このシリーズでいえることは、いわゆる学校で習う歴史ではその時代をきちんと捉えることができないということだ。だいたい教科書に載っているのは政治的な動きと文化的な動きだけで、それでは時代をきちんと俯瞰して見ることができない。
この「経済で読み解く日本史 3 江戸時代」ではそれがよく解る。
冒頭にも書いてあるんだが、ぼくたちの抱いている江戸時代というのは、水戸黄門や暴れん坊将軍なんかの TV ドラマで描かれていたイメージが強いはずだ。絶対権力として幕府があり、一般庶民、この本では百姓と表現されているんだが、虐げられていて、貧しく、その背後で甘い汁を吸う越後屋がいるというのがお約束だ。
でも、まったく違う。
というか、それをぼくはこの本を読んではじめて知った。
井沢元彦氏の「逆説の日本史」のファンでもあるんだが、とても斬新にその時代を解説しているこのシリーズでも経済を背景としてその時代を読むということはやっていない。だからなのか江戸時代が経済的に見たらどういう時代だったのかということについて、ぼくは正確に知らなかったことがよく解った。
いままでは武士の時代という括りで見ていたんだけど、それだとじつは明治時代との繋がりがはっきりしない。なぜ明治時代に国際社会の一員になれたのかというと、じつはこの江戸時代に世界をリードするような資本主義が発展していたからだったのだ。
いや〜、江戸の人たちで凄かったんだね。
もちろん、それを創りあげたのはこの本で書かれている武士以外の「百姓」の人たちだ。じつに伸びやかで、賑やかで、文化的にも華々しい時代を築き上げていたのだ。
根本的にぼくが理解できていなかったのが、なぜに幕府は財政に苦しんでいたのかということだったんだが、それがこの本で納得できた。簡単にいえばマクロ政策がきちんとできなかったからなのだ。
それはなにか?
通貨を自由に発行することができないというところがポイントだ。この時代にはいわゆる金貨・銀貨を幕府が鋳造して流通させるようになっている。しかし、国内の金山と銀山は三代家光の頃には掘り尽くされ、新たに発行できなくなっちゃったのである。
通貨の流通が市場から減るとデフレになる。
この時代はさまざまなものの生産性が上がり、ものが溢れるようになる。するとそれに見合った通貨の流通が必要になるんだが、これが制限されちゃっているので、結果として財政が逼迫してしまうのだ。だって幕府の金庫にはお金がないだもんってことだ。
まぁ、この時代は経済理論なんてこと確立されているわけじゃないんだけど、それでもこの苦難を乗り切った人たちがいる。
そういう人たちはなにをしたのかというと、通貨の改鋳だ。金や銀の含有量をコントロールして、結果として通貨量を増やすということだ。教科書にはこれは悪策として書かれていたと思うけど、とんでもない。とても有効なマクロ対策だったわけだ。
今風にいえば通貨発行益・シニョリッジだね。というか、今回、日本がおこなった国債発行による通貨の調達と同じことだ。
これで乗り切ったの将軍ひとりが暴れん坊将軍だったりする。
でも哀しいかな、この理論を理解している人たちは少なく、この施政のあとには引き締め政策、いわゆる贅沢禁止令が発せられて、時代はまたデフレに逆戻りするということを繰り返したのがこの江戸時代でもあったわけだ。
あとは各藩の財政がなにゆえに逼迫して、もう幕末の頃には日本全体財政破綻藩だらけの状態になっていて、それがどうなったのかということについてもきちんと書いてある。
いや〜、経済という側面で時代を読むと、また新しい姿を見つけることができるということがこれでよく解る。
さて、つぎは明治時代だね。日本は国際化をどうやって果たしたのか、いまから楽しみだ。
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経済で読み解く日本史3 江戸時代 文庫 – 2019/5/24
上念 司
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教科書が教えない「経済の掟」が歴史を作った!
お金の流れが物語る、
まったく新しい視点の日本通史。
文庫版で5冊同時発売!
