概要は、詳細な解説と訳注に過不足なく尽くされている。絶好のモリス入門文献たる。
このロマンの裏鏡像が、P.K.ディックの機械破壊使徒の物語であったり、「パーキー・パット」シリーズだったりするのだろうと直感した。『北斗の拳』のその後に、この世界が現れるだろうか。残響は21世紀の問題意識にまで後をひいている。
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ユートピアだより (岩波文庫) 文庫 – 2013/8/21
目覚めると、そこは22世紀のロンドン――緑したたり、水は澄み、革命ののち人々が選びとった「仕事が喜びで、喜びが仕事になっているくらし」に、驚き戸惑いつつ触れてゆく「わたし」。社会主義者にして美術工芸家モリス(1834―96)のあらゆる実践と批判、理想と希望が紡ぎ出す物語。清新な訳文に、豊富な訳注を付す。(新訳)
- 本の長さ496ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2013/8/21
- 寸法10.5 x 1.9 x 15 cm
- ISBN-104003590317
- ISBN-13978-4003590317
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2013/8/21)
- 発売日 : 2013/8/21
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 496ページ
- ISBN-10 : 4003590317
- ISBN-13 : 978-4003590317
- 寸法 : 10.5 x 1.9 x 15 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 495,241位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2019年9月15日に日本でレビュー済み
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2017年6月19日に日本でレビュー済み
ユートピアは、社会ファシストの定義によれば「単純再生産」が可能な社会である。
つまり、剰余利益を生まないで「労働のための労働」が存在できるので、人々は働きたいときに働くことで、その必要を満たすことができる。目的なくボートに乗ったり、畑を耕したり、歴史について学んだりする。ボートに乗ったり、畑を耕したり、歴史について学ぶこと自体の具体的使用価値がそのまま肯定される。
この小説のラストは、いわゆる夢オチで、モリスがユートピア=原子共産制を現代的に取り戻すことができないと考えていることが、ユートピアをノスタルジーの一種として理解させる。
つまり、剰余利益を生まないで「労働のための労働」が存在できるので、人々は働きたいときに働くことで、その必要を満たすことができる。目的なくボートに乗ったり、畑を耕したり、歴史について学んだりする。ボートに乗ったり、畑を耕したり、歴史について学ぶこと自体の具体的使用価値がそのまま肯定される。
この小説のラストは、いわゆる夢オチで、モリスがユートピア=原子共産制を現代的に取り戻すことができないと考えていることが、ユートピアをノスタルジーの一種として理解させる。
2013年12月2日に日本でレビュー済み
アーツ&クラフト運動を起こしたことで名高い、芸術家のモリスが書いたユートピア論。
モリスが理想としていた、社会主義が実現したユートピアを描いている。
しかし、マルクスの社会主義というよりは、芸術家のモリスらしく、
その暮らしの中では、生活と芸術が一体となっているのが、他のユートピアとの大きな違い。
ところどころに見られる、ロンドン郊外の美しい農村風景の描写が美しい。
モリスが理想としていた、社会主義が実現したユートピアを描いている。
しかし、マルクスの社会主義というよりは、芸術家のモリスらしく、
その暮らしの中では、生活と芸術が一体となっているのが、他のユートピアとの大きな違い。
ところどころに見られる、ロンドン郊外の美しい農村風景の描写が美しい。
2019年12月8日に日本でレビュー済み
ドバイの紀伊国屋で岩波文庫が80%オフだった。本書は約500円(日本定価は1140円、80%オフでも高い)。店がオープンした当時に日本から適当に仕入れた岩波文庫のなかでの売れ残りだったのだろう。見たことのないようなタイトルばかりだったので、こちら(アマゾン)でレビューも参考にして本書を購入。
19世紀からタイムスリップしたおっさんが、争いやお金どころか、怠惰という概念がないユートピアでの数日について、一人称で語っていくストーリー。発売も19世紀。どういう風に昔の読者は読んだのだろう。社会主義や共産主義という匂いも少し香ってくる本書(すいません、浅学なので本当のところは100ページくらいある巻末の注釈を参照)。昔の古典にありがちの主人公や登場人物をとおして独白させるところとかは、所々きらっとした概念(”昔は怠惰という遺伝性精神病があった”)とか言わせるんだけど、なにせ元の文か、翻訳なのか文章が自然ではない、物語と見せかけのプロバガンダという気もした。
主人公がタイムスリップして行った時代はどうやら21世紀初頭と解釈した。この時代に住む我々は依然として貧困と戦争が存在し、生活の質も、なによりも精神的な豊かさも、本書が見せる白痴のようなユートピアとは大きな隔たりがあり、どーにも吸い込まれなかった。ただ、19世紀にかえってきた主人公に向けて、最後の終わり文が美しい。
19世紀からタイムスリップしたおっさんが、争いやお金どころか、怠惰という概念がないユートピアでの数日について、一人称で語っていくストーリー。発売も19世紀。どういう風に昔の読者は読んだのだろう。社会主義や共産主義という匂いも少し香ってくる本書(すいません、浅学なので本当のところは100ページくらいある巻末の注釈を参照)。昔の古典にありがちの主人公や登場人物をとおして独白させるところとかは、所々きらっとした概念(”昔は怠惰という遺伝性精神病があった”)とか言わせるんだけど、なにせ元の文か、翻訳なのか文章が自然ではない、物語と見せかけのプロバガンダという気もした。
主人公がタイムスリップして行った時代はどうやら21世紀初頭と解釈した。この時代に住む我々は依然として貧困と戦争が存在し、生活の質も、なによりも精神的な豊かさも、本書が見せる白痴のようなユートピアとは大きな隔たりがあり、どーにも吸い込まれなかった。ただ、19世紀にかえってきた主人公に向けて、最後の終わり文が美しい。