彼女のこんだて帖

著者 :
制作 : ベターホーム協会 
  • ベターホーム出版局
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本棚登録 : 718
感想 : 142
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  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784938508791

作品紹介・あらすじ

短編小説の名手、角田光代が開いた新しい小説世界は、料理とのコラボレーション。涙あり、笑いあり、そしてふと胸つまるときもある傑作短編15編のキーポイントは「料理」。無骨な男が亡き妻を想いながら作る豚柳川、働きながらひとり子育てをした母が思わず涙したかぼちゃの宝蒸し、恋の痛手をなぐさめたラムのハーブ焼き…。角田光代が小説中に巧みに、鮮やかに描いた料理のレシピをベターホームが再現して、小説と合わせて掲載しました。料理教室を開催し、料理本を数多く出版してきたベターホームのレシピは、「親切で必ずおいしくできる」と定評を得ています。小説で感動したら、さっそくその料理を作って味わってみることができる、2度楽しめる画期的な本です。

感想・レビュー・書評

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  • 登場人物がゆるくつながっていく15の短編と、作中に登場するレシピの本。

    小説に出てきたレシピを掲載する本はほかにもあるが、本書はレシピに力が入っている。
    凝ったメニューが多く、一品だけでなく、コース料理やパーティ料理のように、たくさんある章も。

    大型本なので、写真が大きく、手順も細かく、レシピ帖として見やすかった。

    一方、横書きなので、小説を読むときにはやや違和感。

    日常の中の悩みや迷いから、一歩踏み出し、少し前向きになる話。
    「漬けもの名鑑」「ピザという特効薬」「どんとこいうどん」がよかった。

  • 料理にまつわる、というワケではないけれど、料理を中心にして進んでゆく短編集、レシピつき。
    ひとつ前の話でちらりと顔を出す脇役のひとりが、次の話の主人公となって、一冊の本を紡いでいく。
    主人公は老若男女問わず、しかし皆一様に、何かしらの理由をもって料理と向き合う姿が描かれている。

    一言で言えば、「好きな本」だ。
    食べることはすなわち、生きることに繋がる。
    食事とは、お腹を満たすためだけでなく、心を満たすためにするものだって思っているから、おいしそうに食べる人はもちろん、楽しそうに料理を作る人の姿の描写は、生きる力に満ちていて、私には輝いているように見えるから。

    今回は図書館で借りたけれど、文庫版も出ているようなので、そのうち入手したい。

  • 短編小説と料理のコラボ。
    5~6ページの小説と、小説内のキーとなる料理のレシピで
    構成され、登場人物のリレーで連作となっている。
    身近な人の話・・・恋人・親子・夫婦・兄妹など。
    日常の出来事・・・失恋・淡い恋・結婚への不安・退職・妊娠など。
    15回のごはんは、普通の人々の普通の話に彩りを与えています。
    それらは普通のごはんではあれども、亡き妻の想い出の味や
    かぼちゃ料理の取り持つ縁、不安を乗り越えるうどん作り、
    失恋を乗り越えるエネルギーなどとなってます。
    そして季節は廻り、最後の話は最初の話へのリレーで終わりますが、
    最初の話の協子に新たな展開が予感されて、嬉しくなりました。
    たかがごはんといえど、作ることも(手抜きであれ、手の込んだ
    ものであれ)、食べることも大事で、幸せなのだと思いました。
    掲載されているレシピは、物語の余韻・・・美味しそう(^^♪

  • 読み終わった後すごく、ほっこりしました。家族の為にご飯を作れている今はすごく幸せなことなんですね。忙しくおろそかになりがちですが、レシピ見ながら愛情たっぷりの料理作りたくなりました!ちまきに挑戦してみようかな。

