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孤塁 双葉郡消防士たちの3・11 (岩波現代文庫 社会333) 文庫 – 2023/1/13
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- 本の長さ270ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2023/1/13
- 寸法1.2 x 10.5 x 14.8 cm
- ISBN-104006033338
- ISBN-13978-4006033330
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出版社より
文庫化にあたり消防士7名に追加取材
――「『孤塁』その後」より
一号機が爆発した三月一二日の夜、ヘッドライトに照らされたきらきら光る粒子が舞うのを見ながら、横山さんは、「たった一日前の、大地震と津波のあとの世界が、いま、どこに向かっているのか」と考えていた。自分の命が危険にさらされる切迫した暗闇のなかで、世界をなんとか捉えたいと思考していた横山さんの言葉は、心に残った言葉の一つだった。
そして今、新型コロナの感染拡大やロシアによるウクライナ侵攻があり、「戦争」が連日報じられ、この世界はどこに向かっているのかと、私も考えることがある。暮らしが暴力によって、突然破壊されていく様を目の当たりにし、あらためて、市井の人の経験と、日常への思いこそ、聞かれ続けなければならないと思っている。それが、日常が壊されない世界のために、必要なことだ。
渡邉敏行さんの「教訓にしてほしい」という言葉があり、それを胸に、二〇一九年から、全国の原発避難計画の取材を重ねた。どの原発立地自治体の避難計画も、現実とかけ離れていて、市井の人を守れるものだとは到底思えなかった。さらに、ウクライナのザポリージャ原発も攻撃を受け、戦争における原発のリスクを突きつけられている。しかしいま、日本政府は「原発回帰」を打ち出し、原発の再稼働、新増設、さらには運転期間の延長まで言い出している。それはまるで、二〇一一年、多くの人々の人生を根こそぎ奪った出来事を忘れてしまったかのようだ。
原発事故後の記憶を殺さないでほしい。きっと、その一人ひとりの経験が未来につながると信じている。ささやかな幸せがどんなものだったのか。どうして、それが壊されたのか。そしてこれから、どんなふうに生きていけることが、回復なのかを。
改めて、真摯に話をしてくれた消防士たち一人ひとりに、感謝の気持ちを伝えたい。
吉田千亜
編集者からのメッセージ【再録】
これまで全く表に出ていない話ばかりです。
チェルノブイリでも消防士の被ばくが大きな問題でしたが、福島第一原発の地元消防が、地震・津波・原発災害のなか、どのような状況におかれていたのか。丁寧な取材で消防士たちの思いをすくいとった本書の記述に、原稿整理をしながら何度も洟をすすりました。
『世界』連載中も大きな反響がありましたが、著者・吉田千亜さんは単行本化のためにさらに取材を敢行。総勢70名近い消防士のことばが、当時の危機的な状況を立体的に浮かび上がらせます。
地元を愛し、地元に暮らし、人命救助を使命としていた双葉郡の消防士たち。
著者が言うように、彼らが生きていてくれたからこそ聞けた話です。
そして、聞き取り伝えてくれた著者がいてこその本です。
ぜひこの本を、多くの人に読んでいただきますよう、心よりお願いいたします。
(編集部 大山美佐子)
各メディアで絶賛
『孤塁』は、3・11から10年目にして成し遂げられた、ルポルタージュのひとつの金字塔である。――金平茂紀さん(ジャーナリスト)
この「生」の翻弄に、いったい誰が責任を取ったのだろう。――今井照さん(地方自治総合研究所主任研究員)
この本が読み継がれる限り、「あの日」が忘れ去られることはない。一冊の本が持つ力を、舐めてはいけない。――首藤淳哉さん(HONZ)
『岩波講座 世界歴史』第1巻(2021年)で、世界史の見方につき『孤塁』紹介!
「〈私たち〉の世界史へ」(小川幸司氏)より
……こうした双葉郡の消防士たちの「3・11」を私たちがまとまった形で知ることが出来たのは、9年後の2020年になってからのこと。吉田千亜のルポルタージュ『孤塁――双葉郡消防士たちの3・11』が世に出たからであった。これは、吉田が関係者に徹底した聞き取りを重ねて完成させた、すぐれた「オーラル・ヒストリー」による現代史でもある。そして、吉田が描いた一人ひとりの消防士たちもまた、「3・11」の極限状態の中を行きぬく時に、「過去」の人間たちの姿やイメージを引照しながら、自分の生きている位置を見定め、自分の進むべき道を決めようとしている。その時「過去」によって世界のなかの自分を定位しているならば、それは世界史を考えていることになるだろう。
商品の説明
著者について
1977年生まれ.フリーライター.福島第一原発事故後,被害者・避難者の取材,サポートを続ける.著書に『ルポ 母子避難』(岩波新書),『その後の福島──原発事故後を生きる人々』(人文書院),共著『原発避難白書』(人文書院)など.本作で,講談社 本田靖春ノンフィクション賞(第42回),日隅一雄・情報流通促進賞2020大賞,日本ジャーナリスト会議(JCJ)賞(第63回)受賞.
