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資本主義の次に来る世界 単行本 – 2023/4/21
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「アニミズム対二元論」というかつてない視点で文明を読み解き、
成長を必要としない次なる社会を描く希望の書!
ケイト・ラワース(『ドーナツ経済学が世界を救う』著者)、
ダニー・ドーリング(『Slowdown 減速する素晴らしき世界』著者)ほか、
世界の知識人が大絶賛!
デカルトの二元論は「人間」と「自然」を分離した。
そして資本主義により、自然や身体は「外部化」され、
「ニーズ」や「欲求」が人為的に創出されるようになった。
資本主義の成長志向のシステムは、人間のニーズを満たすのではなく、
「満たさないようにすること」が目的なのだ。
それでは、人類や地球に不幸と破滅をもたらさない、
「成長に依存しない次なるシステム」とは何か?
経済人類学者が描く、かつてない文明論と未来論。
本書が語るのは破滅ではない。語りたいのは希望だ。
どうすれば、支配と採取を軸とする経済から生物界との
互恵に根差した経済へ移行できるかを語ろう。
(「はじめに 人新世と資本主義」より)
- 本の長さ326ページ
- 言語日本語
- 出版社東洋経済新報社
- 発売日2023/4/21
- 寸法19.9 x 13.5 x 2.2 cm
- ISBN-104492315497
- ISBN-13978-4492315491
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出版社より
「少ないほうが豊か」である!成長を必要としない次なる社会とは?
わたしはいつか故郷のエスワティニに戻って、再び虫の多さに驚くことを想像するのが好きだ。老いたわたしは、夕暮れのポーチに座って、子供の頃と同じように畏怖の念を抱きながら虫たちを見て、それらの音に耳を傾ける。この空想の中では、世界は大きく変わっている。高所得国は資源とエネルギーの消費量を持続可能なレベルに下げた。民主主義の実現に真剣に取り組み、所得と富をより公平に配分するようになり、貧困を終わらせた。豊かな国と貧しい国の差は縮まった。(中略)
一言で言えば、物事が治癒し始め、わたしたちも治癒し始めたのだ。しかも、誰も予想しなかったスピードで。わたしたちは、少なく取ることによって、はるかに多くを得たのである。
本書では、この夢について語ろう。その旅では500年に及ぶ歴史を辿ることになる。まずは現在の経済システムのルーツを探究し、このシステムが何を原動力として、どのように定着したのかを見て いこう。その後、生態系の崩壊を逆行させ、ポスト資本主義経済を構築するための堅牢で実践的なステップについて検討する。さらには大陸を横断し、わたしたちの想像の限界をはるかに超える方法で生物界と交流している文化やコミュニティを訪ねよう。
今はまだ、その可能性はかすかなささやきにすぎないが、ささやきはやがて風となり、いずれは世界に旋風を巻き起こすだろう。(はじめにより抜粋)
本書の内容を一部ご紹介
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なぜ企業は成長を強いられているのか?アマゾンやフェイスブックなどの企業が拡大し続けるのは強欲だからだ、とよく言われる。マーク・ ザッカーバーグのようなCEOは金と権力に夢中になっているとも言われる。だが、現実はそれほど単純ではない。実際は、これらの企業とそのCEOは、構造的な成長要求に支配されているのだ。 (第2章より抜粋) |
わたしたちの経済はなぜ借金だらけなのか?わたしたちの経済が借金だらけになっている主な理由は、経済システム自体が、債務の上に成り立っていることにある。(中略) 銀行は実際に保有する資金の約10倍の資金を貸し出しているのだ。となると、実際には存在しない、その資金はどこから来るのだろう? (第5章より抜粋) |
