- Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
- / ISBN・EAN: 9784909934000
作品紹介・あらすじ
2025大阪・関西万博、横浜DeNAベイスターズ、東京防災、クックパッド…
各分野で絶大に支持される「生物の進化に学ぶ創造性」、待望の書籍化!
・生物の進化、人類の創造を追体験できる、150点の写真・図版を収録。
・読みながら実践できる、50個の進化ワークを収録。
★進化思考──それは、生物の進化のように二つのプロセス(変異と適応)を繰り返すことで、本来だれの中にもある創造性を発揮する思考法。
私たちは道具の発明を通して、擬似的な「進化」を達成してきた。そこには必ず、私たちの本質的な願いが込められている。
小さいものを見たいから目を進化させるために顕微鏡を。
寒さをしのぎたいから皮膚を進化させるために服を。
速く移動したいから足を進化させるために乗り物を。
子孫に残したいから記憶力を進化させるために本を…。
40億年にわたり変異と適応を繰り返してきた生物や自然を学ぶことで、創造性の本質を見出し、体系化したのが『進化思考』である。
変異(HOW):偶発性を起点にした発想手法
適応(WHY):自然選択を起点にしたリサーチ手法
変異によって偶発的に無数のアイデアが生まれ、それらのアイデアが適応によって自律的に自然選択されていく。変異と適応を何度も往復することで、変化や淘汰に生き残るコンセプトが産まれる。その結果、本質的な願いを具現化するイノベーションを起こせるようになる。
この本は、「あなたが進化思考を実践しながら身につけられる」ことを目指している。そのため50個の進化ワークが登場する。「変異」の章では、たくさんのアイデアを出し、「適応」の章では、たくさんの情報や繋がりを理解し、「コンセプト」の章では、それらが美しく結合した時代を生き残るコンセプトに出会うことができるだろう。
濱口秀司(ビジネスデザイナー)
「進化パターンの百科事典。
結合の要素が分かれば、誰もが創造できる。
この本は、流し読みにはもったいない」
柳澤大輔(面白法人カヤックCEO)
「ここまでイノベーションを体系化した本はなかった。
こりゃ執筆に3年かかるな、脱帽」
感想・レビュー・書評
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・そもそも失敗=変異的エラーがなければ、成功=創造的進化もないのだ。我々は失敗を悪しき経験としてとらえてしまい、挑戦を躊躇する
・失敗したわけではない。それを誤りだといってはいけない。勉強したのだといいたまえ(トーマス・エジソン)
・時空間学習の観点
(内部)解剖:中身を分けて理由を観察する
(過去)系統:物事の古くからの文脈を知る
(外部)生態:物や人のつながりを理解する
(未来)予測:未来の課題を知り希望を描く
・難しい問題に出会ったときには、その問題を階段だと思って一段一段に分解して、一段ずつ上るべし
・モノに秘められた目的は、入れ子構造の内側から外側へ向かって広がっていく。外に広がる本質的な意図を探れば探るほど、人類史上の普遍的な観点とつながり、内部は外との生態的な関係や、過去からの系統的関係へとつながっていく
・モノに秘められた目的を読み解き、それぞれの部位が持つ本来の意味や目的、機能を読み解こう。そうすると、モノ本来の存在理由も明確に浮かび上がってくる
・道具の系統樹を見ると、時代とともに方法‘HOW’は変異し続けるが、本質的な創造の目的’WHY’はほとんど安定的に変わらない
・モノを取り巻く状況(WHEN/WHERE)を空想してみよう、その場所に足を運んだりして空気を肌で感じてみよう。そして新しいものを想像したいなら、理想的な状況を想像しよう。適応のシナリオをイメージ通りに描くためには、場所的・時間的な状況を想像する解像度が求められる。すでに解決された状況をイメージする力を養えば、次の方向がおのずと浮かび上がるものだ
・iPhoneはAndroidの出現により競争的な共進化が引き起こされた。その競争を予見し、進化の競争に勝てる体制をイメージしておくことが大切だ。そして逆説的には、進化を早めたいのなら、領域内に適切なライバルを作ることもまた、共進化の近道となるだろう
・重要なのは、組織全体で機能を果たすためには、目的やルールをきちんと保持することである
・真に強固な共生関係は、お互いを深く理解した特殊な個と個の間に起こるということではないか。きわめて個人的な痛みや経験に寄り添う声が、強い共感を生むこともある
・社会には、それぞれの立場の人ごとに違う観点があり、だれに寄り添うのかによって、創造のフィールドが無限に広がっている
・イノベーション:まだつながっていない距離の遠い領域同士を結合させること
・自分の欲求を素直に認めることは構わない。けれど、その欲を大きくとらえると、我は我々のこととなり、広いつながりを自分の一部としてとらえることができる
