物流危機、具体的には「ヤマト・ショック」で露になったトラック業界の深刻な人手不足を「規制緩和と過当競争、運賃の低下と労働条件の低下、働く者の権利よりも荷主や利用者の都合が優先される商慣行などから(p.230)」論じる。
丹念な調査と分析をもとに、著者が提言するのは、「働くことに関わるルールづくりを先行させ」「賃金を上昇させることで価格を引き上げていく(p.218)」ことであり、そのルール化の「主体として労働組合を位置づけ(p.220)」ることである。
物流という世界に無知だったので、著者の示す問題の構図にせよ、個別的・具体的な実態や事例や行政の動きにせよ、初めて知ることが多かった。勉強になる。
はたしてヤマト運輸の労使が成功したような改革が運輸業界全体で可能か疑問なしとしないが、それでも著者の分析と提言はリーズナブルに思える(少なくとも市場に委ねておけば問題は解決するということはあり得ない)。
さて、実は、私は本書を「送料無料」の大手通販業者で購入し「即日配達」してもらった。
それゆえ「働く者の権利よりも、顧客や消費者のニーズを優先してきたのは、企業や使用者だけではなく、私たち消費者も同じだ」「長時間労働や過労死などの労働問題は、消費者である私たちも関わり、加担して、生み出されている(p.225)」という著者の指摘は胸に刺さる。
もっとも、著者は「労使関係の研究者(p.vii)」ゆえか、その消費者の意識については、問題の指摘にとどめている。消費者の意識改革にはまた別の検討と提言が必要ということだろう。
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物流危機は終わらない――暮らしを支える労働のゆくえ (岩波新書) 新書 – 2018/12/21
首藤 若菜
(著)
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ネット通販時代のインフラと化した宅配が止まる? ヤマトショックは物流危機を顕在化させた。その真の原因は、物流現場の労働問題にあった! トラックドライバーの過酷な現実と様々な統計調査から、現代日本が直面した危機の実態を明らかにする。社会を維持するコストを負担するのは誰なのかを真剣に議論するときが来た。
- 本の長さ240ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2018/12/21
- ISBN-104004317533
- ISBN-13978-4004317531
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登録情報
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- 発売日 : 2018/12/21
- 言語 : 日本語
- 新書 : 240ページ
- ISBN-10 : 4004317533
- ISBN-13 : 978-4004317531
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-
トップレビュー
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2022年6月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
労務の専門家から見た視点の本です。もっと革新的な提言が欲しかった。
2020年9月12日に日本でレビュー済み
2020年77冊目/9月5冊目/『物流危機は終わらない――暮らしを支える労働のゆくえ』(岩波新書)/首藤 若菜/P.240/2018年/★3.5 #読了 #読了2020
本書の目的は、労働の観点から物流危機の原因を明らかにすること。野菜を買うときに、生産者の顔を思い浮かべる人はいても、運んだ人を気にする人は少ないだろう。今や物流は、日本の成長になくてはならない産業にも関わらず、コストのしわ寄せが物流人件費にいくことで、ドライバーが集まらない矛盾が生じている。ここに国が介入することは仕方ない。消費者の受け取りからも柔軟になり認知も得てきたし、ドライバーの働き方を考慮する空気も出てきた。この危機は、荷主、消費者、運輸業者が全方位的に向き合わないと解決しないと感じた。
本書の目的は、労働の観点から物流危機の原因を明らかにすること。野菜を買うときに、生産者の顔を思い浮かべる人はいても、運んだ人を気にする人は少ないだろう。今や物流は、日本の成長になくてはならない産業にも関わらず、コストのしわ寄せが物流人件費にいくことで、ドライバーが集まらない矛盾が生じている。ここに国が介入することは仕方ない。消費者の受け取りからも柔軟になり認知も得てきたし、ドライバーの働き方を考慮する空気も出てきた。この危機は、荷主、消費者、運輸業者が全方位的に向き合わないと解決しないと感じた。
2019年3月12日に日本でレビュー済み
この本は数々の今日本一の経済学者東洋大教授の名著を読んだ後でそれが、現実的に今の日本での現状を知る真の良書である。単になにも知らず竹中氏を批判しては失礼です。
話題を変えます。正直言って竹中平蔵氏の今の日本の経済学では、物流や人材の確保はたとえ外人の力を借りても難しい。理由は今はネットで日本人が何が困ってるかを英語圏の日本人の他はみな知っているから。理論は正しい理論ですが数学理論はあくまで画面上のデータの移動にすぎない。竹中氏は様々な会議で市場に自由にというが道路交通は世界で、どの国でもルールある。日本の道交法は厳しいが信用と安心と安全というルールだ。それを基本に市場経済活動をした方が全体の富は増加する。アダムスミスのお考えだ。
話をまとめます。動力源は今でもモーターかエンジンの二つしかない。あとは燃料と構造をどうするかだ。これを基本に世界も日本も陸上交通は動く。実は空と海も陸と同じだ。
みなさんも規制改革の有無より事故犯罪テロ戦争災害などの時は、経済活動など力の行使にあい文無しにみなさんなるだけです。ネットのやりすぎです竹中平蔵氏も他の方々も。この本を読んでどうするのかのレビューを頼みます。基本は他に補給戦という中公文庫の名著があります。著者にも役立つ本です。
長い文章で失礼しました。
話題を変えます。正直言って竹中平蔵氏の今の日本の経済学では、物流や人材の確保はたとえ外人の力を借りても難しい。理由は今はネットで日本人が何が困ってるかを英語圏の日本人の他はみな知っているから。理論は正しい理論ですが数学理論はあくまで画面上のデータの移動にすぎない。竹中氏は様々な会議で市場に自由にというが道路交通は世界で、どの国でもルールある。日本の道交法は厳しいが信用と安心と安全というルールだ。それを基本に市場経済活動をした方が全体の富は増加する。アダムスミスのお考えだ。
話をまとめます。動力源は今でもモーターかエンジンの二つしかない。あとは燃料と構造をどうするかだ。これを基本に世界も日本も陸上交通は動く。実は空と海も陸と同じだ。
みなさんも規制改革の有無より事故犯罪テロ戦争災害などの時は、経済活動など力の行使にあい文無しにみなさんなるだけです。ネットのやりすぎです竹中平蔵氏も他の方々も。この本を読んでどうするのかのレビューを頼みます。基本は他に補給戦という中公文庫の名著があります。著者にも役立つ本です。
長い文章で失礼しました。
2023年6月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
物流業界の現状や取り組みについて、もっとよく調べてから書かれるべき本であると思う。全体的に業界の実情をよく理解していない段階で思い込みや先入観がかなり入っているように感じた。
2019年2月1日に日本でレビュー済み
読み応えありだが、一般人の自分にはちょっと濃すぎたかも。
2019年1月25日に日本でレビュー済み
著者によると、物流危機の直接の原因は、ドライバーの低賃金にあり、その根本原因は、運賃等(輸送費、積み込み積み替え積み下ろし費、待機費、その他付帯業務を含む)の異常な低さにある。そして、そのような低運賃構造を生み出した原因は、長年の政府による規制緩和(特に小泉改革)と監視の意識的怠慢にある。さらにそのような低運賃構造が経済界から要請される理由は、またしても「大企業に利権の管理人であるキャリア官僚社員はいるが、本当の経営者がいない」日本のキャリア制度にある。
すなわち、財界人としては、「経営」というものがいないので、日本全体を低賃金にしないと、国際競争力を得られないので、何としても低賃金構造を維持したいのである。その結果、国内市場が小さくなり、以前は、洪水のような輸出で米国と摩擦を起こし、1990年以降は、ますます国内市場が縮小を繰り返し、デフレ状態が続いているのである。
このような悪循環を断ち切るには、最低賃金を欧米並みに上げてやればよいのだが、そうすると経営できないキャリア官僚社員は退場することになるが、彼らは現在の財界の支配者であるから、そのような改革を許すはずはなく、単純労働の外国人を大量に導入して最低賃金構造の維持に走って、日本の美徳をすべてぶち壊す暴挙に出ることは火を見るよりも明らかである(すでに始まっていますよね)。
したがって、このような日本国民にとって最悪の事態を避けるためには、大企業をすべて持ち株会社化して、キャリア官僚社員をその取り締まり役とすることによりその利権を確保したうえで、その傘下の実企業に本当の経営者(高額報酬の契約経営者)を導入する「Jリーグ方式」を採用するしかないであろう。
すなわち、財界人としては、「経営」というものがいないので、日本全体を低賃金にしないと、国際競争力を得られないので、何としても低賃金構造を維持したいのである。その結果、国内市場が小さくなり、以前は、洪水のような輸出で米国と摩擦を起こし、1990年以降は、ますます国内市場が縮小を繰り返し、デフレ状態が続いているのである。
このような悪循環を断ち切るには、最低賃金を欧米並みに上げてやればよいのだが、そうすると経営できないキャリア官僚社員は退場することになるが、彼らは現在の財界の支配者であるから、そのような改革を許すはずはなく、単純労働の外国人を大量に導入して最低賃金構造の維持に走って、日本の美徳をすべてぶち壊す暴挙に出ることは火を見るよりも明らかである(すでに始まっていますよね)。
したがって、このような日本国民にとって最悪の事態を避けるためには、大企業をすべて持ち株会社化して、キャリア官僚社員をその取り締まり役とすることによりその利権を確保したうえで、その傘下の実企業に本当の経営者(高額報酬の契約経営者)を導入する「Jリーグ方式」を採用するしかないであろう。
2019年3月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「物流危機は終わらない」というオシャレなタイトルでありますが、中身はトラック運送の労働現場を解説しているだけです。
特に、物流危機の発端となったヤマト運輸の労働現場を取り上げて、実際にどのような作業手順になっているのか、どのような指示体系になっているのか、現場ではどのようにハンドリングされているのかを詳述しています。
トラックドライバーの高齢化、規制緩和による運送会社の過当競争化といった運輸業を取り巻く事業環境も取り上げられています。
トラック運送事業のことをあまり知らない人からすれば、どのような現場環境なのか、どのような事業環境になっているのかをよく理解できる内容だと思います。
ただ、一方で、「トラック運送以外の物流」にはほとんど触れられていません。
労働現場の解説ばかりで、物流ビジネスの要諦がわかるわけではありません。
サブタイトルは「暮らしを支える労働のゆくえ」となっていますが、要は、トラック運送業の労働現場の解説本だと認識して、購入するのだとすれば、それなりに価値があると思います。
物流危機の全体像や将来展望を俯瞰的に理解したいと考えるのであれば、大いに期待を裏切られる内容かと。。。。。
特に、物流危機の発端となったヤマト運輸の労働現場を取り上げて、実際にどのような作業手順になっているのか、どのような指示体系になっているのか、現場ではどのようにハンドリングされているのかを詳述しています。
トラックドライバーの高齢化、規制緩和による運送会社の過当競争化といった運輸業を取り巻く事業環境も取り上げられています。
トラック運送事業のことをあまり知らない人からすれば、どのような現場環境なのか、どのような事業環境になっているのかをよく理解できる内容だと思います。
ただ、一方で、「トラック運送以外の物流」にはほとんど触れられていません。
労働現場の解説ばかりで、物流ビジネスの要諦がわかるわけではありません。
サブタイトルは「暮らしを支える労働のゆくえ」となっていますが、要は、トラック運送業の労働現場の解説本だと認識して、購入するのだとすれば、それなりに価値があると思います。
物流危機の全体像や将来展望を俯瞰的に理解したいと考えるのであれば、大いに期待を裏切られる内容かと。。。。。