脱成長でもたらされるものとは?成長からの脱却というアイデアは、思うほど荒唐無稽なものではない。わたしたちは数十年にわたって、人々の生活を向上させるには成長が必要だと教えられてきた。しかし、実はそうでないことがわかってきた。 (はじめにより抜粋) |
資本主義の次に来る世界 | WOKE CAPITALISM「意識高い系」資本主義が民主主義を滅ぼす | 科学と資本主義の未来 | 「2030年日本」のストーリー | 給料の上げ方 | 「革新と発展」の開発経済学 | |
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カスタマーレビュー |
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価格 | ¥2,640¥2,640 | ¥2,640¥2,640 | ¥2,200¥2,200 | ¥1,900¥1,900 | ¥1,760¥1,760 | ¥3,960¥3,960 |
筆者 | ジェイソン・ヒッケル (著), 野中 香方子 (訳) | カール・ローズ (著), 庭田 よう子 (訳), 中野 剛志 (解説) | 広井 良典 | 牧原 出編, 安田 洋祐, 西田 亮介, 稲泉 連, 村井 良太, 饗庭 伸 | デービッド・アトキンソン | 大塚 啓二郎 |
内容 | 「少ないほうが豊か」である!「アニミズム対二元論」というかつてない視点で文明を読み解き、成長を必要としない次なる社会を描く希望の書! | 「WOKE」という切り口で、企業が社会問題に取り組むことそのものが本音レベルで利益に直結する現代資本主義の構造と裏側を読み解く、オリジナルかつユニークな論考。 | 今という時代を「限りない拡大・成長」と「持続可能性」に向かうベクトルの“せめぎ合い”の時代としてとらえ、過去・現在・未来を俯瞰する超長期の時間軸から科学と資本主義の未来を展望する。 | 2030年日本の向かう先はどこなのか。都市計画、経済学、社会学、メディア、政治学の次世代を代表する知性が分野を横断して論じる。 | 日本人の実力は、こんなものではないーー。在日33年、日本を愛する伝説のアナリストが、 「給料の本質」と「日本人の給料を上げる方法」を明かす。 | 途上国の農業・工業発展について、現地で実態調査を重ねながらその理論化をはかってきた世界的第一人者である著者の研究成果の集大成。 |
発売日 | 2023/4/21 | 2023/4/14 | 2023/4/7 | 2023/2/23 | 2023/4/7 | 2023/5/17 |
商品の説明
レビュー
はじめに 人新世と資本主義
第1部 多いほうが貧しい
第1章 資本主義――その血塗られた創造の物語
第2章 ジャガノート(圧倒的破壊力)の台頭
第3章 テクノロジーはわたしたちを救うか?
第2部 少ないほうが豊か
第4章 良い人生に必要なものは何か
第5章 ポスト資本主義への道
第6章 すべてはつながっている
謝辞
原注
著者について
経済人類学者。英国王立芸術家協会のフェローで、フルブライト・ヘイズ・プログラムから研究資金を提供されている。エスワティニ(旧スワジランド)出身で、数年間、南アフリカで出稼ぎ労働者と共に暮らし、アパルトヘイト後の搾取と政治的抵抗について研究してきた。近著The Divide: A Brief Guide to Global Inequality and its Solutions(『分断:グローバルな不平等とその解決策』、未訳)を含む3冊の著書がある。『ガーディアン』紙、アルジャジーラ、『フォーリン・ポリシー』誌に定期的に寄稿し、欧州グリーン・ニューディールの諮問委員を務め、「ランセット 賠償および再分配正義に関する委員会」のメンバーでもある。
野中 香方子(ノナカ キョウコ)
