病気で見送ってもう30年近いですが、とても身近に感じたままで今も暮らしています。
子育てに追われ、仕事や家事で時間を取られていたけれども、
毎日自転車で30分かけて病院に通っていたころが懐かしい…
この本は、ずっと大切に読み続けたいです。
それでもおふたりのこころのつながり方の濃さは(息苦しい程に)伝わってきます。
私も、夫を病気で見送ってもう30年近いですが、とても身近に感じたままで今も暮らしています。
子育てに追われ、仕事や家事で時間を取られていたけれども、
毎日自転車で30分かけて病院に通っていたころが懐かしい…
この本は、ずっと大切に読み続けたいです。
2014年12月7日に日本でレビュー済み
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とてもきれいで古本と思えないうつくしさだった。対応もスピーディだった。
2020年5月9日に日本でレビュー済み
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夫婦のあり方を考え直す事ができました。