「なか見!検索」が出来ないので参考のため目次を記します。 「はじめに」に続いて
第1章 アメリカ政治のリニューアル
1 大統領制とは何か・・・一口に云うと「大統領=国王+首相」法案を議会に提案できない事を初めて知った
2 大統領選と政党政治の歴史・・・分り易い
3 大統領選の基本・・・本書の中心(狭義) 複雑な大統領選が分り易く書かれている
第2章 予備選の現場を歩く・・・個別案件の説明。リアルで面白い
1 立候補表明
2 予備選開始
第3章 本選の現場を歩く・・・やはり、個別案件の説明が多い
1 全国党大会・・・正式に党指名候補者が決まる(事実上は既に決まている)
2 頂上決戦・・・接戦州(「スイング州」と云う)を中心に遊説。TV討論会。ネガティヴCM
ロングインタヴュー(スティーブン・レビツキー)アメリカの民主主義と大統領選・・・〇
第4章 二極化する社会と大統領選
1 さまざまな分断線・・・「保守」「リベラル」という言葉の意味が分かる(ヨーロッパとは意味が違う)
2 変化する大統領選挙の構図・・・キリスト教徒の減少。「メリークリスマス」→「ハッピーホリディ」
終 章 2120年の大統領選挙・・・蛇足
本書は最近の岩波新書と異なり易しい本である。
・大統領選が前半戦(各党の候補者を決める)と後半戦(民主党候補と共和党候補)の一騎打ちに分かれる事
・立候補表明から投票日まで1年半の耐久レースである事
・金権政治 2008年は32億ドル以上。人件費、旅費、宣伝費
・前半戦、後半戦共に泥仕合。特にCMの中傷合戦には驚き
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アメリカ大統領選 (岩波新書 新赤版 1850) 新書 – 2020/10/21
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四年に一度の政治のリニューアル。最古のデモクラシーであるアメリカ大統領選のイロハから、活力漲る予備選・本選での現場ルポ、二極化する現代社会の縮図としての大統領選の闇までを描く。トランプ大統領の再選を占う選挙を控え、第一線の著者たちがその見どころを示す。
- 本の長さ254ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2020/10/21
- 寸法10.7 x 1.2 x 17.3 cm
- ISBN-104004318505
- ISBN-13978-4004318507
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商品の説明
著者について
久保文明(くぼ ふみあき)
1956年生まれ。1979年東京大学法学部卒業。慶應義塾大学法学部助教授・教授を経て、
現在、東京大学大学院法学政治学研究科教授。
専門―現代アメリカ政治、現代アメリカ政治史
著書―『アメリカ政治史』(有斐閣)、『アメリカ政治[第3版]』(共著、有斐閣)、『ティーパーティ運動の研究――アメリカ保守主義の変容』(共編著、NTT出版)ほか多数
金成隆一(かなり りゅういち)
1976年生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。
2000年、朝日新聞社入社。大阪社会部、ニューヨーク特派員、経済部記者を経て、現在、国際報道部機動特派員。2018年度ボーン・上田記念国際記者賞、第36回大平正芳記念賞特別賞を受賞。
著書―『ルポ トランプ王国』、『ルポ トランプ王国2』(以上、岩波新書)、『記者、ラストベルトに住む』(朝日新聞出版)ほか
1956年生まれ。1979年東京大学法学部卒業。慶應義塾大学法学部助教授・教授を経て、
現在、東京大学大学院法学政治学研究科教授。
専門―現代アメリカ政治、現代アメリカ政治史
著書―『アメリカ政治史』(有斐閣)、『アメリカ政治[第3版]』(共著、有斐閣)、『ティーパーティ運動の研究――アメリカ保守主義の変容』(共編著、NTT出版)ほか多数
金成隆一(かなり りゅういち)
1976年生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。
2000年、朝日新聞社入社。大阪社会部、ニューヨーク特派員、経済部記者を経て、現在、国際報道部機動特派員。2018年度ボーン・上田記念国際記者賞、第36回大平正芳記念賞特別賞を受賞。
著書―『ルポ トランプ王国』、『ルポ トランプ王国2』(以上、岩波新書)、『記者、ラストベルトに住む』(朝日新聞出版)ほか
