凍った脳みそ

著者 :
  • ミシマ社
3.74
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本棚登録 : 256
感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784909394149

作品紹介・あらすじ

「そんなことは業者に任せ、その時間で音楽を作ってくれ」この本を読んだファンはそう思うであろう。しかし心配は無用。この迂回、屈曲こそが音楽の、いやそれのみならず文学の、いやそれのみならず人生の本然なのである。   ――町田康氏

アジカン・ゴッチの音楽スタジオ「コールド・ブレイン・スタジオ」。
その空間で日夜起こる、脳みそが凍るほどに理不尽でおかしな出来事と事件。

様々な青年的な葛藤を経て、経て、経て、皮を剥いてヘタを取って、中から出てきた中年男性を鍋に入れて煮、冷蔵庫で粗熱を取ってから冷凍し、しばらくしてから取り出して皿に盛り付けたのがコールド・ブレイン・スタジオであり、本書である。とか言うと、わけがわからないかもしれない。が、この本はれっきとした音楽書であり、スタジオ作りにまつわる冒険譚でもある。とかなんとか言いながら、俺は今日もまたスタジオの音響について悩んでいる。――「あとがき」より

感想・レビュー・書評

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  • 捻くれた皮肉屋のゴッチ節が炸裂。ただ比喩を通じて将来に訴えかける表現もあり、笑いもあり面白く読めた。

  • 比喩がまどろっこしいが、そこがゴッチさんの良さでもあり、思わずクスッとしてしまう。時には、だから早く言葉をまとめなさいよ。と思うこともある。アーティストとは常に脳内に小さいおじさんが存在して、あちらこちらとオッサンが走り回ってるんだろうなー。と読んでて思った。面白かった。


  • 冷たくなった脳みそ じっと固まって
    無傷のまま 引き離されて
    ようやくひとりぼっち
    何の考えもなく 何の思いもなく
    災いの爪痕の陰で 腐っていく
    BECK / Cold Brains

    引用はBECKのMutations、1曲目のVerseより。
    本書の冒頭にもちゃっかり登場しています。
    著者のプライベートスタジオのあれこれを物件探しから害虫退治に機材投資、後輩のレコーディングなどなど、町田康リスペクトな軽快な文体で綴られています。
    音楽づくりにおける、『拠点』『設備』の大切さも面白おかしく、ときに丁寧な語り口でするする楽しく読めました。音楽づくりに限らず、ものづくりにおける拠点の重要性は計り知れませんが、こと音楽に関してはお金がかかるのがそれこそ切実に伝わってきました。


    例えば、俺が以前に音楽の滝壺へ飛び降りるつもりで買った「NEVE 1066」というプリアンプ(マイクや楽器とレコーダーの間につなぐ前置増幅器)のペアは、三桁の福沢先生をジョージ・ワシントンに変換させ、海外に旅立たせたのだった。
    機材選びにともなう様々な困難 より


    メジャーなロックバンドのフロントマンですら、こうなのだなと。どこかの媒体で、アジカンの恵まれた環境や後ろめたさなどを語っていたかと思います。そんな彼が綴るからこその説得力があります。アップルビネガー賞も新人のミュージシャンへの支援も兼ねており、賞金?協賛?もそれなりの額で、音楽に対するこだわり、愛情もさることながら、別の視点で見ると、執念、もはや呪いのようにも見えなくもないです。
    ちょっぴり苦目のあとがきも彼の人柄が垣間見えます。

  • スタジオが出来上がってゆくまで。とても面白かった。

    こんな文章を書く人なんだなー、というのが分かりやすかった。

  • 文体が面白すぎて一気読みしてしまった!音楽制作を特にしていなくても充分楽しめる内容です。あとがきで急にシリアスになるので要注意。

  • 久しぶりに読んでて心から笑った一冊でした。

  • ゴッチの書く日本語はおもしろい。
    日本語の文章が好きなんだなと思わせられる表現が多い。
    こんな文章を書けるようになれたら色々表現ができて楽しいだろうなと思った。

  • 内容はおもしろいけど文体が邪魔

  • ふむ

  • 『そんなことは業者に任せ、その時間で音楽を作ってくれ。この本を読んだファンはそう思うであろう』帯の紹介文でそうあるとおり、15年来のアジカンファンである私も、激しくそう思った。しかし、それがゴッチであって、アジカンの源なのである。

    シンガーソングライターであるゴッチの、面白可笑しいワードセンスは秀逸で、ニヤニヤしながら読める一冊。

    このスタジオで製作されたアルバム『ホームタウン』もぜひ聴いてほしい。

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著者プロフィール

1976年、静岡県生まれ。日本のロックバンド・ASIAN KUNG-FU GENERATION のボーカル&ギターを担当し、ほとんどの楽曲の作詞・作曲を手がける。ソロでは「Gotch」名義で活動。また、新しい時代とこれからの社会を考える新聞『THE FUTURE TIMES』の編集長を務める。著書に『凍った脳みそ』『何度でもオールライトと歌え』(共にミシマ社)などがある。

「2022年 『撤退論 歴史のパラダイム転換にむけて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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