学問の面白さを実感できる一冊です。
ホッブズやルソーまでさかのぼって、ウクライナ侵攻を論じ、議論の奥深さを知りました。
昨今、あまりにも歴史が欠落してしまった、大変残念な発言を目にする機会が多くなりました。
そうした風潮のなかで、過去からいまを思考すること。
同じ過ちを繰り返さないためにも、大事なことだと実感します。
プライム無料体験をお試しいただけます
プライム無料体験で、この注文から無料配送特典をご利用いただけます。
非会員 | プライム会員 | |
---|---|---|
通常配送 | ¥410 - ¥450* | 無料 |
お急ぎ便 | ¥510 - ¥550 | |
お届け日時指定便 | ¥510 - ¥650 |
*Amazon.co.jp発送商品の注文額 ¥3,500以上は非会員も無料
無料体験はいつでもキャンセルできます。30日のプライム無料体験をぜひお試しください。
¥935¥935 税込
発送元: Amazon.co.jp 販売者: Amazon.co.jp
¥935¥935 税込
発送元: Amazon.co.jp
販売者: Amazon.co.jp
¥476¥476 税込
無料配送 6月9日-10日にお届け
発送元: 買取王子 本店 販売者: 買取王子 本店
¥476¥476 税込
無料配送 6月9日-10日にお届け
発送元: 買取王子 本店
販売者: 買取王子 本店
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
歴史の逆流 時代の分水嶺を読み解く (朝日新書) 新書 – 2022/12/13
{"desktop_buybox_group_1":[{"displayPrice":"¥935","priceAmount":935.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"935","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"nBEyqKKtxWDjF094EOQCl3fu%2BMPvvgEe7kxp4P1AbVyVuAEh4pP2aNx7PPRw0ZRzUrf5cVGBBLWQDu0N4IdB4gcIeui1g33JaSM1c%2BTF%2F18RjbBFwWU1AwIttlvWBn3ZcA8S8AmcjTs%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"NEW","aapiBuyingOptionIndex":0}, {"displayPrice":"¥476","priceAmount":476.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"476","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"nBEyqKKtxWDjF094EOQCl3fu%2BMPvvgEeHfC4yWLusoT3pjDikCe3%2FLEboh5Y1pTCnZSfdYka27GbO7i7kO6qJYr2GoPmb1k%2FyaFXvd%2F3y2XbEwk%2BVDU%2BN8KGWf8G9R8pzxH%2ByXm2fUm%2BQ9pTaTaYxZ6fpaAyDzFDzXLPBlW0vTWBVEiWbw5UQQ%3D%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"USED","aapiBuyingOptionIndex":1}]}
購入オプションとあわせ買い
歴史の歯車は逆転するのか――。
転換期としての“いま”を検証する。
大戦時と重なる日本政府のコロナ対応の「失敗」、核保有大国が起こした独立国家への侵略戦争、敵基地攻撃能力・防衛予算増額と憲法9条、戦後初の首相経験者の殺害、そして政治と宗教との関係……。
戦前を想起させる出来事が続くなか、過去からどのような教訓をくみ取るべきか。
憲法学・政治学・歴史学の専門家が、侵略と暴力の時代に抗する術を考える。
-------------------------------------
悪いことは何でも憲法9条のせいだと言う人がいる。9条があるから絶対にどこも攻めてこないということはないし、9条をなくせばどこも攻めてこないということもない。(長谷部恭男)
データに基づかずに希望的観測に基づいて政策決定する、あるいは人々に対して真摯な説明を行わない。国会を軽視し、閣議決定ばかりで物事を決めていく政治が続いている。(杉田敦)
失敗を繰り返さないためには、常に歴史を参照しながら考えていくことがとても重要です。今の時点からきちんと振り返ることで、初めて歴史が見えてくる。(加藤陽子)
■目次
第1章 説明しない政治
・菅政権の危機対応
・飲食店と営業の自由
・「コロナ敗戦」「インパール2020」
・データを使いこなせない国
・説明責任を意識しない政府
・安倍・菅政治の手法
・「偶像崇拝」に陥る危うさ
・東京オリンピックへの執着
・改憲論者の〝陰謀〞
・対応の遅れは9条のせい?
・「ロックダウン」と「公共の福祉」
・陥穽の「緊急事態条項」
・地方分権の本質とは
・強権と責任回避の間
・為政者に欠落する学問体験
第2章 2割が動かす政治
・中国の体制に近づく日本
・「自己内対話」の意味
・有権者20%で当選する制度
・日本の最大政党「無党派」
・戦前の二大政党制
・東日本大震災とコロナ
第3章 戦争と侵略を考える
・21世紀の国家による戦争
・戦い抜けとか戦うなとか
・ホッブズ型とルソー型の国家観
・戦闘員と非戦闘員の区別
・「油に始まり、油に終わった」
・攻撃目標となる憲法原理
・戦争とは、戦争状態とは
・「殴りかかった人が悪い」
・正義の論争
・危機における国際社会の感度
第4章 国家の歴史観と憲法
・歴史観をめぐる争い
・昭和天皇とファシズム
・他国の土地を奪う国の末路
・歴史に見るウクライナ
・戦前と重なる手口
・国連改革の可能性
・緩衝地帯という概念
・日中戦争との類似性
・核共有の危うさ
・敵基地攻撃と憲法9条
・憲法9条が問題なのか
・台湾有事と武力干渉
・日本の安全保障環境は危機なのか
第5章 歴代最長政権と宗教
・安倍元首相の国葬をめぐって
・安倍晋三と山本五十六
・拙速な決定の痛手
・「民主主義の危機」なのか
・疎外された個人と国家
・政教分離と信教の自由
第6章 時代の分岐点
・この国はどこに向かうのか
・日本の選挙制度と集団
・少数政党の乱立
・小手先の政治改革
・「対案を出せ」症候群
・公文書管理と放送法
・議論なき政治
・憲法的大問題
巻末 「分断」の時代を乗り越える
・菅元首相のスピーチと山県有朋
・国葬に見た「自衛隊の役割」
・安倍政治的なものの総決算
・旧統一教会をめぐる拙劣な答弁
・多様性の否定と社会の分断
転換期としての“いま”を検証する。
大戦時と重なる日本政府のコロナ対応の「失敗」、核保有大国が起こした独立国家への侵略戦争、敵基地攻撃能力・防衛予算増額と憲法9条、戦後初の首相経験者の殺害、そして政治と宗教との関係……。
戦前を想起させる出来事が続くなか、過去からどのような教訓をくみ取るべきか。
憲法学・政治学・歴史学の専門家が、侵略と暴力の時代に抗する術を考える。
-------------------------------------
悪いことは何でも憲法9条のせいだと言う人がいる。9条があるから絶対にどこも攻めてこないということはないし、9条をなくせばどこも攻めてこないということもない。(長谷部恭男)
データに基づかずに希望的観測に基づいて政策決定する、あるいは人々に対して真摯な説明を行わない。国会を軽視し、閣議決定ばかりで物事を決めていく政治が続いている。(杉田敦)
失敗を繰り返さないためには、常に歴史を参照しながら考えていくことがとても重要です。今の時点からきちんと振り返ることで、初めて歴史が見えてくる。(加藤陽子)
■目次
第1章 説明しない政治
・菅政権の危機対応
・飲食店と営業の自由
・「コロナ敗戦」「インパール2020」
・データを使いこなせない国
・説明責任を意識しない政府
・安倍・菅政治の手法
・「偶像崇拝」に陥る危うさ
・東京オリンピックへの執着
・改憲論者の〝陰謀〞
・対応の遅れは9条のせい?
・「ロックダウン」と「公共の福祉」
・陥穽の「緊急事態条項」
・地方分権の本質とは
・強権と責任回避の間
・為政者に欠落する学問体験
第2章 2割が動かす政治
・中国の体制に近づく日本
・「自己内対話」の意味
・有権者20%で当選する制度
・日本の最大政党「無党派」
・戦前の二大政党制
・東日本大震災とコロナ
第3章 戦争と侵略を考える
・21世紀の国家による戦争
・戦い抜けとか戦うなとか
・ホッブズ型とルソー型の国家観
・戦闘員と非戦闘員の区別
・「油に始まり、油に終わった」
・攻撃目標となる憲法原理
・戦争とは、戦争状態とは
・「殴りかかった人が悪い」
・正義の論争
・危機における国際社会の感度
第4章 国家の歴史観と憲法
・歴史観をめぐる争い
・昭和天皇とファシズム
・他国の土地を奪う国の末路
・歴史に見るウクライナ
・戦前と重なる手口
・国連改革の可能性
・緩衝地帯という概念
・日中戦争との類似性
・核共有の危うさ
・敵基地攻撃と憲法9条
・憲法9条が問題なのか
・台湾有事と武力干渉
・日本の安全保障環境は危機なのか
第5章 歴代最長政権と宗教
・安倍元首相の国葬をめぐって
・安倍晋三と山本五十六
・拙速な決定の痛手
・「民主主義の危機」なのか
・疎外された個人と国家
・政教分離と信教の自由
第6章 時代の分岐点
・この国はどこに向かうのか
・日本の選挙制度と集団
・少数政党の乱立
・小手先の政治改革
・「対案を出せ」症候群
・公文書管理と放送法
・議論なき政治
・憲法的大問題
巻末 「分断」の時代を乗り越える
・菅元首相のスピーチと山県有朋
・国葬に見た「自衛隊の役割」
・安倍政治的なものの総決算
・旧統一教会をめぐる拙劣な答弁
・多様性の否定と社会の分断
- 本の長さ256ページ
- 言語日本語
- 出版社朝日新聞出版
- 発売日2022/12/13
- 寸法1.25 x 10.7 x 17.2 cm
- ISBN-104022952024
- ISBN-13978-4022952028
よく一緒に購入されている商品
対象商品: 歴史の逆流 時代の分水嶺を読み解く (朝日新書)
¥935¥935
最短で6月7日 金曜日のお届け予定です
残り6点(入荷予定あり)
¥968¥968
最短で6月7日 金曜日のお届け予定です
残り7点(入荷予定あり)
総額:
当社の価格を見るには、これら商品をカートに追加してください。
ポイントの合計:
pt
もう一度お試しください
追加されました
一緒に購入する商品を選択してください。
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
出版社より
歴史の歯車は逆転するのか――。 転換期としての“いま”を検証する。
登録情報
- 出版社 : 朝日新聞出版 (2022/12/13)
- 発売日 : 2022/12/13
- 言語 : 日本語
- 新書 : 256ページ
- ISBN-10 : 4022952024
- ISBN-13 : 978-4022952028
- 寸法 : 1.25 x 10.7 x 17.2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 167,475位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 258位朝日新書
- - 2,062位社会一般関連書籍
- - 2,919位その他の思想・社会の本
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
1960年、埼玉県生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科教授。89年、東京大学大学院博士課程修了。山梨大学助教授、スタンフォード大学フーバー研究所訪問研究員などを経て現職。専攻は日本近現代史(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』(ISBN-10:4255004854)が刊行された当時に掲載されていたものです)
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2023年1月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
批判の内容が難しいのと意見が偏っているのが気になりました。勉強にはなりますが。
2023年2月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
