D2C 「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略

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  • NewsPicksパブリッシング
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784910063034

作品紹介・あらすじ

「ストーリーテリング」×「テクノロジードリブン」
全産業を呑み込む2つの潮流をかけ合わせたD2C(Direct to Consumer)とは何か?今投資家が最も注目するビジネスモデルの全貌と、立ち上げの具体論!

◎こんな人にオススメ
・ブランディング、マーケティングなど「人が何に価値を感じるか」全般に興味がある人
・小売、ブランドの未来が知りたい人
・旧態依然とした業態の「デジタルトランスフォーメーション」に興味がある人
・D2C型の新規事業を検討している人 ・ファッション業界、アパレル業界で新しいブランドを立ち上げたい人

◎D2Cとは何か
D2Cとは、顧客と直接つながり、より深い関係性を構築する新しいブランドのあり方のことである。
ウェブから商品を送る、単なる中抜きビジネスではない。
D2Cとは、世界観とストーリーテリングを武器とする、新しい付加価値の創出方法である。
伝統的なブランドのように、機能のよさだけを売りにしない。
D2Cはテック企業であり、メディア企業でもある。
単なるものづくりが得意なメーカーではない。
◎なぜ、投資家はD2Cに注目するのか ・投資家が注目してきたテクノロジー産業は、産業全体から見ればほんの一部
・巨大産業である、小売は長らく旧態依然としたビジネスモデルを維持してきた。ここをテクノロジーを武器にディスラプトするのがD2C
・小売産業は初期投資が重たく、販売網の確保も難しく、新興ブランドが指数関数的な成長を目指すのは難しかった
・しかし、D2Cは、直接販売の形式をとるため、創業1〜2年目で100億円を超える急成長も可能である
D2Cとは、単なるいちビジネスモデルではない。ブランドと顧客の関係性を不可逆に変えてしまうほどのインパクトを持った「時代の象徴」だ。
将来的に、小売の歴史は、「D2C 以前」、「D2C 以降」と分類されて語られ ることになるだろう――。

感想・レビュー・書評

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  • Direct to Consumer:D2Cは単なる中抜きではない

    ECを用いる製造小売とD2Cの違いは
    ・メーカであり、かつ、自社独自のチャネルで直販する
    ・圧倒的に安価で製品やサービスを提供する
    ・テック企業であり、データ分析などのテクノロジーを活用する
    ・指数関数的な成長をめざす

    D2C+リアル店舗で売上はさらに促進される
    ものを売るのではなく、世界観を売る

    広告+小売店をパスすることのメリット、デメリット
    (メリット)
    ・顧客データを得らえる
    ・ブランドの世界観を表現できる
    ・ユーザ体験を提供できる
    (デメリット)
    ・自前で販売網を構築しなければならない

    インターネットによって、企業発信から、顧客発信に
    機能から、評判・体験に情報発信が変化した

    目次は、以下です。

    Contents
    1章 D2Cが生んだパラダイムシフト
    2章 機能ではなく世界観を売る
    3章 他人ではなく、友人に売る
    4章 D2Cの戦略論
    5章 D2Cを立ち上げる(スタートアップ・大手ブランド・大手小売)
    6章 D2Cの先にあるもの

  • D2C「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド
    戦略

    1.購読動機
    会社には経営理念、そして事業には実現したいビジョンが存在します。
    これはどの事業会社にも恐らく共通です。

    日常生活をするうえで、気になる、さらに知りたくなる会社、または製品はたとえば何?、それはなぜ?と考えたくなりました。

    なぜならば、その解を探すことが、自身が携わる事業にも活きるはずたがらです。

    2.著書からの学び
    著書のタイトルの世界観。
    抽象的で理解しづらい言葉です。
    著書では、海外企業の事例を豊富に丁寧に取り扱っています。
    その会社の世界観は何か?それを顧客に伝えるために何をしているのか?