登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2020/10/21)
- 発売日 : 2020/10/21
- 言語 : 日本語
- 新書 : 254ページ
- ISBN-10 : 4004318505
- ISBN-13 : 978-4004318507
- 寸法 : 10.7 x 1.2 x 17.3 cm
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2020年10月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2020年12月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
民主党は今回も上院では過半数取れなさそうですし(スイープして副大統領の投票で勝つというシステム)、少数党の議事妨害を防ぐ60にはまったく届かないので、大統領選挙では勝ったものの、立法的成果は生み出しにくいのかなと考えていますが、どんなもんなんでしょうか。
米国の下院の任期は2年、大統領は4年、上院は6年というのは凄いシステムだな、と。大統領選と同時に行われる下院ではだいたい大統領に選出された方が勝つけど、三権分立が厳く、大統領選挙で掲げたた公約はたいがい実現できないので中間選挙では負け、二期目の中間選挙でかなりの確率で負ける、と。
この本は一部が久保文明教授による大統領選挙の概説。二部と三部が『トランプ王国』の金成隆一記者による予備選、本戦のルポとスティーブン・レビツキー教授のインタビュー。四部が再び久保教授によるトランプ政権の評価という構成。
印象的だったのはレビツキー教授のインタビュー。
クリントンが当選した当時、有権者の73%が白人キリスト教徒でしたが、オバマ再選時はこれが57%まで落ち、2024年には50%を割る、と。《私は、これが政治的な激震の主因だと考えています。アメリカで白人キリスト教徒が、その支配的な地位を失うという移行(transition)です。私は、このような移行を経験した民主主義(国家)を他に知りません》(p.187)というのは重要な指摘だな、と。
民主党は特別代議員というエリート(ゲートキーパー)が大統領候補を選ぶ際に大きな役割を果たしていますが《共和党の場合は純粋な民主的なシステム》で、門番の役割が弱まったのでトランプが選出された、と(p.182-)。
圧倒的不利と言われたヒラリーとの大統領選挙で勝ち、再選に失敗したとはいえコロナの責任を問われる中、過去のどの職大統領を獲得したことのない7260万票を集めたという熱狂の背景には、トランプは自分たちの手で選んだんだ、という参加者意識があったのかな、と改めて感じます。
米国の下院の任期は2年、大統領は4年、上院は6年というのは凄いシステムだな、と。大統領選と同時に行われる下院ではだいたい大統領に選出された方が勝つけど、三権分立が厳く、大統領選挙で掲げたた公約はたいがい実現できないので中間選挙では負け、二期目の中間選挙でかなりの確率で負ける、と。
この本は一部が久保文明教授による大統領選挙の概説。二部と三部が『トランプ王国』の金成隆一記者による予備選、本戦のルポとスティーブン・レビツキー教授のインタビュー。四部が再び久保教授によるトランプ政権の評価という構成。
印象的だったのはレビツキー教授のインタビュー。
クリントンが当選した当時、有権者の73%が白人キリスト教徒でしたが、オバマ再選時はこれが57%まで落ち、2024年には50%を割る、と。《私は、これが政治的な激震の主因だと考えています。アメリカで白人キリスト教徒が、その支配的な地位を失うという移行(transition)です。私は、このような移行を経験した民主主義(国家)を他に知りません》(p.187)というのは重要な指摘だな、と。
民主党は特別代議員というエリート(ゲートキーパー)が大統領候補を選ぶ際に大きな役割を果たしていますが《共和党の場合は純粋な民主的なシステム》で、門番の役割が弱まったのでトランプが選出された、と(p.182-)。
圧倒的不利と言われたヒラリーとの大統領選挙で勝ち、再選に失敗したとはいえコロナの責任を問われる中、過去のどの職大統領を獲得したことのない7260万票を集めたという熱狂の背景には、トランプは自分たちの手で選んだんだ、という参加者意識があったのかな、と改めて感じます。
2020年10月24日に日本でレビュー済み
大統領の役割の違い。首相を兼ねるアメリカ方式と、
韓国のような首相もいるような国とで違う。
英国とか日本は、王女とか天皇がいるけど…って感じ。
国家元首としての権限って何?