最近本書が出ていることに気づき、1冊を購入してさっそく読んでみた。近年の日本と世界の憂慮される動向が、法学者、政治学者、歴史学者の専門知を踏まえた発言で分析され、明快に批判されている。どうすべきかまで示唆されており、有益である。最大の論点は、内閣の機能を強化した安倍・菅政権の統治能力の劣化、議員と官僚の無能化の分析である。その基礎には世論が無党派に拡散し、2割しか政権支持者がいない選挙がある。為政者が学問に学ばず、学者を蔑ろにしている傲慢が弾劾されている。大臣や議員の発言を聞いていると腐敗しているとしか思えないことが多い(これは私の印象)。ウクライナ侵攻については領土の掠奪は国土の拡大に決してならぬことを歴史の先例を踏まえて批判しており、納得がいく。
世の中を動かしているのは思想だ(ケインズ)とすれば、正しい歴史認識をもたないと間違いをおかすだろう。戦前の歴史に学ばねばならない。集団的自衛権が防衛力強化になるとは疑わしい。岸田政権の無制限の予備費執行は法に基づかぬ暴走である。コロナ対策も場当たり的だった。為政者の劣化と国民の劣化を克服せねばならない。自己責任で学問に学ばねばならない。学術会議への菅政権の介入は法的に間違っている。台湾有事を恐れるのなら、そうならないように日本から働きかける道がある。そのための手段が外交であり、学術交流である。私は為政者もさることながら、国民もしっかり学ぶように諭されていると受け止めながら、本書を楽しく読んだ。
世の中を動かしているのは思想だ(ケインズ)とすれば、正しい歴史認識をもたないと間違いをおかすだろう。戦前の歴史に学ばねばならない。集団的自衛権が防衛力強化になるとは疑わしい。岸田政権の無制限の予備費執行は法に基づかぬ暴走である。コロナ対策も場当たり的だった。為政者の劣化と国民の劣化を克服せねばならない。自己責任で学問に学ばねばならない。学術会議への菅政権の介入は法的に間違っている。台湾有事を恐れるのなら、そうならないように日本から働きかける道がある。そのための手段が外交であり、学術交流である。私は為政者もさることながら、国民もしっかり学ぶように諭されていると受け止めながら、本書を楽しく読んだ。
2023年1月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本が届いたときは、中身が一昨年から去年前半までの対談であったので、時事的な評論としては、とうがたっているかと思いました。読んでみると、印象が変わりました。現代の3賢人が、菅政権から岸田政権誕生まで、国内の問題、ウクライナ、中国の国際情勢を縦横に語っています。そこで示された論点は、現在の状況を深いところから照らし出すもので、陳旧化されたものでは全くなく、かえって時間の経過で、より鋭さを帯びているとさえ思われました。
対談のなかで出てくる、各先生の本音が、おそらく他の著書では拝見できないもので、それも大変興味深く読ませてもらいました。
対談のなかで出てくる、各先生の本音が、おそらく他の著書では拝見できないもので、それも大変興味深く読ませてもらいました。
2023年1月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
杉田敦氏は政治学、長谷部恭男氏は憲法学、加藤陽子氏は歴史学(日本近現代史)の知る人ぞ知る代表的研究者である。長谷部氏は衆議院憲法審査会で与党推薦参考人ながら安保法制を憲法違反と明言して話題となり、加藤氏は先頃の日本学術会議委員推薦拒否事件の当事者となったことは記憶に新しい。
この3人が現代日本の政治状況からウクライナ戦争、安倍国葬問題などのホットな話題について、縦横無尽に語り合う鼎談となれば、内容は高度だが面白くないわけがない。
杉田氏の議論では、日本の最大の政党は一貫して「無党派層」であり、日本国民は政党政治を信用していないという指摘、加藤氏の議論ではロシアのウクライナ侵攻は日本の1937年頃の中国侵攻とそっくりという指摘などの歴史学者らしい観点が興味深い。
しかし、最も切れ味鋭い学知を示しているのは長谷部氏であろう。
私の個人的関心から言えば、ウクライナ戦争と世界の反応をホッブズとルソーの国家論、カントとヘーゲルの歴史哲学の対立で読み解く視野の深さに感心した。権威主義的国家であるロシアから危険を感じた国民が脱出するのはホッブズ的であり、他方、民主主義国家をめざすウクライナが徴兵のために市民を拘束するのはルソー的(社会契約の一般意志論)である。あるいは、価値観や歴史観の違いを認めて平和共存をめざすのはカント的(理性の限界の自覚)であるのに対し、闘争を乗り越えて民族の歴史的使命の実現をめざすのはヘーゲル的(ただし、ヘーゲルの歴史哲学は自由の理念の実現をめざすものだが)ということになる。21世紀型の新しい戦争といっても、近代の社会哲学や歴史観の対立の射程に逆戻りしているわけであるが、不戦条約以降の侵略戦争違法化の到達点は議論の共通理解となっている。
