美容は自尊心の筋トレ (ele-king books)

著者 :
  • Pヴァイン
3.71
  • (57)
  • (96)
  • (67)
  • (28)
  • (2)
本棚登録 : 2024
感想 : 92
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784909483300

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 凄くいい内容だった!
    特に【美容】という言葉でイメージする価値観をひっくり返される。

    今までのイメージ…
    美容って元々美人さんがするもの。
    化粧を濃くすること。
    お金がかかること。

    でも違った。
    長田さんが伝えたい美容とは、
    真に自分を大切にし、手入れすること。
    そのために自分を知り、好きになること。←これが【自尊心】。

    女性は特に、美しいかそうでないか、若いかそうでないかで判断される対象になりがち。
    「私なんて」と卑下するのがよしとされてきた日本では尚更だ。
    これからは「私なんて」はもう古い!
    胸を張って「自分の顔が好き!」って言える女性が世の中に溢れたら素敵だろうなと思う。
    私も自分自身や周りの人達と、毎日機嫌よく過ごすために
    なりたい自分になるために
    新しいスキンケア商品でも開拓してみようかと思う。

    「美容」と「自尊心」
    この2つをつなげてくれた、本書に感謝。

    【選ばれ愛されるかどうかと、あなたの価値は関係ない!】

  • 美容ライターとして華やかな表舞台と裏舞台に関わり、美しいモデル達の中で卑屈にならずにいるポイントが自尊心なのだという。

    確かに、歳を重ねるにつれて、いつの間にか
    まだ学生だから~
    まだ新人だから~
    から
    もう年だから~
    もう○○代だから~
    と年齢や立場に応じた振る舞い・生活をするよう無言の世間の圧力を感じるようになったし、周りの人たちの自虐言葉をよく聞くようになった。
    もちろん若いときは若いときで悩みは尽きなかったけれど、オバサンだから~オジサンだから~と自らも無意識に年齢差別や自虐を行ってきたことにぞっとした。
    少なくとも服装に関しては個人の好みを尊重しようと思った。

    美容ライターと名乗ると、美容、という一言で警戒され、身構えられ、美容の人=怖いという先入観に直面し、ジレンマを感じていたという著者。
    でも確かにダークサイドな面はあり、私たちを魅了しながらも一方で私たちを打ちのめすことがある。
    憧れる気持ちがいつのまにか引け目になり、卑屈になり、生身の自分に「失格」の烙印を押す。
    でも美のカウンターが振り切れたスーパーサイヤ人級美女が集まる天下一武道会の現場(この表現に笑ったw)で働く著者は「自分に価値がない」といった気持ちにならないという。
    ⇒多様な美しさを感じて味わうセンサーを磨き、自尊心を鍛えているから。
    ⇒女性の自尊心を鍛えるために美容ができることは多い。自分を優しく扱って心地よい姿に整えることは日々を気分よく過ごす手助けになるから。

    個人的には、そういった美の業界で働くと、色んなタイプの美女がいるから、美術品を鑑賞するような気持ちになるのと、彼女達の苦労や努力を見て知っているからではないか、とも思う。
    私たちが比較するのは同じ学校の○○ちゃん、とか、好きな男の子が好きな芸能人とか、割と自分の日常に身近な存在だ。自分と同じカテゴリに所属するのに、なんでこんなに差があるんだろう、と周りと比較するから苦しくなるんだろうなぁ。
    でも過去の自分と比較すると、成長している時はいいけど、老化すると若い頃の自分が眩しくなる。
    今の自分を認める為に必要なことはなんだろう、と考えたときに、以下の話がヒントになった。

    ○多様な美
    ・著者は全員美人原理主義者⇒美のストライクゾーンがピンホールのように狭い研ぎ澄まされた世界観もスゴいが、目に写るいろいろなベクトルの美しさを味わって暮らしたい。
    ⇒色んな表現ができるように、色んな国の色んな時代の美や言葉の表現を知る。一重が美人だった江戸時代の切れ長の目を、二重にしたいとプチ整形するか、個性と受け止め、芸者風と表現するかは自分次第。
    ⇒自分の個性を尖らせると、上記のピンホールの美しさが色んなベクトルで出来上がる
    (日本美人とブラジル美人とイタリア美人は同じにならない)
    ⇒ヴィクトリアズ・シークレットよりサヴェージ×フェンティ