日本の首相は国会議員である必要があるけど、アメリカはそうでは無い。
議員じゃなくても良く(=トランプ大統領とかわかりやすい)、
かつ猟官制。つまり、一度に政府の人間の入れ替えを行う。
行政に対する権力度合が、日米で違う。
アメリカは一度に入れ替えて…だから、行政権に大統領が強い権限があるが、
日本は、官僚は省庁に強い帰属意識を持っている。
大統領の任期が4年。というのは、憲法で保障されているので、
大統領の党に対する拘束が強い。
←法案が通らないから、内閣を辞職して…とかはない。
立法に対しては、議院内閣制の首相よりも大統領は弱い立場にある。
ただし、外交や大統領令での改革を行う。
環境問題のパリ協定とか、TPPからの離脱とかは、最終的には、大統領が決められる。
1980年頃に、共和党と民主党のカラーが明確になってきた。
→レーガン=80年代の保守的な政治家。レーガノミクス。レーガン=80年代の保守的な政治家。レーガノミクス。
具体的には、増税か減税か、社会保障重視かどうか、宗教、銃所持など。
具体的な経験と戦略の強み。→選挙活動のドロ板作戦とか、それなりに合理性がある。
保守とリベラル、共和党と民主党。
予備選挙のシステムのおかげで、政党人だけでなくて、一般の人も立候補できるようになっている。
内閣と閣議。←大臣で集まって議論するイメージ。日本は必要だけど、
アメリカは別にやらなくてもいいらしい。
全体の投票率はアメリカは6割位で、有権者登録が7割で、9割くらいはしている。って感じ。
学資がかかっている人→リベラル支持の傾向が高い。
学資がかかっていない人労働者→共和党支持の割合が高い。
←なんか、不思議な現象…リベラルの方が、社会保障が厚いはずなのに。
アメリカの決められない政治。と言う問題。法案成立率が、3%しかなく、
背景には、民主と、共和の対立が激化しているから。
→だから、日本も共産党をのさばらせると、対立構造が作られて停滞するので、
自民党と民主党の疑似対立で、そのまま進むのが望ましい。
→決められない。成立しない。ということは、政府の役割が縮小するので、
保守的になっていく。共和党が有利な構造。ということ。
→仮にバイデンが勝っても、民主党的な法案成立は、それほど進まない?
免許更新時の有権者登録。投票IDという考え。
←民主党のほうが、所得が低いとされているので…
→逆に言うと、多数派で、長期政権で、
安定しているはずなのに、何故安倍政権は何もなせなかったのか?
韓国のような首相もいるような国とで違う。
英国とか日本は、王女とか天皇がいるけど…って感じ。
国家元首としての権限って何?
