屋久島に5回以上訪れたリピーターです。先週久しぶりに屋久島の地を踏み、もっと深く知りたいと本書を手に取りました。
内容は衝撃的なもので、涙が止まりませんでした。ほんの数十年前まで、貴重な森がどんどん切り倒されていたこと、縄文杉までのルートははげ山だったこと、そしてそのことに疑問を呈する人がほとんどいなかったことなど。
そして世界自然遺産として学術的な価値を持つのは、屋久杉が見られる縄文杉ルートや白谷雲水峡ではなく、西部林道を拠点とした瀬切川周辺の森だということです。巨大杉もなく観光客もほとんど来ないこの地区こそが手つかずの奇跡の「太古の森」なのだ、と知りました。
屋久島ではガイドさんに話を聞いたり、自然館で歴史を学んだりしましたが、私の知らないことがまだたくさんあるのですね。
私はこの瀬切川周辺の森で1週間以上過ごしたことがあるのですが、この話を知っておきたかったと強く思いました。
一時期年間40万人もいた観光客は、2020年コロナで10万人近くまで落ち込んでいます。この島の自然と現在の産業の7割を占めると言われる観光が今後どうなっていくのか心配です。
現在の縄文杉は客寄せパンダのようだと思います。縄文杉の向こう側には、森に眠る無数の切り株たちの深い悲しみがあります。その悲しみを癒すように、大量の雨が降り注ぎ苔が生え新しい芽が育ちます。
この島の自然を守ることに、大義名分はいりません。この森に足を踏み入れて、神の宿る島だということを、誰が疑うのでしょう。
人と森がともに生きていくために、私に何ができるのか、考えていきたいと思っています。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
もうひとつの屋久島から (フレーベル館ノンフィクション) 単行本(ソフトカバー) – 2019/3/19
武田剛
(著)
1993年、日本で初めて世界遺産に登録された屋久島。この自然豊かな島の至る所で、つい40年前まで、広大な原生林が伐採されていた事実があった! 屋久島の過去・現在・未来に迫る、渾身のドキュメンタリー。
- 本の長さ192ページ
- 言語日本語
- 出版社フレーベル館
- 発売日2019/3/19
- 寸法13.5 x 1.5 x 19.3 cm
- ISBN-104577046253
- ISBN-13978-4577046258
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : フレーベル館 (2019/3/19)
- 発売日 : 2019/3/19
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 192ページ
- ISBN-10 : 4577046253
- ISBN-13 : 978-4577046258
- 寸法 : 13.5 x 1.5 x 19.3 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 313,748位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 307位絵本・児童書の歴史
- - 455位ノンフィクション・伝記 (本)
- - 963位世界遺産
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2022年4月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
最後特によかった!今この本当か嘘かわからない世の中でこそ読みたい一冊です。
2020年2月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
こういうジャンルの本が好きです。興味がかるからスルスルと情報が入ってきます。知らないことがわかると誰かに教えてやりたくなりました。
2019年9月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
人間の利害によって、その自然を破壊してよいものか、十分検討してから、行うことが必要と思われます。
かけがえのない大切なものは、守り、人間の利益の得方の方を工夫すべきと、教えられました。
かけがえのない大切なものは、守り、人間の利益の得方の方を工夫すべきと、教えられました。
2019年6月1日に日本でレビュー済み
2019年度の課題図書(小学校高学年)となっているように、児童向けであるが、屋久島にそれほど詳しくない大人が読んでも十分にためになる。
著者は、屋久島にほれこみ、長く取材をするために、それまでに勤めていた新聞社を辞め、移り住む(当初はフリーのジャーナリストだったが、今は朝日新聞と鹿児島放送の屋久島駐在)。そこで、島の周囲を取り巻く海を含む屋久島の自然や日々の暮らし、“縄文杉”を含む屋久杉のこと、屋久島全体の自然のこと、屋久島の自然がいかに守られてきたのかなどの取材を重ねていく。驚くほど豊かな生態系と島であったがゆえの独自進化の結果としての数多くの固有種の存在は魅力的だ。アカウミガメは産卵しにくるし、私の好きなミドリシジミもいる。ヤクノヒナホシなどの花も美しく可憐だ。
屋久島は1993年に自然遺産となるが、なんとその11年前まで原生林の伐採が行われていたことを初めて知った。その伐採を中止させた「屋久島を守る会」の反対運動は、当初、島内でも少数派だったこと、それでも反対派は粘り強い活動を展開し、徐々に支持を広げていったことなどが丁寧に辿られている。自然遺産となった理由に触れた部分は、少なくない人の誤解を解いてくれるだろう。また、自然遺産となってから出てきた問題点に対する指摘は、必ずしも屋久島の人たちだけではなく、観光客も一考すべきことである。
「伐採中止」という正論が屋久島の自然を守る原点だったことに触れながら、正しいことを発言する大切さを訴える「エピローグ」も印象的だ。
著者は、屋久島にほれこみ、長く取材をするために、それまでに勤めていた新聞社を辞め、移り住む(当初はフリーのジャーナリストだったが、今は朝日新聞と鹿児島放送の屋久島駐在)。そこで、島の周囲を取り巻く海を含む屋久島の自然や日々の暮らし、“縄文杉”を含む屋久杉のこと、屋久島全体の自然のこと、屋久島の自然がいかに守られてきたのかなどの取材を重ねていく。驚くほど豊かな生態系と島であったがゆえの独自進化の結果としての数多くの固有種の存在は魅力的だ。アカウミガメは産卵しにくるし、私の好きなミドリシジミもいる。ヤクノヒナホシなどの花も美しく可憐だ。
屋久島は1993年に自然遺産となるが、なんとその11年前まで原生林の伐採が行われていたことを初めて知った。その伐採を中止させた「屋久島を守る会」の反対運動は、当初、島内でも少数派だったこと、それでも反対派は粘り強い活動を展開し、徐々に支持を広げていったことなどが丁寧に辿られている。自然遺産となった理由に触れた部分は、少なくない人の誤解を解いてくれるだろう。また、自然遺産となってから出てきた問題点に対する指摘は、必ずしも屋久島の人たちだけではなく、観光客も一考すべきことである。
「伐採中止」という正論が屋久島の自然を守る原点だったことに触れながら、正しいことを発言する大切さを訴える「エピローグ」も印象的だ。