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「ナパーム弾の少女」五〇年の物語 単行本 – 2022/6/8

4.5 5つ星のうち4.5 23個の評価

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購入オプションとあわせ買い

1972年6月8日、ベトナム戦争末期に撮られた一枚の写真は、戦争の残酷さを余すところなく伝え、世界中に衝撃を与えた。
その写真から50年、写真の「主役」となった少女のその後の波瀾万丈の半生を描いた感動のノンフィクション。

大火傷からの奇跡の生還ー肉体的にも精神的にも苦痛の日々ーベトナム政府に「発見」され、監視下のもとプロパカンダの「道具」とされた日々ーボートピープルへ挑戦ー宗教をめぐる母親との対立ーはじめての西側への旅ーキューバへの留学と結婚ー必死の亡命ーそして寛容を訴える旅へ

戦争とは?
国家と個人の関係とは?
自由とは?
家族との絆とは?

主人公キム・フックの物語は、いまの私たちにも多くの問いかけに満ちている。
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登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 講談社 (2022/6/8)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2022/6/8
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 280ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4065288134
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4065288139
  • 寸法 ‏ : ‎ 13.7 x 2.6 x 19.7 cm
  • カスタマーレビュー:
    4.5 5つ星のうち4.5 23個の評価

カスタマーレビュー

星5つ中4.5つ
5つのうち4.5つ
23グローバルレーティング

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上位レビュー、対象国: 日本

2022年6月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
50年前の今日撮影されたこの写真は、当時中学生だった私には忘れられない一枚だ。しかし、もう過去の出来事として、この本を知るまで思い出すこともなかった。この本の紹介文を読んではじめて、この写真に写っている少女が生きていることを知った。読み始める前は重い話に違いないとすこし躊躇していたが、第一章を読み始めたとたん、まるで自分が50年前の写真の現場に居合わせたような臨場感に身震いをするような、しかしなぜかわくわくする気持ちで、物語に引き込まれて行った。スピーディーな展開が続くが、主人公の少女や彼女を取り巻く人たちに何が起こったのか、何をみて、何を感じ、考え、どう行動したのか、そのディテールがしっかりと描かれているので、場面場面が本当に目の前に鮮やかに映し出されているようだ。これは著者による長年にわたる取材と調査の結果だろう。
 主人公が成長して大人になり、いよいよカナダへの亡命というシーンでは、読んでいる私まで緊張してしまった。著者はその後の彼女と家族の人生も丁寧に描き、一人一人の心情が読み手である私にも染み入るように伝わってくる。彼女の人生に立ち向かう姿勢になんども心動かされた。物語の最後、未来へ向かう取り組みを描く静かなシーンはとても感動的だ。
 50年前の悲劇は、そこで終わりではなく、今日まで続いているのだということを本を読んで強く思った。
いまウクライナをはじめ戦争や銃で犠牲や辛い状況になっている子どもたちにとっても、たとえ戦争が終わってもその苦しみは決して終わることなく続いて行くのだと読者に訴えている一冊だ。ぜひ高校生、中学生にこそ読んでもらいたい。
11人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2022年7月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
50年たっても同じような事が起きていることが悲しい。
2022年6月8日に日本でレビュー済み
表紙の逃げ惑う少女のその後の運命。ウクライナを思うと
決して過去の話にはできない壮絶なストーリーです。
そしてドイモイによって民主主義国家に変貌しつつある
ベトナムが、彼女をどう利用しようとしてきたかの
厳然たる事実。これは思想信条を超えて誰もが考えなければ
ならないドキュメンタリーです。
7人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2022年8月22日に日本でレビュー済み
一気に読みました。
緻密な取材と、読みやすい文章。
おすすめします。
戦争の悲劇だけでなく、ベトナム政府の非道に憤りを感じます。
ベトナムに住んでいたことがありますが、あの国は全く・・・ですね。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2022年8月14日に日本でレビュー済み
50年前、私は高校生の時にこの写真を見た。ベトナム戦争を象徴する写真の少女がどんな人生を過ごしたかに興味を持ち、読んでみた。

  主人公のキム・フックさんは、ナパーム弾を被ばく後、米国の非道さを訴えるベトナム政府のスポークスマンにさせられ、西ドイツでの治療、キューバへの留学、そしてカナダに亡命する。当時の歴史的背景とあわせて彼女の数奇な人生が叙述されており、興味深く読んだ。でも、物足りない。肝心のキム・フックさんの人間像が浮かびあがってこないのだ。そして、優れたノンフィクションにある「熱」がない。
  あとがきを読んで納得した。著者はマックス・ウェーバーやエーリッヒ・フロムを援用しながら、キム・フックさんは「国家という暴力装置から逃げた」と結論づけているのだ。概念過剰というか、概念先行というか・・・。「暴力装置」なんて表現、令和の時代に使う人がいることに驚く。国家を人間を抑圧する悪として描こうとする作為を感じ、フックさんの生涯は題材でしかないのかと思う。
  また、ウェーバーは官僚制批判、フロムは権威主義に服従する人間心理を指摘したのであり、この二人をフックさんと結びつけるのは牽強付会だろう。むしろ、冷戦の時代、それぞれの陣営にシンボルとして使われた、ということではないだろうか。そして、国家を暴力装置と言うなら、レーニンを引用すべきだろう。

  キム・フックさんの人生、そして人間性に深い共感をもって書いたというより、あらかじめ結論をもって他人の人生を叙述するというスタンスなので、人間像が浮かびあがってこないのでしょうね。ベトナム戦争の裏話を知るにはいいけど、人間を描くノンフィクションとしては今ひとつですね。
6人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート