私将棋は全くやったことがありませんし、対戦を見てもわかりません(笑)
羽生さんについても、将棋がものすご~く強い人で、国民栄誉賞もらったよね?くらいしか知りません。
でも天才棋士との対話というところに惹かれて読んでみました。
筆者さんのお名前を見ると、たまに読んでいるNumberのコラムも手掛けている方で、読んだことのある記事も書かれていました。
(私が読んだことがあるのはハンマー投げの室伏さんの記事でした)
かっこよくて読みやすくて、思わず記事に書かれているアスリートのファンになってしまうような魅力的な文章の主。
期待が膨らんだ状態でページをめくっていきます。
前半、読んでいて羽生さんの思考の仕方が誰かに似ている??と思った「誰か」は・・・
「ポケモン」の主人公「サトシ」です。
好きで、一生懸命で、楽しんでいて、ちょっと何を考えているのかわからないところも、相手を倒そうと思っているわけではないのに対局(ポケモンだとバトル)を楽しんでしまうところもよく似ています。
そして、「白い眼」という表現が出てきたときには羽生さんの頭の宇宙っぷりが沢山書かれているのでは?と思いましたが、筆者さんの人間性を引き出す聞き方にすっかりやられてしまいました!
対話中にでてくる言葉は、まるで「アラフィフ」を乗り越えるための道しるべのよう!
50歳前後になると、体力的なこととか、能力的なことが20代・30代のころとは格段に違ってきますよね?
天才羽生さんと筆者さんの考察で、そんな年齢的なことを沢山話してくれています。
例えば・・・
「今の将棋はコンピューターソフトの指し手を個人個人でアレンジしてやってくる。
そこを理解しようとしている。」
「決まったルーティンの中に埋没しやすいので意図的に意識的に何か変化していく必要があるのかな・・・」
「長く将棋をやっているとさしてや戦型にこだわりが生まれて「捨てるのがもったいない」と思うようになるけど若い人はバッサリ捨てられる」
自分が「やってきたこと」にとらわれるとあっという間に重荷になる。
この辺が、羽生さんが40代後半にして第一線にいられる秘訣なんですね。
同年代の自分の頭の固さを思い知らされました。
それから、
「メンタルは年を重ねるごとに上がっていく唯一のもの」
「自分のペースを乱さないよう、変わらないよう一手一手を打っていく」
年齢を重ね、目標や目的が見つけにくくなったことを、さも当然のように受け入れているように見える(筆者さんの考察部分)
などなどあげればきりがないくらい心しておきたい宝物のような言葉が山のように出てきます。
東日本大震災の3か月後に「宮城の子は負けない」という公演をされていたことも、この本で初めて知りました。
そして、初めから通して筆者さんが引き出したいと思っていた闘争心のことと、羽生さんの「欲」
ここは何故か「修造カレンダー」の話も登場して、ほっこりします ^^)
(日本人だから…というくだりにも納得)
よくある「自己啓発本」では得られない、「長年現役で、楽しみながら続ける」秘訣が本当に沢山詰まった本でした。
今まで全く縁のなかった「棋士」のお話。
アラフィフの自分にとって本当にタイムリーでした ^^)
若いつもりでいても、嫌というほど「年齢」を自覚してしまうアラフィフ世代の方。
気合だけではこれからもたないな・・・とか、
これからの年齢に不安を感じるという方には本当におススメの1冊です♪
ちなみに将棋が全くわからなくてもどんどん引き込まれていきますよ ^^)
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超越の棋士 羽生善治との対話 単行本(ソフトカバー) – 2018/9/20
高川 武将
(著)
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「将棋に闘争心は要らない、と思っています」「自分の役割? ないですよ。役割はないです」「最後は自我の強さ、欲の強さが大事なのかな、と」「人並みに欲はあります…ノンビリしたいとか(笑)」深い深い奥行きをたたえた「超越者」の言葉に、なぜ人は癒しを感じるのか――珠玉のインタビュー・ノンフィクション。
- 本の長さ410ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2018/9/20
- 寸法12.9 x 2.4 x 18.8 cm
- ISBN-104065132185
- ISBN-13978-4065132180
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著者について
高川 武将
1966年、東京都大田区生まれ。早稲田大学卒業後、新聞社、出版社を経て、フリーランスのルポライターとして独立。2000年『Number PLUS』(文藝春秋)誌に、巨人入り後苦悩にあえいでいた清原和博をロングインタビューした「地獄からの生還」を発表。以降、同誌を中心に月刊誌、週刊誌などで、主に人生と闘うアスリートを題材にした骨太のノンフィクションを多数執筆している。主な作品に「記録の神の嘆き。プロ野球は死んだのか」、「オリンピックに嫌われた男。」、「命 坂本博之の決断」、「羽生善治42歳。『闘う理由』」、「アドリアーノ 絶望の街に生まれた奇跡」、「高橋尚子 3500mの青春」、「棋士道 羽生善治『将棋の神』に極意を質す」などがある。
