ナチスドイツやヒトラーといえば、その人物像の特異性やホロコーストの残虐性などに注目されがちですが、この本は客観的な視点で解説、理解されていると思いました。
ヒトラーが如何にしてナチ党の独裁者になり得たのか、彼が何を考えていたのか、なぜドイツ国民が彼を支持したのかが、著者の私情を抜きにしてよくまとめられていると思います。
個人的には、「1冊でよくここまで簡潔にまとめられたなぁ(感服)」と思いました。
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ヒトラーとナチ・ドイツ (講談社現代新書) 新書 – 2015/6/18
石田 勇治
(著)
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ヒトラーは、どのようにして大衆の支持を得て独裁者となったのか。安楽死殺害やホロコーストはいかにして行われたのか。その歴史を知るための入門書であり、決定版の書。ナチ体制は、単なる暴力的な専制統治ではなく、多くの国民を受益者・担い手とする「合意独裁」をめざした。最新研究をふまえて、未曾有の悪夢の時代を描く。(講談社現代新書)
「人類の歴史における闇」ともいえる、ヒトラー政権時代。
その数々の疑問に、最新研究をふまえ、答える。
当時の歴史やその背景を知るための入門書であり、決定版の書。
・ヒトラーはいかにして国民を惹きつけ、独裁者に上りつめたのか?
・なぜ、文明国ドイツで、いつのまにか憲法は効力をなくし、議会制民主主義は葬り去られ、基本的人権も失われたのか?
・ドイツ社会の「ナチ化」とは何だったのか?
・当時の普通の人びとはどう思っていたのか?
・なぜ、国家による安楽死殺害や、ユダヤ人大虐殺「ホロコースト」は起きたのか?
「人類の歴史における闇」ともいえる、ヒトラー政権時代。
その数々の疑問に、最新研究をふまえ、答える。
当時の歴史やその背景を知るための入門書であり、決定版の書。
・ヒトラーはいかにして国民を惹きつけ、独裁者に上りつめたのか?
・なぜ、文明国ドイツで、いつのまにか憲法は効力をなくし、議会制民主主義は葬り去られ、基本的人権も失われたのか?
・ドイツ社会の「ナチ化」とは何だったのか?
・当時の普通の人びとはどう思っていたのか?
・なぜ、国家による安楽死殺害や、ユダヤ人大虐殺「ホロコースト」は起きたのか?
- 本の長さ368ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2015/6/18
- 寸法10.6 x 1.5 x 17.4 cm
- ISBN-10406288318X
- ISBN-13978-4062883184
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商品の説明
著者について
石田 勇治
1957年、京都市生まれ。東京外国語大学卒業、東京大学大学院社会学研究科(国際関係論)修士課程修了、マールブルク大学社会科学哲学部博士課程修了、Ph.D. 取得。現在、東京大学大学院総合文化研究科(地域文化研究専攻)教授。専門は、ドイツ近現代史、ジェノサイド研究。著書に『過去の克服――ヒトラー後のドイツ』『20世紀ドイツ史』(ともに白水社)、『図説 ドイツの歴史』(編著、河出書房新社)、『ジェノサイドと現代世界』(共編、勉誠出版)などがある。
1957年、京都市生まれ。東京外国語大学卒業、東京大学大学院社会学研究科(国際関係論)修士課程修了、マールブルク大学社会科学哲学部博士課程修了、Ph.D. 取得。現在、東京大学大学院総合文化研究科(地域文化研究専攻)教授。専門は、ドイツ近現代史、ジェノサイド研究。著書に『過去の克服――ヒトラー後のドイツ』『20世紀ドイツ史』(ともに白水社)、『図説 ドイツの歴史』(編著、河出書房新社)、『ジェノサイドと現代世界』(共編、勉誠出版)などがある。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2015/6/18)
