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ははのれんあい 単行本 – 2021/1/28
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長男の智晴(ちはる)を産んだ由紀子は、優しい夫と義理の両親に囲まれ幸せな家庭を築くはずだった。しかし、双子の次男・三男が産まれた辺りから、次第にひずみが生じていく。死別、喧嘩、離婚。壊れかけた家族を救ったのは、幼い頃から母の奮闘と苦労を見守ってきた智晴だった。智晴は一家の大黒柱として、母と弟たちを支えながら懸命に生きていく。直木賞候補作『じっと手を見る』の著者が描く、心温まる感動の家族小説。
ひとつの家族の一代記みたいなものを書きたいと思ったのが最初のきっかけです。それも「普通の家族」ではなく、シングルマザー、離婚家庭など、そのときどきによって有機的に形を変えていく家族を書きたいと思いました。世間から見たら歪なものであっても、それでも「家族」なんだよ、どんな形をしていても「家族」としてどれも間違ってない、ということを伝えたかったです――窪美澄
- 本の長さ336ページ
- 言語日本語
- 出版社KADOKAWA
- 発売日2021/1/28
- 寸法13.7 x 2.2 x 19.5 cm
- ISBN-104041054915
- ISBN-13978-4041054918
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出版社より
レビュー
2020年12月22日
困難な状況やハードな家庭環境に押しつぶされることなく前へと進もうとする全ての人々への、エールと祝福の物語だ。
(評者:吉田伸子 / 書評家)
私は「おっぱいマシーン」かっ!
新生児の息子に授乳する日々が、一週間を過ぎたあたりだったか。なんだか自分の存在価値が授乳〝だけ〟に特化されたような気がして、心の中でそう叫んでしまったことを今でも覚えている。
新生児の一日は、寝る→(乳を)飲む→(尿や便を)出す、の無限ループ。新生児が人間の新米だとしたら、こちらは母の新米だ。手際の良さなど一ミリもなく、授乳にも時間がかかるし、おむつ替えにも時間がかかる。ようやく寝るまでに持ち込んだと思った直後に、また飲むが始まる、といった具合。
一ヶ月健診で外出するまで、私は一歩も家を出ないままだったし、その間はずっとパジャマのままだった。小さくて柔らかくて良い匂いがする赤ちゃんは可愛かったけれど、その可愛さと大変さは背中合わせだ。あの、一日が数時間くらいにしか感じられなかった嵐のような日々をなんとかかんとか乗り越えられたのは、私がたまたま運が良かっただけだ。
なので、本書に出てくる「はは」である由紀子が、出産後、息子・智晴の泣き声を「うるさいと思うたび、見えない誰かに責められているような気になった」というくだりには、駆け寄って、手をとりたくなる。そんな自分の気持ちに気づくことなく、隣で寝ている夫の智久に由紀子が「無性に腹がたって」、ガーゼを投げつけるくだりには、枕を投げてもいいよ、蹴飛ばして起こしてもいいよ、とさえ思う。
本書の第一部では、由紀子と智久の夫婦が、智晴という子どもを得て新たな家族を築き、さらにそこへ智晴に双子(!)の弟も加わるものの、智久の心が由紀子から離れ、別の女性に向かっていくまで、が描かれている。
智晴一人でも大変なのに、下の子が双子。想像を絶する育児の負担が、妻にのしかかっているというのに、何やってんの、智久、おい! と思ってしまうけれど、窪さんが巧いのは、そんな智久の、弱さ故の苦悩までをも、丁寧に描き出しているところだ。
第二部は、高校生になった智晴を中心に描かれる。由紀子は智久と離婚し、女手一つで三人の子どもを育てている。ばりばりと働く由紀子を、少しでもサポートするために、平日は智晴が双子の弟の母親がわりとなって、家事をこなしている。この智晴がすごくいいんですよ。父親の再婚相手の連れ子と同じクラス、という居心地の悪い日々を送りながらも、そのことで荒れたりすることもなく、父親に対する鬱屈した思いを抱えつつも、グレたり捻くれたりもしない。
