断言 読むべき本・ダメな本―新教養主義書評集成・経済社会編 (ele-king books)
- Pヴァイン (2020年1月22日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9784909483355
感想・レビュー・書評
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この人の文体や考え方は自分の性に合っている。
どこらへんがと言われると、少し深く考えなければいけないのだが、要するにものの見方や感性なんでしょう。
ここに取り上げられている本の書評は既に読んだものも多く購入したものも数冊ある。積読本が山となっているのに更に買いたい本が増えて、サァ困った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
山形 浩生(ヤマガタ ヒロオ):
評論家、翻訳家。東京大学大学院工学系研究科都市工学科およびマサチューセッツ工科大学不動産センター修士課程修了。開発援助コンサルタント。コンピュータ、経済、脳科学からSFまで幅広い分野で翻訳と執筆を手がける。著書に『新教養主義宣言』ほか。訳書にピケティ『21世紀の資本』、クルーグマン『クルーグマン教授の経済入門』、スノーデン『スノーデン 独白』、バナジー&デュフロ『貧乏人の経済学』、アカロフ&シラー『アニマルスピリット』『不道徳な見えざる手』ほか多数。
「断言2」から先に読んで、本書にたどり着く。やはり、歯に衣着せぬ書評が心地いい。
ピケティ「21世紀の資本」は筆者の翻訳だったのですね、単なる評論家ではなく原文に当たれる強みが本書にもいかんなく発揮されている。
例えば、間宮陽介氏へは、「英語を知らない、原文を勝手に改ざん」したのがなんとケインズの「雇用、利子および貨幣の一般理論」という古典的名著でした。
また、佐野眞一の本の書評「カリスマ」では、橋下徹の出自のルポも含めて、一般的にルポの対象をダシに使って結局自分の手柄話にしたり、その後の盗作登用疑惑でも「佐野名義だが、無名ライターが書いたもの」と開き直るルポライター業界の闇も書き記す。
「ユニクロ帝国の光と影」では、告発の書が優れた経営手法のルポともなっていると指摘したり、「スティーブ・ジョブズ」も、おそらくジョブス自身も著者を「提灯担ぎの御しやすい奴」と見抜いていたに違いないと喝破。
本田健の本を「卑しい本」、サミュエル・ラダーを「インチキ外人の無知垂れ流し」、「失われた20世紀」に寄せられた姜尚中の書評を「アンフェア」と一刀両断。
変わったところでは、本よりも監訳者の大沢真理への批判という変化球も駆使するなど多芸振りをみせています。
なぜか「賞賛本」よりも「批判本」の方が面白いというのも彼の功績かもしれません。 -
読み終わったらamazonで10冊以上新しく本を買っていた。
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山形氏のブログの内容を本にまとめたものなので、お布施用
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2021/11/7購入
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歯に衣着せぬ物言いは楽しい。
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流石の山形節。書評でこれだけ読ませるのは著者と大森望ぐらいでは。特に著者は専門書書評でここまで面白いのはさすが。でも、興味のない人にはどうでもいい本かもしれないですね。
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私は山形節が好きだ
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1990年代から2010年頃までのものを中心に、経済、ビジネス、政治、歴史などの分野の書評を集成した本。
一度出版されてから時間は経っているが、この時期に敢えて再度書評集として出版したということは、紹介されている本が時間の経過にも耐えてほんとしての存在意義を失っていないと考えられるからなのだろう。
タイトルの通り、「ダメな本」も紹介されているが、最近の本でも同様のダメな本があるということに気がつくための一つの忠告として受け止めたい。