タイトルは作中より引用。
アプリゲーム『ディズニーツイステッドワンダーランド』のノベライズ第一作です。ゲームのプロローグから第1章真紅の暴君のエピソード全28話分までのストーリーが原案である枢やな先生の挿絵と共にあますことなく綴られています。小説の執筆はゲームのイベントストーリーやパーソナルストーリーなどを手がけていらっしゃる日置じゅんさんが担当されています。
コミカライズとはまた違う主人公視点で物語が進行しており、今作は少し気の弱い争いごとが嫌いな日本の男子高校生が主人公です。
作中の文章は少年漫画くらいの語彙で構成され、少し複雑な漢字にはルビが振られていますので、少年漫画が好きであれば小学生中学年くらいの年齢の方でもすんなり読めると思います。ゲームと同じく人が死んだり殺されたりするような過激な描写もありません。
!以下、一部作中のネタバレありです!
本作ではいくつかゲームと異なる描写があります。重要な部分は是非お手に取っていただきたいので伏せますが、学園の食堂の食事形式がビュッフェから定食式になっており、レオナの尻尾を踏むイベントはカットされています。(レオナとラギーは別の形でちゃんと登場します)恐らくミニバトルゲームのシステムの描写の回避のためですね。ノベライズのストーリーとして無理のない流れ程度には変更されているシーンがあります。いずれも大筋には関係ない部分です。
またノベライズの強みとしてゲームでは削るほかなかった描写やセリフにも尺を存分に割けるというのがあるのでしょう。ゲームのシナリオよりもキャラクター間の関係性の描写が肉付けされている印象を受けます。主人公とエーデュースのやりとりが丁寧に描かれているため、彼らがぶつかり合いながらも徐々に友情を育んでいく様子を読者がゆっくりと感じることができたり、トレイがリドルに対して、またケイトがトレイの行動に対してどのような感情を持っていたのかも改めて知ることができるのもノベライズならではといったところかと。
なお余談ですが、個人的にはトレイのユニーク魔法の詠唱が知れたのが嬉しかったです。ユニーク魔法といえばリドルの詠唱はコミカライズと同様でしたので彼の詠唱は作中のもので確定なのでしょう。ハートの女王をリスペクトするリドルらしい詠唱でよいですね。
こと面白く感じたのは、トレイの口調が全体的に少し柔らかくなっていたところです。後輩相手だからでしょうか。エーデュースと監督生の友情、リドルとトレイの友情が対比している関係か、少々トレイが元々抱いていたものよりやや弱気で優しげな印象を受けました。これを見た後パーソナルストーリーを見返すとギャップが強まって良いですね。
またケイトが以前のハーツラビュルに思いを馳せる描写も気になりました。ただ懐かしんでいるだけなのでしょうか。多少明かされてきたとはいえ、まだまだ謎の多いキャラクターなので今後のゲームでどう描かれていくのか本作を拝読して一層楽しみになりました。
あと読んでよかったと感じたのは、ツイステッドワンダーランドの世界観やナイトレイブンカレッジ内部の仕組みや様子が少し深堀りされていたところです。(ノベライズオリジナルの部分ももしかしたらあるのかもしれませんが。)
ゲームではふんわりと描写されていたものの明言されていなかった要素として、監督生の世界とツイステッドワンダーランドの文明レベルの差異。魔法医術士がどんな職業なのかということ。獣人、人魚、それ以外の人間全てを「人間」と呼んでいること。あと監督生呼びが定着するくだりから、NRCには寮長副寮長以外にも役割を持った生徒が存在しているということ。そのセリフの流れから監督生という存在が他寮にもいる?とも読み取れること。(これに関しては明言まではされていません)それからリドルが歴代でどれくらいの速さで寮長になったのかということなど。
件のチュートリアルバトルのくだりに関しても描写があったのも意味深で面白いですし、寮服の着用頻度の設定変更?(ゲームだと放課後寮に戻ったら着ているイメージだった。資料集にはそれに加えて寮のイベントや寮対抗のマジフトの試合に出る時に着る物とされていますね)によってラストの監督生とグリムとハーツラビュル寮生とのくだりがより晴れやかになったのも良かったと思います。
一方、リドルの過去はリドルがチェーニャとトレイとの一、二ヶ月をどう思っていたのかをより鮮明に描いている分、余計に胸を締め付けられました。彼の母親の行いが彼を愛しているが故にではないことを賢いリドルが既に気づいていたというのもまた切ない。
リドルとファントムを繋ぐ描写が臍の緒と表現されていたのも納得です。