ロシアとプーチン政権に対する長谷部氏の見方は極めて厳しく、選挙は名ばかりの独裁国家で、憲法は「フェイク憲法」であるとまで断言している(言葉の端々に強い嫌悪感が感じられる)。
現代日本の政治状況については、昨今の安全保障をめぐる「核共有」や「敵基地攻撃能力」の矛盾に満ちた危うさや、政治主導といいながら決定の説明をしない政治家といった問題を三者三様に鋭い視点から問題提起されているが、「行政権力の暴走を、無関心な国民が傍観するという流れ」(杉田)をどう止めるかという処方箋は明確に示されないのが悩ましいところである。
この3人が現代日本の政治状況からウクライナ戦争、安倍国葬問題などのホットな話題について、縦横無尽に語り合う鼎談となれば、内容は高度だが面白くないわけがない。
杉田氏の議論では、日本の最大の政党は一貫して「無党派層」であり、日本国民は政党政治を信用していないという指摘、加藤氏の議論ではロシアのウクライナ侵攻は日本の1937年頃の中国侵攻とそっくりという指摘などの歴史学者らしい観点が興味深い。
しかし、最も切れ味鋭い学知を示しているのは長谷部氏であろう。
私の個人的関心から言えば、ウクライナ戦争と世界の反応をホッブズとルソーの国家論、カントとヘーゲルの歴史哲学の対立で読み解く視野の深さに感心した。権威主義的国家であるロシアから危険を感じた国民が脱出するのはホッブズ的であり、他方、民主主義国家をめざすウクライナが徴兵のために市民を拘束するのはルソー的(社会契約の一般意志論)である。あるいは、価値観や歴史観の違いを認めて平和共存をめざすのはカント的(理性の限界の自覚)であるのに対し、闘争を乗り越えて民族の歴史的使命の実現をめざすのはヘーゲル的(ただし、ヘーゲルの歴史哲学は自由の理念の実現をめざすものだが)ということになる。21世紀型の新しい戦争といっても、近代の社会哲学や歴史観の対立の射程に逆戻りしているわけであるが、不戦条約以降の侵略戦争違法化の到達点は議論の共通理解となっている。
ロシアとプーチン政権に対する長谷部氏の見方は極めて厳しく、選挙は名ばかりの独裁国家で、憲法は「フェイク憲法」であるとまで断言している(言葉の端々に強い嫌悪感が感じられる)。
現代日本の政治状況については、昨今の安全保障をめぐる「核共有」や「敵基地攻撃能力」の矛盾に満ちた危うさや、政治主導といいながら決定の説明をしない政治家といった問題を三者三様に鋭い視点から問題提起されているが、「行政権力の暴走を、無関心な国民が傍観するという流れ」(杉田)をどう止めるかという処方箋は明確に示されないのが悩ましいところである。
2023年1月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
・「いま、この国は岐路に立たされている」とある。
表題に添えられた言葉であるが、見解の吟味をさて置いても、これを至当としない人はいないであろう。
目の前の政治を語るに、憲法学に政治学の取り合わせでは、どうしても規範・機構的な見方がベースになって、議論が展開され勝ちになってしまうが、この本はここに歴史学(日本近現代史)を加え、鼎談の形式を取る。これにより議論は、時間軸を強化されるとともに、場や状況などに目が行き届き、発展する、その実際が感得され、熱さだけでなく行き交う議論に、厚みがもたらされて、様々に考えを巡らし、自分なりに整理するに、一助となり得る、読み応えのある本。ウクライナ侵攻を含む内外の事態をテーマに、22年秋までの鼎談を収める。
表題に添えられた言葉であるが、見解の吟味をさて置いても、これを至当としない人はいないであろう。
目の前の政治を語るに、憲法学に政治学の取り合わせでは、どうしても規範・機構的な見方がベースになって、議論が展開され勝ちになってしまうが、この本はここに歴史学(日本近現代史)を加え、鼎談の形式を取る。これにより議論は、時間軸を強化されるとともに、場や状況などに目が行き届き、発展する、その実際が感得され、熱さだけでなく行き交う議論に、厚みがもたらされて、様々に考えを巡らし、自分なりに整理するに、一助となり得る、読み応えのある本。ウクライナ侵攻を含む内外の事態をテーマに、22年秋までの鼎談を収める。