そんな〝大人しくて良い子〟な智晴が、人知れず自分の複雑な家庭環境のことに悩むその姿は、もう、切ない、切ない。けれど、智晴はそのことを彼なりに乗り越えていく。成長していく。その意味では、第二部は智晴を主人公とした青春小説にもなっている。本書のタイトルは、「ははのれんあい」となっているが、力点が置かれているのは、自分も初めて恋をしたことで、「ははのれんあい」を受け止め、自分なりにそのことを消化し、さらに成長する智晴にある。
妻子を捨て、浮気相手のもとに走った父親に、ずっとわだかまりを感じていた智晴が、ひょんなきっかけで父の新しい家庭に踏み入ることになった時に、こんな風に思う。「人を好きになる、ってことは、知らず知らずのうちに台風に巻き込まれるような出来事だ」「だからといって、母と子どもたちから離れた父を百パーセント許せるわけでもない。けれど、父を許す、という自分は、果たして父よりも上の場所にいるのだろうか」
物語のラスト、保育園時代からの幼馴染である大地とともに、智晴は蓮の花の開花を目にする。「ちりん、と音がして次々に」開いていく蓮の蕾。池を埋めつくす満開の蓮は、智晴への祝福であり、エールである。そして、そのエールと祝福は、困難な状況やハードな家庭環境に押しつぶされることなく、前へと進もうとする全ての人々へのものでも、ある。
※「KADOKAWA文芸WEBマガジン カドブン」より転載
【あらすじ】
長男の智晴を産んだ由紀子は、優しい夫と義理の両親に囲まれ幸せな家庭を築くはずだった。
しかし、双子の次男・三男が産まれた辺りから、次第にひずみが生じていく。
死別、喧嘩、離婚。壊れかけた家族を救ったのは、幼い頃から母の奮闘と苦労を見守ってきた智晴だった。
智晴は一家の大黒柱として、母と弟たちを支えながら懸命に生きていく。
直木賞候補作『じっと手を見る』の著者が描く、心温まる感動の家族小説。
商品の説明
出版社からのコメント
目次
第一部
第一章 かぞくのはじまり
第二章 せかいのひろがり
第三章 ちはる、あにになる
第四章 かわっていくかぞく
第二部
第一章 ちはる、ははになる
第二章 ちはる、こいをしる
第三章 あたらしいかぞくのかたち
著者について
登録情報
- 出版社 : KADOKAWA (2021/1/28)
- 発売日 : 2021/1/28
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 336ページ
- ISBN-10 : 4041054915
- ISBN-13 : 978-4041054918
- 寸法 : 13.7 x 2.2 x 19.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 518,804位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 12,018位日本文学
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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それは”家族のかたち”だ。
第1部は母の視点より。
子育てと仕事と夫婦。
第2部は高1となった長男の視点より。
多感な青春期を懸命に。
”母さんだって、好きに生きてほしい”と。
”幸せになってほしいんだ”と。
きもちはあふれ出る。
でもこの恋愛感情をバグだの欠陥だのと否定していたら社会が、そして人生がひどく息苦しくなるのも事実かと。最近の風潮だと「まずは責任を果たせ、権利を主張するのはそれからだ」みたいな正論棒でぶん殴られる様な発想かもしれないが、人間が正しさばかりで生きて幸福になれるのだろうか?
