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『吾輩は猫である』殺人事件 (河出文庫 お 34-1) 文庫 – 2016/4/5
奥泉 光
(著)
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購入オプションとあわせ買い
あの「猫」は生きていた?! 吾輩、ホームズ、ワトソン……苦沙弥先生殺害の謎を解くために猫たちの冒険が始まる。おなじみの迷亭、寒月、東風、さらには宿敵バスカビル家の狗も登場。超弩級ミステリー。
- 本の長さ629ページ
- 言語日本語
- 出版社河出書房新社
- 発売日2016/4/5
- 寸法10.7 x 2.4 x 15 cm
- ISBN-104309414478
- ISBN-13978-4309414478
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商品の説明
著者について
1956年山形県生まれ。1986年に『地の鳥 天の魚群』でデビュー。1993年『ノヴァーリスの引用』で野間文芸新人賞、1994年『石の来歴』で芥川賞、2009年『神器』で野間文芸賞を受賞。
登録情報
- 出版社 : 河出書房新社 (2016/4/5)
- 発売日 : 2016/4/5
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 629ページ
- ISBN-10 : 4309414478
- ISBN-13 : 978-4309414478
- 寸法 : 10.7 x 2.4 x 15 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 126,899位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1956(昭和31)年山形県生れ。
1986年「地の鳥 天の魚群」でデビュー。1990年の「その言葉を」が注目を集め、以後1993年『ノヴァーリスの引用』で野間文芸新人賞、瞠目反・文学賞、1994年『石の来歴』で芥川賞を受賞。主な小説に、『葦と百合』『バナールな現象』『グランド・ミステリー』など。エッセイ集に『虚構まみれ』、共訳書に『古代ユダヤ社会史』がある。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2023年9月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「吾輩は猫である」のラストは意外性のある完成された終わりであるものの、私のような猫好きには何ともやり切れない残念さが残る。そうして本作品を発見し、喜びと期待感を持ち読み進んだものでした。500ページを超える長い物語を飽きさせない作者の饒舌と意外なストーリー展開に引き込まれ、ラストの驚きから不思議な感動に酔わされる。作者の力量を感ぜざるを得ません。ただ、やはり本作は夏目漱石の原作がお好きな方に限定して推薦するものです。
2018年8月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
これは凄い。何より、情報量が多く四字熟語や常套句の漢語が満載だが、リズム感があって読ませる軽妙洒脱な漱石『吾輩は猫である』の文体が十二分に再現されているのに感服。それを文庫で600ページ超えの大作に仕上げるとは、驚嘆すべき力業である。そしてミステリ仕立てで「猫」の登場人物のみならず、ホームズ、ワトソン、バスカヴィル家の狗に、モリアティー教授まで出て来る超豪華キャスト。最後は時空を超えた稀有壮大なSFとなり、まるできつねうどんに天ぷらまで乗せた、何でもありのエンタメ超大作だった。
漱石リスペクトでミステリとSFを融合させた作者渾身の傑作と評価したい。
漱石リスペクトでミステリとSFを融合させた作者渾身の傑作と評価したい。
2003年9月14日に日本でレビュー済み
その昔、『吾輩は猫である』や『坊ちゃん』等に感化された、という人は楽しく読み進められるんじゃないでしょうか。僕はそうでした。
「ミステリの枠を超えた」とかいう言葉で評価される事も多い作者ですが、この作品は、まあその、所謂メタ・ミステリではあるのでしょうが、然し芯の通ったオーソドックスな本格物、という風にも読めると思います。筋がキッチリ立ちますよ。意外と、と言っては的外れでしょうか。
長さを感じずに読了する事が出来ました。お奨めです。
「ミステリの枠を超えた」とかいう言葉で評価される事も多い作者ですが、この作品は、まあその、所謂メタ・ミステリではあるのでしょうが、然し芯の通ったオーソドックスな本格物、という風にも読めると思います。筋がキッチリ立ちますよ。意外と、と言っては的外れでしょうか。
長さを感じずに読了する事が出来ました。お奨めです。
2015年6月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
伯爵、虎君、将軍と、当たらずとも遠からずの推理により、隠されていた事実が明らかになっていく!
そして最後にホームズがまとめてくれる、と思ったら……???