お茶の水女子大学文教育学部卒業。主な訳書にアイザックソン『コード・ブレーカー(上下)』(共訳、文藝春秋)、サイクス『ネアンデルタール』(筑摩書房)、ヴィンス『進化を超える進化』(文藝春秋)、ウィルミア/トーランド『脳メンテナンス大全』(日経BP)、ブレグマン『Humankind 希望の歴史(上下)』(文藝春秋)、シボニー『賢い人がなぜ決断を誤るのか?』(日経BP)、ズボフ『監視資本主義』(東洋経済新報社)、イヤール/リー『最強の集中力』(日経BP)、メディナ『ブレイン・ルール 健康な脳が最強の資産である』(東洋経済新報社)ほか多数。
登録情報
- 出版社 : 東洋経済新報社 (2023/4/21)
- 発売日 : 2023/4/21
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 326ページ
- ISBN-10 : 4492315497
- ISBN-13 : 978-4492315491
- 寸法 : 19.9 x 13.5 x 2.2 cm
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過剰な成長を求めることによる環境破壊
### 過剰な成長の仕組み
資本家がお金を使って生産し消費を促すスキームを作る
生産するために雇用する
雇用された人は原材料をかき集める
原材料を加工して製品化する
製品を出荷して消費させる
資本家は消費によってお金を得る
得たお金を使ってさらなる成長を求める
興味深いのは
得たお金を使って効率化するためのプロセスを開発するが、それは過剰な原材料のかき集め、製品化に繋がり、ひいては環境破壊を促進する。効率が向上すると自然破壊のスピードも加速する。
### 原材料を調達する方法
この原材料の多くはグローバルサウス(南半球に多いアジアやアフリカなどの新興国・途上国)に依存している。
興味深いのはこうした地域は以前植民地化されていること
資源を持たない国が成長を求める手段として、資源を持つ国を侵略し植民地化することが手段として用いられていた。
大量の奴隷もその関連している。成長のための労働力を安価に手に入れる方法として奴隷制度も関連している。
### クリーンエネルギーの導入
成長によるエネルギー消費の拡大が自然破壊の負のスパイラルを生む。一方で、そのエネルギーを太陽光などの自然エネルギーを使って生み出すことで解決するという案がある。
しかし、現状のエネルギー変換効率を鑑みると、クリーンエネルギー生産のために必要な原材料調達コストは非常に高く、より自然破壊につながってしまうという側面を持っている。
### 成長の複利効果の罠
GDPで年2%の成長を見込むというフレーズはよく聞くが、これが毎年達成されると36年で2倍になる。環境破壊も36年という短い期間で2倍になる。これを世界各国が達成したとすると生態系へ多大な影響を与えるのは簡単に想像できる。このGDPの定義自体もポイントで、生産するための活動のみを対象としている。貨幣価値に換算されない、家の掃除や親の介護などの活動は入らない。資源無い国がこのGDPの成長を維持し続けるためには?という観点だと、資源の囲い込みや植民地化が選択肢に挙がるのは容易に想像できる。
### 成長と幸福の関係
先進国の過剰な成長が必ずしも全体の幸福に繋がらないという考え方の話。
ある一定の成長を遂げると、幸福度が上がりにくくなる。年収が低い地点から給料が上がっていって色々なモノが買えるようになった時は確かに幸福感は高い。一方で、ある基準を超えて収入が高くなっても以前ほど幸福感は得られない。これは経験的に理解できる。これは何も人に閉じた話ではなく、国という視点で捉えても同じことが言える。発展途上国が成長すると幸福度は上がりやすい。その要素として、公的なインフラ整備と分配が挙げられる。一方で、先進国はさらなる成長をしても幸福度は上がりにくい。(なぜならすでにインフラの整備や分配は一通り終わっているから)
### 脱成長
経済成長を必要としなくても、安全で、貧困がなく、保障が整っている平等な世の中を作れるのか?
