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ベルリン1919 単行本 – 2006/2/1

4.8 5つ星のうち4.8 9個の評価

商品の説明

著者からのコメント

訳者あとがき抜粋
 本書はクラウス・コルドンの「転換期三部作」第一作にあたります。原題は
「赤い水兵あるいはある忘れられた冬」Die rote Matrosen oder ein
vergessener Winterです。邦題からわかるとおり、一九一八年から一九一九年に
かけての冬のベルリンが舞台になります。
 第一次世界大戦の末期である一九一八年十一月、敗色の濃かったドイツ帝国
で、水兵が戦争を終わらすために蜂起し、それがきっかけでドイツ革命が起こ
り、帝政が倒れることになります。しかし革命は成功と同時に歯車が狂いはじ
め、ベルリン市街戦へと発展します。そうしためまぐるしい時代のうねりに翻
弄される人々の姿が、ベルリンの貧民街に住むゲープハルト一家を通して克明に
描かれます。
 重要なのはこれが「忘れられた冬」だということです。わたしたち日本人に
とっては遠いドイツのこれまた遠い過去の出来事かもしれませんが、ドイツ人に
とっても、この革命は忘れられた過去なのです。第二次世界大戦後の冷戦下、ド
イツは東西に分断されますが、自由主義陣営の旧西ドイツでは語られないことで
忘れられ、共産主義陣営の旧東ドイツでは誇張され、ゆがめて語られたことでそ
の本質が見失われました。作者コルドンが「転換期三部作」の第一作にこの時
代を選んだのは、このとき歯車が狂ったことが、やがてナチの台頭を許し、世界
を二度目の世界大戦へと引きずり込み、二〇世紀後半のドイツ分断の悲劇を生ん
だと考えているからに他ならならないでしょう。一九四三年、ベルリンに生まれ
旧東ドイツで成長したコルドンにとって、彼の半生を決定づけた事件でもあるの
です。
(中略)
 一九七三年、旧西ドイツの国籍をえたコルドンはおよそ十年後の一九八四年に
本書を世に問いました。当時は、東西両ドイツが互いに政治的に歩み寄りなが
ら、そろって中距離核ミサイルの配備を計画するという矛盾に満ちた時期で、ド
イツ各地で平和運動のうねりが起こっていました。コルドンが本書を第一作とす
る「転換期三部作」で戦争と平和を問おうとしたこととも無縁ではないでしょ
う。
 ドイツでは一九八九年にドイツ分断の象徴であるベルリンの壁が崩壊し、翌
年、統一ドイツが誕生します。「転換期三部作」の第二作、本書の「ハンスぼう
や」ことハンスが主人公となり、ナチが政権をとる過程を描いた『ベルリン
1933』はそうした劇的な変化をとげた年に出版され、三年後の一九九三年、作
者五十歳のときに、本書の主人公ヘレの娘エンネの目を通して第二次世界大戦が
終わる一九四五年のベルリンを描いた第三作『ベルリン1945』(原題は『はじめ
ての春』)が完成します。
 歴史的にはナチ時代の方が日本の読者になじみがあるということで第二作『ベ
ルリン1933』を先に翻訳しましたが、ようやく第一作をみなさんに紹介できるこ
とになりました。思えば、本書をはじめて原書で読み、ぜひとも日本に紹介した
いと思ったのが一九八五年のこと。それから二十年の月日が経ってしまいまし
た。これは二十年越しの執念の翻訳です。八十年以上前にベルリンで平和と自由
のために立ち上がった人々の声にぜひ耳を傾けてください。第三作『ベルリン
1945』は、あまり時間をかけずに翻訳するつもりです。ルディ、マリー、ヘレ、
マルタ、ハンス、ゲープハルト一家にはまだまだたくさんの試練が待ち受けてい
ます。

抜粋

これは戦争が終わり、革命がついえるまでの物語だ。1918年の凍てつ
く11月にはじまり、1919年の寒い冬の半ばに幕を降ろす。
 舞台ベルリン、ドイツ帝国の首都だったベルリンとその郊外には、20世紀のは
じめ、二百万人をこす人々が暮らしていた。ベルリン市はいくつもの市街に分か
れ、豊かな者と貧しい者が住み分けていた。ベルリンの中でもとくに貧しいのが
ヴェディンク地区だ。そしてそのヴェディンク地区の中でも一番貧しいのがアッ
カー通りだ。そこはこの百年来、うらぶれたアパートでのみじめな暮らしにもめ
げず、懸命に人生を生き抜こうとする人々のいることで知られていた。
 この物語の主人公は、そのアッカー通り37番地に暮らしていた。もちろん架空
の人物だ。だが、たしかにそこに生きていた。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 理論社 (2006/2/1)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2006/2/1
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 663ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4652077718
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4652077719
  • カスタマーレビュー:
    4.8 5つ星のうち4.8 9個の評価

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クラウス・コ−ドン
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