色々な事件が発生し、慌ただしく駆け足でラストに突入。
告白しますが、私は理解力・読解力は良くありません。
泡坂妻夫『しあわせの書』の仕掛けも、アマゾンカスタマーレビューを読んでようやく気付いたし、
乾くるみ『イニシエーション・ラブ』も、一体何がすごいのかと仕掛けに気付かず、ネットで検索してネタバレサイトを発見し、ようやく理解できたのでした。
だから本書でも、誰かネタバレ解説を書かれてるかと検索したのですが、現時点で発見できず。
本書の単行本発行時・文庫化の時点ではツイッターはおろかブログも普及していなかったので、出版時の感想ラッシュ現象がないのは分かりますが、現代日本を代表する作家なのに、意外と言及が少ないように思います。
アマゾンカスタマーレビューですら、奥泉光さんのレビュー数は全体的に少ないように思います。
(現時点で『シューマンの指』のみ、突出して多い)
そういえば本書も、よく分からないので突っ込んだ感想が書きにくい気がします。
まず分厚さと文字数の多さで2割が脱落、途中で半数が脱落、読了した8割程度がようやく有耶無耶に敬して遠ざけたような感想を書いてるような。
SF的にもミステリー的にも素晴らしい作品なので、細部にこだわって徹底的に論じるに値すると思うのですが。
そして最後にホームズがまとめてくれる、と思ったら……???
色々な事件が発生し、慌ただしく駆け足でラストに突入。
告白しますが、私は理解力・読解力は良くありません。
泡坂妻夫『しあわせの書』の仕掛けも、アマゾンカスタマーレビューを読んでようやく気付いたし、
乾くるみ『イニシエーション・ラブ』も、一体何がすごいのかと仕掛けに気付かず、ネットで検索してネタバレサイトを発見し、ようやく理解できたのでした。
だから本書でも、誰かネタバレ解説を書かれてるかと検索したのですが、現時点で発見できず。
本書の単行本発行時・文庫化の時点ではツイッターはおろかブログも普及していなかったので、出版時の感想ラッシュ現象がないのは分かりますが、現代日本を代表する作家なのに、意外と言及が少ないように思います。
アマゾンカスタマーレビューですら、奥泉光さんのレビュー数は全体的に少ないように思います。
(現時点で『シューマンの指』のみ、突出して多い)
そういえば本書も、よく分からないので突っ込んだ感想が書きにくい気がします。
まず分厚さと文字数の多さで2割が脱落、途中で半数が脱落、読了した8割程度がようやく有耶無耶に敬して遠ざけたような感想を書いてるような。
SF的にもミステリー的にも素晴らしい作品なので、細部にこだわって徹底的に論じるに値すると思うのですが。
2003年6月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
うーん。滑り出しは面白かったんだけどね。
なによりも猫のキャラクターがいい。「吾輩」を中心にして、「伯爵」「将軍」「虎君」「マダム」そして「ホームズ」と「ワトソン」が、それぞれ個性を出していて、特に伯爵と将軍の掛け合いがいい。これに密室殺人の謎がどっしりからんで、すこぶる面白い小説に出会えたと思ったのになぁ。
SFはSFで嫌いじゃないんだけど、それならそれで最初からそういって欲しい。本格推理の謎解きの部分でSFが出てくるのは反則だと思う。それに、魅力的なキャラクターたちも最後であっという間にいなくなってしまったし。
まあ、漱石の「吾輩は猫である」を読み直してみようと言う気になっただけでもいいか。軽妙洒脱な文体は、まさに漱石そのものだった。
なによりも猫のキャラクターがいい。「吾輩」を中心にして、「伯爵」「将軍」「虎君」「マダム」そして「ホームズ」と「ワトソン」が、それぞれ個性を出していて、特に伯爵と将軍の掛け合いがいい。これに密室殺人の謎がどっしりからんで、すこぶる面白い小説に出会えたと思ったのになぁ。
SFはSFで嫌いじゃないんだけど、それならそれで最初からそういって欲しい。本格推理の謎解きの部分でSFが出てくるのは反則だと思う。それに、魅力的なキャラクターたちも最後であっという間にいなくなってしまったし。
まあ、漱石の「吾輩は猫である」を読み直してみようと言う気になっただけでもいいか。軽妙洒脱な文体は、まさに漱石そのものだった。
2013年6月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
漱石の「猫」を前提にした、推理小説かつ空想科学冒険小説である。
苦沙弥先生を殺したのは誰かを巡り各国を代表する猫たちが繰り広げる推理競争。このあたり機知とパロディにあふれたユーモア小説でもある。