江戸時代、経済の主導権を握ったのは名もなき一般庶民だった。
幕府の経済政策が「財政規律派」と「成長重視派」に入れ替わることで起きていた好不況の波。
ビジネスチャンスを求める人々は次々とイノベーションを起こし、民需による経済発展はやがて幕藩体制を崩壊へ導く。
〇世界に冠たる金融・物流・市場・保険システム
〇なぜ幕府や藩はいつも財政難なのか br>〇「貧農史観」「貴穀賤金」の本質的な誤り
〇百姓や商人が豊かになり、武士が窮乏化した理由
〇著しい経済成長で幕藩体制が倒れ、維新が起きた
〇「経済力」の使い方を知らなかった徳川幕府の敗北
<目次より><; br>第一部 飛躍的に発展していた江戸時代の経済
1章 「貧農史観」を捨てよ!
2章 なぜ江戸幕府はいつも「財政難」なのか
第二部 資本主義を実践していた「大名」と「百姓」
3章 大名と百姓のビジネス
4章 借金苦に喘ぐ大名、アイデアに溢れる商人
第三部 なぜ江戸幕府は〝倒産〟したのか br> 5章 「民間の活力」を生かせなかった江戸幕府
6章 明治維新の原動力となった江戸の蓄積
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江戸時代、経済の主導権を握ったのは名もなき一般庶民だった。
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〇世界に冠たる金融・物流・市場・保険システム
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〇百姓や商人が豊かになり、武士が窮乏化した理由
〇著しい経済成長で幕藩体制が倒れ、維新が起きた
〇「経済力」の使い方を知らなかった徳川幕府の敗北
<目次より><; br>第一部 飛躍的に発展していた江戸時代の経済
1章 「貧農史観」を捨てよ!
2章 なぜ江戸幕府はいつも「財政難」なのか
第二部 資本主義を実践していた「大名」と「百姓」
3章 大名と百姓のビジネス
4章 借金苦に喘ぐ大名、アイデアに溢れる商人
第三部 なぜ江戸幕府は〝倒産〟したのか br> 5章 「民間の活力」を生かせなかった江戸幕府
6章 明治維新の原動力となった江戸の蓄積
- 本の長さ280ページ
- 言語日本語
- 出版社飛鳥新社
- 発売日2019/5/24
- 寸法10.8 x 1.5 x 15 cm
- ISBN-104864106924
- ISBN-13978-4864106924
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登録情報
- 出版社 : 飛鳥新社; 文庫版 (2019/5/24)
- 発売日 : 2019/5/24
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 280ページ
- ISBN-10 : 4864106924
- ISBN-13 : 978-4864106924
- 寸法 : 10.8 x 1.5 x 15 cm
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著者について
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1969年、東京都生まれ。中央大学法学部法律学科卒業。在学中は創立1901年の日本最古の弁論部・辞達学会に所属。日本長期信用銀行、臨海セミナーを経て独立。2007年、経済評論家・勝間和代氏と株式会社「監査と分析」を設立。取締役・共同事業パートナーに就任(現在は代表取締役)。2010年、米国イェール大学経済学部の浜田宏一教授に師事し、薫陶を受ける。金融、財政、外交、防衛問題に精通し、積極的な評論、著述活動を展開している。
イメージ付きのレビュー
5 星
教科書に載っているのは政治的な動きと文化的な動きだけで、それでは時代をきちんと俯瞰して見ることができない。この「経済で読み解く日本史 3 江戸時代」ではそれがよく解る。
