愛と差別と友情とLGBTQ+: 言葉で闘うアメリカの記録と内在する私たちの正体

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  • 人々舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784910553009

作品紹介・あらすじ

世界を知り、無知を知り、人間を知る。
偏見を助長してきた言葉や文脈を更新し、日本で流通してきた「LGBTQ+」情報の空洞を埋める希望の書。

彼らは世界で何が起きているのかをほとんど知らない。日本で流通している日本語だけの情報で満ち足りて、そこから出ることも、その外に世界が存在することも考えていない。日本の世間は日本語によって護られているつもりで、その実、その日本語によって世界から見事に疎外されているのだ……。
──第4章「クローゼットな言語」より

〈推薦文〉
頭が沸騰した。アメリカの「LGBTQ+」百年の歴史の豊饒を受け止めた著者の目に、すべての私たちの未来が映っている。
──池田香代子(翻訳家)

どのような過去が、現在を作り上げてきたのかーー。蓄積と切り離された、安易な現状肯定は、手痛い揺り戻しを招きかねない。日本とアメリカを行き来し、各コミュニティの内と外を見てきたジャーナリスト。彼だから描ける、歴史と、その先。
──荻上チキ(評論家)

この本にあふれる愛は、日米を問わぬ遍きマイノリティへの讃歌でもある。小さき者たちがこの半世紀、歯を食いしばってクリエイトしてきた歴史や文化を再発見した。
──津山恵子(ニューヨーク在住ジャーナリスト)

以前、島根県隠岐之島に歌いに行った時に頂いた小学生からの手紙に、「うまれてはじめてオカマさんをみました」と書かれていた。その時感じた素直さと違和感。その間を埋めるものがこの本にはある。
──中村 中(歌手・役者)

本書は厳密な意味で、「ゲイ」の歴史学であり、社会言語学であり、政治学であり、社会学であり、哲学だ。一つの視座から捉え切れない全体性を描き出している。最後に著者は当事者として一つの公式に到る。恋愛=ヘッセ的友愛+贈与としての性行為。友愛の力を欠けば、恋愛を持続することも差別せずにいることも不可能だ──僕は全面的に賛同したい。
──宮台真司(社会学者)

感想・レビュー・書評

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  • 失われた主語を取り戻すために、対抗する。 北丸雄二さんが語る『愛と差別と友情とLGBTQ+』 | ハフポスト NEWS
    https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_61c29c9ae4b061afe3990ef6

    『愛と差別と友情とLGBTQ+』「はじめに」公開 - 出版社立ち上げ(た)日記
    https://hitobitosha.hatenablog.com/entry/2021/08/12/211043

    北丸 雄二 | あなたの輝く姿が、つぎの誰かの勇気となる。| OUT IN JAPAN
    http://outinjapan.com/yuji-kitamaru/

    愛と差別と友情とLGBTQ+ 北丸 雄二(著) - 人々舎 | 版元ドットコム
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784910553009

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      本から始める(人々舎 樋口 聡) | 版元日誌・版元ドットコム
      https://www.hanmoto.com/nisshi1058

      日米...
      本から始める(人々舎 樋口 聡) | 版元日誌・版元ドットコム
      https://www.hanmoto.com/nisshi1058

