- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784910207506
作品紹介・あらすじ
「猫弁」「あずかりやさん」シリーズ累計70万部超の著者渾身の感動作。
動物愛護活動をされている女優・杉本彩さん 推薦
「人生にドラマがあるように、犬生にもドラマがある。両者の孤独と心の傷に涙した。犬と育む愛ある暮らしが、温かくて心に沁みる。」
「必ずパートナーをつくること」唯一それだけが入居の条件である、一風変わった老人ホーム・ニーシャシャン。
マダムと呼ばれる女性と横須賀という名の支配人が運営するそこには、元ヤクザや余命わずかの男、詐欺を働いてきた女など曲者ばかりが集まり、それぞれとペアになる犬たちも保健所から救われた犬や盲導犬になれなかった子など経緯は様々。
居場所を求める犬と人が支え合い暮らす様に、読んで幸せな気持ちになるストーリー。
感想・レビュー・書評
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ニーシャシャン(フランス語で犬小屋という意味)で暮らす、行き場のない人間たち(高齢者が多い)と犬たちの、心温まる物語。
この施設入るには、入居金などは必要なく、入居者がそれぞれ、必ず一匹の犬の世話をするというのが条件です。
人間も犬も、今まで様々なつらい体験をしており、心が痛くなる話が多いです。今まで、犬の世話をしたことがない人達が、周りに支えられ、徐々に犬たちと絆を深めていく様子は、心があたたかくなります。
特に、この施設の支配人、横須賀さんの話が、心に残りました。彼の、心が壊れるほどの体験には、悲しみがあふれました。
犬と人間の、深く、あたたかい、優しい関係、やっぱりいいなぁと思える一冊です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
1ページ目から涙をこらえるのに必死。
人も犬も誰かを思いあって支えあって生きている。
愛の物語だ。 -
さまざまな環境で苦労してきた人と犬がパートナーになって、ともに生きていく施設のお話。
「あずかりやさん」シリーズしか読んだことがないのですが、穏やかで品のよい印象を与えるところが似ていて好きでした。
サクッと動物虐待や悪徳ブリーダー、殺処分を書かれていて、途中からは
人間は何様なんだ!と思ってしまいました。
人間のせいで他の動物や植物、自然が犠牲になることまで深読みできる作品です -
老人ホームと思いきや、犬と人がペアになり穏やかに過ごせるユートピア。辛い目にあった犬も、上手くいかないことの多かった人間も、新しい出会いで心が満たされていく。ワンコの気持ちの描写が良かった。
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大山さんは表現力が凄い!さらりと軽く自然にこちらの心に染み込んでくる。だから、重めの中身でもさらりと読める。
これは、犬にとっては夢のような施設、シャーシャシャン(フランス語で犬小屋)のお話。でも同時に、人間にとっても夢のような施設。犬も人間も、様々な過去を過ごして、最終的にこのシャーシャシャンで穏やかな生活を送る。
ホントにこんな施設があればよいなぁ。
これ、シリーズにならないかな。 -
読んでいて、いつか本当にこんなホームに入りたいと思ってしまいます。
このホームに来るのは、みんな居場所のない者。人も犬も。
だからこそ、犬と人が寄り添う姿に引き込まれるのかもしれません。
ほんの少し、
この素敵なホームの運営資金が気になったけど…
最後にさらっと種明かし。 -
入居に掛かる費用は無料。各個室で犬をパートナーとして生活することが唯一の条件。
そんな不思議な老人ホームが舞台のヒューマンファンタジー。本編5章とプロローグ及びエピローグからなる。
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大山淳子氏のうまさがよく出た作品でした。
丘の上に建つ瀟洒な建物。
ドッグランを備えた寛げる庭園。
清潔でゆったりした食堂や浴場などのパブリックスペース。
常駐する医師を含めスタッフも揃っている。そして何より入居費用が一切掛からない。
それがホーム・ニーシャシャン。まったくもって申し分ない施設です。
ホーム・ニーシャシャンに入居できるのは、身よりも行き場もない老人と犬。入居条件は人と犬がペアになり共同生活することのみ。
いくら慈善事業とはいえ現実にはありえない設定です。なのに読むにつれ気にならなくなります。ストーリー構成が巧みで惹きつけられてしまうからです。
入居者だけでなくマダムやスタッフたちの人生にも、つい寄り添いたくなります。できるものなら入居犬の犬生にまで寄り添ってやりたくもなります。猫派の自分でさえそんな気持ちにさせられました。
それにしても『猫弁』をはじめとして読者を大山淳子ワールドにいざなう巧みさは本当に見事だと思います。ストーリーテラー・大山淳子さんの才能を再認識した作品でした。 -
それぞれに辛い人生を過ごしてきた人たちが暮らす老人ホーム。このホームで暮らす条件は、それぞれが一匹の犬と共に暮らす事。そして、その犬たちも辛い経験をしてきた犬たちなのだ。入居者側から書かれる章と犬側から書かれる章、それぞれの人生(犬生)からなる。ホームのスーパーマンのような支配人の人生と、一匹の犬のこれまでで終わる。
初めて読む作家、ユニークな設定だった。
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こんな施設が実際にあればいいのになと思う。
人にも人生があるのと同じで、犬にも犬生があり、それぞれ巡りめぐってこの施設にやってきて、新しいパートナーと出会い、新たな想いが刻まれていく、素敵な作品でした。