ただ、ショーダウンタイムで監督生たちが相手を闇雲に攻撃していたわけではなく、「ファントムと相手を切り離そうとしていた」とわかったので、今後は心置きなくショーダウンタイムで攻撃できそうです笑
コミカル要素が強めなゲームのテンポよりややシリアスになっていた(恐らく主人公の性格や心情がそうさせている)ためか、ゴーストがエースに対して言った「誰かとそんなふうに真っ正面からぶつかるなんて、短い人生の中でもほんの一瞬のうちしかできないことだよ。大人になったら、もうだめだ。もちろん死んでからもできない。君らみたいに捨て身になれるのは、過去がなくて未来がある、子どものうちだけさ。ナイトレイブンカレッジにいる間はわからないかもしれないけどね」という言葉もナイトレイブンカレッジという箱庭が四年間(ほぼ三年間)のモラトリアムであることをより色濃く感じさせました。華々しく我と個性が強い面々ですが、いつか彼らも過去の自分に眩しさや懐かしさ、羨ましさを感じたりする日がくるのでしょうか。
また枢やな先生の挿絵とカラーピンナップ?(電子版で購入したのでこれがどういう形式か曖昧です。すみません)はやはりツイステファンとしては嬉しいです。カラーはオバブロリドル、挿絵はハーツラビュル寮生が中心となっています。個人的なお気に入りは338(電子版)ページのトレイとエース、388のハーツラビュルとリドルです。続刊も楽しみにしています。
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ディズニー ツイステッドワンダーランド THE NOVEL EPISODE1 真紅の暴君 (小説) 単行本 – 2022/3/18
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「プロローグ」「エピソード1 真紅の暴君」のストーリーを、独自の視点で描く小説作品ついに発売!
仕様は豪華仮フランス装
著者 日置じゅん
原案/カバー・口絵・本文イラスト 枢やな
仕様は豪華仮フランス装
著者 日置じゅん
原案/カバー・口絵・本文イラスト 枢やな
- 本の長さ421ページ
- 言語日本語
- 出版社スクウェア・エニックス
- 発売日2022/3/18
- 寸法13.2 x 2.7 x 19.4 cm
- ISBN-104757577672
- ISBN-13978-4757577671
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登録情報
- 出版社 : スクウェア・エニックス (2022/3/18)
- 発売日 : 2022/3/18
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 421ページ
- ISBN-10 : 4757577672
- ISBN-13 : 978-4757577671
- 寸法 : 13.2 x 2.7 x 19.4 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 130,490位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 960位ゲーム攻略・ゲームブック
- - 36,773位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
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イメージ付きのレビュー
4 星
梱包難あり
ゲームリリース当初から追っており枢先生の挿絵ということもあって購入。内容は言わずもがな素晴らしいです。ただ梱包に難ありです。紙袋のようなもので送られてきましたが下の部分が潰れてる、表紙が破れてるという散々でした。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2022年3月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2022年3月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
正直なところノベライズはただメインストーリーを本にまとめたものという認識で購入しましたが、いい意味で衝撃を受けました。
純粋に小説として面白かったので、良かったところを挙げていきます。
・主人公