1966年、東京都大田区生まれ。早稲田大学卒業後、新聞社、出版社を経て、フリーランスのルポライターとして独立。2000年『Number PLUS』(文藝春秋)誌に、巨人入り後苦悩にあえいでいた清原和博をロングインタビューした「地獄からの生還」を発表。以降、同誌を中心に月刊誌、週刊誌などで、主に人生と闘うアスリートを題材にした骨太のノンフィクションを多数執筆している。主な作品に「記録の神の嘆き。プロ野球は死んだのか」、「オリンピックに嫌われた男。」、「命 坂本博之の決断」、「羽生善治42歳。『闘う理由』」、「アドリアーノ 絶望の街に生まれた奇跡」、「高橋尚子 3500mの青春」、「棋士道 羽生善治『将棋の神』に極意を質す」などがある。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2018/9/20)
- 発売日 : 2018/9/20
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 410ページ
- ISBN-10 : 4065132185
- ISBN-13 : 978-4065132180
- 寸法 : 12.9 x 2.4 x 18.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 650,073位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 91,127位趣味・実用
- - 104,697位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
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上位レビュー、対象国: 日本
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2018年10月6日に日本でレビュー済み
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2021年2月28日に日本でレビュー済み
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「将棋は進化している。」「息の長い将棋指しを目指したい。」などの発言で知られる羽生善治氏。
これらの発言内容はアマチュア将棋指しには理解しにくい。どんなプロ棋士でもプロになる前はアマチュアだったわけでほとんどの人は彼の発言は理解できていない筈である。
進化している将棋に対応する努力を怠らなければ息の長い将棋指しになるのは可能であるというのが
羽生善治氏の根本的態度である。
本書では羽生氏は
将棋文化を50年後100年後に残すためにはルールを知っているだけの人をいかに増やすかを考えることが
現実的対策であろうと述べている。
将棋の進化の部分には大多数の人は無関心なのだからそれが現実的だという意味である。
羽生氏の口から「私は他力志向の人間です。」と引き出せたのは
高川氏の粘り強い取材活動から生まれたものであり評価に値する。
これらの発言内容はアマチュア将棋指しには理解しにくい。どんなプロ棋士でもプロになる前はアマチュアだったわけでほとんどの人は彼の発言は理解できていない筈である。
進化している将棋に対応する努力を怠らなければ息の長い将棋指しになるのは可能であるというのが
羽生善治氏の根本的態度である。
本書では羽生氏は
将棋文化を50年後100年後に残すためにはルールを知っているだけの人をいかに増やすかを考えることが
現実的対策であろうと述べている。
将棋の進化の部分には大多数の人は無関心なのだからそれが現実的だという意味である。
羽生氏の口から「私は他力志向の人間です。」と引き出せたのは
高川氏の粘り強い取材活動から生まれたものであり評価に値する。
2019年4月3日に日本でレビュー済み
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どのような問いかけをしても、読者が求めている、そうだったんだ、
という絶対王者的な分かりやすい答えは返ってこない。あえてなのか、無意識か?
インタビュアーの苦闘、緊張と緩和が繰り返される。
読者もそのような空気感を徐々に感じ取り、只ならぬ応酬に手に汗握る。
むいてもむいても核心に届かない玉ねぎのような問答。
核心をギリギリでかわす絶妙な回答。
この果てしない問答自体が将棋の何たるかを表しているようだ。
使い古された言葉だが、語り得ぬものには沈黙せねばならない。
深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ。
という2つが体現されていくことに気づく。
哲学の域に達したと思われる2人の対話は、将棋そのものでした。
という絶対王者的な分かりやすい答えは返ってこない。あえてなのか、無意識か?
