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彼方なる歌に耳を澄ませよ (新潮クレスト・ブックス) 単行本 – 2005/2/26
アリステア・マクラウド
(著),
中野 恵津子
(翻訳)
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重ねられた祖先の誇りと記憶。なき人々への思いは今も私たちを突き動かす――。
18 世紀末、スコットランド高地からカナダ東端の島に、家族と共に渡った男がいた。赤毛のキャラムの子供たち、と呼ばれる彼の子孫は、幾世代を経ても流れるその血を忘れない――。人が根をもって生きてゆくことの強さ哀しさを、大きな時の流れと、いとしい記憶を交錯させ描いた感動のサーガ。『灰色の輝ける贈り物』『冬の犬』の著者による待望のベストセラー。
18 世紀末、スコットランド高地からカナダ東端の島に、家族と共に渡った男がいた。赤毛のキャラムの子供たち、と呼ばれる彼の子孫は、幾世代を経ても流れるその血を忘れない――。人が根をもって生きてゆくことの強さ哀しさを、大きな時の流れと、いとしい記憶を交錯させ描いた感動のサーガ。『灰色の輝ける贈り物』『冬の犬』の著者による待望のベストセラー。
- 本の長さ343ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2005/2/26
- ISBN-104105900455
- ISBN-13978-4105900458
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対象商品: 彼方なる歌に耳を澄ませよ (新潮クレスト・ブックス)
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商品の説明
著者について
1936年生まれ。作品の主舞台であり、スコットランド高地からの移民が多く住む、カナダ東端の島ケープ・ブレトンで育つ。木こり、抗夫、猟師などをして苦労して大学院を卒業後、ウインザー大学の教壇に立つ傍ら、こつこつと短編小説を書きつづける。31年間にわずか16編という寡作であるが、そのどれもが宝石のような美しさと気品をもつ作品なので、北米では「短編の名手」として知られている。99年に発表された唯一の長編である本作が大ベストセラーになったため、全短編集「Island」が編まれた。
[『灰色に輝ける贈り物』(’02年)『冬の犬』(’04年)としてくれすと・ブックスで分冊して刊行]
[『灰色に輝ける贈り物』(’02年)『冬の犬』(’04年)としてくれすと・ブックスで分冊して刊行]
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2005/2/26)
- 発売日 : 2005/2/26
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 343ページ
- ISBN-10 : 4105900455
- ISBN-13 : 978-4105900458
- Amazon 売れ筋ランキング: - 494,084位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2018年10月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「灰色の輝ける贈り物」を読んで、その世界に惹かれて読みました。期待通りの内容でした。「冬の犬」もいづれ読むつもりです。
2013年2月17日に日本でレビュー済み
本書の原題は“
No Great Mischief
”。
時は1779年、ひとりの男がスコットランドから新世界を目指して海を渡る。
「故郷を捨て、連れ合いを亡くし、ゲール語の通じない土地に来ている。夫婦そろって
国を出たのに、着いたときには独り身になって、孫ができていた。自分を取り巻く大勢の
家族の面倒をみなきゃならん」。
その男の名はキャラム・ルーア、そして本書は彼とその末裔たちの物語。
「どんなときにも身内の面倒をみるのを忘れるな」。
開拓者の血を引く者にとって、このことばは時にあまりに重く響く。
「赤毛のキャラムの子供たち」はそのほとんどがブルー・カラー・ワーカー、ただし「私」は、
祖父母の庇護の下、歯科医となり、双子の妹は大学を出た後石油エンジニアに嫁いだ。
この小説の中心をなすのはある夏をめぐる追憶。
「私」の大学の卒業式のまさにその日、親類のひとり――奇しくもその彼と「私」は同姓
同名――がアクシデントで死去する。そしてその欠員を埋めるべく、「私」は奨学金つきの
サマープログラムを放棄して、「子供たち」と共に掘削に従事することを決意する。ただし、
その夏はやはり突然の事件をもって終焉を迎える。