日本の首相は国会議員である必要があるけど、アメリカはそうでは無い。
議員じゃなくても良く(=トランプ大統領とかわかりやすい)、
かつ猟官制。つまり、一度に政府の人間の入れ替えを行う。
行政に対する権力度合が、日米で違う。
アメリカは一度に入れ替えて…だから、行政権に大統領が強い権限があるが、
日本は、官僚は省庁に強い帰属意識を持っている。
大統領の任期が4年。というのは、憲法で保障されているので、
大統領の党に対する拘束が強い。
←法案が通らないから、内閣を辞職して…とかはない。
立法に対しては、議院内閣制の首相よりも大統領は弱い立場にある。
ただし、外交や大統領令での改革を行う。
環境問題のパリ協定とか、TPPからの離脱とかは、最終的には、大統領が決められる。
1980年頃に、共和党と民主党のカラーが明確になってきた。
→レーガン=80年代の保守的な政治家。レーガノミクス。レーガン=80年代の保守的な政治家。レーガノミクス。
具体的には、増税か減税か、社会保障重視かどうか、宗教、銃所持など。
具体的な経験と戦略の強み。→選挙活動のドロ板作戦とか、それなりに合理性がある。
保守とリベラル、共和党と民主党。
予備選挙のシステムのおかげで、政党人だけでなくて、一般の人も立候補できるようになっている。
内閣と閣議。←大臣で集まって議論するイメージ。日本は必要だけど、
アメリカは別にやらなくてもいいらしい。
全体の投票率はアメリカは6割位で、有権者登録が7割で、9割くらいはしている。って感じ。
学資がかかっている人→リベラル支持の傾向が高い。
学資がかかっていない人労働者→共和党支持の割合が高い。
←なんか、不思議な現象…リベラルの方が、社会保障が厚いはずなのに。
アメリカの決められない政治。と言う問題。法案成立率が、3%しかなく、
背景には、民主と、共和の対立が激化しているから。
→だから、日本も共産党をのさばらせると、対立構造が作られて停滞するので、
自民党と民主党の疑似対立で、そのまま進むのが望ましい。
→決められない。成立しない。ということは、政府の役割が縮小するので、
保守的になっていく。共和党が有利な構造。ということ。
→仮にバイデンが勝っても、民主党的な法案成立は、それほど進まない?
免許更新時の有権者登録。投票IDという考え。
←民主党のほうが、所得が低いとされているので…
→逆に言うと、多数派で、長期政権で、
安定しているはずなのに、何故安倍政権は何もなせなかったのか?
2020年12月20日に日本でレビュー済み
とても読みやすく、分かりやすい良書だけに、(他のレビュアーの方もご指摘の通り)もう少し早い時期に出せなかったのかなという思いが残る。今回(2020年)の米大統領選に関する関心は日本でも(多分これまでに無かったほどに)高かったとは思うが、多くの日本の人々にはこの本で述べられているような米国の政治史、大統領制等についての基礎知識が非常に不足しているように感じられる。ネット上に溢れた米大統領選に関するコメントを読むと、荒唐無稽な「陰謀論」は論外としても、米国の政治や行政、選挙の仕組みが日本とはまるで異なる事を全く分かっていないのでは?と首をかしげるような的外れなものが散見された。そういうコメントを発する人々に対する「啓蒙」の書として本書は最適と思える1冊であるだけに、せめて(2020年の)8月位までには上梓できなかったのだろうか?と残念に思う。
本書の「メインディッシュ」はやはり大統領選の予備選、本選(とその後)についての著者自身の現地取材に基づく第2~4章だとは思うが、それに先立つ第1章には米国の大統領選を語る上で絶対外せないと思われる重要ポイントが実に分かりやすくまとめられており、単なる「前置き」にとどまらない誠に有意義な部分である。「そもそも大統領制とは何か」「米国の大統領選と政党政治の歴史」「大統領選の基本」が第1章では解説されているが、この部分には特にこれまで米国政治に疎かった読者にとって「なるほど!」と感じさせる箇所が多いだろう。中でも大統領が「行政府の長として強大な権限を揮うことができる」(P.28)が、立法に関しては「議院内閣制の首相よりも弱い立場に立つとすら言える」(P.28)のは重要なポイント。大統領は議会での審議に参加出来ず、日本の首相のように「伝家の宝刀」として議会の解散を打つ事も出来ない。大統領が真に自分の思い通りに政策を進めるためには、議会において上下両院ともに政権与党が多数派である事が理想だが、実際にはそんな幸運に恵まれる大統領は多くなく、結果として大統領が成果を残しやすいのは「議会での同意が必要とされない外交や、大統領権限を使った政策革新の例が多い」(P.29)という本書の指摘にはうなずける。結局のところ、米国大統領が真に「独裁者」になる事は極めて困難という事だ。