    ○強烈なキャッチコピーや記事はまず疑え!
    人は見た目が9割といったインパクトのある本が大ヒットした。が、なんとなく「そういうもの」感を強調し、誰の主張でどんな裏付けやデータがあるのかも知らずに影響を受けるから不安になる。
    刺さる、響く、強い表現で、衝撃を与えて気を引くために物議を醸してもいいや、それがクリエイティブな証拠だ!という感覚の人が多いマスコミ・広告業界。
    出会い頭にビンタをしてこちらを振り向かせるような言葉は鵜呑みにせず、「ダウト!」と疑う。
    ⇒確かにネットでやたらとダイエットの話や胸が大きくなる薬の記事が出てくる。解剖学の本を読んだ後だとすぐわかる体の作りの違和感。肩の位置と腹の位置がおかしくて、明らかに何かを合成したか加工してある。もっともらしく書いてあるランニングダイエットの記事のライターの紹介文を読むと、文芸部出身でインストラクターの資格さえ持ってなかったり。
    鵜呑みにする危険性を改めて感じた。
    編集や監修が入ってる本って本当にありがたいなぁ。

    ○私なんてはどこからきた?
    日本の謙遜文化はあるが、世渡り仕草でない、本気の「いやいや、私なんて」のフレーズはいつからか。取材で根深いと感じるのは親族や初恋など物心付く前に、身近な人から見た目を比べられたりダメ出しされ続けて育ったパターンが多いという。(反対に容姿ばかり褒められて美しくないと価値がないと思い込むパターンもあるという)
    偏見が強固すぎて本人に悪気や覚えがなかったりするのがやっかい。
    一番現実的で確実なのは、自分で「私なんて」をやめると決めること。どの部分について「私なんて」を一番感じるのかを明らかにする。
    美容の力を借りるなら、プロに任せたり、自分で自己表現する練習をしたり、無邪気に好きな色を試してみたり、気持ちをとにかく外に向ける。
    ⇒思い浮かんだのは作家の太宰治。作品の中に、おばに言われたフレーズ「お前は器量が悪いから 愛嬌だけでも良くなさい お前は性格が悪いから 行いだけでも良くなさい」
    こんなこと言われて健やかな自尊心って育つのかしら。ある意味その鬱屈した思いがあの名作を産んだのかもしれないけど。


    ○自分を愛する
    最近の子は自撮りばかり…と眉を潜める人もいるが、自分のかわいさ、魅力を知っていて、思う存分発信することは悪いことではない。
    自己愛が満足する事で、今度は身近な人に対して、この人だったらこの色が似合う、どうしたらもっと可愛くなるかな、など人に伝えたくなり自発的に勉強&練習すると、小林照子先生(日本で初めて美容を必修科目に取り入れた人)がおっしゃっていたという。
    自分を後回しにして「あなたのために」「社会のために」こんなに尽くしてきたのに!と恨んだりするよりよっぽど建設的。
    ⇒おお確かに!と納得する話ばかり。必修の美容って何を習うんだろう…と違うことも気になりつつ。会社で無駄に残業するより、帰りに歩いてウィンドウショッピングを楽しみ、自分の理想の生活を妄想するとか、気後れしていたことにチャレンジしてあげることが最近楽しい。

    ○自分を後回しにしない、美容で大切にする練習
    Step1.自分の肌に優しく触れる
    Step2.洗顔で乾燥と摩擦防止を意識する
    Step3.プチプラコスメ全色買いで、全色試してみる
    Step4.ママ=時短と決めつけず、美容のささやかな楽しみの時間を切り詰めない
    ⇒介護が必要な子供を持つお母さんが巻き髪とネイルをしていたら「子どもに手がかかるのに派手にしちゃって」という悪口に腹が立った。というエピソードにすごく共感。慣れない子育ては確かに大変かもしれないけど、ノーメイクで地味な服で大変!感を出さないといけないのか?母の献身と無償の愛はすばらしいが、当てにされても困る。
    子供達に頼まれたわけでもないのに1分未満で終わる日焼け止めを後回しにし、結果シミができた苛立ちを子供達にぶつけるよりいい。
    少しぐらい愚図っても待っててもらう。先回りしてなんでもケアしてあげる母親より、ある意味子供の自立を育むはず。
    私は仕事で初めて新人指導した時、結構何でもすぐ教えちゃって、自分で調べる能力が育たなくなると注意を受けたことがある。それと似ているなと感じた。