歴史が蠢き、血がざわめいて、それでも世界は静かに回り、その夜空にはいつだって
「貧者のランプ」が変わらずきらめく。
明るく輝ける御身に栄光あれ
真白き今宵の月よ
御身、永遠なれ
貧者の輝けるランプとして
本書ではしばしばゲール語やフランス語が飛び交う、それはすなわち、彼らの祖先、
血族をめぐる宿命の象徴であり、同時に、カナダの歴史を具現するもの。
帰らぬ土地と亡き人々の記憶が重低音として物語全体を貫く。
重苦しい物語、しばしば無慈悲、別に救いがあるでもない、けれども世界は時に優しい。
「誰でも、愛されるとよりよい人間になる」。
小説全体を支配するのは、「赤毛のキャラムの子供たち」をめぐる静謐で濃密な時間、
そして一族を結びつける記憶と「愛」。
本書には明快な笑いも爽快感もない。かといって、どうしようもなく陰鬱なわけでもない。
分かりやすい起承転結や教訓話があると言えばあるし、ないと言えばない、それはちょうど
名もなき誰かの生涯を辿るとき、そんな言い方がされるように。
執筆にかかった時間、13年は伊達じゃない。ひたすらに凝縮された重量級の一冊。
時は1779年、ひとりの男がスコットランドから新世界を目指して海を渡る。
「故郷を捨て、連れ合いを亡くし、ゲール語の通じない土地に来ている。夫婦そろって
国を出たのに、着いたときには独り身になって、孫ができていた。自分を取り巻く大勢の
家族の面倒をみなきゃならん」。
その男の名はキャラム・ルーア、そして本書は彼とその末裔たちの物語。
「どんなときにも身内の面倒をみるのを忘れるな」。
開拓者の血を引く者にとって、このことばは時にあまりに重く響く。
「赤毛のキャラムの子供たち」はそのほとんどがブルー・カラー・ワーカー、ただし「私」は、
祖父母の庇護の下、歯科医となり、双子の妹は大学を出た後石油エンジニアに嫁いだ。
この小説の中心をなすのはある夏をめぐる追憶。
「私」の大学の卒業式のまさにその日、親類のひとり――奇しくもその彼と「私」は同姓
同名――がアクシデントで死去する。そしてその欠員を埋めるべく、「私」は奨学金つきの
サマープログラムを放棄して、「子供たち」と共に掘削に従事することを決意する。ただし、
その夏はやはり突然の事件をもって終焉を迎える。
歴史が蠢き、血がざわめいて、それでも世界は静かに回り、その夜空にはいつだって
「貧者のランプ」が変わらずきらめく。
明るく輝ける御身に栄光あれ
真白き今宵の月よ
御身、永遠なれ
貧者の輝けるランプとして
本書ではしばしばゲール語やフランス語が飛び交う、それはすなわち、彼らの祖先、
血族をめぐる宿命の象徴であり、同時に、カナダの歴史を具現するもの。
帰らぬ土地と亡き人々の記憶が重低音として物語全体を貫く。
重苦しい物語、しばしば無慈悲、別に救いがあるでもない、けれども世界は時に優しい。
「誰でも、愛されるとよりよい人間になる」。
小説全体を支配するのは、「赤毛のキャラムの子供たち」をめぐる静謐で濃密な時間、
そして一族を結びつける記憶と「愛」。
本書には明快な笑いも爽快感もない。かといって、どうしようもなく陰鬱なわけでもない。
分かりやすい起承転結や教訓話があると言えばあるし、ないと言えばない、それはちょうど
名もなき誰かの生涯を辿るとき、そんな言い方がされるように。
執筆にかかった時間、13年は伊達じゃない。ひたすらに凝縮された重量級の一冊。
2014年6月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この長編は、全体として英仏カナダの歴史を背景としてスコットランドからカナダへ移民したある一族を中心とした話で、前半は静かに淡々と進み、クライマックスは後半2割ほどのところに来ます。ストーリーはたいへんリアルで楽しめました。
私はこの本を3月10日に注文したのですが、作者のAlistair MacLeodさんは2014年4月20日に77歳でお亡くなりになったそうです。ご冥福をお祈りします。
私はこの本を3月10日に注文したのですが、作者のAlistair MacLeodさんは2014年4月20日に77歳でお亡くなりになったそうです。ご冥福をお祈りします。
2012年9月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ストーリー構成の完璧さ・情景描写の美しさに圧倒されました。地の果てのように思われる彼らの土地の歴史や風土や文化を知るテキストとしても素晴らしく、今まで読んだ彼の短編集のよく分からなかった部分も深く理解できました。
彼の本は3冊とも読んでしまい、これ以上ないのが残念でたまりません。
彼の本は3冊とも読んでしまい、これ以上ないのが残念でたまりません。
2006年1月7日に日本でレビュー済み
見たこともない、行ったこともない異国の話なのに、どうしてこんなに懐かしいんだろう?