根本的な視点として、資本を起点に幸福を語るのではなく、人間の繁栄を中心に組織された経済を描くのが大事。
資本主義である以上、過剰成長から抜け出すのは難しい。
一方で、成長自体は問題ない。過剰であることが問題。
だからどの分野で成長するか精査するという考え方がある。
経済を成長させないまま、貧困を終わらせ、
人々をより幸福にし、すべての人に良い生活を保障
書中、難解な哲学的内容や専門用語、
封建主義から資本主義台頭への経緯のなどありますが
とても分かりやすく記述されています
経済や社会のあり方について新しい視点を提供
持続可能な社会の構築や幸福の追求に焦点を当て、
経済成長だけではなく、人間関係やコミュニティの重要性を強調
特に、脱成長の概念やGDP成長率と幸福の関係についての考察は
興味深く、議論を呼びそうです
あくまでわたしの個人的な見解としてですが、
世界に先駆けた高齢国、日本の国民皆保険制度が
経済成長だけでなく、社会的なつながりや
公共サービスの重要性が強調され、実際の社会での
革新の可能性を考えるきっかけとなる事を願っています
本書は、単なる理論だけでなく、
実際の社会政策や制度改革にも示唆
将来の社会における持続可能な発展の方向性について、
深く考えさせられる一冊です
これを回避するには、自然を人間と区別しモノとして略奪する二元論から抜け出し、地球のあらゆるものは有機的につながっているという一元論に戻ることが求められます。それは、ごく一部の人びとが保持しているアニミズム(すべてのものには命があり、命はたがいにつながっている)と重なります。
このようなことを念頭に置くと、本書はとてもスムーズに読めることでしょう。文章はやさしいです。ちなみに、学問とか学術論文とかも、基本は優劣の二元論で、論で他を支配しようとし、難解な言葉を言い換える努力などせず、むしろ、難解さを誇るようなところもありますが、本書は、論文知=学知と一般民衆知という二元論から解放されていて、ひじょうに読みやすい、学者個人の所有物ではない人類知にとてもやさしい一冊と思います。
しかし、読みやすいということは読み飛ばしてよいこと、どうでもよいことばかりが並べられていることとは、まったく違います。この本にはぼくが知らなかった多くの大切なことがゆたかに交差し合っています。
以下、それらのことをできるだけたくさんご紹介したいと思います。
1 大企業が土地を所有し、草木を根絶やしにして、単一商業作物(おもに食用家畜の飼料)を栽培し、飛行機で農薬を撒き散らし、生命が交差し重なるゆたかだった生態系を薄っぺらいものにしてしまった。
2 海生生物は陸生成物の倍の速度で消滅している。
3 1970年以来、鳥類、哺乳類、爬虫類、両生類の種が半減した。さらに数十年で百万種が絶滅する恐れがある。
4 気温上昇ゆえに巨大嵐が2020年代は1980年代の倍も発生している。
5 原因は、高所得国の過剰な「成長」=地球破壊、超富裕層の過度の蓄財にあり、低所得国と貧しい人びとの生活が理不尽に脅かされている。不平等がこの脅威をもたらしている。
6 地球環境を破壊するエネルギーの代わりにそうでないクリーンエネルギーを用いれば環境は破壊されない、と言うが、そうではない。クリーンエネルギーが用いられても、それは従来のエネルギーの「代わり」ではなく、「さらに加えて」である。クリーンエネルギーが用いられても、従来のエネルギーの使用はさらに高まっている。クリーンエネルギーに移行するには金属、レアメタルが必要で、その採掘が生態系を傷める。
7 自然破壊、自然略奪は、人間は他の生物から独立した存在であるという二元論的思考に支えられているが、最近は、科学が二元論を否定し始めている。人間は膨大な数の微生物を体に宿らせ、それに依存していることがわかってきた。植物は人間の精神の健康に欠かせないことが医学的に解明されてきている。木々は他の木々とコミュニケーションを持ち、土壌中の菌糸ネットワークによって養分や薬用成分をシェアしていることがわかりつつある。地球そのものが超生物のように活動していることが発見されている。
8 GDP(国内総生産)は住民の幸福の基準にはならない。そこには環境破壊、人的負担など、生産にともなうマイナス要因(不幸の要因)は考慮されていない。木材を伐採すれば自然環境という富は減る、マイナスになるが、木材の商品価値だけがプラスに計上される。公害で人びとが苦しんで人的なダメージを受けるが、病院の売り上げだけが数字になる。
9 各国政府はGDPを上げ経済を「成長」させるために、労働者の権利を減らし、環境基準を下げ、公地を業者に払い下げ、公共サービスを民営化して、多国籍企業、資本に仕える。
10 経済成長すれば、やがて、貧困層もゆたかになる、雇用が増える、生活が向上する、と政府は言うが、そうではない。
11 現在の世界の資源消費量は1980年の2.5倍以上になってしまっている。科学者の計算では、これは地球が耐えられる一年間の資源消費量の2倍にあたる。
12 資源消費の結果、森林破壊、湿地帯の干拓(つまり湿地帯の生態系が破壊される)、動植物の棲息地の減少、二酸化炭素を吸収してくれる植物の減少(すなわち二酸化炭素による地球温暖化加速)、大地や海の劣化、死、気候崩壊、海洋酸性化が急速に進む。