さて、前置きが長くなってしまったけれども窪美澄の手になるこの長編小説はそういった窮屈な正論では排除される人間の弱さ・ダメさを人はどうやって受容していくのかといった家庭を追う物語となっている。
物語はある零細縫製工場を営む家に嫁いだ由紀子という若い女性が口数は多くないが夫の智久をはじめ、実直そのものといった感じの人々が揃った嫁ぎ先で裕福では無いが安定した暮らしを送っている場面から始まる。
妊娠中ながら出産予定日ギリギリまでミシンを踏んでいた由紀子だが、ある日仕事を終えて食事の支度をしている最中に破水、病院で帝王切開を受けて初めての出産を迎える事に。生まれた男の子に早速「智晴」と名付けた智久とこれから堅実な過程を築こうと決意する由紀子だったがその前に暗雲が立ち込める事に。
智久の実家の縫製工場が経営に行き詰まり一生の仕事にしようと思っていた仕事が失われ智久はタクシーの運転手に、由紀子はおっとりとした性格には向きそうにもない駅の売店に勤める事に。生まれてまもない智晴を保育園に預けて働きに出る事をあまりよく思っていないらしい智久は気がかりながら智晴の将来の為にと慣れない仕事に苦労しながら取り組む由紀子だったが、その二年後に何と今度は双子を出産。
更に大変になる由紀子の人生であったが、追い打ちをかけるかの如く智久に自分以外の女性の姿が見え隠れし始める……
……とまあ、のっけから「生きていくってまあ大変だわ」とゲンナリする様な展開がヒロインであり、まだ若く頼りない由紀子の身の上に降りかかっていく「おしん」の様な作品なのだけど由紀子の視点だけで物語が完結しないのがユニーク。
若い母親である由紀子が悪戦苦闘する第一部から、第一部ではまだ幼い長男の智晴が高校生に成長して語り手を引き継ぐ二部構成になっている点がこの作品の最大の特徴。タイトルを飾る「はは」が出産を経験した女性だけを意味するものではない事に気付かされる仕掛けになっている。
嫁ぎ先の商売がコケた事で頼りなかった由紀子が女の細腕で家族を支えようとする中で夫の智久が夜のお店で出会った東南アジア系の女性に入れ込んでしまう流れを表層的にとらえれば智久はどうしようもないダメ男かもしれない。
だが、この作品には基本的に「悪人」は登場しない事だけは申し上げておく。妻や幼い子供たちを放り出して女性に入れあげる事は社会的責任という観点からすれば言い訳ができないかもしれないが、一生続ける筈だった仕事を奪われ性格的に不向きな商売を強いられて、しかも妻が自分の稼ぎだけでは足りないとばかりに働きに出るとなれば「やってられない」という想いに囚われてしまう事を誰が責められようか?
人間には弱さがあるし、人生には思いもよらない落とし穴がある。「ちっちゃいプライドなんか捨てろ」「責任を果たせ」と外野の立場から言い募るのはまことに容易い。だが、そんな弱さを否定できるほどに世の中は立派な人間ばかりだろうか?
かくて築き上げた筈の家族は崩壊し、智久のダメさを受容できない由紀子は幼い子供三人を引き取ってシングルマザーとなるのだけど、この一度は人の弱さやダメさを受け入れられずに崩れた家族の再生が描かれるのが第二部となる。
当然ながら息子の智晴にとって母や自分たち兄弟を捨てた智久は受け入れがたい「憎き父」なのだけど、面白いのは智久が入れ込んだ女性やその連れ子で高校ではクラスメイトになってしまったシリラットが読者の目には「どう見ても悪人ではない」と映るように描かれている部分。
むしろ智晴が彼らを責めるほどに「それはどこか狭量なのではなかろうか?」という疑問が読者の胸の内に湧いてきてしまうのである。つまり「正しさ」に揺れが生じてくるのだから堪らない。同時にこの「正しさ」は智晴や子供たちを育てる為に「強い母」にならざるを得なかった由紀子の人生を縛り付ける鎖になっている事も描かれる。
高校生ながら弟たちの世話を、それも父親不在で不安定さを抱えた精神的な部分でのケアも含めて果たし、仕事に追われる母親に代わって家事をこなし、果ては認知症が進みつつある祖父の面倒まで見る羽目に……要するに最近話題の「ヤングケアラー」に近い立場に智晴が追い込まれている状況が第二部を通じて描かれるのだからますます「正しさ」やら「責任」といったものが揺らいでくる。