米国の二大政党の共和党と民主党の「政治的立ち位置」が、南北戦争当時と現在ではほぼ「アベコベ」になっている事は、米国政治史に通じた読者は先刻ご承知の事と思うが、その「立ち位置の転換点」となったのが1960年代後半のヴェトナム戦争の泥沼化や公民権運動だったのが実に興味深い。ニューディール政策以降しばらくは民主党が多数派の時代が続き、1932~1964年の9回の大統領選のうち共和党が勝利したのはアイゼンハワーの2回のみ(P.36)という状況だったが、1964年に民主党のジョンソン政権が、南部諸州における黒人に対する法的差別を禁止した事がそれまでの支持基盤だった南部白人の猛反発を招き、その批判票の受け皿となったのが共和党保守派で、以降今日見られるような両党の立ち位置が定まっていったとの事。
第2章以降の内容は前回(2016年)の大統領選を素材にしたものが多いが、ここを読んで今さらながら感ずるのは、トランプは米国の分断の「原因」ではなく「結果」であるという事。当初は身内の共和党内ですら「泡沫候補」扱いだったトランプが、あれよあれよという間に大統領になってしまったばかりか、4年間醜態の限りをさらし続けても未だに多くの支持者を保っている事は一見実に「奇異」な現象に感じられる。しかし文中に登場するトランプ支持者の声からはある種の「切実さ」が読み取れ、彼らがなぜここまで「トランプという存在」にしがみつくのかを理解する手掛かりになる。米国の分断は経済格差のみならず、人種、宗教、文化等々に根差した極めて深く長い問題であり、異様なほどに国内が「均質」な国家に住む我々日本人が「トランプ現象」の「根っこの部分」を実感を持って理解するのは容易な事ではなさそうだ(それにしても今回の選挙戦を巡ってネット上に跋扈し、陰謀説をまき散らした日本の「トランプ信者」の人々は、一体「トランプという存在」の何をそんなに有難がっているのか、不思議で仕方がない)。第3章と第4章の間に掲載の、ハーバード大学教授のスティーブン・レビツキー氏へのインタビュー(P.179~)も実に面白い。この中でレビツキー教授が「二大政党の分極化」が米国の規範を崩壊させたと指摘している(P.184)点が非常に興味深い。「二大政党の支持者の間に、極めて強烈な敵対意識、恐怖、憎悪が渦巻き」「相手を阻止するためにどんな手段でも使いたくなる」(P.184)事が政治家に規範を破らせる事に繋がっているというレビツキー氏の指摘は正鵠を射ており、選挙人の投票が終わりバイデン氏の当選が固まった後も奇手、悪手の限りを尽くして選挙結果を転覆させようと醜態の限りを尽くすトランプ陣営の動きは、そういう流れの「どん詰まり」の姿なのだろうと思わせる。こうやって米国社会が分裂、混乱していく事は、トランプ支持者が蛇蝎のごとくに嫌う「仮想敵国」を喜ばせるだけではないかと感ずるが、トランプ支持者はその点をどう考えているのだろうか。
米国の政治に関する書籍をこれまでに多くお読みの方には、本書の内容にあまり目新しさを感じないかもしれない。ただ、そういう方を含めて、今回の大統領選をキッカケに米国の政治や社会に(改めて)関心を持った方には、ぜひこの本をご一読頂く事をおススメする。
