「あなたの感覚は狂っているのね」「話すことといえば、過去に起きたことばかり」
上手くいかないとき、人は人生を投げうって、新しい何かになりたがる。
名前を捨て、顔を捨て、体を捨て、故郷も家族も人間関係を捨てて、新しい地で、新しい人生を歩みたいと思ったことはあるか。"人生を壊して、一からやり直したい"と思ったことはあるか。
パラニューク処女作、そこに込められたメッセージは極めて身近で、刺激的で、衝撃的だった。素晴らしい作品でした。
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インヴィジブル・モンスターズ (ハヤカワ・ノヴェルズ) 単行本 – 2003/5/1
- 本の長さ260ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2003/5/1
- ISBN-104152084936
- ISBN-13978-4152084934
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
事故で顔を失ったわたしは、裏切った婚約者に復讐するため旅に出る。交錯する過去と現在、境界をなくす男と女、聞こえない叫びと悲鳴、見えない殺戮と破壊…。超過激ノヴェル。
登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2003/5/1)
- 発売日 : 2003/5/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 260ページ
- ISBN-10 : 4152084936
- ISBN-13 : 978-4152084934
- Amazon 売れ筋ランキング: - 551,885位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2012年11月9日に日本でレビュー済み
パラニュークの、これが実質上の処女作。「ファイトクラブ」の成功により、刊行の日の目を見たのだが、「ファイトクラブ」「サバイバー」を超える面白さ、めまい感である。
読みながらの 興をそがないよう、ストーリーには触れないが、これだけ。私が一番「ええ!」と思ったのは、彼女が誰に撃たれたのかが明らかになった時だ。
とにかく、ものすごく異常な設定の物語なのだが、彼女が顔を失う前の日々、両親に愛されていないという思いは切なく、共感できる。「誰も愛してくれない。愛されたい」と絵葉書に書いて風に飛ばす、その愛とはどのような愛なのか。
それは、ごくごく当たり前のことーー自分の誕生日を覚えていて欲しいとか、クリスマスの靴下の中に、せめて避妊具以外のものが入っていて欲しいというような、小さな願いなのだ。
それで思うのだが、この物語はこの上もなく異常でありながら、この上もなく、まっとうな物語なのではないか。親にネグレクトされた子どもの頃の哀しみが、彼女の「美しさ依存症」に肥大していく。
そこに、パラニュークのナイーブかつ、まっとうな感性、価値観を見る。
それにしても、クラブの規定にあるように、ファイトクラブについて語ってはならない。この作品も語るなかれ。読んでください!
読みながらの 興をそがないよう、ストーリーには触れないが、これだけ。私が一番「ええ!」と思ったのは、彼女が誰に撃たれたのかが明らかになった時だ。
とにかく、ものすごく異常な設定の物語なのだが、彼女が顔を失う前の日々、両親に愛されていないという思いは切なく、共感できる。「誰も愛してくれない。愛されたい」と絵葉書に書いて風に飛ばす、その愛とはどのような愛なのか。
それは、ごくごく当たり前のことーー自分の誕生日を覚えていて欲しいとか、クリスマスの靴下の中に、せめて避妊具以外のものが入っていて欲しいというような、小さな願いなのだ。
それで思うのだが、この物語はこの上もなく異常でありながら、この上もなく、まっとうな物語なのではないか。親にネグレクトされた子どもの頃の哀しみが、彼女の「美しさ依存症」に肥大していく。
そこに、パラニュークのナイーブかつ、まっとうな感性、価値観を見る。
それにしても、クラブの規定にあるように、ファイトクラブについて語ってはならない。この作品も語るなかれ。読んでください!
