ふたりからひとり ~ときをためる暮らし それから~

制作 : 水野 恵美子 
  • 自然食通信社
3.98
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本棚登録 : 631
感想 : 49
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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784916110466

作品紹介・あらすじ

『ときをためる暮らし』その後、四年あまりの日々を書きとめた。老いたら老いたなりに、楽しくなることを考え、実践してきたしゅういちさんが昨年、他界。造成地に建てた丸太小屋、落ち葉を入れて蘇らせた土。ふたりが積み重ねてきた半世紀の歳月は、いまも英子さんが同じように営み続ける。自分に課し、誰かのために手足を動かす日常とは。

感想・レビュー・書評

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  • 死を感じた。作られたものではない誰しもがいつかは目の前で起こる死。親よりもこどもよりも長く一緒にいることになるであろう連れ合いの死。その死の向き合い方と過ごし方が書かれていた。

  • 途中、泣きながら読みました。
    戦争の体験をして、死ぬかもしれないと思ったことが生きるパワーになっている。
    人生に、命をかけて遊ぶ。2人の優しい雰囲気の裏の強さをこの本で知りました。
    風の男、しゅうタンと、土の女、英子さん。
    2人の共通点は弱虫、だからこその素晴らしいチームワーク。結婚ていいものなのかもな。
    英子さんの突然始まった一人暮らしは、2人暮らしでの楽しみを引き継ぎながら、
    地に足をつけていて、最愛の人を無くした後の生き方、コロナ渦中での人生の楽しみ方、として参考になりました。

  • 2017年のクリスマスプレゼントとして夫に買ってもらって、2017年暮れ~2018年新年にかけて実家でずっと読んでいた。
    母と二人、ご飯を食べたり会話をしたり、空き時間にこの本を読んで過ごしていたのだけど、母が話す、年金や世間の常識のような話とこの本で語られることとのギャップがありすぎて…つばたさんの暮らし方や考え方が好きで、こんなふうにわたしもなりたいと気持ちを高めているところで、望まない方向に連れて行かれるというか…。
    よって喧嘩も発生する(それだけが理由ではないけど)。しんどいことですよ、まったく。

    わたしはやっぱり、世間の目を気にして生活したり、貯金の額や預金の利息を眺めて喜ぶ、っていうのは、なんだか違うよなあ…と思うんだよね。

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    ひでこさん、ひとりの生活に慣れないながらも今までやってきたことを続けようとなさっているようでした。寂しいというか、空しいという気持ちだと。これまで「おとうさんのこと」を一生懸命やってきたから、って。あまりにあっけなく亡くなってしまったので実感がないみたいなこともおっしゃっていた。
    昼間はあれこれやることがたくさんあるからいいけど夜は少しもてあますとのことで、テレビを観たり。吉田類さんの「居酒屋放浪記」を見て料理の勉強になる、なんてさすが。おとうさんがいるときは見られなかったけど、一度見てみたかったのよね、って。かわいい!^^

  • 「窓は少しでいいから常時開けておく。それによって換気ができ、換気を通して「ゆらぎ」が生まれます」「朝、昼、夜の温度差を、多少なりとも体で感じてもらうほうがいい」(なぜあなたの疲れはとれないのか?)つばた家には「ゆらぎ」を感じ、疲れをためない理想的な暮らしがあるなと思いました。「家」「自宅」以外はすべてアウェイであって、アウェイの世界では「緊張状態」を強いられる(同書)。自分の家でくつろいで疲れを癒すとはどういう生活なのか、実践を見た気がしました。

  • 映画「人生フルーツ」鑑賞済みです。
    しゅういちさんが亡くなった後の英子さんのインタビュー(ききがたり)を中心に収録されている本。
    もちろん、生前のしゅういちさんの言葉や夫婦の会話のやりとりも収録されています。写真や英子さんのレシピもあって、ファンにはすごく読み応えがあって価値がある一冊です。

    物が溢れて、モノの奴隷になりながらあくせく生きているワタシ達世代には、まさに憧れの老後でありスローライフであるのだけれど。
    夫婦で好きなことをして楽しく生きているように傍からは見えるかもしれないけれど、そこに至るまでにお二人の取捨選択や譲れない人生へのこだわりが見えてきて非常に興味深く読めました。

    ターシャ・テューダーの生き方にも言えるのだけど、苦渋の決断の取捨選択ではなく、好きなものを追求してきた生き様なので、お二人の人生は生き生きと輝いて見えるのだろうなぁと感じました。

    ちょっと意外だったのが、下世話な話で申し訳ありません、お金のこと。
    年金が口座に入ると結構使い切ってしまう、というのがへぇ~、ちょっと意外、と思いました。
    娘さんが「お母さん通帳に一銭もないの?」と心配するほどなのですが、英子さんは、ストックしてある食べ物があるからそれを食べていれば来月まで持つから、とどこ吹く風なのが(笑)
    なんか、いいですね、こういうの。
    もしかしたら、お金を遺産として子供に残すよりも、こういう親の生き様を見せることが遺産になるのかな、と思ってしまいました。

    お料理が大好きで台所に立っているとルンルンなの、という英子さん。どうかいつまでもお元気でいてほしいです。

  • 医学部分館2階書架 : 590/TSU : https://opac.lib.kagawa-u.ac.jp/opac/search?barcode=3410170205

  • 英子さんのしゅうタンへの深い愛が滲み出ている。

    今時の「現代的な女性」と比べれば英子さんは「旦那様に食べさせてもらっているのだから、これくらいは当たり前」「男の人はこういうもの」という、古風ともいえる方。それがちっとも不自然でなく無理がなく、満たされた思いで楽しんでおられるのがとてもすてきだなと思った。

    2人の間に流れるゆったりとした空気感、痒いところに手が届くような英子さんの気配りの元に居て、しゅういちさんはどれほど心地よかったことかと思う。

    最愛の人を亡くして嘆き悲しむばかりでなく、その人の記憶と共にさらに丁寧に生きていこうとする英子さんが神々しい。

  • ホッコリできた。
    人生フルーツが好きで、本も読んでみたけど、ホッコリ。
    食事は冷凍保存して、月一でお買い物、お庭で栽培、今有るもので生活。
    これぞわたしの理想。
    お上品なおばあちゃま、好きだわ。
    そしてあの歳になっても、しゅうたん、と旦那さんの事を呼んだりする。
    可愛い。

  • 高校時代の友人が亡くなり、残された方のことを理解できる何かのきっかけになればと読んだが、90歳まで生きられれば、あと30年は一緒にいられたのになぁ、ということを痛感させられてしまった。

  • 「ときをためる暮らし」に続き、こちらを読書。ひとりになっても変わらず丁寧に暮らしを続けるひでこさん。読んでて寂しさは感じるけど、悲観のようなものはなくて、しゅういちさんはまだそこにいるかのよう。自分は大事なものをちゃんと大事にできてるかな、考えさせられました。

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著者プロフィール

1928-2018年。愛知県半田の200年以上続く造り酒屋で育ち、50年、しゅういち氏と結婚。キッチンガーデナーとして大地に根ざしたていねいな暮らしを実践。夫婦の共著として『ききがたり ときをためる暮らし』(自然食通信社)『なつかしい未来のライフスタイル』『キラリと、おしゃれ』(ミネルヴァ書房)『ひでこさんのたからもの』(主婦と生活社)他がある。2018年6月、しゅういち氏のもとに逝く。前日までふだんの日常を過ごす。享年90歳。

「2016年 『ふたりから ひとり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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