- 発売日 : 2015/6/18
- 言語 : 日本語
- 新書 : 368ページ
- ISBN-10 : 406288318X
- ISBN-13 : 978-4062883184
- 寸法 : 10.6 x 1.5 x 17.4 cm
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- - 5位ドイツ・オーストリア史
- - 21位西洋史
- - 41位ヨーロッパ史一般の本
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2022年11月23日に日本でレビュー済み
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「なぜ文明国ドイツにヒトラー独裁政権が誕生したのか?」という副題がある。
類書はたくさん読んできたが、それらと比べて本書に特に新しい視点が提示されているわけではない。
本書の前に読んだ芝健介『ヒトラー:虚像の独裁者者』での大きな問いは、ホロコーストが無ければ、ヒトラーは偉大な政治指導者だったのか、だった。
そして、本書にはそれに関する興味深い記述がある。
第二次大戦後の1951年に西ドイツで意識調査が行われ、20世紀でドイツが最もうまくいっていたのはいつか、という質問がなされた。回答者の40%がナチ時代の前半(政権獲得から第二次大戦開戦まで)を挙げているのである。
が、しかし、言うまでもなく芝氏の著作も本書も、「ホロコーストがなければ」という仮定は成立しないと断じているし、ぼくも同感である。
ただし、ホロコーストは最初からヒトラーによって計画されていたのかと言えば、本書においても芝氏の著作でも否定されていし、おそらく現在の主流的な見解なのであろう。
本来はナチスによる「ユダヤ人問題の最終解決」とは、ユダヤ人のドイツからの一掃であった。
一掃とは追放が念頭に置かれていたし、実際にパレスチナの地とローデシアへの追放が計画されていた。
ところが、ローデシアへの追放はイギリスとの開戦によって、制海権が確保できず不可能になり、かつポーランド併合と対ソ戦によってナチスが対象とする東方ユダヤ人は400万人以上にのぼることになった。
そこで生み出された苦し紛れの対応策が、親衛隊(SS)のハイドリッヒによるホロコーストの政策化だったのだ。
これはナチスを擁護しているのではない。
そのレイシズムと反ユダヤ主義、人命軽視の価値観からは追放政策が行き詰まれば、抵抗なくホロコーストに進むことはいわば必然だったのである。
その根底には上記したレイシズムと反ユダヤ主義があったことは明らかだが、他面では政治的な無計画性も原因であったことが本書では明らかにされている。
ぼくなりにまとめ直せば、以下の点だ。
第一はヒトラーのカリスマ政治である。カリスマ政治とはマックス・ウェーバーの分類の一つだが、指導者の人格と資質、呪術的能力や英雄らしさ、精神や弁舌への人々の情緒的帰依によって成立する。
しかし、他方でカリスマに相応しい成果が得られなければ人心は容易に離れていってしまう。
このため、無謀と見える政策でも突き進まざるを得なくなるのである。
第二に、ヒトラーが得意とした分割して統治する、である。
これはナチス幹部や政府に対しても適用された。
その結果、閣議すら開かれなくなり、ナチスの幹部はヒトラーへの忖度競争となり、政府組組織や省庁間の連携がなくなる。
加えて、様々な組織がその都度新設されるために、ナチスの政府はジャングルのように見通しが悪いとされた。
そうした結果、人々の人気を得るための無謀な戦争政策が遂行され、全体計画が欠けているためにユダヤ人政策が行き詰まる。
そうした総体の結果としてホロコーストが強行された。