  • 彼氏と別れた協子はそうだ、ラムのステーキを
    つくろうと思った。悲しみに打ちひしがれず
    ラムのように噛みしめて味わおうと。
    秋男は妻を亡くしてから料理教室に通い始めた。
    妻が作ってくれたあの料理が食べたいが
    何なのかわからない。料理を覚えて
    わかった時に思うことは。
    美味しい料理は、幸せを生み、人をつなぐ。
    レシピつき連作短編小説集。

    ごく短編の登場人物が少しずつリレー形式で
    繋がっていくのが楽しいです。
    どの話にもきちんとしたレシピがついていて
    実際に作って味わえる料理とのコラボ小説。

    どの話もとてもおいしそうでじんわりと
    温かくなったりしたのですが
    あとがきの作者のお母さんとの料理の思い出も
    印象深かったです。
    レシピは全体的にちょっと手のかかる
    初心者向けではない感じのが多いですね…
    ただ、手作り餃子おいしそうだったな~
    皮は作ったことないのですが
    ちょっと作ってみたくなります。

    講談社文庫になってますが
    中身はどんな感じなのですかね…
    こちらはレシピもカラーで見やすくて
    とてもおいしそう。プレゼントにするなら
    こちらの方が良いですね。

  • ◆悲しくてもうれしくても、作って食べることは幸せ◆
    15の短編と28のレシピ―
    ちょっと切なくて温かいエピソードには、どれもすごくおいしそうな料理が印象的に出てきます。「あぁ食べたいなぁ」と思うと、きっちりレシピが載っているという!
    1話目から心つかまれました。
    人生には大変なことが起こりもすれば、何もない日常をやり過ごさないといけないこともあるけど、「ゴハンを作って食べる」ことがしみじみ幸せだと感じられます。

  • 料理ごとにあるストーリーが心に染みて、気持ち良く涙が出る本でした。

    「今日のごはん、何にする?」

    ってイイなぁ。と。

    家で毎日する会話だけど、案外貴重なやりとりなんだと改めて脳に刻みました。

  • 家で作る料理をテーマに、語り手がリレーしてゆく短編集。それぞれの話に登場する料理には、毎回レシピが写真入りでついてくる。
    料理の苦手な私には、ああこりゃ無理だよ、と思うレシピばかりなんだけど、少しずつでも心を込めて何か料理をしたくなる本。
    これまで自分にご飯を作ってくれていた母に感謝したくなる本。
    本編ももちろん良いのだけど、私はあとがきが一番じんときた。
    料理好きな人もそりゃ絶対に楽しめるし、私みたいに苦手な人は料理をしたくなる。
    どちらにしても読んで損はなし。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「と思うレシピばかり」
      真面目に考え過ぎ?レシピはアウトラインだと思えば、、、内容を知らずに勝手なコトを書く猫でした。
      「と思うレシピばかり」
      真面目に考え過ぎ?レシピはアウトラインだと思えば、、、内容を知らずに勝手なコトを書く猫でした。
      2012/09/18
  • 料理に絡んだ連作短編&レシピ。
    ラムステーキおいしそう。中華ちまきの当たりのうずら、食べたい。
    かぼちゃのお宝もスプーンでほくほくとすくいたい~。
    大切なのは、おいしいって食べること。(凝った料理でも、簡単料理でも)
    そして料理が繋ぐもの。(人と人だったり、思い出だったり)
    おなかがすきました。あとがきせつないです。

  • <信州大学附属図書館 工学部図書館のコメント>
    制約ばかりが増えたこの2年間で、大切な人と共に料理を味わい、おいしいね、と笑い合えるのは実はとても幸せなことなのだと、改めて気づいた人も多いのではないでしょうか。本書は料理を巡る短編集ですが、前の話の脇役が次の話で主役になります。しかも嬉しいことに巻末には各編に登場する料理のレシピ付き。早くこれらの料理を囲んで、おいしいね、と言い合いたいですね。マスクも衝立も必要がなくなったテーブルで。

    ◎信州大学附属図書館OPACのリンクはこちら:
    https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BA78559063

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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