2021年7月10日に日本でレビュー済み
時代を先取りしすぎた感がある。
性やルックスが取り沙汰される世相が続くなら、後に再評価されると思う。
映画化の話がボツになったのは残念。
「わたしはうわべだけの世界にうんざりしている」
「太って見えるだけのブタ、幸せそうな家族」
性やルックスが取り沙汰される世相が続くなら、後に再評価されると思う。
映画化の話がボツになったのは残念。
「わたしはうわべだけの世界にうんざりしている」
「太って見えるだけのブタ、幸せそうな家族」
2013年11月20日に日本でレビュー済み
読みにくさ、世界への憎しみ、価値の転倒全てが充分すぎるほどに入り、消化されてるんだよ。
2007年4月25日に日本でレビュー済み
割とドライな文章で壮絶な事件の、物語の終焉の、淡々とした描写から始まるこの小説は、ありとあらゆる共感や感情移入を排して、思いつくまま気の向くまま、扇情的な言葉のマシンガンをめくら滅法に撃ちまくってるようにしか見えない。
見えないのに、最後まで辿りついてみたら、すべてのバラバラのジグゾーが、裏返って別の絵が浮かび上がるという寸法。無駄なところだらけに見えて無駄なところが何一つない、とんでもない芸のある小説。
気まぐれさと緻密さが、冒頭の凄惨な光景に向かって砂時計のくびれに落ちていく砂のように絡み合い融合しあって、終盤のあまりの悪夢っぷりに、これが感情移入が許された筆致で書かれたらとても辛くて読めないと思いました。
悪趣味なエンタティメントとして考えうる限りベストな手法をとって書かれている、と思いました。
見えないのに、最後まで辿りついてみたら、すべてのバラバラのジグゾーが、裏返って別の絵が浮かび上がるという寸法。無駄なところだらけに見えて無駄なところが何一つない、とんでもない芸のある小説。
気まぐれさと緻密さが、冒頭の凄惨な光景に向かって砂時計のくびれに落ちていく砂のように絡み合い融合しあって、終盤のあまりの悪夢っぷりに、これが感情移入が許された筆致で書かれたらとても辛くて読めないと思いました。
悪趣味なエンタティメントとして考えうる限りベストな手法をとって書かれている、と思いました。
2005年6月20日に日本でレビュー済み
物語に置いて行かれまいとして、必死でばら撒かれた断片をを拾い集めているうちに眩暈に似た感覚に襲われます。
読む快感を味わうことのできる極上の一冊。
読む快感を味わうことのできる極上の一冊。
2023年12月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
処女作にして既にパラニューク作品に共通した、反物質主義、反消費社会、反メインストリーム、快楽主義、自己破壊、破壊衝動、自由意志、といったテーマが随所に見られる
更に、グロテスクなまでにディテールに拘る場面描写、順不同の時系列、マニアックな世界のうんちく、定型表現のリピートなど、パラニュークらしいくどい作風はこの頃から確立されていたことが見て取れる
個人的には、マニアックな性的嗜好・くどい性的描写・グロい表現が多すぎて読んでいて胸焼けしそうではあった
チャック・パラニュークの作品には共通して予想外の結末があり、エンターテイメントとしては楽しめる内容ではあるが、相変わらず登場キャラクターには誰一人として一切感情移入できない
彼の作品の登場人物は破壊衝動を持っていたり偏執狂だったりサイコとも言えるようなキャラクターが多く、衝動的な行動の意図や理由に共感できないことが多い
今作では、誰からも愛されない主人公が独り善がりの歪んだ自己愛を振りかざし、自身と他人の人生を破壊する
他の作品でもそうだが、痛みや喪失を伴う破壊行為を一種の"救い"のように表現する著者の感性は私にはイマイチ理解できない
更に、グロテスクなまでにディテールに拘る場面描写、順不同の時系列、マニアックな世界のうんちく、定型表現のリピートなど、パラニュークらしいくどい作風はこの頃から確立されていたことが見て取れる
個人的には、マニアックな性的嗜好・くどい性的描写・グロい表現が多すぎて読んでいて胸焼けしそうではあった
チャック・パラニュークの作品には共通して予想外の結末があり、エンターテイメントとしては楽しめる内容ではあるが、相変わらず登場キャラクターには誰一人として一切感情移入できない
彼の作品の登場人物は破壊衝動を持っていたり偏執狂だったりサイコとも言えるようなキャラクターが多く、衝動的な行動の意図や理由に共感できないことが多い
今作では、誰からも愛されない主人公が独り善がりの歪んだ自己愛を振りかざし、自身と他人の人生を破壊する
他の作品でもそうだが、痛みや喪失を伴う破壊行為を一種の"救い"のように表現する著者の感性は私にはイマイチ理解できない
2003年6月20日に日本でレビュー済み
多少、粗さがありますが、勢いのある魅力的なストーリー。粗さがあるからこそ、勢いもあるというべきかもしれません。
魅惑的で、謎の多い登場人物たち。複雑に絡み合う人間関係。
めまぐるしいストーリー展開にぐいぐい引っ張られる感覚。
時間の中を行ったり来たりする不思議な文章の中に、心に刻み込まれるような言葉の断片がたくさん散りばめられています。
カッコイイ小説です。
魅惑的で、謎の多い登場人物たち。複雑に絡み合う人間関係。
めまぐるしいストーリー展開にぐいぐい引っ張られる感覚。
時間の中を行ったり来たりする不思議な文章の中に、心に刻み込まれるような言葉の断片がたくさん散りばめられています。
カッコイイ小説です。