こうした考えは、近年のナチスドイツ関連の書籍を読むたびに補強されていくのである。
ところで、本書にはいくつかの用語の使用が気になった。
1つは、「生空間」である。
これは、類書では「生存圏」として訳語が定着している。
ドイツが勝手に自民族の生存のために必要なエリアを外国領土にまで拡張して設定し、それを根拠に東部侵攻を開始したわけだが、こういうニュアンスからは「生存圏」の方が適訳であるように思える。
それを敢えて「生空間」とした理由が分からないし、説明もない。
もう1つは「左翼反対派」である。
国際連盟の管理下に置かれていたザール地方にはナチスの弾圧を逃れた左翼反対派が多かったというような記述がある。
しかし、社会的歴史的用語としての「左翼反対派」とは、主流派(右派的である)に対する左側からの反主流派の意味で用いられ、歴史的にはスターリンの主流派に対するトロツキーの左翼反対派という文脈で使われる。
政府に対する左翼の反対派という使われ方は、普通ではありえない。
類書はたくさん読んできたが、それらと比べて本書に特に新しい視点が提示されているわけではない。
本書の前に読んだ芝健介『ヒトラー:虚像の独裁者者』での大きな問いは、ホロコーストが無ければ、ヒトラーは偉大な政治指導者だったのか、だった。
そして、本書にはそれに関する興味深い記述がある。
第二次大戦後の1951年に西ドイツで意識調査が行われ、20世紀でドイツが最もうまくいっていたのはいつか、という質問がなされた。回答者の40%がナチ時代の前半(政権獲得から第二次大戦開戦まで)を挙げているのである。
が、しかし、言うまでもなく芝氏の著作も本書も、「ホロコーストがなければ」という仮定は成立しないと断じているし、ぼくも同感である。
ただし、ホロコーストは最初からヒトラーによって計画されていたのかと言えば、本書においても芝氏の著作でも否定されていし、おそらく現在の主流的な見解なのであろう。
本来はナチスによる「ユダヤ人問題の最終解決」とは、ユダヤ人のドイツからの一掃であった。
一掃とは追放が念頭に置かれていたし、実際にパレスチナの地とローデシアへの追放が計画されていた。
ところが、ローデシアへの追放はイギリスとの開戦によって、制海権が確保できず不可能になり、かつポーランド併合と対ソ戦によってナチスが対象とする東方ユダヤ人は400万人以上にのぼることになった。
そこで生み出された苦し紛れの対応策が、親衛隊(SS)のハイドリッヒによるホロコーストの政策化だったのだ。
これはナチスを擁護しているのではない。
そのレイシズムと反ユダヤ主義、人命軽視の価値観からは追放政策が行き詰まれば、抵抗なくホロコーストに進むことはいわば必然だったのである。
その根底には上記したレイシズムと反ユダヤ主義があったことは明らかだが、他面では政治的な無計画性も原因であったことが本書では明らかにされている。
ぼくなりにまとめ直せば、以下の点だ。
第一はヒトラーのカリスマ政治である。カリスマ政治とはマックス・ウェーバーの分類の一つだが、指導者の人格と資質、呪術的能力や英雄らしさ、精神や弁舌への人々の情緒的帰依によって成立する。
しかし、他方でカリスマに相応しい成果が得られなければ人心は容易に離れていってしまう。
このため、無謀と見える政策でも突き進まざるを得なくなるのである。
第二に、ヒトラーが得意とした分割して統治する、である。
これはナチス幹部や政府に対しても適用された。
その結果、閣議すら開かれなくなり、ナチスの幹部はヒトラーへの忖度競争となり、政府組組織や省庁間の連携がなくなる。
加えて、様々な組織がその都度新設されるために、ナチスの政府はジャングルのように見通しが悪いとされた。
そうした結果、人々の人気を得るための無謀な戦争政策が遂行され、全体計画が欠けているためにユダヤ人政策が行き詰まる。
そうした総体の結果としてホロコーストが強行された。