      日米の認知の差を埋める必読書 – 週刊NY生活ウェブ版
      https://www.nyseikatsu.com/featured-article/09/2021/33670/
      2022/08/25
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      女の本屋 > 著者・編集者からの紹介 > 北丸雄二著『愛と差別と友情とLGBTQ+』   LGBTQ+の視座から見える世界と日本◆悠木みずほ...
      女の本屋 > 著者・編集者からの紹介 > 北丸雄二著『愛と差別と友情とLGBTQ+』   LGBTQ+の視座から見える世界と日本◆悠木みずほ(「週刊NY生活」) | ウィメンズアクションネットワーク Women's Action Network
      https://wan.or.jp/article/show/10222#gsc.tab=0
      2022/09/17
  • 大変読みやすかった。後書きにもある通り、何も知識がない日本人へ向けて101の文章でした。
    アメリカ人がPCということを主張しだした背景が詳しく書かれています。マイノリティ達が必死で主張し掴もうとしている、マジョリティと同等の権利ということだ。個人的なことは政治的なこと、そうだなあ。
    日本人はくさいものに蓋をしたがり、差別なんてあたかもしてないかのように何もかも扱いたがる。議論もしたがらない。なぜなら同性愛という言葉にポルノの意味合いを含んでいるからではないのか、という指摘。そうだね。なぜか同性愛を扱う作品もすべて普遍的な愛だよ、という言い方をしてゲイがテーマであることから話をそらそうとする。なんか本当に日本て遅れてるなあ…ということを強く思いました。
    それは日本語が省略する文化で、あまりくどくど言うのは美しくなく、全て察しろっていうわけだが、そんなの限界がある。やはり言葉で何もかも説明できないとアメリカという国では暮らせない、という文化的背景の違いには、暗澹とした気になる。一体日本はではどうしたら前進できるのかしら。政治家が性的マイノリティの人を支援したら少子化になる、なんて真面目に言う国で…日本、まじで同性婚の成立最後の国なんて不名誉を被りたいのかな。
    エイズ禍を逆手にとってゲイの権利が浸透したというのは面白かった。今まで親しくしていた誰かを傷つけていたのではないか。という懐疑。大変大事なことだ。
    ホモフォビアの男性ほど秘めた同性愛への欲がある、という研究結果は興味深かった。しかし、もっとも力を持つwaspの男性ほど、その特権的な価値観にがんじがらめになり臆病になりだからマイノリティを攻撃する…というのは本当にアメリカ的だなあ。それでも全米で今は同性婚が合法なのだから勝ち取ってきた歴史はやはり声をあげてきた人々の努力と勇気がすごい。

    後半はLGBTの演劇や映画に見るゲイの変遷評といったところでちょっとエッセイが強すぎましたが、そういう作品の紹介をしたかったのかな。こんなのもあるから参考に、てとこかしら。
    his劇場行ったので紹介されていて嬉しかったけれど、やはり日本で受容されるというのは、その集団の徳性に担保されているだけ、というあたりがうーんきつかったなあ…。クローゼットに隠されていると覗き暴きたくなるくせに、カムアウトするとわざわざ言わなくてもいいとか、そんな批判するやつまででてくるし。国籍や職業みたいに個人を構成するただ一つの要素として、言っても言わなくてもどっちでもいい、てできる社会を見る日はくるのか(こなそう
    Z世代はかなりそういう友情としての男同士のスキンシップについて寛容になっている、というレポートを紹介し、締められているのは希望的な参考書でした。
    ただ基本はゲイのアメリカ史が中心となっており、レズについては女は権利をもたなかったから罪ともされてなかったとさらりと触れられていたのみでした。そこを絡めると今度はフェミニズムの問題にもなってくるので紙数が足りないのでしょうが。

  • 必読。
    世界の見え方が変わります、ほんとに。

  • 近年のアメリカでのLGBTQ+の動向をサクサクと学べる本。喉越しがツルんとしており、読んでいるときは涙したこともあったが、後には何も残らなかった。

  • ラジオやYou Tube番組で、とても分かりやすく理性的にアメリカや世界、そして世界から見た日本の話をしてくださっている北丸さんの集大成とも言える著書。
    知らないことばかりで目からウロコ。LGBTQ+を語ろうとする人はこの本を読むべき。特に自民党サポーターとか。
    ゲイを異常者であり「性のバケモノ」とみなしていた社会の空気がハリウッドスターのエイズ死亡によって変わり、さらにレズビアンを含めた女性側から救いの手が差し伸べられたというの話が印象的だった。北丸さんも書いておられるようにこれはジェンダーロールを超えたものであったように思う。

  • 面白く読めましたけれど、論文ではないので、結局ジャーナリストとしての仕事にとどまっているような印象でした。つまり何が言いたいのかは明かさずに自分で考えろよ、と題材は与えるから結論だすのはおまえだよ、という。帯の宮台氏の紹介文がすべてで、そのように読めばいいんだろうなと。

  • 北丸雄二さんの著書。

    北丸さんは、前からラジオの「ディ・キャッチ」に出演されたり、マル激やダースレイダーさんのYoutubeに出たりと、アメリカの話に詳しいジャーナリストと認識はしていた。

    今回深掘TVに出演されてるの観てこの本購入したんだけど、なんでこの本を出したんだろう?とちょっと思った。けど、読んでみてわかった。なるほどね、と。ゲイだったのか。日本だとあまりカミング・アウトする機会も必要性もないのかな?