    D2Cは、
    ①製品、プロダクトをうるのではない。 
    ②ライフスタイルを案内し、共感してもらう。
    ③広告、メディア、SNSもその質感で統一する。

    その結果、【プロダクトにストーリーがまとう。】

    3.読み終えて
    D2Cは、消費者向けの事業戦略であるとの認識を改めました。
    B2Bでも充分に役立つ事業戦略です。


  • D2Cにかぎらず、現代の企業がどうあるべきかというヒントをくれる。

  • <どんな本?一言で紹介>
    D2C「Direct to Consumer」。それは、顧客と直接つながり、より深い関係性を構築する新しいブランドのあり方。
    「テック×小売」における顧客との関係性づくりや、ブランディングのあり方が書かれた本。

    <どんな人におすすめ?>
    小売業をやっている人。
    「デジタルトランスフォーメーション」に興味がある人。
    ファッション業界、アパレル業界で新しいブランドを立ち上げたい人。

    <読んだら、どんなことが分かるの?>
    小売業のこれから。
    「コト付きのモノ」という新たな消費トレンドの流れや、消費の主役となる「ミレニアル世代」との関係づくり。

    ・D2Cが生んだパラダイムシフト
    ・「ものづくり屋」でなく「テック企業」である
    ・「機能」ではなく「世界観」を売る
    ・ 「他人」ではなく「友人」に売る
    ・「間接販売」ではなく「直接販売」する
    ・「高価格化」ではなく「低価格化」を志向する
    ・「着実な成長」ではなく「指数関数的成長」を遂げる
    ・「プロダクト」ではなく「ライフスタイル」を売る
    ・「X世代以上」ではなく「ミレニアル世代以下」をターゲットとする
    ・「顧客」ではなく「コミュニティ」として扱う

    <日々の生活、仕事などに活かせるポイント>
    1.「機能」ではなく「世界観」を売り、「プロダクト」ではなく「ライフスタイル」を売る

    D2Cブランドは、単に商品を売るだけの会社ではない。たとえば「Casper」は「マットレス屋」ではなく、睡眠を通じて新たなライフスタイルを実現する会社。自社が発行している雑誌では、ヨガやウェルネス、睡眠、健康などに関する記事が続き、プロダクトを全面に出してはいない。
    また、D2Cにとってブランドの世界観は非常に重要だ。
    たとえば、「Away」はスーツケースのブランドだが、自らを「“旅”を売る会社」と位置付けている。スーツケースを売っているのではなく、「旅のある生活」という世界観そのものを売っているのだ。その証拠にアートギャラリーのようなWebサイト。エキゾチックな美しい写真を見る、誰かのエピソードを聞く、旅行記を読む、といった、プロダクトの写真よりも、人物、または人物がいるシーンの写真がメインだ。なぜAwayはプロダクトを売り込まないのか。それは、雑誌などの多様なコミュニケーションチャネルを通じて「旅に行きたくなる気持ち」を喚起し、旅に出たくなる「きっかけ」を届けるアプローチをとっているからだ。
    「旅」をコンセプトとした豊富な世界観を創り上げて発信する。それにより、顧客はスーツケースだけでなくその「世界観」を買う。すると、そこにブランドに対する愛着と信頼が生まれる。こうなると、たとえプロダクト自体が模倣可能であっても、顧客を競合に奪われにくくなる。ブランドの世界観は、企業の競争力の源泉となる。

    なぜこのような大きな変化がうまれたのか。そのひとつに、「対象マーケットのシフト」がある。D2Cは「小売のミレニアル世代化」とも言われる。今後は、ミレニアル世代(1981〜1997年生まれ)やZ世代(1998〜2016年生まれ)が大きな消費グループとなるのだ。
    ミレニアル世代やZ世代の特性は、ある調査によると、アメリカではZ世代のうち78%が「環境や倫理への配慮がなされた商品に対してポジティブな印象を持っている」。さらにそのうち53%は実際に商品を購入したことがあり、23%は購入を検討したことがあるという。第2に、この世代は所有物ではなく「行動」こそが自分を表現すると考えている。「何を持っているか」ではなく、「何をしているか」「どういうものに興味を持って活動しようとしているか」によって個性が決まると考えている。

    こうした世代は、プロダクトではなくブランドが発信する「世界観」に反応し、強く共感する。これからのブランドは、この世代の人びとの共感をよぶメッセージを発し、アクションを起こしていく必要がある。彼らが求めているのは、いわば「精神性」を備えたブランドだ。


    2.「着実な成長」ではなく「指数関数的成長」を遂げる
    企業の成長は非常に速く、指数関数的だ。Casperの場合、創業初年度に100億円、次年度200億円、3年目に400億円を達成した。これはプロダクト戦略という早期に売り上げが立ちやすい事業領域に加え、インターネットというスケール増幅装置のおかげで実現した仕組みの組み合わせで生まれたものだ。むしろ急成長しなければ、競合に顧客の認知を奪われてしまい、競争を勝ち抜くことはできない。ただし、売上500億円くらいがD2Cの限界になっていて、成長戦略は描きにくくなる。 とはいえ、今のリテールは古臭いので、特定の分野でこういうブランド戦略が目立つようになる。