こうした考えは、近年のナチスドイツ関連の書籍を読むたびに補強されていくのである。
ところで、本書にはいくつかの用語の使用が気になった。
1つは、「生空間」である。
これは、類書では「生存圏」として訳語が定着している。
ドイツが勝手に自民族の生存のために必要なエリアを外国領土にまで拡張して設定し、それを根拠に東部侵攻を開始したわけだが、こういうニュアンスからは「生存圏」の方が適訳であるように思える。
それを敢えて「生空間」とした理由が分からないし、説明もない。
もう1つは「左翼反対派」である。
国際連盟の管理下に置かれていたザール地方にはナチスの弾圧を逃れた左翼反対派が多かったというような記述がある。
しかし、社会的歴史的用語としての「左翼反対派」とは、主流派(右派的である)に対する左側からの反主流派の意味で用いられ、歴史的にはスターリンの主流派に対するトロツキーの左翼反対派という文脈で使われる。
政府に対する左翼の反対派という使われ方は、普通ではありえない。
2023年10月6日に日本でレビュー済み
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第一次大戦敗北後の政治活動に没入するヒトラーから始まり、ナチス政権獲得への道を綴る。
ヒトラーは演説で弱小政党の中で存在感を発揮してやがて党首に就任した。
当初は暴力路線で革命的に政権奪取しようと「ミュンヘン一揆」を起こしたが失敗。投獄されて出所後に方針転換して政党として選挙で政権を合法的に奪取することに。
但し、ライヴァルの共産党と社会民主党には突撃隊などの暴力行為で臨み本質は変わらない。首相任命直後は不安定だった政権を他党を弾圧して一党独裁体制にして民主主義を否定してからは戦争への道を只管に進むのだった。
政権獲得を目指してからは「自分たちに都合の良い情報しか流さない」プロパガンダを駆使して国民を操った。古参の同志であったレームが突撃隊を国防軍にしようとすると、国防軍と融和したいヒトラーはレームを粛清。その際に、今後のナチスに邪魔になりそうな人物数百人を合わせて殺害した。
仮にも政権のトップに立つ人間が「殺人者」となったのだが、レームは反乱を企んだとでっちあげられて、ヒトラーはそれを阻止したと大義名分を捏造して国民の支持を得た。
ヒトラーは「民主主義」をずっと馬鹿にしており、議会政治など自分たちの都合の良いことをするのに邪魔なだけだと思っていたので、独裁体制を敷くことしか望んでいなかった。
公務員や軍人などの官吏は国家でなく、ヒトラー個人に忠誠を誓うようにさせられ、ヒトラーの意思を忠実に実行する者だけが求められるようになった。重要なポストは次々とナチス党員に置き換えられていき、反対するものは仕事を失い追放か強制収容所送りになる。
部下たちはヒトラーに気に入られてより良いポストを得ることに夢中になり、これが部下同士の権力を巡る足の引っ張り合いに繋がり、戦争遂行の際にナチス崩壊の遠因にもなるのだが、ヒトラー自身は「自分に忠誠を誓わせる為に、こういった部下たちの行動を敢えて放置した」ので、組織が領土の拡大に伴って肥大化すると収拾が付かなくなった。
この本ではユダヤ人弾圧(ホロコースト)については記述が少ないが、反ユダヤ主義はヒトラーが唱えずとも少なくとも欧州では歴史的にずっと存在しており、彼はそれを政権獲得の際に煽って利用したのだが、周囲の人間も政敵たちも「民衆の人気を得ようと大げさに言っているだけ」くらいしか思っていなかったようだ。
それが、首相になると次々とユダヤ人から公民権を奪う法令を作って、ドイツの生存圏からユダヤ人を追放しようとする。しかし、戦争が始まるとユダヤ人がドイツの領土内に激増し、追放しようにも追放先に事欠くようになる。マダガスカル島への移住は船での大量輸送であり、制海権が取れない場合は現実的ではなかった。