本書の「メインディッシュ」はやはり大統領選の予備選、本選(とその後)についての著者自身の現地取材に基づく第2~4章だとは思うが、それに先立つ第1章には米国の大統領選を語る上で絶対外せないと思われる重要ポイントが実に分かりやすくまとめられており、単なる「前置き」にとどまらない誠に有意義な部分である。「そもそも大統領制とは何か」「米国の大統領選と政党政治の歴史」「大統領選の基本」が第1章では解説されているが、この部分には特にこれまで米国政治に疎かった読者にとって「なるほど!」と感じさせる箇所が多いだろう。中でも大統領が「行政府の長として強大な権限を揮うことができる」(P.28)が、立法に関しては「議院内閣制の首相よりも弱い立場に立つとすら言える」(P.28)のは重要なポイント。大統領は議会での審議に参加出来ず、日本の首相のように「伝家の宝刀」として議会の解散を打つ事も出来ない。大統領が真に自分の思い通りに政策を進めるためには、議会において上下両院ともに政権与党が多数派である事が理想だが、実際にはそんな幸運に恵まれる大統領は多くなく、結果として大統領が成果を残しやすいのは「議会での同意が必要とされない外交や、大統領権限を使った政策革新の例が多い」(P.29)という本書の指摘にはうなずける。結局のところ、米国大統領が真に「独裁者」になる事は極めて困難という事だ。
米国の二大政党の共和党と民主党の「政治的立ち位置」が、南北戦争当時と現在ではほぼ「アベコベ」になっている事は、米国政治史に通じた読者は先刻ご承知の事と思うが、その「立ち位置の転換点」となったのが1960年代後半のヴェトナム戦争の泥沼化や公民権運動だったのが実に興味深い。ニューディール政策以降しばらくは民主党が多数派の時代が続き、1932~1964年の9回の大統領選のうち共和党が勝利したのはアイゼンハワーの2回のみ(P.36)という状況だったが、1964年に民主党のジョンソン政権が、南部諸州における黒人に対する法的差別を禁止した事がそれまでの支持基盤だった南部白人の猛反発を招き、その批判票の受け皿となったのが共和党保守派で、以降今日見られるような両党の立ち位置が定まっていったとの事。
第2章以降の内容は前回(2016年)の大統領選を素材にしたものが多いが、ここを読んで今さらながら感ずるのは、トランプは米国の分断の「原因」ではなく「結果」であるという事。当初は身内の共和党内ですら「泡沫候補」扱いだったトランプが、あれよあれよという間に大統領になってしまったばかりか、4年間醜態の限りをさらし続けても未だに多くの支持者を保っている事は一見実に「奇異」な現象に感じられる。しかし文中に登場するトランプ支持者の声からはある種の「切実さ」が読み取れ、彼らがなぜここまで「トランプという存在」にしがみつくのかを理解する手掛かりになる。米国の分断は経済格差のみならず、人種、宗教、文化等々に根差した極めて深く長い問題であり、異様なほどに国内が「均質」な国家に住む我々日本人が「トランプ現象」の「根っこの部分」を実感を持って理解するのは容易な事ではなさそうだ(それにしても今回の選挙戦を巡ってネット上に跋扈し、陰謀説をまき散らした日本の「トランプ信者」の人々は、一体「トランプという存在」の何をそんなに有難がっているのか、不思議で仕方がない)。第3章と第4章の間に掲載の、ハーバード大学教授のスティーブン・レビツキー氏へのインタビュー(P.179~)も実に面白い。この中でレビツキー教授が「二大政党の分極化」が米国の規範を崩壊させたと指摘している(P.184)点が非常に興味深い。「二大政党の支持者の間に、極めて強烈な敵対意識、恐怖、憎悪が渦巻き」「相手を阻止するためにどんな手段でも使いたくなる」(P.184)事が政治家に規範を破らせる事に繋がっているというレビツキー氏の指摘は正鵠を射ており、選挙人の投票が終わりバイデン氏の当選が固まった後も奇手、悪手の限りを尽くして選挙結果を転覆させようと醜態の限りを尽くすトランプ陣営の動きは、そういう流れの「どん詰まり」の姿なのだろうと思わせる。こうやって米国社会が分裂、混乱していく事は、トランプ支持者が蛇蝎のごとくに嫌う「仮想敵国」を喜ばせるだけではないかと感ずるが、トランプ支持者はその点をどう考えているのだろうか。
米国の政治に関する書籍をこれまでに多くお読みの方には、本書の内容にあまり目新しさを感じないかもしれない。ただ、そういう方を含めて、今回の大統領選をキッカケに米国の政治や社会に(改めて)関心を持った方には、ぜひこの本をご一読頂く事をおススメする。