このシリーズでいえることは、いわゆる学校で習う歴史ではその時代をきちんと捉えることができないということだ。だいたい教科書に載っているのは政治的な動きと文化的な動きだけで、それでは時代をきちんと俯瞰して見ることができない。 この「経済で読み解く日本史 3 江戸時代」ではそれがよく解る。 冒頭にも書いてあるんだが、ぼくたちの抱いている江戸時代というのは、水戸黄門や暴れん坊将軍なんかの TV ドラマで描かれていたイメージが強いはずだ。絶対権力として幕府があり、一般庶民、この本では百姓と表現されているんだが、虐げられていて、貧しく、その背後で甘い汁を吸う越後屋がいるというのがお約束だ。 でも、まったく違う。 というか、それをぼくはこの本を読んではじめて知った。 井沢元彦氏の「逆説の日本史」のファンでもあるんだが、とても斬新にその時代を解説しているこのシリーズでも経済を背景としてその時代を読むということはやっていない。だからなのか江戸時代が経済的に見たらどういう時代だったのかということについて、ぼくは正確に知らなかったことがよく解った。 いままでは武士の時代という括りで見ていたんだけど、それだとじつは明治時代との繋がりがはっきりしない。なぜ明治時代に国際社会の一員になれたのかというと、じつはこの江戸時代に世界をリードするような資本主義が発展していたからだったのだ。 いや〜、江戸の人たちで凄かったんだね。 もちろん、それを創りあげたのはこの本で書かれている武士以外の「百姓」の人たちだ。じつに伸びやかで、賑やかで、文化的にも華々しい時代を築き上げていたのだ。 根本的にぼくが理解できていなかったのが、なぜに幕府は財政に苦しんでいたのかということだったんだが、それがこの本で納得できた。簡単にいえばマクロ政策がきちんとできなかったからなのだ。 それはなにか? 通貨を自由に発行することができないというところがポイントだ。この時代にはいわゆる金貨・銀貨を幕府が鋳造して流通させるようになっている。しかし、国内の金山と銀山は三代家光の頃には掘り尽くされ、新たに発行できなくなっちゃったのである。 通貨の流通が市場から減るとデフレになる。 この時代はさまざまなものの生産性が上がり、ものが溢れるようになる。するとそれに見合った通貨の流通が必要になるんだが、これが制限されちゃっているので、結果として財政が逼迫してしまうのだ。だって幕府の金庫にはお金がないだもんってことだ。 まぁ、この時代は経済理論なんてこと確立されているわけじゃないんだけど、それでもこの苦難を乗り切った人たちがいる。 そういう人たちはなにをしたのかというと、通貨の改鋳だ。金や銀の含有量をコントロールして、結果として通貨量を増やすということだ。教科書にはこれは悪策として書かれていたと思うけど、とんでもない。とても有効なマクロ対策だったわけだ。 今風にいえば通貨発行益・シニョリッジだね。というか、今回、日本がおこなった国債発行による通貨の調達と同じことだ。 これで乗り切ったの将軍ひとりが暴れん坊将軍だったりする。 でも哀しいかな、この理論を理解している人たちは少なく、この施政のあとには引き締め政策、いわゆる贅沢禁止令が発せられて、時代はまたデフレに逆戻りするということを繰り返したのがこの江戸時代でもあったわけだ。 あとは各藩の財政がなにゆえに逼迫して、もう幕末の頃には日本全体財政破綻藩だらけの状態になっていて、それがどうなったのかということについてもきちんと書いてある。 いや〜、経済という側面で時代を読むと、また新しい姿を見つけることができるということがこれでよく解る。 さて、つぎは明治時代だね。日本は国際化をどうやって果たしたのか、いまから楽しみだ。
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2020年8月24日に日本でレビュー済み
この「経済で読み解く日本史 3 江戸時代」ではそれがよく解る。
冒頭にも書いてあるんだが、ぼくたちの抱いている江戸時代というのは、水戸黄門や暴れん坊将軍なんかの TV ドラマで描かれていたイメージが強いはずだ。絶対権力として幕府があり、一般庶民、この本では百姓と表現されているんだが、虐げられていて、貧しく、その背後で甘い汁を吸う越後屋がいるというのがお約束だ。
でも、まったく違う。
というか、それをぼくはこの本を読んではじめて知った。
井沢元彦氏の「逆説の日本史」のファンでもあるんだが、とても斬新にその時代を解説しているこのシリーズでも経済を背景としてその時代を読むということはやっていない。だからなのか江戸時代が経済的に見たらどういう時代だったのかということについて、ぼくは正確に知らなかったことがよく解った。
いままでは武士の時代という括りで見ていたんだけど、それだとじつは明治時代との繋がりがはっきりしない。なぜ明治時代に国際社会の一員になれたのかというと、じつはこの江戸時代に世界をリードするような資本主義が発展していたからだったのだ。
いや〜、江戸の人たちで凄かったんだね。
もちろん、それを創りあげたのはこの本で書かれている武士以外の「百姓」の人たちだ。じつに伸びやかで、賑やかで、文化的にも華々しい時代を築き上げていたのだ。
根本的にぼくが理解できていなかったのが、なぜに幕府は財政に苦しんでいたのかということだったんだが、それがこの本で納得できた。簡単にいえばマクロ政策がきちんとできなかったからなのだ。
それはなにか?