コミカライズの雄剣君は話をテンポよく進めるために強くサッパリした性格になってましたが、小説の優也君はゲームの監督生をさらに気弱にした感じです。
でも共感できる部分が大いにあり、成長の過程を見守るうちに自然と応援したくなるような魅力的な主人公でした。
・世界観の補足
異世界にきた監督生の言語はどうなっているのか、食事はどうしているのか等ゲームで得られなかった細かい設定が色々描写されています。
トレイ先輩の詠唱シーンも初めて出ました。
・キャラクターの掘り下げ
個人的に最も良かった部分の一つが、エースデュースグリムと監督生の4人が初めて出会って友情を深めていく過程の描写です。
シャンデリア事件がきっかけになって連帯感を得るのはゲーム同様ですが、初めて会ったときにどんなことを思って話しかけてきたのか、セット扱いされがちなエーデュースの考え方の違いなど内面の補足が本当に丁寧でした。
もちろんリドルトレイケイトの3人もゲームとは違う切り口でキャラの本質に触れることができ、読後には全員もっと好きになってしまいました。
・グリム
ぬいぐるみのようなずんぐりした身体、握手したときに手のひらに当たる爪、ショックで垂れ下がる耳、活字でしか得られない愛しさがあります。
コミカライズ同様ゲーム開発に携わるスタッフ様と枢先生の協力で出来上がったノベライズですが、小説版と漫画版の「本気度」を見るだけで、ツイステッドワンダーランドという作品が製作陣にどれほど愛されているコンテンツなのかよくわかります。
ゲームも大好きですが、書籍として手元に置いておけるのが本当に嬉しいです。続きも楽しみにしています。
純粋に小説として面白かったので、良かったところを挙げていきます。
・主人公
コミカライズの雄剣君は話をテンポよく進めるために強くサッパリした性格になってましたが、小説の優也君はゲームの監督生をさらに気弱にした感じです。
でも共感できる部分が大いにあり、成長の過程を見守るうちに自然と応援したくなるような魅力的な主人公でした。
・世界観の補足
異世界にきた監督生の言語はどうなっているのか、食事はどうしているのか等ゲームで得られなかった細かい設定が色々描写されています。
トレイ先輩の詠唱シーンも初めて出ました。
・キャラクターの掘り下げ
個人的に最も良かった部分の一つが、エースデュースグリムと監督生の4人が初めて出会って友情を深めていく過程の描写です。
シャンデリア事件がきっかけになって連帯感を得るのはゲーム同様ですが、初めて会ったときにどんなことを思って話しかけてきたのか、セット扱いされがちなエーデュースの考え方の違いなど内面の補足が本当に丁寧でした。
もちろんリドルトレイケイトの3人もゲームとは違う切り口でキャラの本質に触れることができ、読後には全員もっと好きになってしまいました。
・グリム
ぬいぐるみのようなずんぐりした身体、握手したときに手のひらに当たる爪、ショックで垂れ下がる耳、活字でしか得られない愛しさがあります。
コミカライズ同様ゲーム開発に携わるスタッフ様と枢先生の協力で出来上がったノベライズですが、小説版と漫画版の「本気度」を見るだけで、ツイステッドワンダーランドという作品が製作陣にどれほど愛されているコンテンツなのかよくわかります。
ゲームも大好きですが、書籍として手元に置いておけるのが本当に嬉しいです。続きも楽しみにしています。
2022年3月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
原作ゲームや、コミカライズとは
違う主人公だからこそ広がる視点。
リドルくん推しの身としては、
出番は多くも苦しいエピソードを
色々な媒体で反復して追うのは
辛くもありますが
文章だからこそ紐解ける面もあり、
リドルくん並びにハーツ推しの方は
もちろん、ツイステ好きな方には
ぜひオススメしたいです。
いつか本編だけでなく、
イベントやカードの
楽しいエピソードも掘り下げられると
嬉しいです。
違う主人公だからこそ広がる視点。
リドルくん推しの身としては、
出番は多くも苦しいエピソードを
色々な媒体で反復して追うのは
辛くもありますが
文章だからこそ紐解ける面もあり、
リドルくん並びにハーツ推しの方は
もちろん、ツイステ好きな方には
ぜひオススメしたいです。
いつか本編だけでなく、
イベントやカードの
楽しいエピソードも掘り下げられると
嬉しいです。
2022年5月23日に日本でレビュー済み
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最初に付いているイラストが最高すぎます!