13 アメリカやヨーロッパのハリケーン、洪水、熱波は報道されるが、サウス(貧しい国々)では、その何倍、何十倍の規模の気象災害が生じている。
14 第二次産業(製造業)から第三次産業(サービス業)に移行し資源消費が減るという主張があるがそうではない。サービス業で得られた収入は自動車や家具などの資源を要する商品の消費に用いられる。「フェイスブックが数十億ドル規模の企業になったのは、写真のシェアを可能にしたからではなく、生産と消費のプロセスを拡大したからなのだ」(p.161)。
15 「ある段階を過ぎると、人間の福利を向上させるためにGDPを増やす必要はまったくなくなる」(p.175)。
16 GDPの増加よりも、政治による住民間の「分配が肝心なのだ。最も重要なのは、万人向けの公共財への投資である」(p.180)。
17 具体的には「質の高い公的医療制度と教育システム・・・すべての人が健康で長生きできるようにするには、それこそが重要なのだ」(p.182)。それは、コスタリカ、フィンランド、エストニア、ベラルーシなどを見ればわかる。
18 「理論上は、人間の幸福のためになるものを生産し、公共財に投資し、所得と機会をより公正に分配するだけで、現在より少ないGDPで世界の人々のために、すべての社会的目標を達成できる」(p.183)。
19 「高所得国が成長を追求し続けることは、不平等と政治不安を助長し、過労や睡眠不足によるストレスや鬱、公害病、糖尿病や心疾患などの不調の原因となっている」(p.184)。
20 「所得の配分が不公平な社会は総じて幸福度が低い。不平等は不公平感を生み、それは社会の信頼、結束、連帯感を損なう。また、健康状態の悪化、犯罪率の上昇、社会的流動性の低下にもつながる。不平等な社会で暮らす人々は、欲求不満、不安感、生活への不満がより強い傾向にある。そうした人々は、鬱病や依存症になる割合も高い」(p.185)。
21 「幸福度が最も高いのは堅牢な福祉制度を持つ国だった。福祉制度が手厚く寛大であるほど、すべての人がより幸福になる。すなわち、国民皆保険、失業保険、年金、有給休暇、病気休暇、手頃な価格の住宅、託児所、最低賃金制度などが整っている国ほど、国民の幸福度が高いのだ。誰もが平等に社会財を利用できる、公平で思いやりのある社会で暮らす人々は、日々の基本的ニーズを満たすことも心配することもなく人生を楽しみ、隣人と常に競いあうのではなく、社会的連帯を築くことができる」(p.186)。
22 引用が続いたが、このようなアプローチは生態系にプラスに働く。社会において人々がより平等に生きることができるようになると、「もっと収入を!」「もっとたくさんの高級なものを!」「もっとすばらしいものを(とじつは思わされているだけのものを)!」という欲望と消費、広義での買い物依存、消費依存から解放される。その結果、不要な生産が減り、二酸化炭素排出が減り、地球環境の危機が低くなる。
23 富裕層は貧困層より多くのものを、しかもエネルギーのかかるものを消費する。豪邸、高級大型車、プライベートジェット、頻繁な飛行機利用などである。それでも使い切れないお金は、生態系を破壊するような「成長」企業に投資される。
24 「公共サービスはほとんどの場合、民間のサービスより炭素・エネルギーの集約度が低い。たとえばイギリスの国民保健サービスは、アメリカの保険制度に比べて、CO2の排出量はわずか3分の1だが、より良い健康アウトカムをもたらしている。公共交通機関はエネルギーと物質の両面において、自家用車より集約度が低い。水道水はペットボトルの水より集約度が低い。公共の公園、スイミングスクール、娯楽施設は、個人の広い庭やプライベートプールやパーソナルジムより集約度が低い・・・公共財の存在は、所得を増やさなければというプレッシャーから人々を解放する」(p.191)。
25 「過去40年にわたって支配的だった新自由主義的政策・・・政府は、成長を求めるあまり公共サービスを民営化し、社会的支出を削減し、賃金と労働者保護をカットし、富裕層の減税を手助けすることによって、不平等を急速に拡大してきた。気候が崩壊しつつある時代にあって、わたしたちはまったく逆のことをしなければならない」(p.192)。
26 つまり、日本の政権がここ数十年やってきたことにはこういう意図があって、世界規模の出来事だったのだ。地球温暖化と貧富の格差は、資本家、企業、金持ちのための政治と密接につながっていたのだ。
27 では、これらを解決するにはどうしたらよいか。「ステップ1 計画的陳腐化を終わらせる」。つまり、数年経てば壊れるように設計され、部品交換でも修理できない製品を作り、定期的に買い替えさせる、ことを終わらせる。「過去10年間で、100億台のスマートフォンが廃棄された・・・毎年、1億5000万台の廃棄コンピューターがナイジェリアなどに輸送される・・・山積みにされ、水銀、ヒ素、その他の有毒物質が、地面に垂れ流しになっている」(p.213)。30年もつスマホやパソコン、300年、せめて100年もつ家具、住宅を製造せよ!
