観察の練習

著者 :
  • NUMABOOKS
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784909242013

作品紹介・あらすじ

アイデアの種は、あなたの日常の「小さな違和感」に隠れている——

“「見落としていたものに気づく」ということ自体は、何に着目すべきかという問題設定が適切にされていれば、誰でもできるはずなのだ。
その上で、「良い」気づきを得るために「観察の練習」が必要になってくるのだ。観察による気づきは技術だと捉え、何に着目するかを意識しながら、何度も何度もやってみる。当然、技術というからには後天的に学習が可能だし、慣れれば慣れるほど上手くなっていく。”(本書「おわりに」より)

駅やオフィス、街や家の中で出くわす、小さな違和感。あるいは、市井の人々が生み出すささやかな工夫や発明のようなもの。著者が日々収集し続けている数多の「観察」の事例を読み解く思考の追体験をしていくことで、読み手にもアイデアの種を与えてくれる。
過去の膨大な量のリサーチの中から50あまりの「観察」の成果を厳選し、テキストはまるごと書き下ろし。著者のこれまでの人気連載コラム「AA'=BB'」(modernfart)、「まなざし」(DOTPLACE)を愛読していた方も必読の、初の単著にして決定版的な一冊。

感想・レビュー・書評

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  • この表紙そのものが"観察の練習"の題材になっているような本。
    パッと見、「なんだこれ?」と思い、じぃっと見るとタイトルの文字の一部が白く塗られていることがわかります。(…ブクログの画像ではわかりづらいですが。)
    「はじめに」と「おわりに」には蛍光イエローの紙が使われていることといい、なんだかおもしろそうな気配がぷんぷんしていたので読んでみました。

    中身は3ページが1セット。
    はじめに著者が身の回りで「おや?」と思った写真が載っています。
    それを見た上でページをめくると、見開きに著者がそれを気になった理由や考察したことが書かれています。
    「わかるわかる」と思うものもあり、「ここからそんな風に発想するのか!」と驚いたものもあり。
    私も日常のちょっとした違和感を見つけてはニヤニヤしてしまう性質なので、とても楽しく読みました。

    少し意識するだけで、見落としていたものが見えてくる。
    まだまだ自分の日常には、私には見えていないおもしろいことがあるに違いない。
    そして、それは何かをよりよくするヒントになるかもしれない。
    「おや?」と思ったもののことをちょっと考えてみることを、以前よりも意識して暮らしてみようと思います。

  • アイデアは発見は、「日常の中で見落としていたものに気づくこと」。人間の知覚能力に基づく新しい表現方法を研究している著者が、日頃から写真やメモで収集している日常風景の中から「小さな違和感」を持ったものを取り上げた体験集。

    数十にものぼるネタが7つほどのカテゴリーに分類されていて、どれも普段だったら見過ごしていそうなものだけれども、一度疑問を持つと確かに不思議なことばかり。「確かになんでわざわざこんなところにこんなものがあるんだろう」「こんな表示のしかたなんだろう…」と疑問を持つことで、普段の風景も違うように見えてくる発見が新鮮だった。あと、写真と短い説明で、それぞれの日常風景がある種の作品のように載っているのも読みやすくて面白かった。また、著者が「歯を磨くように、日常の中を観察するようになった」と前書きで書いていて、日頃から疑問を持って、それをアイデアにためておくことの大事さも伝わってきた。

  • わくわくの本

    観察
    工夫 痕跡 

    「物の見方や感じ方は、自分の意識によってあっさひと変更することができる」
    「自分には見えているようで見落としてるものがあまりにも多い」
    何に着目すべきか 良い気づき 世界に溢れる面白さ きっと前よりも少しだけど、生きることが楽しくなる

  • 56個の「観察」の事例が掲載されている一冊。日常生活の中で、私たち人間が明確に認識している情報は、ほーーーーーんの一部分しかない。1%にも満たないだろう。

    外の車の音、隣の人の呼吸音、服と服が擦れる音。確かに耳に届いているはずなのに、意識しないと聞こえない音が存在する。

    視覚も同様に、「視界には入っているけど意味をなしていないもの」がほとんど。
    それらに意味を与えるのは自分自身の意識であり、与える意味に正解はない。全くの自由である。