    3.「ハイタッチ(人の温もりが感じられる顧客接点)」と「ハイテク(それを背後から支えるテクノロジー)」で関係性を築く
    D2CはEコマースでも店舗でも、顧客と直接コミュニケーションをとり、間に小売や広告代理店を挟まない。TwitterやInstagramを活用し、ブランドのファンを増やしていく。そしてオンラインを主戦場としながらも、リアル店舗を持つことが多い。オンラインでデータを取得し、パーソナライズされた接客ができ、「誰がいつなんの商品をどこで買ったか」を把握し、どんなワードでウェブサイトなどに入ってきたかわかることで、1to1のサービスが実現できる。
    伝統的なブランドのマーケティングは、見込み客の認知に始まり、「店頭で買ってもらう」ことが最終目標だ。重視されるのは「匿名の誰か」による「トランザクション(1度限りの取引)」の数。「誰が買ってくれているか」は重視されない。だが、顧客個人と紐付かないデータは単なる数字のかたまりでしかない。それに対し、D2Cブランドは、一人一人の顧客と「リレーション(長い関係)」を通じて売上を作るために、LTV(Lifetime Value:顧客生涯価値)の最大化に注力する。

    D2Cブランドが、なぜリアル店舗を作る理由には、SNS広告費の高騰がある。D2Cブランドが重視するCPA(Cost Per Acquisition:一人当たりの顧客獲得コスト)はリアル店舗の方が安いため、「オンラインの出先機関」としてリアル店舗を構える。PRやマーケティング施策の一つとして捉えられているため、店舗での売上は必ずしも重視されず、ショールームとして活用されたり、店舗での体験を通じてブランドへのロイヤリティを高めたりする位置付けとなっている。

    実際のところ、オンライン経由よりもオフライン経由で獲得した顧客の方がLTVははるかに高い。商品を手に取り、スタッフたちと会話を交わすことで、ブランドへのロイヤリティが向上するからだろう。今後、リテールには、「ハイタッチ(人の温もりが感じられる顧客接点)」と「ハイテク(それを背後から支えるテクノロジー)」の両方が求められるようになるはずだ。

    <感想>
    実に複雑な世界になった。LTVなどの新しい用語が出てきているところなど、本当に学び直しが必要だ。なんとなく危機感をふわっと感じてて、やっぱり崩壊して、、ということがないように、新しい概念は億劫だけど聞いたらなるべく昇華する。記憶よりも、学ぶ姿勢を切らさない事が重要だ。

    経営者やビジネスマンには馴染みのあるが、そうでない人にとっては専門用語が多くて難しく感じるかもしれない。しかし、辞書(スマホ)を片手にひきならがでも、一読をすすめる。 

  • デジタルにより、戦い方がかわり、サプライチェーンがかわり、伝え方がかわり、顧客との関係性構築がかわり、ビジネスのすべて変わる。
    企業の出自がどうあれ、この流れを理解して行動しないと淘汰される側になるということでしょうか。
    アフターデジタルも衝撃を受けたがその流れと同じ文脈ですね。
    再読して理解を深めたいと思います。

  • takram佐々木さんによる新しいビジネスモデルのD2Cに関してまとめた著作。
    キーワードは「世界観」と「テクノロジー」。

    ・単発取引から継続的会話
    ・非効率な無駄がブランドを生む
    ・刺激から語りかけ
    ・精神性が価値になる
    ・広告からpodcast,雑誌,映像で世界観を伝える変化

    特にミレニアル世代から支持を受けるブランドが多く、日本でも注目を浴びています。
    個人的に興味深かったのは「世界観」を形作るのにストーリーテリングが必要な点。

    広告だけではなく、雑誌や音声メディア、映像を用いて「語り掛ける」事で顧客との関係性を築いている部分がユニークでした。
    データサイエンスと編集の職能が活かせる領域なんだろうな、と注目しています。