インタビュアーの苦闘、緊張と緩和が繰り返される。
読者もそのような空気感を徐々に感じ取り、只ならぬ応酬に手に汗握る。
むいてもむいても核心に届かない玉ねぎのような問答。
核心をギリギリでかわす絶妙な回答。
この果てしない問答自体が将棋の何たるかを表しているようだ。
使い古された言葉だが、語り得ぬものには沈黙せねばならない。
深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ。
という2つが体現されていくことに気づく。
哲学の域に達したと思われる2人の対話は、将棋そのものでした。
2018年10月5日に日本でレビュー済み
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羽生という人は、肯定思考の人である。それは、周りと一体で眼の前で起る全てを受け入れる。
2010年10月、東工大で講演する羽生が秋雨の中を傘もささずに一人で歩いて来る。
眼が白い。眼の前にあるものを見ているようで見ていない。その向こう側にある全く別のものを見ている。それは、何の意思も感じないそんな眼であった。
トップアスリートは、明るく燃えるような眼をしている人が多い。なかには、じっと鈍い光を発している人もいるが大概は、幼少期に自力ではどうしようもない不遇を経験していたりしている。
羽生の眼は、そのいずれでもない。「白い眼」の棋士である。感情が抜けた客観的な眼、メタ認知能力を持つ人の眼、もっと言えば闘う相手が存在しなくなる眼と言って良いだろう。
かって若い頃、「羽生睨み」と云われていたが、インタビューでは子供のように輝くこともあった。
今、羽生の突き抜けるような笑顔は、常に自分の頭で考え抜いて指し手を決めなければならない将棋の「自由さ」を愉しんでいるのではなかろうか。
谷川、島、森内、渡辺、久保等羽生と数々のタイトル戦で死闘を演じ、苦汁を嘗めさせられた棋士たちは皆一様に羽生に「感謝」している。
天才中の天才と呼ばれる実力者の羽生がいなければ、彼らは一時代を築いていただろう。にも拘らず、彼らは「羽生さんのお蔭で、今の自分がある」と感謝している。
羽生は、それ以前の殺伐とした勝負の世界を清浄な世界に変えた。棋士道精神を根付かせた。
永世七冠は奇跡的大偉業に違いないが、羽生が起こした奇跡はそこにある。
それは、盤上で会話できる相手つまり、お互いに一手一手の背景が互いに良く読めると解ってくる程、良い棋譜になるというものである。
そして現在、コンピュータソフトの影響が強くなっているが、その根本にある発想や考え方が人間とは異なっている。
そのため、人間はその将棋スタイルや戦術を掴み切れていない。
一つ例を挙げれば、コンピュータは時系列的に動かないので、「手損」という考え方がなくなる。これは、異文化との接触と言って良い。また、「読み」が響き合わない。
以上、第一局迄であるが第七局迄ありボリューム十分である。
渡辺、久保、谷川、桜井、島、森内のインタビューから引き出した答えつまり、羽生の考え方・哲学の変遷・深まりの言語化は貴重であり、インタビューも興趣深いものとなっている。
2010年10月、東工大で講演する羽生が秋雨の中を傘もささずに一人で歩いて来る。
眼が白い。眼の前にあるものを見ているようで見ていない。その向こう側にある全く別のものを見ている。それは、何の意思も感じないそんな眼であった。
トップアスリートは、明るく燃えるような眼をしている人が多い。なかには、じっと鈍い光を発している人もいるが大概は、幼少期に自力ではどうしようもない不遇を経験していたりしている。
羽生の眼は、そのいずれでもない。「白い眼」の棋士である。感情が抜けた客観的な眼、メタ認知能力を持つ人の眼、もっと言えば闘う相手が存在しなくなる眼と言って良いだろう。
かって若い頃、「羽生睨み」と云われていたが、インタビューでは子供のように輝くこともあった。
今、羽生の突き抜けるような笑顔は、常に自分の頭で考え抜いて指し手を決めなければならない将棋の「自由さ」を愉しんでいるのではなかろうか。
谷川、島、森内、渡辺、久保等羽生と数々のタイトル戦で死闘を演じ、苦汁を嘗めさせられた棋士たちは皆一様に羽生に「感謝」している。
天才中の天才と呼ばれる実力者の羽生がいなければ、彼らは一時代を築いていただろう。にも拘らず、彼らは「羽生さんのお蔭で、今の自分がある」と感謝している。
羽生は、それ以前の殺伐とした勝負の世界を清浄な世界に変えた。棋士道精神を根付かせた。
永世七冠は奇跡的大偉業に違いないが、羽生が起こした奇跡はそこにある。
それは、盤上で会話できる相手つまり、お互いに一手一手の背景が互いに良く読めると解ってくる程、良い棋譜になるというものである。
そして現在、コンピュータソフトの影響が強くなっているが、その根本にある発想や考え方が人間とは異なっている。
そのため、人間はその将棋スタイルや戦術を掴み切れていない。