ちょうど、ドイツ国内で障害者や精神異常者を合法的に殺害するプロジェクトを進めていて、その犠牲者だけでも数十万人に及んでいた。そこで得た手法や技術を転用してユダヤ人問題の最終的解決方法が「強制収容所での搾取・ガスによる大量殺害」へと帰結する。ここでも、ヒトラーに気に入られようとする部下たちが積極的に殺戮を推し進め、戦局が悪化しているにも関わらず戦争よりも優先されるように殺害が続けられたのだった。
ヒトラー時代は戦後のドイツ人には「少なくとも戦争開始前までは良い時代」と認識されることが多かった。それは第一次世界大戦で敗北して未曾有の危機に陥ったドイツが立ち直り、比較的安定して暮らせるようになった上り坂の時代を経験したからであろう。しかし、戦争が始まり戦局の悪化に伴いドイツ国内の大都市は次々と爆撃されて多くのドイツ人も住居を失い、犠牲者を出した。
政権の本質は「ヒトラー時代後半には既に露呈していた」。にもかかわらず、一部の人間を除く大多数は最後まで政権を支持し続けたのだ。それが今日まで多くのドイツ人が重い十字架を歴史に対して背負うこととなった原因でもある。
ヒトラーは演説で弱小政党の中で存在感を発揮してやがて党首に就任した。
当初は暴力路線で革命的に政権奪取しようと「ミュンヘン一揆」を起こしたが失敗。投獄されて出所後に方針転換して政党として選挙で政権を合法的に奪取することに。
但し、ライヴァルの共産党と社会民主党には突撃隊などの暴力行為で臨み本質は変わらない。首相任命直後は不安定だった政権を他党を弾圧して一党独裁体制にして民主主義を否定してからは戦争への道を只管に進むのだった。
政権獲得を目指してからは「自分たちに都合の良い情報しか流さない」プロパガンダを駆使して国民を操った。古参の同志であったレームが突撃隊を国防軍にしようとすると、国防軍と融和したいヒトラーはレームを粛清。その際に、今後のナチスに邪魔になりそうな人物数百人を合わせて殺害した。
仮にも政権のトップに立つ人間が「殺人者」となったのだが、レームは反乱を企んだとでっちあげられて、ヒトラーはそれを阻止したと大義名分を捏造して国民の支持を得た。
ヒトラーは「民主主義」をずっと馬鹿にしており、議会政治など自分たちの都合の良いことをするのに邪魔なだけだと思っていたので、独裁体制を敷くことしか望んでいなかった。
公務員や軍人などの官吏は国家でなく、ヒトラー個人に忠誠を誓うようにさせられ、ヒトラーの意思を忠実に実行する者だけが求められるようになった。重要なポストは次々とナチス党員に置き換えられていき、反対するものは仕事を失い追放か強制収容所送りになる。
部下たちはヒトラーに気に入られてより良いポストを得ることに夢中になり、これが部下同士の権力を巡る足の引っ張り合いに繋がり、戦争遂行の際にナチス崩壊の遠因にもなるのだが、ヒトラー自身は「自分に忠誠を誓わせる為に、こういった部下たちの行動を敢えて放置した」ので、組織が領土の拡大に伴って肥大化すると収拾が付かなくなった。
この本ではユダヤ人弾圧(ホロコースト)については記述が少ないが、反ユダヤ主義はヒトラーが唱えずとも少なくとも欧州では歴史的にずっと存在しており、彼はそれを政権獲得の際に煽って利用したのだが、周囲の人間も政敵たちも「民衆の人気を得ようと大げさに言っているだけ」くらいしか思っていなかったようだ。
それが、首相になると次々とユダヤ人から公民権を奪う法令を作って、ドイツの生存圏からユダヤ人を追放しようとする。しかし、戦争が始まるとユダヤ人がドイツの領土内に激増し、追放しようにも追放先に事欠くようになる。マダガスカル島への移住は船での大量輸送であり、制海権が取れない場合は現実的ではなかった。
ちょうど、ドイツ国内で障害者や精神異常者を合法的に殺害するプロジェクトを進めていて、その犠牲者だけでも数十万人に及んでいた。そこで得た手法や技術を転用してユダヤ人問題の最終的解決方法が「強制収容所での搾取・ガスによる大量殺害」へと帰結する。ここでも、ヒトラーに気に入られようとする部下たちが積極的に殺戮を推し進め、戦局が悪化しているにも関わらず戦争よりも優先されるように殺害が続けられたのだった。
