- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784909394798
作品紹介・あらすじ
あたふた族は、せわしない。
なにを隠そうわたしもその一員である。
デビュー直前までを描いた「上京物語」、
コロナ前と後の日常(朝日新聞連載「オトナになった女子たちへ」)、
「終電後」「のび太と遊んだ空き地」など味わい深い随筆作品…
3部構成で贈る、長編小説のようなエッセイ集。
大人気エッセイ『しあわせしりとり』から3年半、待望の刊行!
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わたしには掟があった。「見つけた不動産屋に絶対入る」という恐ろしい掟である。――「部屋探し」
自分を試してみたい気持ち。家族と離れたくない気持ち。行くか行かぬかずいぶん迷った末に出てきた東京だった。――「ひとり暮らし」
そしてわたしは夜を手にいれた。――「新しい自分に」
決戦の日がきた。管理人さん立ち会いのもとおじさんがうちに苦情を言いにくる日である。――「真夜中の事件」
第1章「上京物語」より
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感想・レビュー・書評
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三つの章からなるエッセイ集。
「上京物語」「東京あたふた族」「終電後」
ほんわかっとした温かな親しみを感じさせるエッセイで、敵を作る人じゃないよなって思わせるミリさんの日常がたっぷりと詰まった一冊になっている。
たとえば、上京物語の中の真夜中の事件。
おじさん目がけて、全力で謝るミリさんや上の階の人の騒音に対して、柔らかいことばのメモと一緒にスタバのコーヒー詰め合わせをドアノブに…なんてなかなかできないこと。
東京あたふた族では、マスクと美容院に思わずクスッとする。私もヘアスタイルの写真は持参できないタイプで、思いきったスタイルにはできない…というか手入れの簡単さを優先する。
そして、無理しないオトナに共感。
無理をしたくないというのは、がんばらないのとはちょっと違う。
がんばらないとできないことはあるものだし、がんばることは時に楽しい。
けれども無理はツラい。
無理はいつでも楽しくない。
そう言うミリさんが好きである。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
益田ミリ先生の作品は いつもちょっと笑えて力が抜けて いい味してるなとは思っていたんですが 「上京物語」編をよんで 意外な勇気(笑)が心地よかったんだなと 若い女性が上京してきて 今ほど情報もない中で 行き当たりばったりに見つけた不動産屋さんに 体当たりするなぞ かなりの猛者だと思う
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コロナ禍にいるミリさんが、上京当時から、現在に至るまでを書いたエッセイ。
同世代のせいか、ミリさんの本には共感と安心がある。実際の私には、家を出た経験はないのだけれど。
そして亡くなったお父さんへの愛情と寂寥感がそこかしこに見える。そこに未来の自分が見えて、最近の私はミリさんの後悔を思い出しながら親と接しているように思う。
何をしても後悔のない人生はないだろう。日々起きるちょっとした嫌なこと、そんな苦味すらも人生のスパイスにすればいいのだなとミリさんの本は教えてくれる気がするのだ。 -
大好きな益田ミリさんが、まだまだイラストレーターとしての実績もないまま上京。26歳の時。一人暮らしを始めるが、どこか、のほほんとしたしたところもあって、ゆったりとした時間を過ごす。あとでできる、漫画の主人公、そのままの生活。
でも、仕事がない、アルバイトで喰いつなぐ、そしてパラパラと仕事が舞い込む。そんな時代があったんですな、でも悲壮感が無いのがミリさんの良さ。
ミリさんのエッセイ、やはり面白い、しばらく追いかけて読んでみよう・・・。 -
イラストの方が好きだけど、文章のミリさんとイラストのミリさんに乖離があまりないことにホッとする。
それくらいミリさんはかわいい。
そしてこんなかわいい人が世の中にちゃんと存在して、創作をし続けているという事実に安心する。 -
マンガはお馴染みですが、エッセイを読むのは初めて。
ほぼ同年代なのですが、いつまでも感性が若いまま。
なんだか羨ましいし、変な生活感がなくてほっこりしますね。 -
エッセイ集。上京したばかりの頃、コロナ前と後、最後の終電後と、3部に分かれている。どこから読んでも楽しい。
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上京して一人暮らしするまでのエピソードが面白かった。人と関わるのが上手な方だなぁ
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当てもないのに、「なんとかなるさ」で大阪から上京した所頃のお話。
東京では違う自分になりたくて「東京弁」を話したり、売り込むために出版社に通っていた話など。
私と重なる所はあまりないのだけれど、なんとも言えないノスタルジーを感じた。