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- Amazon.co.jp ・電子書籍 (410ページ)
感想・レビュー・書評
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2014年の単行本の文庫版を読んだ。
地道で丁寧な取材に基づいた仕事。
日本にカウンセリングが導入される経緯と、キーとなる人物への取材。
実際に自分でも絵画療法などを受けたときの逐語録など、
多面的な内容でみっちりと濃かった。
心の病と向き合うことは、人として関わり合うことの重さや、
じっくりと経過を見ていく膨大な時間を要するもの。
箱庭療法を通じて変化していく患者の様子は印象的で、
辛抱強く寄り添い続けるセラピストの力にうなる。
ただ今は、短い時間で、一期一会的な対応をしていくしかない状況にある。
クライエントの性質も変わってきて、
物語的な構築ができなくなっている、というのはちょっとショックだった。
気持ちを言葉で表したり、悩みを考え抜いたりということができず
もやもやのままため込んで暴発して忘れてしまう。
内省する力がなくなってきているのは、
労せず手に入るもの、望む前にそこにあるものが多すぎる結果なのかもしれない。
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