映画『ある日どこかで』からの連鎖でこの作品にたどり着きました。とっつきは翻訳調に難渋
したのですが,読み進むうちどんどん引き込まれました。3年前,マンハッタンに数日滞在し,
地図を片手に歩き回ったので,もう一度その地図を取り出し,街の情景をあれこれと
思い浮かべながら読み進みました。(『鬼平』を読む時も『江戸切絵図』が座右です)
アン通り,ナッソー通りなどは観光地図には載っていないので,Google Mapを印刷しました。
古いモノクロの風景写真や肖像写真なども読者をノスタルジーに引き込む良い小道具にな
っています。古き良き時代のNY・・・目の前1メートルにその当時の人が座り,息遣いが聞こえた
ら,本当に顔や服装にじっと見入ってしまいますよね。
テレビもラジオもない下宿屋での暮らしってこんなだったのか。馬ソリで行きかう人々が声を
掛け合ったり,一緒に歌を歌ったり・・・情景を思い浮かべるだけで堪らなく胸が躍ります。
読後3日がたつのですが,ジュリアのことが忘れられません。僕の心は今の暮らしに対する多少
の未練と,100年前に戻って暮らす自信のなさの間で揺れ動いています。
それほど100年前に生きたジュリアは魅力的な女性に描かれています。
最後に一言・・・ダンジガー博士よりもルーブの奴をギャフンと言わせたかった。
上下とも古本で手に入れましたが大切に仕舞っておきます。きっとまた読み返すでしょう。
作品に出てくるオールステート保険会社と作者あとがきに名前の出るホーム保険会社。
どちらも,かつて日本に支店があり,その両方に僕は勤めていたことがあります。
偶然でしょうか。今はどちらの支店もありません。ビックリするやら懐かしいやら,
遠い思い出の彼方です。とてもすばらしい作品でお薦めします。
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ふりだしに戻る(上) (角川文庫 赤 フ 16-1) 文庫 – 1991/10/8
ニューヨーク暮らしにうんざりしていたサイモン・モーリーは、九十年前に投函された青い手紙に秘められた謎を解くため〈過去〉――一八八二年のニューヨークへ旅立つ。鬼才の幻のファンタジー・ロマン。
- 本の長さ348ページ
- 言語日本語
- 出版社KADOKAWA
- 発売日1991/10/8
- ISBN-104042735010
- ISBN-13978-4042735014
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登録情報
- 出版社 : KADOKAWA (1991/10/8)
- 発売日 : 1991/10/8
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 348ページ
- ISBN-10 : 4042735010
- ISBN-13 : 978-4042735014
- Amazon 売れ筋ランキング: - 488,865位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
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2009年2月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
1970年代に書かれた、タイムトラベル小説です。
舞台はニューヨークなので、少しわかりにくい描写もあると思いますが、全体的なテーマはわかりやすく、楽しむことができます。
タイムトラベルものにつきものの、「過去や未来への干渉」などもしっかり書かれています。
ラストシーンが秀逸で、誰かにしゃべりたくなります。
舞台はニューヨークなので、少しわかりにくい描写もあると思いますが、全体的なテーマはわかりやすく、楽しむことができます。
タイムトラベルものにつきものの、「過去や未来への干渉」などもしっかり書かれています。
ラストシーンが秀逸で、誰かにしゃべりたくなります。
2016年3月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
通勤電車の中で読むのに買いましたが、普通の作品です。キャパの小さい人には丁度良いかも知れません。
2008年4月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この書を求めたのは「ある日どこかで」の類書として挙げられていたから。しかし、最初の100ページくらいは苦痛だった。しかし、過去のマンハッタンの緻密な描写はどうだろう。どんどん引き込まれていった。だいぶん前にNYに住んでいた時の記憶から連想がふくらんでいった。この著者の、NY、しかも昔への強い愛情をしみじみと感じた。ジュリアを連れてきたことに対する悩みと決断には心震わされました。これこそが最大の愛だったのだなと。
2004年7月9日に日本でレビュー済み
空想癖のある私にとって、フィニィの世界は夢の世界だ。
彼の作品に繰り返し出てくるアイディア、その時代のものに囲まれ
その時代の暮らし方をしていれば、その時代に行ける、というのが
本当ならなあ・・・
フィニィとよく比較される広瀬正でさえ、時を越えるためには
タイムマシーンを用意した。広瀬があくまで理性的に、緻密に
正確に過去を再現し、タイムパラドックスも克服しようとした
のに対し、フィニィは郷愁と現実逃避という甘美な陶酔に浸って
いる。どちらも好きだが、甘美さという点ではフィニィが上か。
ともあれ、郷愁という感情を持つことのできるすべての人に
薦めることができる。前半はやや長く感じるかもしれないが、
途中からは一気に読めるだろう。ただ、惜しむらくは、訳をした