・バックキャストのすばらしさは、その景色を想像するだけで、そこへ至る階段を私たちが意識せざるを得なくなることだ。
・関係は、内部の構造から外部の生態系まで空間的に広がり、また過去から現在、そして未来に至るまで時間的に広がっている。時空間学習で探求した見えないつながるのすべてがそのものの適応を決定し、それが形態や機能に昇華する
・解剖的に、内側を丁寧に読み解き、可能性に目を配る愛情は「理解」であろうか
系統的に、過去からの流れを引き受け、願いを受け取る愛情は「敬意」だといえる
生態的に、相手の視点に立ち、つながりと思いに共鳴する愛情は「共感」と呼ばれる
予測的に、子孫の将来を願い未来の地球や人々に託す愛情は「希望」なのである
・創造性の五原則
変異:明確で非常識な挑戦を繰り返したか
解剖:シンプルで無駄がなくゆるぎないか
系統:過去からの願いを引き受けているか
生態:人や自然の間に美しい関係を築くか
予測:現在を触発し未来に希望を与えるか -
新しい考えを創造するためには変異と適応が必要で生物学の進化論に類似していると説いた素晴らしい本。アイディアを生み出す考え方のようなものも記されていてこれからの時代には役に立つ。創造とは言語によって発現した疑似進化の能力、変異と適応の思考、自然選択、複雑系、変異・解剖・系統・生態・予測が五原則、これからの時代にはとても役に立つ考え方になると思う。
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面白い。
生物の進化にシンクロナイズドさせて、人の創作アプローチを言及。腹落ち度が大きく、読み物として楽しませてもらった。
何度か読み返すことになるだろう。
随所に設けられたワークが、納得だけで終わらせず、実践へもリンクできる。
行き詰まった時などに、活用させていただくことになりそう。
久しぶりに思想を揺らされた感覚。
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素晴らしい本でした。著者らと一緒に働いてみたいと思いました。
途中は生物の講義のようになって少し中だるみしましたが、
人間が生態系の中のちっぽけな存在であることを認識し、
それでも大きな命題を持てればより上手い創造がなせるような気がします。 -
イノベーションを創造する思考法というのは、デザイン思考をはじめ、いろいろあるけど、それらを見事に統合したような本。
統合というと、あまりクリエイティヴなものに聞こえないかもしれないけど、これまで別のものと思われていたものが組み合わされるというのがイノベーションだという説にしたがえば、この本における統合はとてもイノべーティブ。
そして、その根っこには、進化論という骨太のコンセプトがあって、進化というのは、言うまでもなくダイナミックなプロセスであるわけだから、統合のかたちも静的なフレームワークに整理されるものではなくて、ダイナミックなもの。
これは、ツールであるとともに、一つの思想である。実際、参照されている本もかなり根源的な本が多い。
ツールとしては、デザイン思考に近いんだけど、たくさんのアイディアを捻り出すための視点が整理されているし、たくさんのアイディアから選択していくときの視点やロジックも整理されている。
しばしば、右脳的なもの、全体論・システム的なものに比重が置かれるイノベーションに、ロジカルな思考とか、分解して考えることの重要性をしっかりと位置付けてあるところに納得感があった。
これ以上の内容は本を読んだ方がいいと思うので、紹介しない。おすすめです。 -
創造性とは何か探求していった先に、バカと秀才の2つの知性に辿り着いたところは、読んでてストンと納得しました。
アイデア発想、デザイン思考、コンセプトメイクなとで出てくる知識を体系的にまとめた1冊。
遊びと好奇心をもって根気強く進めていったところに本当のクリエイティブが宿るという筆者のメッセージが節々で伝わりました。 -
「創造」とはいったいなんなのか。「創造性」はセンスであり、生まれ持ったものなのか。なぜ自然の創造物は人間が作ったものより美しかったり長持ちしたり優れているのか。こういった根源的な問いに対し、「進化」という全生物が本来的に持っている「創造性」に照らし、比較・分析・解説するもの。キーワードは「適応」と「変異」。まさに進化学で取り扱うような題目だが、創造性の分野でもばっちり当てはまる。「変異」においては、常識に囚われない変わったこと、これまでと異なることを意図的・積極的にかつ数多く生み出すこと。「適応」みおいては、周囲との関係性(理解や敬意、共感など)から評価し、収斂させていく。この本ではこのほかにも「創造性の五原則」「自然選択のチェックリスト」「9つの変異パターン」など原理原則を端的に表現したもののほか、仕事でも使える50個の「進化ワーク」が掲載されているので、日常的にも役立つ情報が満載。進化と創造についての哲学的な思考もできるし、こりゃすごいよ太刀川さん。