ここに登場する人たちは、ぼくの心の奥底にある特別な感情を呼び起こす。
それは家族に対する愛、積み重ねてきた歴史への敬意、人間としての誇りなどであり、忘れがちだが絶対誰の心にもある感情なのである。
18世紀末にスコットランドからカナダに渡ったハイランダーの一族。
けっしてなだらかでない厳しい家族の歴史なのだが、そこには一族の結束と誇り、素晴らしい思い出があった。
マクラウドが13年かけて書き上げたこの本を読むと、心が掻き乱されるにもかかわらず、優しい気持ちになる。
彼らが歌うゲールの歌。それは、心を結ぶ不思議な力を持つ。
歴史を重ねても変わることなく続く歌。それは血は水よりも濃いということを思い起こさせてくれる。
けっして忘れてはいけないこと、疎かにしてはいけないこと。一族で築きあげた歴史が、幾多の思い出を伴ってよみがえる。
いつまでも終わって欲しくない物語が終わってしまった。
マクラウドは至宝の作家だ。
ここに登場する人たちは、ぼくの心の奥底にある特別な感情を呼び起こす。
それは家族に対する愛、積み重ねてきた歴史への敬意、人間としての誇りなどであり、忘れがちだが絶対誰の心にもある感情なのである。
18世紀末にスコットランドからカナダに渡ったハイランダーの一族。
けっしてなだらかでない厳しい家族の歴史なのだが、そこには一族の結束と誇り、素晴らしい思い出があった。
マクラウドが13年かけて書き上げたこの本を読むと、心が掻き乱されるにもかかわらず、優しい気持ちになる。
彼らが歌うゲールの歌。それは、心を結ぶ不思議な力を持つ。
歴史を重ねても変わることなく続く歌。それは血は水よりも濃いということを思い起こさせてくれる。
けっして忘れてはいけないこと、疎かにしてはいけないこと。一族で築きあげた歴史が、幾多の思い出を伴ってよみがえる。
いつまでも終わって欲しくない物語が終わってしまった。
マクラウドは至宝の作家だ。
2008年1月22日に日本でレビュー済み
スコットランドのハイランドからカナダへ渡った移民の物語。場面や時があれこれ入り乱れるので決して読みやすくはない。しかし、その抑制の効いた穏やかで、しかし奥行きと広がりを持つ独特の文体は、まるで馥郁たる香りを放つスコッチウィスキーのような芳醇な味わい。ものすごく魅了されました。何度も読み返したいと思う作品で、そのように思える作品には滅多に出会わないため、この作品に出会えて本当に幸せでした。
なお、巻末のスコットランド移民の歴史の解説は先に読んでおいた方がよかったと思いました。物語の中で具体的な史実に触れる箇所が少なくなく、予備知識があればより物語を深く味わえることと思います。
なお、巻末のスコットランド移民の歴史の解説は先に読んでおいた方がよかったと思いました。物語の中で具体的な史実に触れる箇所が少なくなく、予備知識があればより物語を深く味わえることと思います。
2005年4月10日に日本でレビュー済み
各章がまるで連作短編小説のような密度の高い作品です。
スコットランドからカナダの島に渡った一族の物語。誇り高く、結束し、愚直なまでにひたむきで、しかし自然は厳しく、失われる命はそれを感じる間もなく失われてゆく。
主人の死を受け容れられず、新しく来た住人に射殺されてしまう犬の話が象徴的。
惜しむらくは、もう少しスコットランドやカナダの歴史的背景を知っていたら、もっと深く理解できたかもしれない。それが星一つ引いた理由です。作品のせいではありません。
スコットランドからカナダの島に渡った一族の物語。誇り高く、結束し、愚直なまでにひたむきで、しかし自然は厳しく、失われる命はそれを感じる間もなく失われてゆく。
主人の死を受け容れられず、新しく来た住人に射殺されてしまう犬の話が象徴的。
惜しむらくは、もう少しスコットランドやカナダの歴史的背景を知っていたら、もっと深く理解できたかもしれない。それが星一つ引いた理由です。作品のせいではありません。
2005年3月15日に日本でレビュー済み
人間は獲得と喪失を繰り返して生きてゆくのだ、と考えさせられる物語。
正確には経験と忘却、と言った方が正確かもしれません。
厳しい冬が訪れる島で生きてゆく家族と、動物たち。突然訪れる死。人間が生きてゆくことはこういうことなのだ、と胸に染みわたってゆきます。
そこで育った子供たちが島を出て、現代的な生活の中でふと思い出す甘やかな痛みをともなった記憶。
大人になってしまった今ではいつのことだったか、曖昧になりつつもより鮮明になってゆく感情。そして絆。
愛情は降り積もる雪のように深く柔らかく、悲しみは海からの冷たい風のよう。
主人公が淡々と思い出す半生は私たち読者にも共感できるところがあるでしょう。
そして著者であるマクラウド自身がカナダ東に位置するケープ・ブレトンで育っているので、描かれる人々の生活は潮や鉄、針葉樹の香りが漂ってくるかのように写実的です。彼のスコットランド・ハイランダー(スコット・ランド高地人)における深い造詣も目を見張るものがあります。失われつつある血と生活。ポール・ギャリコの「スノー・グース」がお好きな方は気に入るかもしれません。
正確には経験と忘却、と言った方が正確かもしれません。
厳しい冬が訪れる島で生きてゆく家族と、動物たち。突然訪れる死。人間が生きてゆくことはこういうことなのだ、と胸に染みわたってゆきます。
そこで育った子供たちが島を出て、現代的な生活の中でふと思い出す甘やかな痛みをともなった記憶。
大人になってしまった今ではいつのことだったか、曖昧になりつつもより鮮明になってゆく感情。そして絆。
愛情は降り積もる雪のように深く柔らかく、悲しみは海からの冷たい風のよう。
主人公が淡々と思い出す半生は私たち読者にも共感できるところがあるでしょう。
そして著者であるマクラウド自身がカナダ東に位置するケープ・ブレトンで育っているので、描かれる人々の生活は潮や鉄、針葉樹の香りが漂ってくるかのように写実的です。彼のスコットランド・ハイランダー(スコット・ランド高地人)における深い造詣も目を見張るものがあります。失われつつある血と生活。ポール・ギャリコの「スノー・グース」がお好きな方は気に入るかもしれません。