- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784948759916
感想・レビュー・書評
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本や印刷物のデザインについて、グラフィックデザイナーの工藤強勝氏により、懇切丁寧に解説されている。
「なるほど!なるほど!」と頷くことが多かった。
文字の組み方については、一種類の書体を何も考えずに使っていると揃って見えないことがある。一連の文章の中でも漢字とかな、カナ、アルファベットにより書体を変えたり、サイズを変えたり、ずらしたりすることにより美しく見える。文字の詰め方も縦書きの時と横書きの時、書体によって異なる。
写真の配置の仕方にもセオリーがある。基本的にジグザグに配置すると読者を飽きさせない。しかし、視線の流れを妨げるのはダメ。全体的に白っぽく、軽い写真は誌面上部か小口側に寄せ、黒っぽく、重い写真は誌面下部か、ノド側に寄せると圧迫感を感じさせない誌面になる。人の顔の写真の上には他の写真を置かない。良い写真の活かし方。イケていない写真を使う時のデザインテクニック、例えば地色を使うこと。写真を活かす、文字色の選び方。
情報の分かりやすい伝え方。表にすると分かりやすいが、罫線で細かく区切るよりも文字揃えによりラインを生み出したほうが窮屈なデザインにならないということ。
本のつくりについても詳しい解説がされている。綴じ方(糸かがり綴じ、無線とじ、中綴じなど)による版面設計の違い。糸かがりとじや中綴じだとノドが大きく開くので、版面をノドのほうまで寄せてもよいが、無線綴じだとノドが開かないので、特に写真などはダブルトリミングしないといけない。中綴じ本は、外側にいくにつれて、小口の余白が少なくなるということ。表紙、カバーのデザインの仕方も並製本か上製本かにより、大きさなど変わってくる。
本のデザインをする人はそこまでの知識がなければならない。
デザイナーさんというと、天性の閃きやセンスで物を生み出す、マイペースな方というような思い込みをしていたが、全然違うと分かった。
良いデザインを出来る方とは、緻密な計算をし、経験基づいた理論を持ち、そしてクライアントさんや編集者さんとの連携プレイをしやすいようサムネールを作るなど、仕事の仕方もデザイン出来る方のことだ。
もちろん、天性の閃きやセンスも大切である。思うような書体や写真や色や素材に恵まれなかったときの工夫により時代を代表するような作品が生まれてきた。そのようなコラムも面白かった。
おすすめの本である。
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この本が2500円で安いなぁ、と思うのはコンピュータ書籍の買い過ぎとも言えるかもしれないけれど、それでも安いと思います。
一冊の本をデザインすることにどれだけの考えが詰め込まれてるのをしりました。以前あるデザイナーさんがデジタルがダメだといってたことを本と電子書籍にもいえるんだろうと、思いました。文章があれば、それでほんといえるのだろうか。 -
著者の手掛けた実例のデザインを挙げ、そのラフ段階から「いかにデザインしたのか」を丁寧に解説している。章ごとに焦点を絞っているため素人にも分かりやすい。何度でも読みたくなる良書。
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今さら……おいおいと言われそうだけど、
今の方が理解できることがたくさん書かれている工藤さんの著書。
工藤さんのレイアウトの指定紙のあとに実際のデータが並んでいる構成が、とても勉強になる。この指定でこうなるのか、この書体はこんなプロポーションだったのか。名前しか聞き覚えがなく、使ったことのない書体の情報を学ぶにも。
色々な吸収の仕方がある内容の濃い本だと思います。 -
もうちょっと、身を入れてデザインを勉強しなくては…と悩んでいたときに教えていただいた本。webにも十分通じるセオリー。webでは表現が豊かに出来、自由度が高いぶん文字を疎かにしすぎている。丁寧な処理を施すことでイメージががらりと変わる、文字を「魅せる」ことを教えてくれる教科書。
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工藤強勝先生による、エディトリアル、タイポグラフィを学ぶための実践的な書。
私もかなりお世話になっています。
行間・字間などの組を具体的な良い例・悪い例をあげて解説したり、イラレやInDesignでの実践的な設定方法、キャプション、製本に関することまで、まさに本を作るための教科書(入門書)。
かっこいい組版を並べてあるだけのよくあるデザイン書とは違い、基礎がちゃんと載っていて安心感があります。
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基礎本。知りたいことがだいたい載っている。
特にツメについて本書は細かい。 -
これで紙のデザインの理解が一気に進んだ一冊。
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まだ青二才の自分には専門度が高くて難しかった。
図書館で借りて読んだが、デザインの辞書として自分の本棚に並べておきたいので、今後購入したい。