ヒトラー時代は戦後のドイツ人には「少なくとも戦争開始前までは良い時代」と認識されることが多かった。それは第一次世界大戦で敗北して未曾有の危機に陥ったドイツが立ち直り、比較的安定して暮らせるようになった上り坂の時代を経験したからであろう。しかし、戦争が始まり戦局の悪化に伴いドイツ国内の大都市は次々と爆撃されて多くのドイツ人も住居を失い、犠牲者を出した。
政権の本質は「ヒトラー時代後半には既に露呈していた」。にもかかわらず、一部の人間を除く大多数は最後まで政権を支持し続けたのだ。それが今日まで多くのドイツ人が重い十字架を歴史に対して背負うこととなった原因でもある。
2022年11月27日に日本でレビュー済み
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ロシアのウクライナ侵攻を見てナチドイツを改めて知るために購入
大人になってから歴史を学ぶと得るものが多い
大人になってから歴史を学ぶと得るものが多い
2024年2月23日に日本でレビュー済み
ナチスに対する断罪が、なぜ、世界史上最も他国人を殺戮している米国にも向かないのか?
米国こそが、この世界から安定と平和を奪っているのは間違いない事実だ。
しかもその先頭には、多くのユダヤ人も関与している。
欧米のユダヤ人も、他の白人と同様、植民地時代から、搾取、殺戮、侵略、支配から、多くの利益を上げてきた。なぜ常に被害者であるかに、疑問は懐かないのだろうか?
何故欧米の、苛烈な植民地支配と侵略に言及し、断罪する学者はいないのか?
ナチスだけを断罪していれば、善なる学者で居られる時代は終わっているし、欧米人の善人面とそれにへつらう日本の学界にもヘキヘキする。
ともあれ本書は、今時珍しい、学者らしい丁寧な仕事であることには間違いない。
是非その正義感と緻密な仕事ぶりで、欧米断罪を繰り広げてほしい。
米国こそが、この世界から安定と平和を奪っているのは間違いない事実だ。
しかもその先頭には、多くのユダヤ人も関与している。
欧米のユダヤ人も、他の白人と同様、植民地時代から、搾取、殺戮、侵略、支配から、多くの利益を上げてきた。なぜ常に被害者であるかに、疑問は懐かないのだろうか?
何故欧米の、苛烈な植民地支配と侵略に言及し、断罪する学者はいないのか?
ナチスだけを断罪していれば、善なる学者で居られる時代は終わっているし、欧米人の善人面とそれにへつらう日本の学界にもヘキヘキする。
ともあれ本書は、今時珍しい、学者らしい丁寧な仕事であることには間違いない。
是非その正義感と緻密な仕事ぶりで、欧米断罪を繰り広げてほしい。
2023年4月25日に日本でレビュー済み
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ナチスドイツの入門書としては最適であるが、「国家社会主義ドイツ労働者党」を「国民社会主義ドイツ労働者」としているところに疑問を呈する。なぜ、国民と意訳するのか。「我が闘争」に始まる「国家社会主義」の翻訳は先人たちの努力によって、なされている。図書館の辞書を30冊以上見てみたが、すべて「国家社会主義ドイツ労働者党」となっていた。聖徳太子を厩戸皇子としたり、仁徳天皇陵を大山古墳としたり、どのような意図を持って変更しようとしているのかが、解りません。
個人的な意見として、このような動きには反対致します。
2023年卯月記す
個人的な意見として、このような動きには反対致します。
2023年卯月記す
2022年3月20日に日本でレビュー済み
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当時のドイツ国民が、ナチ党をどのように捉えていたのかが分かります。国民の心を掌握していく様子を、克明に描いた良書です。