    ○自尊心を委ねるな
    昭和歌謡の歌詞に、男性にとっての都合のよさが振り切れた幻の女性像から、女としての重さと自尊心の低さを感じるという。自分の大切さの根拠を他人に求めてはいけない。「あなたが期待通りにしてくれないから、私には価値がない」は「私の期待通りにしてくれないから、あなたには価値がない」と隣り合わせ。
    ⇒個人的に一番印象に残ってて違和感を感じた歌詞はテレサ・テンのより、大黒摩季のあなただけ見つめてるの歌詞。SLAM DUNKアニメの曲だったけど、内容にゾッとした記憶がある。

  • 進みたい人には全力で背中を押してくれ、休みたい人にはそっと肩を貸してくれるような本だった。
    みんな美しい。

  • 美容方法よりも美に対してどのような意識を持つことで健全に心穏やかに過ごせる方法が載っていると思った。
    長田さんが紹介する番組(ル・ポールのドラァグ・レース、クィア・アイ)がすごく面白そう。
    FENTYのショーも面白そうだし、エイジングロールモデルとして、石田ゆり子さん、井川遥さん、板谷由香さんの素敵さに憧れる。
    美しさの概念は若々しいという一つのことだけではないのだから、もっと自分が思う美しいと思うことを広げて、それを表現する言葉を知ろう。また、嫉妬は自分の磨き石として、まず同じようにやってみたりそうなれるように努力をしてみよう。年を重ねることがますます楽しみになってきた。

  • ものの見方をストレッチしてしなやかに生きるアドバイスをくれる本。言及は、美に関することに止まらない。中でも、SNSに関して「人目を気にしないための壁打ち」というのに目から鱗だった。架空の世間の顔色を伺わない小さな繰り返しが、実生活で意見を発し好きなものを好きと言って自己実現する反射神経や胆力を鍛える練習になる、と。なる程。。心がけたい。

  • どうしても自分のことを認めるために他者を使ってしまう。
    浮き沈みはあっても他者からの評価だけでなく、
    自分で自分を認めてあげられるような自尊心が欲しい。
    自尊心をつけるためにはある程度の努力は必要な気がするし、その努力はせっかくなら楽しい自分の好きなものに費やしたい。

  • 「この世にブスなんていない。多様な美しさがあるのみ。あなたは今のままで十分に完璧。」

    序盤で著者自身が記している通り、上記の考え方を「手を変え品を変え」書いている。考え方自体には勇気付けられるし共感するが、本としては物足りなさを感じる。

  • 高校生のころ容姿の違和感を和らげてくれた本だった、高校生の頃の私に読んで欲しいなあ、、、、
    美の定義から身をするりと抜け出して、羽ばたける女性が増えたらいいなあ。

  • 読んでいると、なんだか包み込まれるような心を抱かれるような感覚があった。

    今の自分のままでいいんだと安心させてくれる。

    必要以上に自分を卑下したり、コンプレックスに落ち込む必要なんてないと思わせてくれた。

    美容本というより、1人の女性として自分とどう上手く付き合っていくのかを気づかせてくれた。

    自分を慈しみ、大切にしようと感じた。

    以下、今日から取り入れること!

    *嫉妬したら、その感情を認めて、何でそんなに引っかかっているのか分析して、自分に活かす。

    *ありのままの自分を受け止め、表現する

    *自虐をやめて、褒め言葉をありがたくいただく

  • 最初の数ページは、ああだんだんこの感じの本に私興味無くなってきたかも、と思い一度積読にしていた本。

    読後に思うことは、美容本というよりまさかの連続フェミニズム本じゃないか!ということ。

    エイジングをどう肯定的に捉えていくかは、今の私の課題でもある。99.9%(それ以上!)の人は私の人生に何の責任も持たない人で、彼彼女からの言葉を華麗にスルーできる技を身につけたい。そして何よりも前に私自身が私を100%肯定すること。いや、できてなくても100%これのみ事実なんですけど。

    新しく知ったこともあった。

    2020.3.1

全92件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1977年神奈川県生まれ。ライター。女性誌やWEBで美容の記事やインタビューを手がける。2019年フェミニズム視点で、多様な美しさを提案した初の著書『美容は自尊心の筋トレ』(Pヴァイン)が話題となり、版を重ねている。「儚さと祝福」をコンセプトに、生花を使ったアクセサリーを製作する「花鳥風月lab」の活動も行う。近刊に『あなたは美しい。その証拠を今からぼくたちが見せよう。』(大和書房)。

「2020年 『エトセトラ VOL.3』 で使われていた紹介文から引用しています。」

長田杏奈の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ソン・ウォンピョ...
アンデシュ・ハン...
辻村 深月
芦田 愛菜
凪良 ゆう
柚木 麻子
平野 啓一郎
ジェーン・スー
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×