通貨を自由に発行することができないというところがポイントだ。この時代にはいわゆる金貨・銀貨を幕府が鋳造して流通させるようになっている。しかし、国内の金山と銀山は三代家光の頃には掘り尽くされ、新たに発行できなくなっちゃったのである。
通貨の流通が市場から減るとデフレになる。
この時代はさまざまなものの生産性が上がり、ものが溢れるようになる。するとそれに見合った通貨の流通が必要になるんだが、これが制限されちゃっているので、結果として財政が逼迫してしまうのだ。だって幕府の金庫にはお金がないだもんってことだ。
まぁ、この時代は経済理論なんてこと確立されているわけじゃないんだけど、それでもこの苦難を乗り切った人たちがいる。
そういう人たちはなにをしたのかというと、通貨の改鋳だ。金や銀の含有量をコントロールして、結果として通貨量を増やすということだ。教科書にはこれは悪策として書かれていたと思うけど、とんでもない。とても有効なマクロ対策だったわけだ。
今風にいえば通貨発行益・シニョリッジだね。というか、今回、日本がおこなった国債発行による通貨の調達と同じことだ。
これで乗り切ったの将軍ひとりが暴れん坊将軍だったりする。
でも哀しいかな、この理論を理解している人たちは少なく、この施政のあとには引き締め政策、いわゆる贅沢禁止令が発せられて、時代はまたデフレに逆戻りするということを繰り返したのがこの江戸時代でもあったわけだ。
あとは各藩の財政がなにゆえに逼迫して、もう幕末の頃には日本全体財政破綻藩だらけの状態になっていて、それがどうなったのかということについてもきちんと書いてある。
いや〜、経済という側面で時代を読むと、また新しい姿を見つけることができるということがこれでよく解る。
さて、つぎは明治時代だね。日本は国際化をどうやって果たしたのか、いまから楽しみだ。
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5つ星のうち5.0
教科書に載っているのは政治的な動きと文化的な動きだけで、それでは時代をきちんと俯瞰して見ることができない。この「経済で読み解く日本史 3 江戸時代」ではそれがよく解る。
2020年8月24日に日本でレビュー済み
このシリーズでいえることは、いわゆる学校で習う歴史ではその時代をきちんと捉えることができないということだ。だいたい教科書に載っているのは政治的な動きと文化的な動きだけで、それでは時代をきちんと俯瞰して見ることができない。2020年8月24日に日本でレビュー済み
この「経済で読み解く日本史 3 江戸時代」ではそれがよく解る。
冒頭にも書いてあるんだが、ぼくたちの抱いている江戸時代というのは、水戸黄門や暴れん坊将軍なんかの TV ドラマで描かれていたイメージが強いはずだ。絶対権力として幕府があり、一般庶民、この本では百姓と表現されているんだが、虐げられていて、貧しく、その背後で甘い汁を吸う越後屋がいるというのがお約束だ。
でも、まったく違う。
というか、それをぼくはこの本を読んではじめて知った。
井沢元彦氏の「逆説の日本史」のファンでもあるんだが、とても斬新にその時代を解説しているこのシリーズでも経済を背景としてその時代を読むということはやっていない。だからなのか江戸時代が経済的に見たらどういう時代だったのかということについて、ぼくは正確に知らなかったことがよく解った。
いままでは武士の時代という括りで見ていたんだけど、それだとじつは明治時代との繋がりがはっきりしない。なぜ明治時代に国際社会の一員になれたのかというと、じつはこの江戸時代に世界をリードするような資本主義が発展していたからだったのだ。
いや〜、江戸の人たちで凄かったんだね。
もちろん、それを創りあげたのはこの本で書かれている武士以外の「百姓」の人たちだ。じつに伸びやかで、賑やかで、文化的にも華々しい時代を築き上げていたのだ。
根本的にぼくが理解できていなかったのが、なぜに幕府は財政に苦しんでいたのかということだったんだが、それがこの本で納得できた。簡単にいえばマクロ政策がきちんとできなかったからなのだ。
それはなにか?