一つ例を挙げれば、コンピュータは時系列的に動かないので、「手損」という考え方がなくなる。これは、異文化との接触と言って良い。また、「読み」が響き合わない。
以上、第一局迄であるが第七局迄ありボリューム十分である。
渡辺、久保、谷川、桜井、島、森内のインタビューから引き出した答えつまり、羽生の考え方・哲学の変遷・深まりの言語化は貴重であり、インタビューも興趣深いものとなっている。
2018年10月22日に日本でレビュー済み
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読み始める前に、羽生善治さんは僕の中では人間の到達出来る最高峰に近い神のような存在だった。実績、人格、思慮の全てにおいて他の追随を許さない正に国民栄誉賞に相応しい人物だ。
羽生さん関連で将棋以外の本はあらかた読んだがそのほとんどは羽生さんが一人称で書いた本か、羽生さんをたたえる内容だ。
ところが本書を読むと実に人間臭い部分が見え隠れする。対話なのでインタビュー形式の本だが、あれ?そのタイミングで笑っちゃうの?とか、ん?第一人者としてそんなこと言っていいの?とか、質問の意図(対戦相手へのおもい)と違うこと(今後の自分の将棋にどう活かすか等)言い出した!思う。
筆者は質問と回答がどんな力を持っているか知っていてる。全てをかけて人間羽生善治に鋭く斬り込んで、見事に浮き彫りにしている。
羽生さんの我、癖、息遣いが聞こえてくる。
羽生さんについて第三者が語ってるのもいい。
その中に雀鬼 桜井章一さんがいるのも面白い。
全体を通して筆者の質問者としての実力は、(比べる術はないけど)将棋棋士羽生善治に迫っていると感じた。
読み終わってますます人間羽生善治を好きになった。
羽生さん関連で将棋以外の本はあらかた読んだがそのほとんどは羽生さんが一人称で書いた本か、羽生さんをたたえる内容だ。
ところが本書を読むと実に人間臭い部分が見え隠れする。対話なのでインタビュー形式の本だが、あれ?そのタイミングで笑っちゃうの?とか、ん?第一人者としてそんなこと言っていいの?とか、質問の意図(対戦相手へのおもい)と違うこと(今後の自分の将棋にどう活かすか等)言い出した!思う。
筆者は質問と回答がどんな力を持っているか知っていてる。全てをかけて人間羽生善治に鋭く斬り込んで、見事に浮き彫りにしている。
羽生さんの我、癖、息遣いが聞こえてくる。
羽生さんについて第三者が語ってるのもいい。
その中に雀鬼 桜井章一さんがいるのも面白い。
全体を通して筆者の質問者としての実力は、(比べる術はないけど)将棋棋士羽生善治に迫っていると感じた。
読み終わってますます人間羽生善治を好きになった。
2021年1月5日に日本でレビュー済み
羽生九段のインタビュー本なので喜んで購入した。筆者の禅問答のような、答の出ない質問に、羽生九段は丁寧に答えていた。筆者の粘着気質に読んでいて辟易する箇所も多々あった。「それを突き詰めてどうするの?」という感じだ。「答は出ないよ、筆者自身の問題だから」と言いたくなる場面も多かった。羽生九段を良く捉えて語っていたのは、島九段と森内九段だと思う。特に島九段の「羽生将棋の本質はど根性だ」には共感した。誰よりも負けたくない気持ちが強いのだと思う。だからこそ筆者の質問をさらりといなしているのだ。インタビューの仕方によっては、もっと魅力的な羽生九段を引き出せたように感じた。
2018年10月17日に日本でレビュー済み
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著者は羽生永世七冠にインタビューをし、「勝つことに意味はない。」という言葉を何度もひきだしている。しかし言うまでもないが、勝ちつずけきたからこそ、女優と結婚をし世田谷の一等地に一軒家をかまえ、国民栄誉賞を授かり、また各界の一流人と会うことができている。羽生永世七冠が、なぜそう答えるのか、その言葉の奥の深いところを、充分にさぐりだしているとはいえない。読んでいて隔靴掻痒で、最後まで不満がのこる。
2020年1月9日に日本でレビュー済み
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羽生さん以外の人が言葉にしたら、全く別の意味に取られてしまいそうな語録の連続でした。数々のタイトルを獲得して来た人が、将棋は他力なんて一見反対の事を言ってるようにしか思えないはずが、ずっと羽生さんの将棋を見ているとまさにその言葉の通りの事をやってのけています。やっている事に意味なんてない、突き詰めてはいけない、考えないようにしている等、将棋を極める意味について全く他人事のように語るところが羽生さんらしさである事が、この本の中にずっと息づいています。棋士の中でも一際突き抜けた実績を誇る存在であるが故に、異次元の感覚で発信しているような感じにさせてくれるところも、この本の面白さです。