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感想・レビュー・書評
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Audibleにて聴く。
2019年アメリカでいちばん売れた本とのことで、それだけの圧倒的なヴォリュームがある内容。
過酷な境遇にひとり取り残されてしまった「湿地の少女」カイアの物語。
怒りと哀しさと喜びと嬉しさ。感情全てを総動員して読んだ。(というか、聴いた)
読み終わって「ザリガニの鳴くところ」に思いを馳せる。自然には善も悪もない。「生きる」ことがある。
結末がとても深い。
単純には受け止めたくないな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「ーーはるか遠くの、ザリガニの鳴くところへと」の最後の一文で、ゾクゾクと震えた。ベタかもしれないけど、タイトル回収で終わるのは個人的に好み。
酔いどれの粗暴な父親から逃れるように、母親や姉兄も去っていき、やがて父親も去ってしまう。バークリーコーブの村の外れにある湿地に立つ小屋で幼いながらも一人生きなければならなかったカイヤ。学校にも通わず、泥だらけの彼女を“湿地の少女”と蔑む村人の中で唯一、尊重し、援助の手を差し伸べてくれたのは、同じく蔑みの対象であった黒人の商店主ジャンピン。ジャンピンの妻メイベルも、成長していくカイヤに必要とするものを与え、気にかけてくれた。
やがてカイヤは湿地で釣りをしていた年上の少年テイトと交流するようになる。本や様々な知識を与えてくれた彼にカイヤは心を許し、彼も恋心を抱くが、大学へ進学したことで二人は離れてしまう。ふたたび一人ぼっちとなった彼女に地元では有名な女たらしのチェイスが近づいてくるーー
この小説は様々な要素を含んでいるので、人によってカテゴリは変わってくると思う。チェイスが遺体となって発見され、カイヤが容疑者として捕まり、裁判にかけられる過程が、過去と現在を幾度も行き来しながら描かれるので、そこだけを見るとミステリなのだが、正直、アリバイや目撃証言、物的証拠もこの作品ではあまり重要ではない。
個人的にはカイヤがテイトによって恋を知り、絶望し、チェイスの甘言を信じて、ふたたび裏切られる切なさと怒りに都度共感し、彼女の人生が報われることを願いながら恋愛小説として読み進めていた。そして思いのほかあっさりとハッピーエンドへ導かれたのだが、喜んだ私を最後の章で見事に叩き落とす。
けれどそれは誰より自然と生き物を知っているカイヤが、何度も匂わせていたことだった。彼女はあのままでは自分は母親のように追い詰められてしまうことがわかっていた。だから生存本能として排除しただけなのだ。
オーディブルで聴いたので、ナレーターの池澤春菜さん(声優)のかなり演技過剰な読み方は、人によっては好き嫌いがあるかもしれないと思った。私はドラマを聴いているような感覚でいけたので大丈夫だったけど。これを聴くのが楽しみでウォーキングが捗った。 -
湿地で孤独に過ごす少女と転落死事件の話が並行して進んでいく。犯人は結局誰なのだろうと思ってたら最後に明かされた。ホワイト・トラッシュという生活困窮にありながらも逞ましく生きる姿が印象に残った。
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アメリカ東海岸の湿地帯に生まれて父はアル中で暴力。
母も逃げて一家離散の中、一人の少女が奇跡的に成長する。
一方、田舎町のスーパースター青年の死体が発見される。
2つの時代が迫った時に事件が起こり、成人になった少女が渦中に。
静かさと自然と孤独、そして恋。裁判劇にミステリーまで詰まっている。面白い。
書店員さんのコメントに「ラストは墓場まで持っていきます」と書いてあった。そりゃそうだと納得。 -
すばらしかった。運転しながら夢中で聴いて、眠くならず。