登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2023/1/13)
- 発売日 : 2023/1/13
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 270ページ
- ISBN-10 : 4006033338
- ISBN-13 : 978-4006033330
- 寸法 : 1.2 x 10.5 x 14.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 149,264位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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著者について
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上位レビュー、対象国: 日本
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東日本大震災では福島県双葉町消防本部125人の消防士たちがその砦となった。
ここで「砦となった」と書いたがそれは結果で、その過程は何の説明も無く、自動的に、なし崩し的に、つまり日本的空気により「砦」にされてしまった。
これは大問題である。本来、地震や火災による被害者の救済等が消防士の職務であることは理解できる。しかし、原発事故や放射能汚染された状態での消防士の活動は基本的には彼等の職務外の行為。
勇気ある消防士たちはそのほとんどが東日本大震災下での活動を当然のように行ったが、これからの原発政策において議論すべきテーマは多い。
「街の消防士さん」の英雄的自己犠牲により成立する日本の原発政策をどう考えるのか。中央の論理ではない、現場の声を伝える貴重なルポルタージュ。
当時の消防署職員が自分の命をかえりみずに一生懸命対応してくれていたのが良く伝わり、国や東京電力が当時から情報操作をして作業の邪魔をしていた事が良く分かりました。辞めて行った人もいたようですが、皆職務を全うして頑張ってくれていたのが分かりました。実名を出しているのが凄いなと思いました。
東北地方を中心に大きな被害をだした東北地方太平洋沖地震。
私を含め多くの人は、報道で流される津波の映像を観て、その被害の大枠は承知していたのかもしれません。
でも報道されることもなく、通信が途絶え、避難命令の出たその町は、緊急援助隊の応援を受けることすらできなかった。
そんな職員わずか125名の小さな消防本部、双葉消防の苦難を後世に伝える数少ない本だと思います。
福島県双葉消防は福島第1原発を管轄する消防本部です。
福島県、東電などと定期訓練は欠かさず行っていて、放射線については他の消防本部の人間よりもはるかに多くの知識を持ち合わせ、有事の際には第一線で対応にあたるべき消防人たちです。
若い隊員が訓練の際、質問を投げかけると「事故はないから大丈夫」と軽くかわされたと書かれています。
当時、東電は『想定外』を口にしていましたが、若い隊員が疑問に思うようなことも想定していなかったのだろうかと、もし想定をしていなかったとしたら、東電は想定外などと口にすべきではなかったと、そんな思いで読み進めていきました。
そしてその日がやってきて、彼らは地震、津波、放射線の恐怖の中、正に不眠不休で見えない敵と戦ってきました。
そもそも原子炉の冷却放水などは消防の任務にはなく、被曝を考えれば、なにより消防力を考えれば、対応不能であったが、彼らはやるしかなかった。
彼らは自らを特攻隊と重ね合わせ、「特攻隊とはこんな気持ちだったのか」と!
原子炉の放水はのちに東京消防庁が国からの命を受け、臨場し衆目を集めることになりましたが、そこに至るまでの彼らの存在はどこからも報じられていませんでした。
最盛期から数日経ち、なんとか仮眠をとることができても、横になると家族の安否や自身の被爆など、様々な不安が頭をよぎり、むしろ活動していた方が不安を抱えなくて済むと感じるほど、精神的にも追い詰められている様は生々しくて熱くこみ上げてくるものを感じました。
彼らの存在を知らなかった訳ではなかったと思います。でもその存在は今日まで知らされることはなく、現実には想像を絶する世界がこの本には記されています。
そんな双葉消防の活動は報道もされず、情報通信も途絶えた彼らの苦悩を当時知るものは殆ど居なかったのではないでしょうか!
そして彼らは自衛隊や東京消防庁などが活躍する報道を目の当たりにしたとき、自分たちの存在がそこにないことに落胆したと、素直な心情が吐露されています。
あれから9年が経ち、当時の職員の半数は離職したようですが、今も彼らは自分たちの街を守り続けています。
彼らは勇敢だったのでしょうか?
逃げ出したかったし恐怖に襲われたりもした。
事実、休暇を取れるようになり、避難している家族のもとを訪れた若い職員は、しばらく戻らなかったことも真実として記されています。
また、避難家族のもとを訪れた際には、被爆に対する差別的な扱いも受けたともありました。
彼らは決して勇猛果敢に放射線災害に立ち向かっていた訳ではなかったと理解しています。
郷土愛とか、使命とか、何が、どんな気持ちが、彼らを動かしたのか。私の軽率な言葉で語ることは彼らに失礼だと思います。
ですからどうか読んでもらいたいと思います。
消防人にとっては、今後の参考資料としての側面もあるやもしれません。
一般の人にとっても普段見かける消防車や救急車の仕事とは全く違う視点で消防を見る機会になると思います。
拙い紹介で双葉消防の皆さんには申し訳ないと思いますが、同じ消防人として感謝と尊敬の念を込めて皆さまにお勧めさせていただきます。
その中でも職員の意識の高さに感銘しました。
報道で取り上げられるものは、消防では東京消防庁また海上保安庁、自衛隊
組織が大きく、予算のある所ばかりです。
それが悪いわけではありません。しかし、過去の災害もすべて現地の消防の対応は評価されず、
前記した組織の高評価ばかりです。
弱小組織であっても消防士の志は同じはずです。
報道も真実を、そして災害現場の組織の努力を評価してほしいものです。
表の苦労よりも裏の苦労は 我々凡人には伝わらないので、改めて彼らの活動には感謝したい
原発に危険が迫ることを知らされることなく、線量計を持たずに避難区域のなかで救助活動に従事。自衛隊や東京消防庁のハイパーレスキューが原子炉への放水活動で注目されたのに対して、地域の消防は存在すら忘れられ、搬送先の病院では放射能を浴びた汚染物として扱われる始末。爆発した原発の構内で救助活動に向かうとき、もう戻れない覚悟をした隊員は「今まで、ありがとうね」と同僚に呟いたといいます。それは、帰る確証のない特攻に向かう心境だったのかもしれません。
取り上げられなければ埋もれてしまっていた被災地での苦闘を淡々と綴り、地域に生きる人の命が危険に晒されたことの不条理を訴えます。
それは熾烈を極めるものだった。
なぜ、彼らはこんなにも苦しめられたのか。
あまりにも酷い。
著者が丁寧に聞き取りまとめた貴重な記録になりうる一冊。