隠される原子力・核の真実: 原子力の専門家が原発に反対するわけ

著者 :
  • 創史社
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  • Amazon.co.jp ・本 (157ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784915970368

感想・レビュー・書評

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  • 2010年12月に出版された本。 被曝の恐ろしさ、エネルギー問題まで幅広く取り扱い、原発の必要性を問う。 再処理工場は原発より危険なもので、恐ろしかった。とても分かりやすく読みやすかった。

  • これまで何度も聴いてきた彼の主張を詳細なデータで補強しつつ復習。

    本書で最も重要なのは「12章 エネルギーと不公平社会」で、この考え方に強く同意するのが彼を支持する理由。
    「少欲知足」すなわち我々が日常的に使っているエネルギーが本当に必要なものかを真剣に考え、エネルギー浪費社会を改めるのが最も重要であるという事。
    これはエネルギー問題だけでなく、経済問題や食料問題等、現在の世界をとりまく問題に立ち向かうための基本的な考え方でもある。

  • 薄い本ですが、原子力発電についてとてもわかりやすく書いてあり、入門書として読むにはもってこいではないかと思いました。
    著者が徹底して電気を使わない生活をしている事に感動すら覚えました。
    外でエレベーターやエスカレーターも使わないなんて!日の出と共に起きて日が沈めば寝てしまうとも聞きました。これは本には書いてありませんでしたが。ここまで徹底するのは今のほとんどの日本人には難しいとは思いますが、出来る限りエネルギーの浪費を抑えた生活は真似していきたいです。

  • アースデイで購入。原子力について客観的データを使い、専門的な解説がされるのですが、分かりやすく読みやすいです。エネルギーを得るためでない、原子力政策のずさんさが見て取れます。通勤の電車でさっと読める原子力(政策)解説としてお勧め。

    • idealbookloveさん
      2日ほどの通勤電車で読みました。自分がどう行動するべきか判断する一つの材料になりそうです。
      2日ほどの通勤電車で読みました。自分がどう行動するべきか判断する一つの材料になりそうです。
      2011/04/28
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「自分がどう行動するべきか」
      あんな目に遭って、それでも原発を使おうと言う気になる人が信じられない。。。
      「自分がどう行動するべきか」
      あんな目に遭って、それでも原発を使おうと言う気になる人が信じられない。。。
      2014/03/17
  • ▼福島大学附属図書館の貸出状況
    https://www.lib.fukushima-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/TB90234512

    (推薦者:人間発達文化学類 昼田 源四郎先生)

  • 福島第一原発事故前から原発の危険性、無謀さを訴えてきた著者。放射能を管理する技術を持たないまま突き進む原子力行政は犯罪だと指摘する。
    温暖化と二酸化炭素の関係にも触れ、エネルギーの浪費や森林破壊など私たちの生活そのものを見直すことの必要性についても指摘。

  • 3.11から丸3年。現地で被災した人間として、その副産物として生まれた原発事故の影響を正確に把握したいと思い、この本を読みはじめた。

    実に不愉快だった。

    それは、この本の著書に対してではなく、国の不誠実さに対してだ。夢のエネルギーとして原子力発電の研究が始まってすぐならまだしも、研究が進み、どう考えてもメリットよりもデメリットの方がはるかに多いことが分かったのに原発の建築は止まらなかった。なぜなら原発は、国民の発電をサポートするのが目的ではなく、国際政治の道具として、そして公金を無尽蔵に引き出すための言い訳に使われたからだ。国民の疑念を欺き、メディアの力まで使って事実を歪曲し、事実上の「洗脳」を行って、力づくで原発推進を国民に納得させた。

    そして、3.11が起き、福島第一原発は崩壊。日本のみならず世界中に放射性物質を撒き散らした。

    にもかかわらず、国はまだ原発を再稼働させ、さらなる原発の開発をも進めようとしている。
    著者は40年も前から原発の無意味さ、危険さ、非効率さに気づいて反対を続けていて、本書が発行されたのは2010年であるので3.11以前であるが、その時点ですでに下記のような事実が明らかになっていると書いている。


    ・茨城県東海村の臨界事故の原因は、安全性よりも作業効率やコストを優先させた(沈殿槽という容器のサイズが明らかに規定オーバーだった)ため起きたにも関わらず、作業員のミスということにして、原子力委員会と審査に関わった人間は責任を取っていない。

    ・ウラン濃縮の工程のゴミとして生まれる「劣化ウラン」は放射性物質が普通に放出される物質であるにも関わらず有効な廃棄の方法がないため、アメリカはこの硬い金属を軍の兵器(劣化ウラン弾)に転用し、イラン/ユーゴスラビア/アフガン/イラクで使用。兵士のみならず現地の一般市民にまで大量被爆させた。

