![DETECTIVE X CASE FILE #1 御仏の殺人 ([バラエティ])](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/71EXxCb+hEL._AC_UL165_SR165,165_.jpg)
【ネタバレの無いように書きますが、少しも情報を知りたくない方は読まないことをおススメします】
1作目の人狼村脱出ゲームブックに続いて、３作目のこちらを解きました。
今作は１つ１つの謎のクオリティが高かったように感じます。１作目は、拍子抜けするほど簡単なものから、少し考え方がずれると解くのに何時間もかかってしまうようなものまで難易度にばらつきがあるように思いましたが、今回は全体的に上質な謎が続きました。１作目の時に感じた、ゲームブックを進めるにあたっての小さな不便さが解消されており、プレイは本当にすんなりと進みました。今作では、多くのキーワードを駆使し、「記憶を思い出す」という複雑な手順を踏む必要がありますが、シートを使っての情報整理はとてもしやすく、ストレスなくプレイできるように工夫されていたと思います。
一方で、ストーリーを進めていく過程での高揚感については、１作目の方が勝っていたように思います。今作では、実在するモチーフを登場させることで現実とのつながりを持たせようと試みがなされていますが、本来であれば１つのモチーフだけでも多くの背景知識とつながり得るにもかかわらず、それぞれが雰囲気を出すためのただのアイコンとしてしか機能しておらず、意図が裏目に出ているように感じました。また、今作は１つの館を中心に話が展開していきます。２時間で終わる映画であれば緊迫感を出す演出として効果的ですが、数日かけて解くゲームブックでは、たとえば１作目で村の中を探索したように、多少荒唐無稽であってもいろいろな場所に行ける方が面白かったように思います。せっかくのフィクションという舞台装置が活かしきれていないように思いました。そして、１作目は謎解きの終盤でストーリーの意味の理解が必須となるパズルがあったのですが、今作では（おそらく解きやすさを重視した結果）比較的単純なパズルの連続となってしまっていて、その点は非常に惜しく感じました。
とはいえ、物語に沿って謎を解いていくというSCRAP流の哲学は随所に感じられますし、本全体を使った謎解きは、最近流行りの脳トレ系パズルとは一線を画す面白さだと思います。いろいろと書いてしまいましたが、そうした批判は、そもそもこういう形で脱出ゲームブックとして完成形が存在していることの素晴らしさを上回る者ではありません。購入を迷っている方に対しては、間違いなく充実した時間を過ごすことができますと、背中を押したいと思います。
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