通貨を自由に発行することができないというところがポイントだ。この時代にはいわゆる金貨・銀貨を幕府が鋳造して流通させるようになっている。しかし、国内の金山と銀山は三代家光の頃には掘り尽くされ、新たに発行できなくなっちゃったのである。
通貨の流通が市場から減るとデフレになる。
この時代はさまざまなものの生産性が上がり、ものが溢れるようになる。するとそれに見合った通貨の流通が必要になるんだが、これが制限されちゃっているので、結果として財政が逼迫してしまうのだ。だって幕府の金庫にはお金がないだもんってことだ。
まぁ、この時代は経済理論なんてこと確立されているわけじゃないんだけど、それでもこの苦難を乗り切った人たちがいる。
そういう人たちはなにをしたのかというと、通貨の改鋳だ。金や銀の含有量をコントロールして、結果として通貨量を増やすということだ。教科書にはこれは悪策として書かれていたと思うけど、とんでもない。とても有効なマクロ対策だったわけだ。
今風にいえば通貨発行益・シニョリッジだね。というか、今回、日本がおこなった国債発行による通貨の調達と同じことだ。
これで乗り切ったの将軍ひとりが暴れん坊将軍だったりする。
でも哀しいかな、この理論を理解している人たちは少なく、この施政のあとには引き締め政策、いわゆる贅沢禁止令が発せられて、時代はまたデフレに逆戻りするということを繰り返したのがこの江戸時代でもあったわけだ。
あとは各藩の財政がなにゆえに逼迫して、もう幕末の頃には日本全体財政破綻藩だらけの状態になっていて、それがどうなったのかということについてもきちんと書いてある。
いや〜、経済という側面で時代を読むと、また新しい姿を見つけることができるということがこれでよく解る。
さて、つぎは明治時代だね。日本は国際化をどうやって果たしたのか、いまから楽しみだ。
このレビューの画像
2024年3月23日に日本でレビュー済み
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いままで教科書で習った江戸時代は、歴史的出来事と政治文化の時代順の列挙であった。それを経済視点で見直すと全く違って見えて面白かった。
歴史的出来事の裏に経済あり❗️
歴史はすべて経済でできているのがわかった。
歴史的出来事の裏に経済あり❗️
歴史はすべて経済でできているのがわかった。
2021年8月10日に日本でレビュー済み
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でも、現在も同じ過ちを犯そうとしているところが恐い。歴史に学ぼう!
2020年8月27日に日本でレビュー済み
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私たちが教科書で習ってきた江戸時代のイメージは貧農と武士という特権階級による横暴と搾取の時代というものでした。水戸黄門に出てくるかわいそうな庶民と町人たち!みたいなのですね。
しかし様々な歴史の本に触れていくうちに、江戸時代の後期にさしかかるにつれて町人文化が花開き、商人の台頭というのが目立ってきます。
なぜ、こんなにも学校で習う江戸時代のイメージが暗黒時代のようなものになるのでしょうか?
不思議ですね。
しかし経済という物差しで見るとデータは嘘をつかないので、実際的な史実が浮かび上がってきます。
経済評論家(上念さんはいい意味で専門家と名乗る人たちや学者っぽくなくて親しみやすいし、平明に時勢を見てます)としての視点から日本教育における歴史観を是正するとても良い本だと思いました。
しかし様々な歴史の本に触れていくうちに、江戸時代の後期にさしかかるにつれて町人文化が花開き、商人の台頭というのが目立ってきます。
なぜ、こんなにも学校で習う江戸時代のイメージが暗黒時代のようなものになるのでしょうか?
不思議ですね。
しかし経済という物差しで見るとデータは嘘をつかないので、実際的な史実が浮かび上がってきます。
経済評論家(上念さんはいい意味で専門家と名乗る人たちや学者っぽくなくて親しみやすいし、平明に時勢を見てます)としての視点から日本教育における歴史観を是正するとても良い本だと思いました。
2020年6月14日に日本でレビュー済み
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江戸時代の二百数十年、○○の改革やら○○の飢饉という出来事が連なる(起伏に乏しい)時代という認識が変わった。お金(経済)という指標は現代人にも理解しやすい。それでもって、この出来事は景気をプラス側に,この○○の改革はマイナスに、と単純化して理解することができる。ほかの時代も読みたい。
時々、現代の緊縮財政派の方々などを批判しているところがじゃま。
時々、現代の緊縮財政派の方々などを批判しているところがじゃま。
2020年12月2日に日本でレビュー済み
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貨幣制度と米価の関係を検証した歴史本は他に類を見ないと思います。
人類の行動理念が過去から現在に渡って変わっていないということにも納得です。
今の時代を生きる我々にとって過去を振り返り理解するための為の良い教材だと思います。
人類の行動理念が過去から現在に渡って変わっていないということにも納得です。
今の時代を生きる我々にとって過去を振り返り理解するための為の良い教材だと思います。
2019年10月5日に日本でレビュー済み
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とても楽しく読みました。江戸時代に対してのイメージが変わりました。