    ・石油可採年数は過去何度も訂正され、1950年には残り20年だったのに、2010年には残り50年まで伸びた。しかも石炭はあと1000年も埋蔵量がある。一方ウランはエネルギー量換算での埋蔵量が極端に少ない(石油の数分の一、石炭の数十分の一)ので、莫大な費用をかけて開発を進めてもすぐに資源が枯渇する。

    ・かつて「原子力は二酸化炭素を出さず、環境にやさしい」と宣伝していたが、今は「原子力は発電時に二酸化炭素を出さない」に変更されている。この理由は、原子力発電の全行程における燃焼「以外」の全て(ウラン鉱山での採掘、製錬、濃縮、加工、運転)において莫大な二酸化炭素を排出する必要があるためである。ウランからほんの少しの電力を生み出すために、他の発電方法では考えられないような膨大な化石燃料が浪費されている。

    ・原発が生み出す廃棄物の処分方法を確立している国は世界にただの一つもない。

    ・54基の原発の温排水は年間1000トン。日本の全河川流量は年間4000トン。流量換算で2度も温めている。

    ・原発の熱効率は33%。火力発電は50%超。コジェネレーションによる火力発電所を都会に立てれば総エネルギー効率を80%まで上げられる。原発は危険過ぎて都会に立てられない。

    ・原発を稼働させるために火力発電所のほとんどを止めているにも関わらず、全発電所の発電効率で見ると原発は18%にしかならない。設備利用率は50%で設備は余りまくっている。

    これは、この本に書かれていることのほんの一部に過ぎない。
    呆れてものが言えないとはまさにこの事である。


    私は、原発は原発マネーという公金に群がる連中が既得権益を守るためだけに続けられているものだとしか考えていない。そういう連中は老い先短いし、例え子供や孫がいても手に入れた金で彼らを安全な場所に移動させられる。原発とそれに関わる一連の政策は、国民から不当に搾取した金をほんの一部の人間に還元させるための詐欺政策以外の何物でもないのだ。

    もしこれが原発でなければ、多分私はこれほど怒っていないだろう。なぜならそれは人の命を直接的には危機に晒さないからだ。

    しかし原発は違う。

    埋蔵量が殆ど無い原料を使い、そこからの精製工程でも危険が伴い、仮に燃焼が上手くいったとしても、残ったゴミを安全に処理/廃棄する手段がない。そしてひとたび事故が起これば日本のみならず全世界に死の灰を降らせる。その影響は何年とかいう単位ではなく、人類が高度文明を得てからよりもずっと長い時間続く。こんなクソすきるモノを使い続ける事が、未来のエネルギーであるはずがない。

    作ってしまったものは仕方がない。
    廃炉にも莫大な金と時間がかかることも明らかだ。
    でも、これ以上危険を冒す意味など全くないではないか!

    政府は一刻も早く脱原発を宣言し、世界に省エネ先進国としての先例を作って欲しい。元々日本人が大切にしてきた「もったいない」の精神をもとに、人類にとって本当に必要な生き方を提言できるような、そんな政府にならんことを願って止まない。

  • ◆きっかけ
    2016/8/18

  • やっと届いた!こんなに待ち望んだ本は久しぶり。この本の作り、とても経済的で好感が持てる。もっと早く読むべきでした。これからは世論が小出先生を支えるでしょう。創史社さん、増刷頑張って売って下さい。

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著者プロフィール

元京都大学原子炉実験所助教。工学修士。
第2次世界大戦が終わった4年後の1949(昭和24)年8月、東京の下町・台東区上野で生まれる。中学生のとき地質学に興味をもち、高校3年までの6年間、ひたすら山や野原で岩石採集に没頭する。68年、未来のエネルギーを担うと信じた原子力の平和利用を夢見て東北大学工学部原子核工学科に入学。しかし原子力について専門的に学べば学ぶほど、原子力発電に潜む破滅的危険性こそが人間にとっての脅威であることに気づき、70年に考え方を180度転換。それから40年以上にわたり、原発をなくすための研究と運動を続ける。2015年3月に京都大学を定年退職。現在は長野県松本市に暮らす。著書に『隠される原子力・核の真実─原子力の専門家が原発に反対するわけ』(2011年11月/創史社)、『原発のウソ』(2012年12月/扶桑社新書)、『100年後の人々へ』(2014年2月/集英社新書)ほか多数。

「2019年 『フクシマ事故と東京オリンピック【7ヵ国語対応】 The disaster in Fukushima and the 2020 Tokyo Olympics』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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