国宝 上 青春篇

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  • Audible Studios (2019年12月13日発売)
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  • 女形の世界を描く、歌舞伎界の因習に立ち向かう主人公を取り巻く人々の悲喜交々。一気に読める通快編、そして下編へイザ、突入!

  • オーディブルには向いてないかも。下巻に期待!

  • 任侠の家に生まれた息子と、梨園(歌舞伎)一家の息子。生い立ちが異なる二人が同じ時代に生まれ、出会い、芸の道に魅了されていく。小説だからこそ触れられる世界にワクワク。

  • この著者の本は初めて読んだ。というかオーディオブックで聞いた。読み手が尾上菊之助であることで本書の中に多数出てくる歌舞伎のセリフに生き生きとした躍動感が与えられている。

    戦後間もない長崎。愚連隊上がりのやくざ、ゴンゴロウを父にもつ少年キクオ。近隣の親分衆を集めた晴れがましい新年会の日。14歳のキクオは余興で歌舞伎の女形を演じる。演じ終わった直後、対立する組の組員たちが乱入し騒ぎの中でゴンゴロウは射殺される。

    復讐の機会をうかがっていたキクオだがあと一歩のところで果たせず、大阪に追いやられる。預けられた先は関西歌舞伎の花井半次郎宅だった。

    半次郎の実子であるシュンスケと切磋琢磨しながら芸を磨くキクオ。関西歌舞伎の凋落期にぶつかり、不本意な地方巡業が続く。一度は「期待の若手」として大舞台を踏むチャンスを得たキクオとシュンスケだったが芸の未熟さは覆い隠せず、再び売れない時期が続く。

    先代花井半次郎が選んだ3代目はキクオだった。シュンスケはその後実家を出、10年以上も音信不通となる…。

    歌舞伎界独特のしきたり、所作などが随所に織り込まれる。歌舞伎の演目の概説やセリフ(ここで尾上菊之助の語りが生きる)もふんだんに登場する。

  • 新聞では読まなかったけど~長崎のやくざの息子が継母の趣味で年上の子分と女形の踊りを新年会に披露した直後、弟分の裏切りで射殺され、息子は土建屋に収まっていた仇の社長を朝礼後にドスで刺そうとして失敗し、大阪の立女形岩井半四郎に預けられた。芸事が好きで同い年の跡継ぎと競いながらどさ回りもこなし、娘道成寺が認められた。師匠の交通事故で代役を立てねばならなかった場面で、師匠は実の息子より、喜久雄が選ばれた。息子は長崎から呼んだ喜久雄の恋人と姿を消し、喜久雄は師匠の名を継いだが、襲名披露で師匠は吐血し、記念公演はすべてキャンセルとなった。師匠の息子・俊介は悲惨な生活を続けながらも、場末の舞台で見事に芸を磨き、興行会社の目にとまり、歌舞伎界への復帰のために、喜久雄を悪役に仕立てていき、行き場を失った喜久雄は活躍の場を新派に求めていった~新聞小説って続けて読むのは大変なのだ

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著者プロフィール

1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業。1997年『最後の息子』で「文學界新人賞」を受賞し、デビュー。2002年『パーク・ライフ』で「芥川賞」を受賞。07年『悪人』で「毎日出版文化賞」、10年『横道世之介』で「柴田錬三郎」、19年『国宝』で「芸術選奨文部科学大臣賞」「中央公論文芸賞」を受賞する。その他著書に、『パレード』『悪人』『さよなら渓谷』『路』『怒り』『森は知っている』『太陽は動かない』『湖の女たち』等がある。

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