ゲームとは違い少しシビアな内容に感じました。
主人公もゲーム版は毒舌を吐いたりする場面がありましたが弱々しく控えめな男子高校生という印象が強かったです。
ゲームよりもナイトレイブンカレッジ(魔法士養成学校)のことや魔法について詳しく書かれていてより一層興味が湧きました!
続きに期待したいです!
ゲームとは違い少しシビアな内容に感じました。
主人公もゲーム版は毒舌を吐いたりする場面がありましたが弱々しく控えめな男子高校生という印象が強かったです。
ゲームよりもナイトレイブンカレッジ(魔法士養成学校)のことや魔法について詳しく書かれていてより一層興味が湧きました!
続きに期待したいです!
2022年5月26日に日本でレビュー済み
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ゲームのノベライズ、コミカライズは期待してないのですが、この作品に関しては非常に良かったです。
プレイしてるので話の流れも結末も知ってるのですが、描写が上手くて読む手が止まりませんでした。小説で読んだ方がさらに印象が強く、色んな場面が脳内で鮮やかに再生されました。
ゲーム未プレイでもインスパイア元のディズニー作品を知っていれば楽しめる作品です。
プレイしてるので話の流れも結末も知ってるのですが、描写が上手くて読む手が止まりませんでした。小説で読んだ方がさらに印象が強く、色んな場面が脳内で鮮やかに再生されました。
ゲーム未プレイでもインスパイア元のディズニー作品を知っていれば楽しめる作品です。
2022年3月19日に日本でレビュー済み
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文章:個人的には読みやすかったです。くどすぎずあっさりしすぎずでちょうど良い感じ。
主人公:名前と背景(TWLに来る前の設定)あり。
ゲームの監督生と全く同一の性格ではないのでしょうが、個性の強いコミカライズ版主人公と比較するとよりゲーム寄りの印象です。
展開:アレンジ(ある場面の展開の変更、描写の増補・削除など)はありますが、大半はゲームに沿っており、ゲームの補完としてちょうど良いかと思います。
改変部分も媒体の違いを意識してのことかと思うため特に気になりませんでした。
文章を読むのが嫌いでなければ、ストーリーは気になるもののゲームをプレイしたくない人、ストーリー重視でゲームをやっている人の補完におすすめです。
主人公:名前と背景(TWLに来る前の設定)あり。
ゲームの監督生と全く同一の性格ではないのでしょうが、個性の強いコミカライズ版主人公と比較するとよりゲーム寄りの印象です。
展開:アレンジ(ある場面の展開の変更、描写の増補・削除など)はありますが、大半はゲームに沿っており、ゲームの補完としてちょうど良いかと思います。
改変部分も媒体の違いを意識してのことかと思うため特に気になりませんでした。
文章を読むのが嫌いでなければ、ストーリーは気になるもののゲームをプレイしたくない人、ストーリー重視でゲームをやっている人の補完におすすめです。
2022年4月14日に日本でレビュー済み
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トレイのユニーク魔法の詠唱がわかります!イエーイ!
挿絵もかっこいいし、ゲーム遊んでない方がツイステってどんな雰囲気なのかな〜と知りたい方にもおすすめ!表紙もかっこいいし!
アプリでは地の文というものがなく会話だけで進むので不自然なところもあったかもしれませんが、小説では地の文で雰囲気がたっぷり補強されています。
作者の方はお見かけしたことのない方でしたが、テンポよく読みやすい文章でした。
みんなに読んでほしい……。
挿絵もかっこいいし、ゲーム遊んでない方がツイステってどんな雰囲気なのかな〜と知りたい方にもおすすめ!表紙もかっこいいし!
アプリでは地の文というものがなく会話だけで進むので不自然なところもあったかもしれませんが、小説では地の文で雰囲気がたっぷり補強されています。
作者の方はお見かけしたことのない方でしたが、テンポよく読みやすい文章でした。
みんなに読んでほしい……。