28 「ステップ2 広告を減らす」。「広告を締め出すのも一手だ。人口2000万のサンパウロは、すでに都市の主要な場所でこれを実施している・・・広告の削減は、人々の幸福にプラスの影響を直接与えるのだ。これらの措置は、無駄な消費を抑えるだけでなく、わたしたちの心を解放し、常に干渉されるのではなく、自分の考え、想像力、創造性に集中できるようにする。広告が消えた空間は、絵画や詩、それに、コミュニティを築き本質的価値を構築するためのメッセージで埋めることができる」(p.218)。
29 「ステップ3 所有権から使用権へ移行する」。
30 「ステップ4 食品廃棄を終わらせる」。見栄えのよくない野菜、まとめ買い割引で売られた余分な食品、厳しく設定された賞味期限越えの食べ物など、けっきょく、30~50%が捨てられている。これをやめにしたら、生産や流通による温暖化が抑えられる。
31 「ステップ5 生態系を破壊する産業を縮小する」。肉商品生産のために森林が消滅的に破壊されている。世界全体への酸素供給が危機にある。肉をそんなに食べないほうが、健康で長生きできる可能性は高い。
32 労働時間を減らすことも地球環境保護につながる。「フランスの家庭を対象とする研究では、長い労働時間は、環境負荷の高い商品の消費と直結していることが判明した・・・余暇を多く与えられた人々には、環境負荷の低い活動に惹かれる傾向が見られた。運動、ボランティア活動、学習、友人や家庭との交流などだ」(p.226)。
33 「計画的陳腐化を終わらせ、資源の消費に上限を設定し、労働時間を短縮し、不平等を減らし、公共財を拡大する――これらはすべて、エネルギー要求を減らし、クリーンエネルギーに迅速に移行するために必要なステップだ。だが、それだけに終わらず、これらすべては資本主義の論理を根本的に変える」(p.234)。
34 「わたしたちが関わる他の生物――他の人間だけでなく植物や動物――も、等しく主観的経験を持つ存在である・・・彼らもわたしたちと同じように身体を持ち、世界を感じ、世界と関わり、反応し、形づくっているのだ。実のところ、わたしたちが見ている世界は、彼らがわたしたちと共につくったものであり、彼らの世界は、わたしたちが彼らと共につくったものである。わたしたちと彼らは、知覚の官能的なダンスで互いに交流し、継続的な対話を通して、世界を知っていくのだ」(p.272)。
35 「結局のところ、わたしたちが「経済」と呼ぶものは、人間どうしの、そして他の生物界との物質的な関係である。その関係をどのようなものにしたいか、と自問しなければならない。支配と搾取の関係にしたいだろうか。それとも、互恵と思いやりに満ちたものにしたいだろうか?」(p.291)。
最近はこういった考え方が少しづつ広がってきているのですかね?
確かに、経済成長がこのスピードで続くのか?という疑問はありますが、
本書に書いてある社会・経済が本当に実現するのかな?という疑問はあります。
量が多く、読むのが大変で、勉強になる本かというと???ですが、
こういう考え方が出てきている、というのは頭に入れておいたほうが良いかなと思いました。
大人はもちろん、時代を担う世代のみなさんにも是非読んでいただきたい。