そして智晴や由紀子もまたかつて人間の欠陥でありバグとして責めた「恋愛」に振り回される。正しいばかりで、責任を果たすばかりで人は幸せになれるのか?家族の一員として果たすべき役割に埋没するばかりで「自分自身の幸せ」というものはどこに行ってしまうのか……そんな疑念が湧いてくるように読者を導くストーリー展開は作者の手腕に「さすが」と唸らざるを得ない。
その意味で本作は智晴自身が「恋愛」という人間の弱さに振り回される事で父を許し、そして何より自分たちを育てる為に自分自身を何よりも後回しにしてきた由紀子に「自分自身の人生」を取り戻させる意味に辿り着く……弱さ・ダメさを含めた人の生の在り様を受容するまでを追った物語であったと言えるかも知れない。
つまり「正しさ」ばかりが大手を振るっている時代だからこそ本当に「『正しい』ってのは本当に正しいのか?」と立ち止まって考えさせられる作品なんである。
ただ、一点だけ気になったのは第二部の智晴が随分と子供っぽい人物造形になっていた点かと。あれこれ年に見合わぬ責任を背負わされたにしては随分とこう「年相応」というか幼さを感じさせる点はちょっと疑問。もう少しこうヒネた感じに仕立て上げた方が自然に感じられたかもしれない。
ともあれ、親子二代にわたって「正しさ」やら「責任」に縛られていた母と息子が自分自身の生き方を、幸福を取り戻していく本作のストーリーはまことに救われた思いにさせてくれたのは間違いない。息苦しい時代だからこそ本作の様な解放の物語が受け入れられる余地があるのじゃなかろうかと愚考した次第。
自分の意見をまともに主張したことがない由紀子が、母になって強くなった、というのはわかるのですが、
会社でバリバリ管理職、というのが、唐突で説得力に欠けます
それから、中学生の双子たちもあまりに類型的なように思いました。
中学生ってもっともやもやして、わかりにくいものなはずなのに、この双子たちの描写が分かりやすく子供っぽ過ぎるように感じます。
多分この作家のものは買わないだろうし、この本も自分の書棚には残さないと思います
ただ、離婚後の家族がどうなるのかということを正面から描いた小説は意外に少ないので、本作の価値や面白さはそこにあると私は思う。
本書を通じて作者の言いたいことは最後の章のタイトル「あたらしいかぞくのかたち」に凝縮されている。離婚は失敗じゃない、その後が大事だよという応援歌でもある。
どちらかというと、長男の人生が印象に残る。
嫁ぎ先の家業が傾き、旦那の不倫、義母の他界などを得て、人生が変わっていく中で長男の存在が一家を支えていく。
子供を大学に行かせることが夢で頑張る母の姿など展開は比較的ありがちではあるのだけど、それでも先の展開が気になる構成。
ラストにかけてはもっと意外性が欲しかったけど、無難な着地でもうちょっと違った展開を期待してしまった。
酷い悪者が出てくる訳でもないし、悪意に刺される訳でもないのに落着かないのは何でだろう?
読了後気付く。…自分は「いつの時代の話なのか」がはっきりしてないと読みにくいらしい…
紙おむつが出始めてて、でもまだ布おむつも当り前の時代で、ん?でも看護「師」だし…それでもってキャバクラだし…ちはるの時代になっても携帯もスマホも出て来ないし、ンでも女の子がプリクラ取りたがる頃で…的な事を、読む傍ら無意識に脳内で展開させていたらしい…
窪氏の小説はあまり読んだ事がないので分からないが「普遍的にする為にあえてぼかす」手法の作家さんなのかな?
↑だとしたら、そこを始めに知っておいた方が心置きなく楽しめた気がした
窪美澄さんの本を読みはじめると夜更かししてしまいます。
この作品は結婚するまで流されてきた女性が母になってから逞しく働き/成長した子供の視点から葛藤/家族のかたちが描かれた作品で、恋愛の泥々した感情は薄めですが、20代後半の人にとって/特に女性は、ロールモデルのヒントになるのではないかと思いました。
育った環境に違和感のない人やステップファミリーの当事者でない人だと共感できないこともあるかもしれませんが、家族のかたちや境遇は、許さないまま生きるより受け入れて自分の人生を生きるという、これからの社会に必要なことも詰まっていると感じました。