何故「吾輩」は上海にいるのか、そもそも何故「吾輩」には名前が無いのか。これを解く鍵は寒月が発明した「タイムマシーン」。タイムパラドクスの罠にはまると「!!…??…」と何が何だか解らなくなる。
果たして最後に苦沙弥先生は殺されずにすんだのか…。
苦沙弥先生を殺したのは誰かを巡り各国を代表する猫たちが繰り広げる推理競争。このあたり機知とパロディにあふれたユーモア小説でもある。
何故「吾輩」は上海にいるのか、そもそも何故「吾輩」には名前が無いのか。これを解く鍵は寒月が発明した「タイムマシーン」。タイムパラドクスの罠にはまると「!!…??…」と何が何だか解らなくなる。
果たして最後に苦沙弥先生は殺されずにすんだのか…。
2012年7月10日に日本でレビュー済み
誠に愉快で気宇壮大な物語である。題名が示す通り、漱石「猫」の続編の様な趣きで、"吾輩"が突如上海河口上の船(その名も"虞美人"丸)で覚醒し、何と「苦沙弥先生密室横死事件」の謎に挑むという体裁の物語。全編、「猫」の文体模写と思惟の継承とで綴れられている辺り、作者の力の入れ方・凝り様と共に漱石への敬愛振りが窺える。苦沙弥先生の細君を初めとして、迷亭、寒月、東風、独仙、甘木と言った御馴染みのメンバが登場する上、あまつさえ、容疑者ともなるから堪らなく可笑しい。あの三毛子も登場する。鴎外がかつて苦沙弥先生の家に住んでいたという様なクスグリも入っている。
もう一つの趣向は(猫の)ホームズを登場させ、ホームズ流の冒険譚を物語に取り入れている点である。これに伴い、モリアリティ教授や「バスカヴィル家の犬」を思わせる魔狗が登場する辺りも可笑しい。当時の上海の租界の様子も丹念に描かれている。更なる趣向は、"吾輩"が苦沙弥先生の死を新聞記事で知った事由により、ホームズを初めとする猫仲間がP.マガー「七人のおば」を思わせる伝聞に基づいた推理合戦を行なう点である。この推理合戦に参加するのはホームズ(イギリス)の他、伯爵(フランス)、将軍(ドイツ)、虎君(中国)という当時の世相を反映している点も気が利いている。そして、彼らの推理が(多少の飛躍はあるものの)飽くまで「猫」の枠内に沿って行なわれる点が素晴らしく、「猫」のファンにとっては堪らない。推理の中に「こころ」を思わせる下宿時代の愛憎物語や「夢十夜」の変形版が出て来る辺りはますます堪らない。
そして、最後に残された趣向は奇想天外なもので、これが事件解決へと繋がるのだが、これを無茶と捉えるか漱石一門への敬慕と捉えるかは見解が別れる所だろう。勿論、後者を支持したい。私には随分とロマンティックなものに映った。漱石の思惟が良く反映されていると思う。漱石ファン必読の快著と言って良いのではないか。
もう一つの趣向は(猫の)ホームズを登場させ、ホームズ流の冒険譚を物語に取り入れている点である。これに伴い、モリアリティ教授や「バスカヴィル家の犬」を思わせる魔狗が登場する辺りも可笑しい。当時の上海の租界の様子も丹念に描かれている。更なる趣向は、"吾輩"が苦沙弥先生の死を新聞記事で知った事由により、ホームズを初めとする猫仲間がP.マガー「七人のおば」を思わせる伝聞に基づいた推理合戦を行なう点である。この推理合戦に参加するのはホームズ(イギリス)の他、伯爵(フランス)、将軍(ドイツ)、虎君(中国)という当時の世相を反映している点も気が利いている。そして、彼らの推理が(多少の飛躍はあるものの)飽くまで「猫」の枠内に沿って行なわれる点が素晴らしく、「猫」のファンにとっては堪らない。推理の中に「こころ」を思わせる下宿時代の愛憎物語や「夢十夜」の変形版が出て来る辺りはますます堪らない。
そして、最後に残された趣向は奇想天外なもので、これが事件解決へと繋がるのだが、これを無茶と捉えるか漱石一門への敬慕と捉えるかは見解が別れる所だろう。勿論、後者を支持したい。私には随分とロマンティックなものに映った。漱石の思惟が良く反映されていると思う。漱石ファン必読の快著と言って良いのではないか。
2005年8月16日に日本でレビュー済み
奥泉光渾身の一作。本作の目玉は何と言ってもこの文章。まるで漱石本人が乗り移ったかのごとく、作者は「猫」の文体を完全に再現してみせる。この呼吸、このリズム。「吾輩」の我々人間に向けた舌鋒はいよいよ鋭く、愉快な仲間たちとの掛け合いの何と楽しいことか。二十世紀初頭の上海を舞台に、苦沙弥先生殺害事件を巡るミステリーは、やがて時空を股にかけた奇想天外な物語へ。「ぼくはこれを書くために小説家になった」と豪語する作者の筆は冴えに冴え、小説の醍醐味、読書の悦びを最大限に味あわせてくれる。