    で、この本は素晴らしい。

    1993年に渡米した北丸さんの実体験を交えながらの話で、1900年代の特にアメリカのゲイ(マイノリティ)・ムーブメントがどう推移したかがこの本を読むとすごくよくわかる。60年代の黒人、70年代の女性、80年代のゲイ、そして、エイズ禍を経て90年代になって経済的な要因も重なってゲイが市民権を得たわけか。さらに00年代、10年代と進み現在に至る。アメリカでは既にゲイの閣僚(大臣)が誕生している。

    最近「Z世代(1995年~2005年生まれ)」がもてはやされている。
    日本でも同じ文脈でZ世代が語られるけど、この本読むと、日本のZ世代はこういったマイノリティ・ムーブメントを全く経験していない親や祖父母が溢れる国で育っているので、他国のZ世代とは全く異なることがわかる。

    「ヘテロ/ホモ/バイ セクシャル」などの区別が重要ではなく、同じ人でも状況によりベクトルが様々変わる、という話は本質的だ。自分もホモやバイであり得る。よくよく考えると、自分も愛と友情の違いがよくわからないといつも思ってるし。ゲイ・レズビアンはアイデンティティを表す言葉、というのも結構衝撃だった。その上での「ダイバーシティ」。日本でこの言葉が空々しく聞こえていたけど、こういった歴史がなく結果の良いとこ取りしてるだけだったからか。。なるほどね。

    いやー、結構目から鱗がボロボロと落ちました。
    今後LGBTQ+の情報を見たりする際に、羅針盤として活用させてもらおうと思います。

    いつかまた再読しよう。

  • テーマ的に必要に迫られて手に取った一冊だったのだが、予想外のクリティカルヒット。ジャーナリスト的なのか文芸系の素地なのか論理的なカチッと感には欠けるのだが、叙情的で読ませる文章。性的マイノリティの話というより日米の比較文化論としてとても楽しめました。
    彼の国と比べてこの国には公の言論空間がなく、全ては私的に回収されるしかないという指摘は私小説の伝統にも繋がるような気がする。ポリコレやアイデンティティポリティクスを経ずしてそれらを批判するなかれという視点に共感する。
    メインテーマである性的マイノリティについても、これまでの認識を改めるヒントをもらった。

  • 重厚でいてユーモアの溢れる文章に引き込まれた。
    性的指向を友情と引き合わせた文章を読んだのは初めてだった。その視点を知って自分の世界もまた広がった感覚が嬉しい。学びに満ちた一冊。

  • 読前の自分の無知を恥じ、過去の言動を猛省し、未来への自分の行為を決定していく
    そのためには、この差別と戦いの歴史を血肉化し、自分の体内に宿らせることが必須である
    この本以上に、その目的にかなう本は今のところないのではないか

    主語の入れ替え可能性、と言う概念、性的マイノリティの問題に限らず極めて重要。

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著者プロフィール

ジャーナリスト、作家。中日新聞(東京新聞)NY支局長から1996年にし、在NYのまま日本向けに国際政治・社会・文化などの情報を発信。2018年に東京に拠点を移しラジオやネット番組でニュース解説などを行う。訳書に『LGBTヒストリーブック 絶対に諦めなかった人々の100年の闘い』(サウザンブックス社)などの他、ブロードウェイ演劇台本も多数訳出、近著には『愛と差別と友情とLGBTQ+ 言葉で闘うアメリカの記録と内在する私たちの正体』(人々舎)がある。

「2022年 『ぼくらのサブウェイ・ベイビー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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