  • 現時点でのD2Cビジネスが体系的にまとめられている。
    顧客の購買意思が変化する中で、世界観の創出、プロダクトの粘着性、ストーリーデリングなど、上質な関係性構築を必要としている。より深い顧客理解と、長期的かつ継続的なLTVのような指標を持つことが必要になる。短期的な成果を求めてはいけないとはいえ、キャッシュを維持するために、顧客の素早い信頼性担保は必要。そのためには、1体験につき、顧客を裏切らないハートフルなコミュニケーションが求められる。つまりは、プロダクトを作る人の内面が反映されるということではないか。

  • 【この本を読もうと思ったきっかけ】
    ・世の中で話題になってるD2Cとはそもそもどういうものであるのか。
    ・世の中のトレンドが流行ってくることで自分にはどんな恩恵があるのか
    ・小売とD2Cの違いを理解して明確にできるようにする

    【感想】
    ダイレクト to コンシューマーとあるように、今までのブランドって4マスを駆使して多くの人たちに情報を届けることが一般的であった、一方D2Cでは特定の個人に情報を届けている。

    一般な小売企業だと、中間にコストがかかってくるのでそのマージが加算されるし、店舗からのfbがなく商品開発にもいかしづらい。

    その点、D2Cは以下の特徴がある。
    ・メインターゲットは、ミレニアム世代。
    アメリカのミレニアム世代は、リーマンショック、賃金の低下などの問題があるにもかかわらず、日用品などで高価格帯のものが流行っていたので、手に取ることができなかった。
    ・中間コストをはさまないので、安価で提供できるし、製品の反響がダイレクトに返ってくる。
    ・SNSで独自のブランドを作りやすい。
    今までの4マスで広告で自社製品について告知していくよりも、独自の世界観を作ることができるので、そのブランド価値や存在意義について共感してくれる人が実際にファンとなってくれる。

    実際に機能ではなく、世界観を作っていることがD2Cの大きな特徴。

    ・雑誌で世界観を作ってプロダクトを売っているのではなく、体験を売るスーツケースブランド「Away」
    ・マットレスを開ける瞬間をシェアする「Casper」
    ・自宅で試着体験ができ、その後のカスタマーサポートが充実している「ワービーパーカー」

    このように世界観を作って顧客体験を重視していることがD2Cの特長である。

    またD2Cの特徴としては、今まで大雑把に分離されていた職業が細分化されている。
    より専門性やクリエイティブさを求められる時代がD2C時代ではないか。

    D2Cでより小売業界が加速していくことだろうし、より世界観=価値観での購買体験を求めらていく時代が到来していくことを予感させてくれる本であった。

  • D2Cについて総ざらい出来る納得の1冊でした。D2C実際やっている身としては、何度も読み返しながら施策考えたり戦略整理するのに重宝しそうです。D2C今後の展望の部分も、出口戦略の発展途上さや、あぐらをかかずにD2C化していく最有力メーカーの台頭など、まさに個人的にホットに考え描いていたものとバッチリ符号していた。クライアントにも何冊か買ってお渡ししようかと思います

  • 今流行りの?D2Cについて、体系的に学べる本。
    「アフターデジタル1・2」と並んで、個人的にはとても勉強になりました。

    D2Cのマーケット自体は結構早くに頭打ちになりそうですが、
    この世界観は小売りビジネスをしている企業にとっては
    早めに取り込んでおいたほうがよさそうです。
    そんなD2Cビジネスの概要がコンパクトに、
    でも濃密にまとまっています。

    本では、アメリカの小売りの実例をたくさん挙げていて、
    著者も本の中で言っているように、
    そのまま日本に持ってこれるかと言うと、そうでもなさそうです。
    しかし、D2Cの本質である「世界観を売る」下りなどは、
    小売りに限らず、サービス業も含め、
    どんな業種・業態でも考えていかないといけないトピックに感じました。

    新しい時代に乗り遅れないためにも必読の一冊だと思います。

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著者プロフィール

Takramディレクター/ビジネスデザイナー。デザイン思考や認知心理学、システム思考を組み合わせた領域横断的なアプローチでエクスペリエンス起点のクリエイティブ戦略、事業コンセプト立案を展開。ベンチャーキャピタルMiraiseの投資家メンター、グロービス経営大学院の客員講師(デザイン経営)も務める。2019年3月、スローメディア「Lobsterr」をローンチ。著者に「D2C 『世界観』と『テクノロジー』で勝つブランド戦略 」(NewsPicksパブリッシング)等。

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