福島氏がニューヨークをよく知らなかったこと。訳自体は名訳だと
思う。でも、NYを愛するものにとっては、ちょっとした
固有名詞の間違いが興ざめになる(フラティロンビルは無いだろう)。
それでも、この本は私にとって最高のお気に入りの1つだ(広瀬
正のマイナスゼロやハインラインの夏への扉とともに)。
彼の作品に繰り返し出てくるアイディア、その時代のものに囲まれ
その時代の暮らし方をしていれば、その時代に行ける、というのが
本当ならなあ・・・
フィニィとよく比較される広瀬正でさえ、時を越えるためには
タイムマシーンを用意した。広瀬があくまで理性的に、緻密に
正確に過去を再現し、タイムパラドックスも克服しようとした
のに対し、フィニィは郷愁と現実逃避という甘美な陶酔に浸って
いる。どちらも好きだが、甘美さという点ではフィニィが上か。
ともあれ、郷愁という感情を持つことのできるすべての人に
薦めることができる。前半はやや長く感じるかもしれないが、
途中からは一気に読めるだろう。ただ、惜しむらくは、訳をした
福島氏がニューヨークをよく知らなかったこと。訳自体は名訳だと
思う。でも、NYを愛するものにとっては、ちょっとした
固有名詞の間違いが興ざめになる(フラティロンビルは無いだろう)。
それでも、この本は私にとって最高のお気に入りの1つだ(広瀬
正のマイナスゼロやハインラインの夏への扉とともに)。
2011年8月29日に日本でレビュー済み
主人公サイの語る街や人の描写が緻密で、その分展開が進まず、読んでいてじれったく感じることもありましたが、
その描写の長さも、描かれている時代のゆったりとした時間感覚を体験しているように思えてきます。
そのうちに主人公を介して語られた、当時の生き生きとした街や人間の様子を自分の頭の中でじっくりと
再現する作業が楽しくなってきました。当時の写真を提示しつつ、それに関連して話が進み、
色々な角度から当時を見せてもらうことで、次第に当時の様子が自分の中で現実感を帯びてきます。
ただなかなか単調な描写がつづくなあというところで、ふいにサスペンスを差し込んできますので
、その辺りでは頁をめくるのがとても速くなります。
話の筋や情景描写、謎の提示など、小説内でのそれらの配分があやういようでおもしろいです。
情景描写が長いと何度もいいましたが、サイがこの緻密な描写ができる観察眼を備えていたからこそ、
彼はこの物語の主人公たり得たのではないかとも思いました。
というのは、過去に干渉してはいけないという条件下で行われる観察者としてのタイムトラベル小説の
主人公としても(途中から積極的に干渉し始めますが)、謎を追うサスペンス小説の主人公としても、
彼のこの状況描写力は話の筋に必要だったように思うのです。(なので長い描写も必要のうちなのかと…)
他に全体としては、人間性や倫理、歴史観などについて考える契機もちりばめられています。
単純にアメリカンなノスタルジーを味わいたい方にもおすすめですし、また現代の殺伐とした
空気から逃走したい方には主人公の気持ちにめりめり入り込めます。共感し通しです。
なにより「ふりだしに戻る」というタイトルが何を指しているのかが気になれば、読んでみてほしいとおもいます。
その描写の長さも、描かれている時代のゆったりとした時間感覚を体験しているように思えてきます。
そのうちに主人公を介して語られた、当時の生き生きとした街や人間の様子を自分の頭の中でじっくりと
再現する作業が楽しくなってきました。当時の写真を提示しつつ、それに関連して話が進み、
色々な角度から当時を見せてもらうことで、次第に当時の様子が自分の中で現実感を帯びてきます。
ただなかなか単調な描写がつづくなあというところで、ふいにサスペンスを差し込んできますので
、その辺りでは頁をめくるのがとても速くなります。
話の筋や情景描写、謎の提示など、小説内でのそれらの配分があやういようでおもしろいです。
情景描写が長いと何度もいいましたが、サイがこの緻密な描写ができる観察眼を備えていたからこそ、
彼はこの物語の主人公たり得たのではないかとも思いました。
というのは、過去に干渉してはいけないという条件下で行われる観察者としてのタイムトラベル小説の
主人公としても(途中から積極的に干渉し始めますが)、謎を追うサスペンス小説の主人公としても、
彼のこの状況描写力は話の筋に必要だったように思うのです。(なので長い描写も必要のうちなのかと…)
他に全体としては、人間性や倫理、歴史観などについて考える契機もちりばめられています。
単純にアメリカンなノスタルジーを味わいたい方にもおすすめですし、また現代の殺伐とした
空気から逃走したい方には主人公の気持ちにめりめり入り込めます。共感し通しです。
なにより「ふりだしに戻る」というタイトルが何を指しているのかが気になれば、読んでみてほしいとおもいます。
2004年8月14日に日本でレビュー済み
平成8年4月20日(四版)の下巻の帯に「映画化決定! 監督ロバート・レッドフォード」
という記載があったので、楽しみにしているのですが未だに映画化されていないようですね。
この続編である「時の旅人」や「ゲイルズバーグの春を愛す」とともに、
”タイムスリップ+淡いラブストーリー”が好きな人にはお奨めの作品です。
「ある日どこかで [Somewher in Time]」が好きな人なら、多分ハマっちゃうと思いますよ。
という記載があったので、楽しみにしているのですが未だに映画化されていないようですね。
この続編である「時の旅人」や「ゲイルズバーグの春を愛す」とともに、
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「ある日どこかで [Somewher in Time]」が好きな人なら、多分ハマっちゃうと思いますよ。