第二次大戦前は日本領だった南樺太における実力者、ドミートリー・プロコーピエヴィチ・ヴィノクーロフの伝記。
ロシア極東地方のヤクーチアに生まれたヤクート人で、サハリン(樺太)に渡って実業家として成功し、やがて日本領である南樺太に移った彼の活動を追っています。
樺太の先住民たちと交わり、地元の名士として「トナカイ王」と呼ばれた彼は、サハリンやヤクーチアなどのロシアからの独立を目指し、そのために日本の協力を求めて軍部や政治家と接触し、日本側の工作活動に深く関わります。
歴史的には、ロシア革命からシベリア出兵、満州事変、そして第二次世界大戦まで、ヴィノクーロフとその協力者たちがどのような活動をしたのか?
また日本が南樺太に建設した観光用の先住民集落「オタスの杜」についても述べられており、歴史事件が先住民たちに与えた影響も描かれています。
著者はロシア人ですが、それ故かヴィノクーロフについては、終始「売国奴」というような評価を与えていますw
ヴィノクーロフ自身や、その家族らの末路についても、因果応報だと言わんばかりですね(^O^;
とはいえ、日本では関心の薄いウイルタ人やニブフ人、アイヌ人など北方先住民の当時の実態について学べるので、貴重な一冊です。
ニン、トン♪