おんなのことば

著者 :
  • 童話屋
4.18
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本棚登録 : 1230
感想 : 142
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  • Amazon.co.jp ・本 (157ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784924684782

作品紹介・あらすじ

自分を叱る、自分を励ます。茨木のり子初の詞華集。

感想・レビュー・書評

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  • 王様のブランチで、イモトアヤコさんがおすすめしていて
    有名な一節は知っていたけど、しっかりと読んでみたいなと思い手に取った。

    「自分の感受性くらい」を始めとして
    力強い表現が並んでいた。
    何度も、はっとなる瞬間があった。

    「わたしが一番きれいだったとき」「夏の声」「落ちこぼれ」が特に印象に残った。

    「いくじなしは いくじなしのままでいいの
    泣きたきゃ 泣けよ
    意気地なしの勁(つよ)さを貫くことのほうが
    この国では はるかに難しいんだから」

    「落ちこぼれ 和菓子の名につけたいようなやさしさ」

    約30年前に出版された作品。
    (アンソロジーだから詩自体はもっと前に発表されている)
    今でも全く色褪せず、令和の現代に生きる人、特に女性の背中を、十分に、力強く押してくれる作品だ。

  • 大好きな大好きな詩集。

    茨木のり子さんの詩を読むたびにこんな女性になりたいと思う。
    凛としていて、可愛らしく、自分にも人にも厳しく、繊細な感受性を持ち、大きな愛のある女性。

    この本はこれから先も何度も何度も読み返して、励まされたり慰められたりするんだろうな。

    "汲む“と"自分の感受性くらい"が特に好き。

  • 家にあった茨木のり子さんの詞華集です。
    再読しました。
    その中から、今いいと思った詩と感想をひとことずつ。

    「わたしが一番きれいだったとき」
    私は戦争体験はないけれど、ずっと孤独だった気がします。

    「あほらしい唄」
    もう、私を娘などと呼ぶのは母くらいのものですが。

    「問い」
    「人類は」を「人生は」に変えて読んでみたらどうなるでしょうか。

    「一人は賑やか」
    なんだか笑みがこぼれてきます。

    「食卓に珈琲の匂い流れ」
    日曜日の朝の珈琲の匂い。私もすいこんでみたいです。

    「友人」
    私にも一人か二人はいるので秀(しゅう)でしょうか。

    「十二月のうた」
    今、まさに師走です。
    私は、大切なものは絶対に落とさないようにしたいです。

  • 飾らない言葉のなかに、人間らしさや暖かさを感じる。
    迷いながらも失敗しながらも、自分というものを見失わないようにしたいと、背筋が伸びる思いがした。

    深く心に残ったもの
     ·自分の感受性くらい
     ·みずうみ
     ·わたしが一番きれいだったとき
     ·夏の声
     ·この失敗にもかかわらず
     ·汲む

  • 著者の六冊の詩集から抜粋された三十五編の詞華集。一番好きな「自分の感受性くらい」が冒頭にあり嬉しかった。

    「いい詩には、ひとの心を解き放ってくれる力があります。いい詩はまた、生きとし生けるものへの、いとおしみの感情をやさしく誘いだしてもくれます。」

    あとがきで引用されていたこの文章に、田中和雄氏と同様に大きな共感を覚えた。

  • 茨木のり子さんの6冊の詩集から選んだ詩を
    収録した1冊です。

    開いたら最後、
    冒頭の「自分の感受性くらい」に
    心をがしっとつかまれてしまう…

    これが「おんなのことば」という詩集の
    力です。

    もちろん
    ピンとくる詩やそうでない詩と
    様々にありましたが、
    (そのため☆は3つです)

    ピンとくる詩のもつ力はすさまじく、
    心の奥底までぽとんと落ちていき、
    もぐっている扉をトントンとたたくのです。

    「みずうみ」「待つ」「さくら」
    「あほらしい唄」「最上川岸」
    「十二月のうた」「汲む」、
    そして童話屋・田中和雄さんによる
    「あとがきに代えて」は、
    特に味わい深く、しみるものがありました。

    人にはもともと、感じる力がそれぞれに
    備わっているけれど、
    外側の環境がそれにフタをしてしまう。

    でも「おんなのことば」のいくつかの詩は
    感じる力のフタを開けるに、
    きっとなってくれると思います。

  • 『みずうみ』『汲む』が特に良かった。

  • 戦中に青春を過ごした著者の瑞々しい感性を綴った詩集。

    詩というものは10秒、長くても1分あれば読み切れるような短いものであるが、その中に作者が感じた感情を蒸留させたものが詰まっているように感じさせられる。

    特に茨木のり子さんの文章は苦難や理不尽の中にあっても、決して自分を手放さないように、弱い人、弱っている人への慈しみを無くさないようにという強さと決意を感じさせる文章ばかりでした。
    大げさでなく、日本の宝になるような詩だと私は思います。

    人生の折々に時々開きたいと思います。

  • 茨木のり子さんを初めて知ったのは「汲む」。とてつもなく衝撃だった。

    その衝撃をあなたにあげたい。すべてが残らなくてもいい。「汲む」が残らなくてもいい。この中のただ一行が、いつかのあなたの支えになればいい。

    いつか、その答え合わせができたらいいね。

  • 茨木のり子の詩は
    女性としての美しい精神に満ちています。

    自立するということ、
    情を持ちつつも厳しく世の中を眺めること、
    男性からの視線を受け止めること、
    子供達を育てようというたくましい母性を持つこと。

    外見を美しくたもつことも大切かもしれませんが、
    心のあり方も、やはり美しくありたいものです。

    この詩集を読めば、
    凛とした気高い女性のスピリットを感じることができます。

    自分の感受性くらい、は叱られているようだけど、それが心地よく響く作品。

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著者プロフィール

1926年、大阪生まれ。詩人、エッセイスト。1950年代より詩作を始め、53年に川崎洋とともに同人雑誌「櫂」を創刊。日本を代表する現代詩人として活躍。76年から韓国語を学び始め、韓国現代詩の紹介に尽力した。90年に本書『韓国現代詩選』を発表し、読売文学賞を受賞。2006年死去。著書として『対話』『見えない配達夫』『鎮魂歌』『倚りかからず』『歳月』などの詩集、『詩のこころを読む』『ハングルへの旅』などのエッセイ集がある。

「2022年 『韓国現代詩選〈新版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

茨木のり子の作品

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