ロナルド・レーガンとマーガレット・サッチャーは、２人とも、1980年代に、それぞれ母国が自信を失いかけていたところに登場した。 果たした役割は、それまでの「福祉国家路線」とは決別し、自由な経済活動による国の発展を目指したこと、外交面では資本主義・民主主義の、計画経済への優越を確信し、冷戦への終止符の道筋をつけたことであろう。
この2人は、勝気なサッチャー、周りの意見をよく聴き任せるタイプのレーガンと、タイプは全く異なるが、「自由」「資本主義」を尊重する政治姿勢の根本を共有しており、それぞれの国を率いる間、堅固で親密な友情で結ばれ、助け合い、励ましあった。その関係は「政治上の夫婦」のようであると、筆者は叙述している。
この２人の政治家の生い立ち、国家のトップであった時代の交流、フォークランド紛争、グラナダ紛争といった国際関係の事件への対応が、細かく記述されている。
（政治上の）事実と、2人の間の手紙のやりとりが情報の主体で、政治理念についての叙述は（筆者の主観を抑えるためか）少ない。 国内政策については、サッチャーの労働組合との対決については記述があるが、その他については少ない。 両政権の（歴史的）評価は本書の目的ではなく、記述はない。
まとめると、両者のトップの座に至るまでの生い立ち、トップとなた後の両者間の交流（主に手紙）に詳しい資料となっている。
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