    「観察力」が上がれば、日常生活が今より少し楽しくなるかもしれない。

  • デザイン・シンキングで大切かつ最初のステップと言われる「観察」のトレーニング。著者が撮影した写真を見て、違和感や特徴、感じたことを延々と述べるだけなのだが、他人の視点や自分にない切り口を学ぶとても良いトレーニングだと感じた。これ、授業でも使える。

  • 「さあ観察を練習しよう。そして世界にあふれている面白さに気づいていこう。これさえできれば、きっと前よりも少しだけ、生きることが楽しくなるはずだ。」
    この言葉が本当に好きです。

  • 観察の練習

    街を歩いた時に目についたものを写真に撮って、なぜ目についたのかを少し考える。この繰り返しを毎朝歯を磨くように習慣として行っている

    物の見方や感じ方は、自分の意識によってあっさりと変更することができる

    自分には見えているようで見落としているものがあまりにも多い

    ・痕跡から推測する
    ・先入観による支配に気づく
    ・新しい指標で判断する
    ・その環境に対応する
    ・世界の中から構造を発見する
    ・理解の速度を推し量る
    ・リアリティのありかを突き止める
    ・コミュニケーションの帯域を操作する

  • 街で目にするデザインを、読み解く実話。

    ▶︎読んでほしい人
    デザインが好きな人
    小さなことが気になる人

    ▶︎きっかけ
    母に借りた本

  • 日常、意識の外にある違和感を観察していくと様々なアイデアや工夫が織り込まれている。
    著者はこれを高校生の頃から現在まで続けているというので驚いた。
    次から外を出歩く時は美術館に来たような気分で街を観察してみようと思った。

  • 小杉湯の軒下で購入した本。
    装丁の紙質と帯の色と中の紙の色がセットでおしゃれだからという理由で買った。
    読み進めたら、文字の書き方?描き方?もおしゃれで面白かった。
    演習問題形式で進んでいく書き方も、より興味をそそるし、実践力が身につきそう。

    身の回りに溢れる物事をよく観察しましょうという内容。本当に何気ないことなんだけど、これまで生きてきた中で、この些細な違和感や「おや?」という気付きをたくさん見逃してきたんだろうなと思う。

    以前、Fell度Walkという考え方、ワークの方法を知って、それに近いものがあるなと思った。
    身の回りにあった、面白いと興味を持ったもの観察しに出かけて、記録し絵に描いて、その気付きや興味をグルーブでありのままに語れる時間。誰もがフラットに関われる。

    この自分1人での観察も、自分との対話にもなるし、それを発見した場所やその場所住み、関わる人々との対話になるなと感じた。

    【私が面白い!と思った観察】
    1-2 無意識に取る最短経路
    2-4 胃内皮、腸フ、科科科
    2-5 泡立たない洗剤
    2-7 デフォルトの逆転
    3-3 音による手がかり
    4-5 駐輪場の使い方
    4-7 三つの顔を使い分ける
    5-4 赤青鉛筆の秘密
    6-2 「普通」が分からなくなるとき
    6-3 お釣りの渡し方
    6-6 とっさに押す方のボタンは
    7-5 記憶の糸口
    8-1 地下を流れる綺麗な液体
    8-5 見慣れた言葉が指し示すもの
    /56個

    「観察による気づきは技術」であると学んだから、日々積み重ねて、記録していこうかな。
    生きていく楽しみが生まれそう。

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著者プロフィール

研究者/映像作家
多摩美術大学美術学部統合デザイン学科専任講師
1980年東京都生まれ。人間の知覚能力に基づく新しい表現を研究・開発し、さまざまなメディアを用いて社会に提案することを活動の主軸としている。主な仕事に、NHKEテレ「2355/0655」ID映像、21_21 DESIGN SIGHT「単位展」コンセプトリサーチ、21_21 DESIGN SIGHT「アスリート展」展示ディレクター。著書に『差分』(共著・美術出版社、2009年)、『まなざし』(ボイジャー、2014年)、『ヘンテコノミクス』(共著・マガジンハウス、2017年)。主な受賞にD&AD Yellow Pencil など。
http://syunichisuge.com

「2017年 『観察の練習』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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